救済の聖王国   作:嘆きのラジオ

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神の眷属

聖王国、市街地にて

 

「フンフン フ~ン 」

歌うような、白い着物に身を包んだ女の子が鼻歌を歌いながら上機嫌で街道を歩く

顔は白い狐の仮面で隠しているため素顔は確認できない

 

だが、誰もそれを不思議に思うものはいない

 

大きな紙袋を持ち、中にはパンや果物などに溢れていた

 

「お嬢ちゃん、よければこれも持ってくか?」

突然、商店街のおじさんに声をかけられる、

当然旧知の中でもなければ知り合いでもない

だが、それを思わせるように

おじさんは優しく、まるで孫のように声をかけてくる

 

その手には赤色の果物が握られていた

 

コク、狐面の少女はうなずく、とともに受けとる

 

「また来てくれよ!」

おじさんは少女に手を降る

それに答えるように少女も手を振る

 

 

人間とは愚かな者だ

狐面の少女はそう人間を評価していた

その人間に、とって好印象な人物に化けるだけで疑うことなく、貢物を差し出してくる

少女の術に気づくものはいない

 

その証拠が少女の紙袋の中のたくさんの食べ物だ

この国に入り、かなりの人間を騙してきたが、皆がみな自分に喜んで貢物を出してくる

 

少女にとって人間は愚者であり愛玩動物のようなものだ

心が読める彼女にとっては尚更だ

 

その気になれば世界すら騙すことのできる

神の眷属たる少女、今は肉体を手にいれ、暴食の生活を楽しんでいる

 

さて次は誰を化かそうか、この世界には彼女の脅威になりえる人間はほぼいない

アダマンタイト級冒険者を一度みてみたが、ハッキリ言って弱い

相手どころか、自身に傷をつけることすら出来ないだろう

 

だが一つ問題があった

なんの因果かこの世界には危機感さんまで来ているらしい

しかもかなり有名になっているとか

 

そのお陰もあり、毎日、豪遊出来ているのではあるが

 

「・・・?」

今は幻術で隠している耳に、遠くでザワザワと集団のざわめきのような音を拾う

何かが起こる、そんな気がする

 

「面白い・・・」

少女は退屈していた

人を化かし、欺き、高級料理を網羅するのは至福の時間だったが

脅威となる存在がいないため、刺激がない

なにより、この国は平和だった

 

暇潰しの相手でも見つけたようにニヤリと狐面の中で少女は嗤う

 

それと同時に変化する、それは今、有名らしい危機感さん

クライ・アンドリヒに

別に貴族にでも、他の冒険者にでも化けることは出来たが

豪遊できたのは1割くらい危機感さんのお陰でもある

まず、見た目が亜人の彼女はこの国でさ迫害される立場だ

 

人間に借りを作っておくのは神の眷属として恥である

少しくらいはその名声を上げるのに手を貸してもいいだろう

少女は、偽クライ・アンドリヒは騒ぎの元に向かう

その姿は本物よりも自信に道溢れ、覇気があり、正にアダマンタイト級に相応しい

街行く人がすれ違いう度に振り返る、「アダマンタイト級冒険者」だと

 

騒ぎの元へ走る、飛んでもいいが、面倒なことに人間とは普通飛べないようだしそこは合わせるとしよう

 

だが、まずは腹ごしらえだ近くの酒場にクライ・アンドリヒとして入店する

 

名声を、あげてやるのだ、なら前金として貰うものは貰っておこう

そう思い、偽クライは食事への舌鼓をうった

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