久しぶりの休暇
逃げるように王国から出立した僕達嘆きの亡霊は只今
聖王国へ向かっている
「楽しみだねー聖王国!近くに2つ名持ちの亜人がたっくさん!いるんでしょ!」
「亜人か!剣を使うやつもいるのか!楽しみだ斬りがいがある!」
二人のバーサーカーが目を輝かせて言う
いや、別に斬りにいくわげじゃないからね?
「確かに、楽しみですね、2つ名がつくほど強力な個体でしょうし、合成獣にするもよし、雌雄が揃っているなら交配実験をするのもいいですね」
まともな人間の筈のシトリーまで浮かれている
そのためか、二人よりもかなり物騒なことを言っている
今回の地雷はシトリーのようだ
「こら三人とも、一応、今さらだけど、聖王国の王様にも会うんだから、失礼のないようにね」
そうだ僕達は一応依頼で呼ばれているのだ
常識人の妹をもって僕は嬉しい
「言っときますけど、リーダーもですよ?」
ジロリとルシアは一番問題なのはお前だ、と言わんばかりに力強く僕を睨む
「大丈夫大丈夫、ちゃんと行儀よくするから」
大丈夫と言っても疑うような視線を受ける
僕がいつ失礼な態度をとったのだろうか?
全く妹に信頼されていないことにショックを覚える
お兄ちゃんは悲しいよルシア・・・
「アンセムは信じてくれるよね!」
僕はこのパーティーの守り神でもあり、治癒術師でもあるアンセム・スマートに声をかける
彼もまた、パーティーきっての常識人である
今は宝具で背を縮めてはいるが本来の身長は4mもあるため馬車には入りきらない
優しく、正義の心を持った彼はこの世界でも人気なようでアンセム個人に依頼がくることもある
唯一傷なのは堅物であまり喋らないことだが・・・
「ウ~~ム?」
アンセムは迷ったようにうなずく
どうやら彼も妹と同じ意見なようだ
仲間に信用されていないのかな?
仕方ないので話を変えることにした
「そういえはエリザは?」
彼女もこの世界に来ているようで僕以外のメンバーは既に会っているようだ
「うーーん?朝までは居たんだけどねー」
リィズは気にしてないかのようにいう
この世界にエリザも来ているのは驚きだが
それでも僕には何故か会えないのが謎だ
僕は避けているつもりはない、彼女もそうらしい
「楽しみだ!こうしてはいられねぇ!ちょっと走るか!」
ルークがジットしていられないのか馬車から飛び出る
「あ!ルークちゃんずるーい、私も!」
後を追うようにリィズが飛び出す
「それじゃあ私も行きますか」
「ウム・・・」
リィズに続いてアンセムとシトリーも馬車から飛び出す
「あ!また勝手に・・・しょうがないですね・・・すいません後はお願いできますか?」
馬車を引いているおじさんに頼むように声をかけルシアも馬車から飛び出る
いつものように5人の幼馴染みは走る
馬車・・・要らなかったかな?
まぁ僕は無理なのだが・・・・
戦闘職である三人は理解できるのだが、後衛職なのに走る人間などシトリーとルシアくらいだろう
というか大抵の後衛職は鍛えてないだろうし
不意に外を見ると、何かの大群がこちらに向かってくる
よく目を凝らしてみると先程話していた亜人達のようだ
おじさんが慌てたように僕に何か話すが
大丈夫だと思う
だって
「お!ラッキー亜人じゃん!」
「おっしゃー!主食前の前菜だな!斬るぞー!」
「幸先良いですねー」
「ウム」
「はぁーやっぱりこうなるんですねリーダー・・・」
彼らは強いのだから
いつものように、いつもこうでは困るが
嬉々として敵を蹴散らす嘆きの亡霊
悲鳴が、、、亜人達の悲鳴が聞こえる
とちらがモンスターかわからないな
そんなことを考えながら道行きが既に怪しい休暇を何事もなく終わるように祈るクライであった。