聖王国、その上空を一人の悪魔が飛んでいた
(想定外の事態ですね・・・)
デミウルゴスは予想外の乱入者に戸惑いを隠せないでいた
本来であれば、あのまま聖王国を壊滅寸前まで追い詰めていたところであった
強者がいた場合は実験台として捕獲を、市民たちは皮紙として補充しようとしていた
聖王女を殺すことで統括を分割させることで、大国の強みである防衛力、統率力をなくした、膨大な兵力などそれらがなければ意味などない
分断された国はそれだけで戦力は半減だ、
下らない利権のため、互いを潰そうとする、それがどれだけ危機的な状況であってもだ
人間とは理想に生きる愚者だ、自分にとっての最悪を考えようとしない、
故に権力に固執するものほど潰しやすい
目の前に餌が吊るされれば愚者は食いつくのだ、例えそれが崖であっても、煮えたぎる溶岩であっても
時期国王などという極上の餌があれば尚更だ
分断された国は自分だけを守ろうとする、援護など送らない連携のとれない国など恐るに足りない
自身に死が近づき初めて気づくのだ
だが、それは一人の冒険者によって彼の計画は狂っていた
(クライ・アンドリヒ)
アダマンタイト級冒険者にして漆黒の英雄に並ぶとされている英雄のパーティー
当然デミウルゴスにとって、あの御方に並ぶなど図々しいにも程があるが
だからと、いってそれほどの噂にある彼等を甘く見ていた、油断していた
(アインズ様はおっしゃっていた、この世界には我らを脅かす存在がいる、常に留意せよ・・・と)
主君の言葉を思いだし
あまりの自身の無能さに顔を抑える
それを念頭に置いたつもりで行動していた筈だった
結果はどうだ?
あの時の自身は間違いなく、人間を脅威として見ていなかった、油断していた
聖王女や聖剣のようなものなどナザリックには腐るほどある
人間基準では強くても我々にとっては雑魚だ
それは嘆きの亡霊にも同じ認識をしていた
特に王都で一度会ったことのある、黒髪の男
クライ・アンドリヒ
感じたのは、塵という感想だ、あの場では圧倒的に弱かった、行動に合理性はなく、貧弱、普通の、パッとしない、どこにでもいる人間
いやそれよりも酷い無能
デミウルゴスにとって彼への評価はEだ
全てにおいて弱く、ナザリックへの脅威には到底なりえない虫のような存在だ
だがクライ・アンドリヒはその行為、その振る舞い、周囲の評価、ありとあらゆる全てが高度な擬態であった
デミウルゴスが見破れぬほど、いやもはや対象から即座に外してしまうように
(今、思えばあの男は我々の作戦の致命的な部分にダメージを受ける度に、いつも現場、もしくは何かしらに関わっていましたね・・・)
考えればおかしな話だ
なんの力もない、下等な人間がそのようなことを出来るわけがない
だが、デミウルゴスはなんの、違和感もく、彼を問題発生の異物ではないと決めつけていた
その愚かな考えが今の状況を生んだ
(クライ・アンドリヒ・・・かなり頭が回るようですね)
下等な人間の名前を浮かべる
それは人間を虫程度にしか認識していない悪魔にとって非常に珍しいことであった
一度だけなら偶然だと考えた、だが二度三度も続けは看過はできない
「やってくれましたね、、、」
言葉とは裏腹に笑みを溢す
デミウルゴスは怒りよりも先にその人物に対して感心の念を抱いていた
御方の計画を邪魔したのは万死に値するが
それほどの知恵者、、、策に関しては自身を凌駕する可能性のある人間を始末するには惜しいと考えていた
(なによりあの力は異常ですね)
さらに始めた会ったときとは比べることすら出来ないほどの身に秘めた力、まるで別人である
素手で自分を吹き飛ばすなどこの世界の人間には不可能である
さらに自身の防御スキルを貫通してきた
我々にダメージを与えられる存在
認識を改めてる必要がある
「脅威度Aですか・・・」
御方が必要以上に嘆きの亡霊と交流していたのは
このことを愚かな自分に気づかせるためだったのかもしれない
「相変わらず厳しい御方だ」
御方はここまてま見据えて行動していたのだ
そして、全てを知ってなお、私を成長させるために最低限の、ヒントしか、与えなかった
そして自分はそれに感づくことは出来なかった
まるで満点だと断言していたテストが実は半分しかとれていなかったそんな気分だ
だが、それはデミウルゴスにとって悔しくもあるが喜ばしいものだった
偉大なる御方の素晴らしいさをその身に感じた
全身が震え、全能感に満たされたような錯覚を覚えた
そして動きを止め荒野を見た
そこには数千の亜人を蹴散らす嘆きの亡霊がいた
「やはり、、ですか」
それはデミウルゴスにとって答え会わせのようなものだった
未来を見通すほどの先見の持ち主なら必ずこの場に現れるだろう、、、と
そしてそれは当たっていた、密かに複数の箇所にまわしていた亜人の自身の部下を潜ませた別動隊、言わば本命の仕事をこなすための部隊
それがピンポイントで潰されていた
闇に紛れて侵入し、城外に気をとられ守りが薄れている間に、都心部を落とそうとしていたが
壊滅させられた亜人
デミウルゴスでもこんなことを、未来を見通すなど不可能だ
「まさか人間に、負けるとは・・・」
そう言うデミウルゴスは実に楽しそうだった
クライの評価が滅茶苦茶上がった