どうしていつもこうなるんだ・・・)
聖王国に不法入国したクライは自身に降りかかった厄災に憂いていた
聖王国は亜人たちに占領されていたのだ
そこは別にいい、逃げれば巻き込まれることなどないのだから
いつもの自分だったら間違いなく回れ右をして安息の我が家に帰るところだ
だが仲間たちはそうではなかった、亜人を見るや否や襲いかかり血祭りにあげていった
リィズが潰した、まるで粘土のように、原形がなくなるまで
ルークが斬った、亜人の強靭な肉体を紙切れのように
ルシアは凍らせ、燃やし、切り刻んだ、「万象自在」そのなに恥じぬ、多彩な範囲魔法を使い、亜人たちを恐怖のドン底に叩き落とした
だがここまではいいのだ、ここまでは
「ゲロ吐きそう・・・」
思わず口を抑える
そう問題なのはシトリーとアンセムなのだ
シトリーは拷問した・・・ありとあらゆるポーションを使い、溶かし、焼く、毒、など自白剤があるにも関わらず
かなりグロいことをしていた
そしてアンセムはただシトリーが拷問で瀕死になっていた亜人を治していた
シトリーはともかくアンセムがこんなことをするなんて
シトリーはともかく
アンセムは僕たちのなかで常識人で正義の心をもっていたはずなのに
いつから不良になってしまったのか
幼馴染みとして悲しい
薄暗い地下室の中、拷問部屋の扉が開く
中からは涼しい顔をしたシトリーが出てきた
「クライさん・・・状況の確認は終わりました」
「うんうん、そうだね」
~(どうしてこうなった)
ちょっとした手助けのつもりだった
ちょっと強そうな悪魔だったのでついおもいっきり殴ってしまっただけなのだ
撤退させただけなのに
妹狐は英雄として祭りあげられていた
(非常に不味い)
この場から逃げるのは簡単だ、だが関わった事件があまりにも大きすぎた
亜人たちは別に問題ではない、あんな下等生物どもに神の眷属たる自分の幻術を破る術などないのだから
問題はあの悪魔、いや正確にはあの悪魔が仕える主とやらだ
妹狐は心が詠める
故にあの悪魔の計画を知り、また誰かの僕であると知った
妹狐は賢い、あの悪魔といい勝負が出来るだろう
だがその悪魔をもってして、足元にも及ばないと言わしめるアンデッドならば些か部が悪いというものだ
逃げ出したいが、監視されている
幻術ではない、変化に近い
潰してしまってもよいが、
間違いなく知られるだろう
これ以上自身が脅威として認識されるのは不味い
「モキュモキュ」
目の前に出されたご馳走を頬張りながら
妹狐は今後の対策を考えるのだった