懲罰世界   作:X2愛好家

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エンディングはプロローグ


それは二度目の

数多に広がる世界。星の数にも届きかねない物語の中には、時として異物が混じる事がある。介入しながらも原典を行く者も居れば、本来の道筋から外れ、定められた結末すらねじ曲げる悪性腫瘍も存在する。自分の思うままに運命を書き換える者も居れば、道半ばで真の役者に敗れる者も居る。

 

今また、とある世界で、そんな異物が消えかけていた。

 

 

▲▽▲▽▲▽

 

 

「チクショオォ!オレがここまでッ!」

『皆が命懸けで!全身全霊で繋いでくれたんだ!社長として、人間として!それに応えてみせる!』

 

激突しているのは二人の戦士。片方は特徴的な掌と、黒いアンダースーツにライトブルーの装甲が目を引く。もう片方は内部構造が透けて見える程に透過した上半身部分と、下顎から下腹部にかけて血のように赤く染められた装甲が特徴だろう。そして戦況はライトブルーの戦士【仮面ライダーゼロワン】に傾きつつあった。

 

「チィッ!餌が何処にも居ねぇ!」

『言っただろ!皆が協力してくれたって!』

 

クリアカラーの戦士が【餌】と表現した、自身のエネルギー源となる他の生命体や同類は、二人の周囲に一人として存在しない。ゼロワンの変身者である【飛電 或人】が答えたように、警察を筆頭とした協力者の尽力によって避難誘導されたのだ。今この区画は、二人が決着をつける為の即席バトルフィールドとなっている。

 

「ならテメェからァ!」

『それは何度も!』

 

ゼロワンに向けて右手を伸ばすクリアカラーの戦士。さらにゼロワンの背後には、生々しく不気味に鼓動を刻むドローンが音も無く迫っていた。だが、ゼロワンは、或人は、既にそれを見切っていた。

 

『見たんだよ!』

「何っ!?」

 

伸ばされた右腕を自身の右手で掴んで止め、ドローンには右腰を通して伸ばした左手から凍結剤を噴射して機能停止させる。今のゼロワンは、装甲色と凍結剤の噴射機構から分かるように【フリージングベアー】のプログライズキーを使って変身した形態なのだ。

 

『お前、ブラフの腕とドローンを対角線上にする癖があるだろ』

「ッ!?」

『お前と戦ったのは俺だけじゃないって事だ!』

 

何度も見た、と或人は言ったが、それは或人だけの物ではない。バルカン、バルキリー、サウザー、そしてイズを筆頭としたヒューマギア達。この重要な局面で或人がクリアカラーの戦士の動きに対し、一種の博打に出れたのは、紛れもなく仲間と共に傷付きながら積み上げてきた記憶と記録のお陰だ。

 

「バカなッ・・・!クラスタやゼロツーでもない、シャイニングにすらなってない状態でェ!オレの動きを予測しきったというのかァ!」

『ただの予測じゃない!人間とヒューマギアが繋いでくれた・・・絆が生んだ必然の未来だ!』

「何が絆だァァァァァァ!!!」

 

掴まれた右腕を強引に振り払い、今度は左手で掴み掛かるクリアカラーの戦士。それと同時に右手で腰のベルトを操作しようとする。が、同じくベルトを操作していたゼロワンの方が一手早かった。

 

【フリージング!インパクト!】

 

『ハァッ!』

「グウッ!?ガアァァァァ!!!」

 

先ほどよりも低温かつ噴射量の上がった凍結剤がクリアカラーの戦士を襲う。胸部を中心に凍り付き、右手はベルトのトリガーを引く寸前で凍結してしまった。そして凍結した腰のベルト【フォースライザー】に向けて、全力で右手の爪を叩き込むゼロワン。破壊こそできなかったものの、フォースライザーとそれに装填されているゼツメライズキーそれぞれに亀裂が走った。

 

「グッ・・・ガアッ・・・機能が・・・」

 

吹き飛ばされ、地面を転がるクリアカラーの戦士。変身は維持できているものの、ゼツメライズキーは殆どの機能が停止し、最早凍り付いたただのパワードスーツである。どうにか立ち上がったクリアカラーの戦士だが、彼の目の前でゼロワンは姿を変えようとしていた。

 

【Everybody Jump!】

 

彼が先ほど口に出したゼロワンの強化形態の一つ。

 

【Secret material 飛電メタル】

【メタルクラスタホッパー!】

【It's high Quality】

 

悪意を飛び越えた銀の飛蝗、メタルクラスタホッパーである。

 

『お前を止められるのはただ一人!俺だ!』

 

今まで幾度となく口にしてきたであろう決め台詞と共に親指で自分を指差すゼロワン。それを聞いた彼は───

 

「止めて・・・みせろよ・・・ヒデン、アルトォォォォォォォォォォ!!!」

 

感じた恐怖を、それを聞けた高揚を、全てを振り切るように吼えた。

 

【ゼ…メツ……スト…ア】

 

凍結した指を無理矢理動かし、フォースライザーのトリガーを引く。装甲とスーツごと指が数本崩壊して落ちたが、ヒューマギアたる自分が今さらボディの破損を気にしてはいられない。ノイズが入り、途切れ途切れの音声ながらも必殺技を発動するクリアカラーの戦士。もう一度トリガーを引き、出力を上げたユートピアを放ちたかったが、現状では一段階のディストピアが限界である。

 

【メタル!ライジング!インパクト!】

 

退かない姿勢を見た或人もまた、ゼロワンドライバーに装填されたメタルクラスタのプログライズキーを押し込み、ゼロワンとしての力を解放する。その装甲が徐々に剥離していき、アーマーから銀色のバッタへと姿を変える。程なくクラスターセルが再び集合し、やや不恰好なゼロワンが二体現れた。

 

「グラァァァァア!!!」

 

雄叫びを上げながら、比較的ダメージがましな左手でクラスターセルの分身に殴り掛かる。だが、その拳が命中する直前にクラスターセルは分散し、何事も無かったように元の分身へと戻るのだ。逆に分身の攻撃はヒットしており、クリアカラーの戦士から集中力を奪っていく。

 

(アイツはエネルギーの吸収以外は硬いだけだ。動きも他の滅亡迅雷と比べて荒い)

(飛び道具さえどうにかしてしまえば、腕の届く範囲に近付かなければ良い。隙を見て凍らせてしまえ)

(私の戦闘データまで参考にするんだ。これで負ける事など許されん。1000パーセント確実に勝つんだな!)

 

或人の思考に仲間の言葉が浮かんでくる。真っ向から挑み、糸口を掴んだ不破 諫/仮面ライダーバルカン。過去の映像解析や、時には自ら体を張って弱点を見出だした刃 唯阿/仮面ライダーバルキリー。そして誰よりもクリアカラーの戦士の存在と能力を危険視していた天津 垓/仮面ライダーサウザー。

 

(或人社長、お帰りをお待ちしております)

 

そして秘書のイズ。信頼する仲間達が繋ぎ、渡してくれたバトンを手に、全力でゴールへと走る。

 

「ガハッ・・・!」

『ハッ!』

 

分身二体の同時攻撃で大きく体勢を崩したクリアカラーの戦士。分身が再びクラスターセルへと戻り、ゼロワンの装甲として再結合していく。クリアカラーの戦士の視界が捉えたのは、跳躍するゼロワンの姿。今この瞬間に全てを賭けて放たれる一撃。空へのジャンプは───

 

『ハアァァァァァァッ!!!』

 

キックに変わるのだ。

 

メ タ ル

 イ ン パ ク ト

 

 

「グゥッアァァァァァッガァァァァ!!?!?」

 

絶叫と共に火花を散らし、装甲に付着していた霜を白煙として撒き散らしながら吹き飛ぶクリアカラーの戦士。盛大に地面を擦りながら落着し、地に着くと同時に大爆発が起こる。誰の目にも明らかな勝者は───

 

『フッ』

 

仮面ライダーゼロワン/飛電 或人だった。

 

 

▽▲▽▲▽▲

 

 

人間とヒューマギアが共存する世界から離れ、今度は別の世界を覗いてみよう。

どんな世界かって?多分すぐに分かるよ。

 

 

▲▽▲▽▲▽

 

 

「かはっ・・・」

「もう、止めよう?」

 

膝をつく者と立ち尽くす者。既に勝敗が決した状況で言葉を溢したのは立ち尽くしている少女。その瞳からは涙がとめどなく流れていた。

 

「くっ・・・何を・・・今さらぁっ!」

 

立つ事すらままならない状態で、膝をつく少女が叫ぶ。その身に纏っているのは赤い鎧。だが鎧は所々砕け、皮膚が露出し、煤で汚れている箇所が多々見受けられる。さらに、額や鎧が砕けた幾つかの箇所から流血しており、赤い鎧をさらに淀んだ赤で染めている。

 

「結局暴力で捩じ伏せる事しか知らない偽善者が!何が繋ぐ為の手だ!私の手はいつも振り払うくせに!」

「・・・」

 

赤い鎧の少女の言葉に悲哀を深めた少女もまた鎧を纏っていた。オレンジと黄色が目を引くビビッドな鎧は、赤い鎧ほどではないものの傷付き、煤や土で汚れていた。この二人が命を削って争いあっていた事は確実だろう。

 

「今やめて何になる!何が変わる!どちらかが死ぬまで終わらない!終わらせるものか!」

「・・・」

 

赤い鎧の少女が膝を震わせながら立ち上がる。右手に持った大型の銃器を杖代わりにしながら、ゆっくりと。互いに憎悪し、どちらが先に相手の息の根を止めるかという戦いならば、オレンジと黄色の鎧を纏った少女──【立花 響】が容易に勝利できる状況だろう。なにせ赤い鎧の少女は立つだけでも精一杯なのだから。だが響はそれをしない。涙を流しながらも優しく微笑み、赤い鎧の少女を待っているようにも見える。

 

「馬鹿に・・・するなぁっ!」

 

喉を枯らさんばかりに叫び、右手の銃器を向ける赤い鎧の少女。数秒と経たずトリガーを引き、銃器から閃光が迸る。閃光──ビームが左肩を掠めても、動じる事なく微笑んだまま一歩も動かない響に苛立ち、二度三度とトリガーを引くが、エネルギーが尽きたらしく銃口から再びビームが放たれる事は無かった。

 

「くっ・・・そぉ!」

 

使い物にならなくなった銃を投げ捨て、今この瞬間に出せる限りの力を振り絞って駆け出す。武器が無いなら己自身を武器とする。拳で、脚で、仕留めてやる。

 

「うっ!?っあ・・・!」

 

殺意だけが先走った赤い鎧の少女。冷静な判断をし損ねたらしい。ビーム砲がガス欠を起こしたという事は、すなわちビーム砲にエネルギーを供給している本体にもエネルギーが残っていない、或いは僅かな量しか無いという事だろう。纏っていた鎧が解けるように粒子へと変わり、生身が露となる。疲労も重なり、鎧の解除と共に躓き転倒しかける少女。だがその身が地に打ち付けられる事は無く。

 

「大丈夫!?」

 

優しく抱き止められていた。

 

「こんなにボロボロに・・・ボロボロにしちゃったのは私か・・・ごめんね・・・」

 

何故、そうまで他人を思いやれるのか。今の自分が答えるなら【それが立花 響だから】としか言えない。いつもヘラヘラしててお節介で優しくて、助けると決めたら一直線に飛んで助け出す。それが猫だろうが敵だろうが。生きる事と繋がる事を諦めない。【それが立花 響】と自分は思っている。今もなお自分を抱きしめ、涙を流しながら言葉を掛けてくれている。

 

「また一緒に遊ぼうよ。昔みたいに、少し前までみたいにさ」

「・・・ここまでの事をした私を、許せるの?」

「許すも何も、友達だから止めに来ただけだよ」

「・・・バカみたい。実際バカか」

「酷いなぁ・・・」

 

(でも・・・そんな響だから、私は───)

 

「皆のお説教は覚悟しといてね?翼さんもクリスちゃんも怒ってたんだから」

 

(みんな・・・みんな・・・?)

 

「未来も待ってるよ」

 

(み、く・・・?)

 

何かが壊れる音がした。

和解という名のナイフが突き立てられた。

私は───、───────────。

 

「ねぇ響?」

「ん?なに?」

「私の事、忘れないでね?」

「もう、何言ってるの。忘れるわけ───」

 

『響ちゃん!離れて!』

 

オペレーター 友里あおいの警告が響の耳を刺激する。

 

何かが壊れる音がした。

今度は響にも聞こえる音が。

赤い鎧の少女の瞳は禍々しい光に彩られていた。

 

「ぇ?」

 

 

▽▲▽▲▽▲

 

 

次で一応最後。少しスケールが大きくなるよ。

 

 

▲▽▲▽▲▽

 

 

人は簡単に手の平を返す。希望が強ければ頑張れ、自分達もついているぞ、と応援し、絶望が強ければもう駄目だ、何やってるんだ、と罵倒する。そんな醜い人間が嫌いだった。どうせ人には何もできない。圧倒的な力で希望を叩き潰す獣に憧れたのだ。

 

 

なのに───

 

どうして───

 

ワタシの目の前で───

 

人の奇跡なんて起こすのかな───

 

 

『デェヤァァァ!』

『ジュアァァァ!』

 

「グルルァァァア!?」

 

 

そこに人の言葉は無かった。パンチとキック、そして光弾が飛び交う戦場に人が言語として理解できる内容は無かった。そこにあるのは人の心と、人だった心。光の願いと邪悪な願い。ぶつかり合っているのは三つの巨躯。赤と青が交差する巨人と、青と黒に金が差された巨人が共闘し、一体の巨大な獣と戦っている。

 

 

───何で?何で立ち上がれるの?

 

───タイミングは完璧だった

 

───もう力なんて残ってないはず

 

───ねぇ、何で?

 

 

獣は焦っていた。二人の巨人は、自分が姿を現す直前に戦った天使擬きとの激戦で消耗しきっていた。イナゴなんて使わずとも通信手段は絶てるし、余計な希望を抱かないようにテレビ回線も落とした。数の暴力だって用意した。子供とも兄弟姉妹とも言えるクラゲ達だ。それをイナゴとの戦いで弱った世界各地の地球産の元に送り付けた。誰も声援を送れない、力を分け与える地球産も直に死ぬ。あとは巨人二人を始末するだけ。なのに───

 

「頑張れぇぇぇ!!ウルトラマァァァン!!!」

「負けないで!」

「もう俺達も負けない!信じてるぜ!」

 

ほんの一部。一握りだけを切り取ってもこれだ。中継されないなら直接届けに行くとばかりに集まる人、人、人の群れ。無論戦場の中心から離れた、避難区画の外からではあるが、それでも人は集まり続けている。

 

 

───なんで?

 

───なんで

 

───ナンデ

 

───ワタシヲミテコワガラナイ

 

───ゼツボウシテヨ

 

───キボウナンテナイ

 

 

「グゥルァァァァ!!!!」

 

一際人が群がっている区画に向けて光弾を放つ。お前達の命をもって他の連中に理解させてやると。

 

この獣には人だった心がある。歪んだ人心、憎悪に染まった悪心が。中途半端に人の心を歪ませ、獣の力を持ったが故に他の獣よりは知恵も理性もあるのだ。それが優れているかは一旦置いて、この元人間の獣は今、焦りと困惑と怒りで真に獣へと変わろうとしていた。のだが、僅かに残った元の心が言葉を漏らしたのだ。

 

【群がる民衆に攻撃する怪獣・宇宙人】

【これってさ】

【フラグじゃない?】

 

『オォォォォ!デヤッ!』

 

人の群れに向けて飛ばした光弾は半ばで弾かれた。赤と青の巨人【ウルトラマンガイア】によって。円形の障壁ウルトラバリヤーで連射された光弾をまとめて防御し、その全てを弾いてみせたのだ。

 

「グゥ・・・ガァァァァァァ!!!」

 

元よりそのつもりだった。予定が早まっただけ。手始めにこの一帯を消滅させてやる。破壊衝動に呑まれた結果、完全に獣へと思考が転じた元人間。むしろ捕食や生存競争ではなく、ただ憎いというだけで破滅を振り撒く姿は獣ですらないかもしれない。それこそ【怪獣】だろうか。

 

自身の背中に存在するもう一つの頭が、生理的嫌悪を呼び起こす気味の悪い顎を開く。それと同時に正面の本来の顔も。それぞれの口腔に粉塵のようなモノが漂い、光が集束していく。それを見た二人の巨人、ガイアと【ウルトラマンアグル】もまた自身に光を溜めていく。

 

「ギシャァァアァァァァ!!!」

『デヤァァァァァァァァ!!!』

『ジュアァァァァァァァ!!!』

 

両頭から放たれた破滅の光と、巨人が放った地球の光がそれぞれ衝突したのは同時だった。

 

 

▽▲▽▲▽▲

 

 

ここまでお疲れ様。三つの世界を見てもらったけど、どうだったかな。え?結末が分からない?まぁそこは少しボカしておいた方が、ね。

 

何で見せたのかって?それは彼ら彼女らが主人公だからだよ。厳密にはこれから主人公になってもらう、かな?ちょうど良い仕組みがあってね。後は消えるだけなら、再利用してからの方がお得でしょ?次の世界でどう動くのか、どんな物語を見せてくれるのか、それを一緒に見てもらいたいんだ。

 

それじゃあ始めようか。

 

新たな世界にとっては序幕。

悪役は主人公になれるのかを問う第二幕。

もっとも彼らにとっては第三幕になるけどね。

 

 

▲▽▲▽▲▽

 

 

「ここは何処でお前らは何だ」

「まず自分から名乗ったら?」

「だから人間は嫌いなんだよねぇ」

 

愉快な事になりそうだね。




プロローグはギスギス

【クリアカラーの戦士】
転生者その1。
仮面ライダーゼロワン世界のヒューマギア。
滅亡迅雷.netに所属しているらしいが……

【赤い鎧の少女】
転生者その2。
戦姫絶唱シンフォギア世界の人間。
立花 響とは知り合いのようだが……

【元人間の怪獣】
転生者その3。
ウルトラマンガイア世界の生命体。
人類に悪意を抱いているようだが……
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