神器迴戦~借金返済から始まる英雄譚~   作:静かなるモアイ

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メインヒロイン…登場


先日、貴方に殺された女よ

「うーん!!おいしー!!日本のお菓子って美味しいわね。これ、クレープって言うんだっけ?柔らかい生地に包まれたクリームやフルーツがマッチして美味しいわね。悟も食べる?」

「金欠だから良いです。てか、そのクレープも俺の金で出したからな」

 

駒王は日本の首都にある総耶と比べて大きな商業ビル等は余り建っていない。建っていてもそれはJR駒王駅近辺のオフィス街だけであり、そのオフィス街を離れれば住宅街や高級住宅街、そして駒王で暮らす人々が利用する公園等が存在している。そんな公園の1つ、駒王運動公園は規模が都心の公園にしては大きく、敷地内には良くキッチンカーでクレープや鯛焼き等が売られているのだ。そんなキッチンカーで駒王駅で出会い…「先日、貴方に殺された女よ」と自己紹介してきた金髪少女にクレープを驕り、悟と金髪の少女は公園のベンチで隣同士で座る。

 

この金髪の少女は先日…八岐大蛇の受肉した分霊を倒すため、悟が奥の手を使い巻き添えにしてしまった少女の筈だ。悟が確認したとき、少女は悟の奥の手である一言で言えばブラックホール砲の一撃で巨大な八岐大蛇共々バラバラに成っていて頭部以外は肉片に成っていた筈だ。しかし、何事も無かったように復活しており隣でクレープを美味しそうに食べている。

 

彼女の名前はアルクェイド・ブリュンスタッド。本人曰く、真祖と呼ばれる凄い吸血鬼との事だ。吸血鬼と言えど肉片がバラバラに成ったら普通は復活は出来ない。しかし、肉片に成った先日から今…目の前で美味しそうにクレープを食べてる様からアルクェイドは何事もなく復活してるのは間違いない。それに悟の魔眼は魔力の波長等を目視する事が可能であり、その波長を見て彼女の本質を理解する。

 

「お前…本当に吸血鬼?妹が…まあ、人外の血筋を引いてるから分かるが。お前の波長は人外と言うより、自然って感じだぞ」

 

アルクェイドの波長は様々な人外と比べて星その物に近かったのだ。強いて言うなら自然霊や精霊に近い、或いは精霊の格上の存在と言える存在だったのだ。今まで、こんな波長は視たことがない。

 

「私は真祖だからね。言うならば星の精霊なのかな?

クレープ御代わりお願いできる?」

「出来れば勘弁してくれ…ホテル代は経費で出るけど、借金が有るからあんまり金は使いたくないんだ」

 

悟は本音を言えばお金をあんまり使いたくないのだ。2億の存在証明としての借金、更に八岐大蛇を倒すためとは言え山を吹き飛ばしてしまった最に日本政府と上層部から押し付けられた10億の借金。合計、12億を越える借金が有るのだから。その借金を還しきれないと悟と妹は処刑。勿論、悟はそうなったら妹を連れて海外に逃亡する手筈だが上層部は悪魔政府と手を結んで間違いなく追い掛けて来るだろう。

 

「借金?」

「俺と妹は訳アリでな。退魔師に成ったのは処刑を免れるため何だよ。死刑執行を保留にするために、2億の借金を背おらされてな。他にも土地を吹き飛ばした責任とかも押し付けられて、借金が膨れ上がってるんだよな。神器と人外の血を引いてるからって…無茶苦茶な国だ。今は後輩も借金を背おらされてるな」

 

日本政府と日本の退魔上層部は神器と人外の血筋が大っ嫌いだ。もし自分達の血筋から神器を宿した人物が産まれれば、発覚しだいに殺すこともやむ無し。そんな国なのである。とは言え、この国である日本は実は悪魔と懇意な関係にあるのだ。

悪魔…それは一神教の布教と共に堕天した神々の成れの果てやその末裔達であり、彼等は子供と言えど圧倒的な力を誇る。殆どの悪魔は血筋や階級で戦闘力が違い、貴族の元で産まれた悪魔は特に鍛練をしなくても人間の軍勢を滅ぼせる程の力を持っているのだ。第二次世界大戦の後から…或いはその前からだが不明だが、日本は悪魔と友好的な関係を結んでおり懇意な関係にある。ではどうして、この話をしたのか?それは悟達の借金と大きな関係があるのだ。

 

実は悟が引き取られた遠野家は人外の血筋を受け継ぐ財閥だった。そうだった、過去形だ。悟が引き取られた当初は財閥だったのだが、悟が中学生の頃に悪魔から財政的な攻撃を受け続け経済崩壊。これは悟の居場所を見つけた退魔上層部が悪魔にリークした為だ。

悪魔の財政破綻的な攻撃で遠野家とその親戚は財源を喪い、更に退魔上層部と日本政府からの通達で神器を宿した悟と人外の血筋を引き継ぐ義妹は死刑通告。だが、これは悪魔の狙いでも有ったのだ。悪魔は悪魔の駒と呼ばれる特別なチェスの駒を持っており、これを使うことで人間は勿論のこと他の種族を問答無用に悪魔に変えることが出来るのである。これは死人…死体でも有効であり、死刑された悟と義妹を悪魔に変えて手駒にすると言う算段だったのだ。

 

『しかし…それは余りにも酷にも程が有りますぞ』

 

だが、それに異を唱えたのが悟の恩師である夜蛾正道であった。夜蛾は普段は表に出てこないが、日本退魔上層部の真のトップとも言える天元と呼ばれる不死の術師と繋がっており、天元と夜蛾2人の発言で悟と義妹の死刑執行は保留。

夜蛾からの提案で悟と義妹は呪術高専に入学することになり、義兄と養父は別ルートでお金を集めることに成ったのである。そして悟と義妹の事が有った為か、同じく神滅具と呼ばれる強力な神器を宿した五大宗家の次男も借金を背おらされたが処刑を保留となり呪術高専に入学した経緯を持っているのだ。

 

「ふーん。その神器って?」

「絶霧って神滅具の1つらしい。まあ、俺は中学生の頃から攻撃に転用出来るように、変な使い方をし続けた為か本来の使い方が出来なくなったけどな」

 

絶霧。それは仮面の男やシエル曰く性犯罪者が宿す赤龍帝の籠手と同じく、神滅具にカテゴリーされる神器だ。

本来の力は空間転移能力を持つ結界系操作と言われており、亜空間を創造したり、霧を出して操って物を他の場所に転移させたり様々な事が出来るそうだ。しかし、悟はそれを旨く扱う事が出来ない。何故なら、絶霧には直接的な攻撃手段が神滅具唯一存在しない。逃げることは出来ても、戦う事は出来ない代物なのだ。

それを知った悟は中学生1年生の頃からどうすれば絶霧を攻撃に転用出来るのか考えた。そこで悩んで悟が導いた使い方が空間操作だ。

 

「試しにビンタしてみてくれ。大丈夫、絶対に届かないから」

「ビンタ?えい」

 

アルクェイドは悟に言われてビンタを繰り出して見る。だが、そのビンタは悟には届かない。ビンタは寸前で停まり、それ以上先に動かせない。

 

「えっ?なにこれ、凄い!!」

「絶霧の物を飛ばす最に生じる副次作用である空間操作。俺はこれだけをひたすらに磨いたんだ。勿論、体術や他の呪術の事も学んだけどな。

この空間操作を使い、相手の攻撃と俺の間に永遠の距離を産み出して攻撃を届かせない。俺自身の攻撃としては空間を圧縮、収束させて攻撃…或いは逆に反発や発散させて吹き飛ばしたり様々だな」

 

絶霧には物を転移させる最に空間操作を使う副次作用が起きる。そこで悟は思ったのだ…これ、旨く使えば攻撃に使えないかと。

何度も試行錯誤や独自の訓練を重ねて悟は空間操作だけを扱えるように成った。その代償として絶霧の本来の使い方を喪った。だが、それでも訓練を続けた結果…中学3年生を迎えた頃には空間操作で攻撃と防御を行えるように成ったのだ。いや、それだけではない…空間を操ることで空を飛んだりも出来るように成ったのだ。

 

「妹も借金を背おらされてるんだよね?」

「ああ、還しきれないと俺達は死刑。それを防ぐために、義兄と養父もお金を稼いでくれてるんだけどな……」

 

 

悟には遠野四季という義兄、遠野槇久という養父が存在する。では2人は何処で何をしてるのかと言うと…

 

父 槇久の場合。

 

「くっーキンキンに冷えてやがる!!」

 

次男と長女を助けようと、金を稼ごうとしたが失敗。帝愛地下帝国でお金を稼ぎ、チンチロ賭博で何とか活路を見付けようとしてるが班長の手で毎度の如く負けてるとか。

 

兄 四季の場合。

 

「どうする…どうする俺!?」

 

大金が手に入る夢のギャンブル豪華客船エスポワールに乗船し、限定じゃんけんで星を集めていた。因みに現在の星の数は1。失えば全裸で別室送りである。

 

 

 

「まあ、何処かで生きてるのは確かだな。電話には出てくれるし」

「そっか。そうそう、悟に責任を取って貰わないとね!!私を殺した責任をね」

「お金は勘弁してくれ。億の借金が更に増えるのはコリゴリだ」

「お金じゃないわよ。ちょっと有る吸血鬼を退治して欲しいのよね」

 

アルクェイドを殺してしまった責任。それを悟は払わなければ成らない。無論、お金の賠償はもうコリゴリだ。これ以上借金が増えれば高専在学時に借金を還すことが出来ず国外逃亡or死刑の2択に成るのだから。

 

「吸血鬼退治?」

「そっ。埋葬機関のマスクマンもその吸血鬼を狙ってるかも知れないしね。ソイツ、何度も殺しても殺しても転生して何度でも甦るからキリが無いのよね……ここ数十年はマスクマンに先を超されるしね」

「マスクマン?埋葬機関?」

 

そんなアルクェイドから指示された責任の取り方。それはとある吸血鬼の抹殺であった。お金は払わなくて良いし、何よりその吸血鬼を滅ぼせば良いのだから楽と言えるかどうかは分からないが少なくとも懐には優しいのは確かだ。

それに、マスクマンと言う人物、埋葬機関というキーワード。マスクマンと呼ばれる限りにはマスク…仮面を被ってるのだろう。仮面を被り、更に埋葬機関に所属している人物を悟は1人だけ知っている。

 

「呼んだかい?少年少女よ。真っ昼間からデートとはお兄さんにやけちゃうな?」

 

その時、悟とアルクェイドの背後から声が聞こえる。勿論、この声を悟は知っている。忘れるわけがない、何故なら元実家から逃げることしか出来なかった悟を救った…あの仮面の男の声だったのだから。

 

「こっこの声はまさか…」

 

そう、この声は間違いない。あの仮面の男である。

 

悟とアルクェイドが後ろを振り向くと、そこには

 

「いきなりだけど、お金くだちゃい。クソ天使ミカエルに銀行口座凍結させられてお金が無いんだ」

 

賽銭箱を被り物として被った仮面の男が立っていた。だが、お金が無いようでお金を恵んでくる。当然、悟は借金まみれでありお金をあげる余裕なんて有るわけがない。と言うか、逆に欲しいくらいだ。

 

「あーー!!マスクマン!!」

「やっほー、真祖のお姫様。随分と良い意味で人間性を得たね?僕の知る君は機械のような人格だったから、今の方が随分と美人だよ。あっ、御世辞じゃないよ」

 

どうやらアルクェイドの言うマスクマンとは、彼の事だったようだ。

 

「それと悟。さとるんって呼んで良いかな?君の事は九十九由基とマッキーから聞いてたよ。元気そうで良かった」

「アンタこそ…まあ、アンタはくたばるわけ無いか」

「ムカつくクソ天使ミカエルを拳で半殺しにしたら、財産没収されたけどね。それはそうと、君はお仕事かな?」

「駒王の調査だよ。色々と無視出来ない出来事が多いらしくて」

 

悟がそう言うと、仮面の男はその場に座る。悟とアルクェイド、どちらかの隣に座っても良かったかも知れないが…あいにくと賽銭箱は横に長いので座れば2人の迷惑になると思ったんだろう。

 

「調査ね…気を付けた方が良いよ?僕達も私情でこの町に来たけど、かなり訳有りの町だ。

魔王の妹が2人も在籍しており、護衛は眷属以外無し。ぬくぬく温室で育ったんだろうね。夜ははぐれ悪魔が町を出歩き、人々を喰らう…この3日で僕と部下だけではぐれ悪魔を5体も殺してる。流石は悪魔の町……人間の事は考えてないね」

 

はぐれ悪魔。全く聞き覚えの無い単語に悟とアルクェイドは首を傾げる。

 

「はぐれ悪魔?」

「なにそれ、マスクマン」

「お姫様は知らないか…まあ、君は今までロアを追ってたから仕方がないとして。さとるんは無いだろ、悪魔の植民地である日本で暮らしてるのに」

 

仮面の男はそう言うと、少し間を置いてからはぐれ悪魔の事を説明してくれた。

 

「良いかい?はぐれ悪魔とはね。ざっくり言うならば、悪魔政府や主人である貴族悪魔を裏切った転生悪魔の事だ」

 

仮面の男は説明してくれた。

はぐれ悪魔とは彼も言った通り、悪魔政府や貴族悪魔を裏切った転生悪魔の事だ。悪魔の駒で悪魔に変えられた元人間等は主人である貴族悪魔の下僕…或いは奴隷として生きることになる。勿論、奴隷ではなく人権を与えて転生悪魔に接する主人も居るだろう。しかし、中には都合が良いことに転生悪魔を使い潰す貴族が多々いる。そんな待遇をすればどうなるか?勿論、反抗するし逃げ出すだろう。だが、転生悪魔は奴隷や下僕だ、人権なんて全く無い。主人を裏切った時点で裏切り者の烙印を押されて、はぐれ悪魔という賞金首にされて様々な勢力から狙われるのだ。

 

「此処で恐ろしい事なんだけど。はぐれ悪魔を出した主人である貴族悪魔には一切のお咎めは無し。それにはぐれの烙印を押された転生悪魔は…呪い等の対抗策を持ってない場合だけど、醜い怪物に変貌し理性を完全に喪い人間の血肉を求めて人々を喰らうモンスターになる」

 

なお、はぐれ悪魔を出した貴族には罰則は無い…それどころか新しい駒を貰えるのだ。影で「アイツ、下僕に裏切られたらしいぜ?」と指を指されるだけだ。しかし、はぐれにされた方はたまった物ではない。賞金首にされて様々な勢力から狙われ、貴族悪魔や他の下僕悪魔からは評価を上げるための的にもされる。そして裏切り防止の術式が組み込まれているのか、はぐれ悪魔に成った転生悪魔は理性を喪い…姿形も醜い怪物に変貌し人々を喰らうモンスターに成るのだ。

そうなったはぐれ悪魔を救うことは不可能。そうならない為にも、醜い怪物に成ったはぐれ悪魔は殺すことが一番の救いに成るのだ。逆に殺さないと罪のない民間人がそのはぐれ悪魔の手で次々と食われて命を落としていくだろう。

 

「何時の時代も……犠牲に成るのは人間だ。だから僕は人間を辞めて、龍人と成り果てた後でも人間を護るために力を振るう。

さとるん。君には期待してるよ。同じ日本人として、僕と同じく神器の壁を超える事をね」

 

仮面の男はそう言って…地面を蹴り、その場から消えた。

 

「名前……聞きそびれたな」

「私もマスクマンの名前、知らないや」

 

仮面の男の新情報 日本出身。

 

 

 

その日の夜。

 

「悟……大丈夫?」

 

調査の為か駒王を探索していた悟、そして付き添いで着いてきたアルクェイド。だが、悟は目の前の血の水溜まりを眺め、言葉を失う。

悟の目の前には人間の顔をした醜い合成獣のような獣が内臓を撒き散らし、絶命している。だが、その腸からはグチャグチャに食い殺されたと思われる小学生程の少女の亡骸が出てきたのだ。

 

「これが…あの人が言っていたはぐれ悪魔の現実とやらか」

 

怪物は倒した。その怪物ははぐれ悪魔であるが元は人間。そしてその腸の中には食い殺した少女の亡骸。

 

その時だった。悟のスマホがブルブルと震え、悟はスマホを取り出して画面を見る。画面には日本政府からのお電話だったのだ。

 

「もしもし」

『あっ!遠野悟一級呪術師ですね?はぐれ悪魔を討伐されたようですので、後で報酬として賞金を講座に振り込ませておきますね。ハイ!!ありがとうございます!!ですが、その町は魔王ルシファーの妹であられるリアス姫の町です。次からは彼女から許可を貰って下さいね?』

「…1人、犠牲者が」

『そうですか…ではその人のご家族にクリスマスプレゼントを』

 

遺族にクリスマスプレゼント?そんな馬鹿げた事を告げられ、悟は一方的に電話を切った。

 

 




次回…グレモリー陣営。

???「ノエル先生、そして2年生のシエルさん。貴女方が埋葬機関だって事はバレてるわ。滅ぼされたいかしら?此処は悪魔の町よ」
マスクマン「どうも!!こんばんわ、上司です!!」
さとるん「この町の責任者出てこーーい!!」

悪魔、埋葬機関、さとるん+アルクェイド。駒王学園の旧校舎で出会う。


???「この町に私が働ける教会が有るのですね?」

そしてシスターが到着する。

番外編 アンケート

  • 三大勢力VS人間側チーム(ネタバレ有り)
  • 借金返済変わったバイト
  • 借金返済危険バイト(合法)
  • 借金返済駆除バイト
  • FGOに殴り込み(さとるん、アルク)
  • FGOに殴り込み(埋葬機関)
  • FGOに殴り込み(高専1年生)
  • FGOに殴り込み(全員)
  • カニファン
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