ガンダム ビルド…ビビットアーミー艦隊これくしょん 作:黒瀬夜明 リベイク
世界の海の何処かに浮かんでいる島「ビビッ島」そのビビッ島のとある喫茶店で事の発端は始まった。
日本、行ってみたくない?
薄赤色に2本のアホ毛があるロングヘアーに右が黄色、左が碧い目の少女「ミモザ」は唐突にそんなことを言い出した。
一緒に食事に来ていた前髪は外にハネている青色のロングヘアーの少女「クレア」と
黒い短髪の少年「アミオ」と黄土色のボブヘアーの少女「ビビ」の3人は
一斉にフリーズした。
「……あ、あのミモザさん。いきなりどうしたっさ?」
唐突にクレアがミモザに尋ねる。
「変なもんでも食べたか?」
そこにビビが鋭い(?)ツッコミを入れる。
「ちょっ!それは酷くないビビ!」
ビビのツッコミに焦るミモザ。
「まあまあ、2人とも落ち着いてよ」
そしてビビとミモザをなだめるアミオ。
ミモザ、クレア、アミオとビビ。この4人は、高校生の時にいろんな理由から知り合いになり、今では仲のいい友人となったメンバーである。そして今日はミモザの誘いで、4人揃って喫茶店に来た。と言うわけである。ちなみにアミオとビビは彼氏、彼女の関係である。ともあれ、ミモザの突拍子もない言葉に3人が驚いたのは事実で、一番落ち着きのあるアミオでさえ驚いていたのだ。
「でもいきなり、日本に行きたい。ってどういう風の吹き回しだよ?ミモザさん」
「え。ああ~実はこの前テレビで日本特集見ちゃって…それのせい…かな?」
「あ~確かに日本って料理とか凄い美味いらしいからな。私も少しは興味あったりするけど、流石に今すぐってのは無理だろ」
「私もそう思うっさ。もう大学生になったから、資金的には何とかなるかもっさけど…」
ちなみにクレアの語尾についている「~っさ」とはビビッ島の離島である七尾島民の方言のような物で、主に「~です」「~ます」と言ったですます調の意味がある。ともあれ、ビビの言う通りすぐに旅行に行けるわけもないのは当たり前だ。大体は数か月前から予定などを立ててから行くものだからだ。
「まあ僕も、行ってみたいのは確かだけどね。今すぐには無理でも、数か月後には行けるんじゃない?」
「え!てことは!」
「一応計画として立ててみるのはいいんじゃないかな?どうかなビビ」
「私は有りだと思うけど、本気なのかアミオ?」
「まあ、ね。でも、無理なら無理で諦めるさ。クレアさんもそれでいいかな?」
「うーん…まあ、いいかな?」
「やった!じゃあ早速計画を立てよ!」
「おい、ここ喫茶店なんだから少し静かにしろバカミモザ」
「う、ご、ごめん……」
はしゃぎ立てたミモザを黙らせたビビ。それを見て苦笑しながらアイスココアを飲むクレア。やれやれ、と小さな溜息を吐いて苦笑するアミオたちはそれから数時間、旅行の計画を立てていった。
そして夕刻。夕暮れが照らす帰り道をアミオとビビが歩いていた。何時間も旅行の計画を練ったせいか、アミオの顔には少しだけ疲労が出ていた。
「大丈夫かアミオ?」
「ああ。大丈夫だよビビ、心配かけてごめんよ」
「にしても、割と本気で計画が立ってきたな」
「そうだね。軽い気持ちではなかったんだけど、まさかあんなに話が弾むなんて思わなかったよ」
「確かにそうだな。私も結構楽しかったし」
「そりゃよかった!」
2人の間に笑みがこぼれる。その時、ふとアミオはある事を思い出した。
(そう言えば何年前だっけ?黒野深海かもしれない人を見かけたのって…)
数十年前、深海から現れた未知の生命体「深海棲艦」と人類の戦争を終結させ、今では行方不明となっている人物だ。アミオは何年か前に、とあるガンプラバトルハウスで黒野深海と思しき人物を見たことがあったのだ。だがその時は、まさかそんな人物がガンプラバトルなどしないだろう。と片付けていたのだ。アミオにとっては今もそうなのだが、気にならない訳ではない。むしろ、会えるのなら会ってみたいとすら思っている人物である。
(日本に旅行に行ったら会えるかもしれ……いや、そんな事有りえるわけないよな!第一、黒野深海は行方不明になってるんだし)
「ん、どうしたアミオ?考え事か?」
「いや、何でもないよ。さ、帰ろっかビビ」
そう言ってアミオはビビに右手を差し出した。
「お、おおっ…」
ビビは赤面しながらその右手を握り返すのだった。
「クシュンッ」
そのほんの数秒後、山に囲まれた農場で麦わら帽子を被って、右目が隠れてしまっている真っ白な長い髪を毛先で纏めた、黒地に右胸を中心点にした銀色の十字線が入ったTシャツに黒いジーンズ柄の作業服を着た、背の低い少年の様な見た目の鍬を持った男がくしゃみをした。
それに気づいた同じ麦わら帽子を被って、紺色に白い雨が降っている様なデザインのTシャツに水色のオーバーオールを着て隣で種蒔きをしていた茶髪を三つ編みにして左肩から垂らした少女が男に声を掛けた。
「提督、どうしたの?風邪かい?」
「いや、何でもない。………誰かが噂してるのかもな」
「ふふっ、良い噂だといいね提督」
「そうだな、時雨」
そう言って小さな笑みを浮かべた男は畑を耕す作業を再開したのだった。
続く
挿絵につきましては、星亀少将さんからの許可を取って貼らせていただいております。