ガンダム ビルド…ビビットアーミー艦隊これくしょん   作:黒瀬夜明 リベイク

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第11話 訓練(前編)

「さあ、行くぞ。行方不明の英雄!」

宇宙空間をビビのサザビー・スマッシャーが全速力で駆け抜けていく。すると、サザビー・スマッシャーにレーダーが深海のガンプラ、ガンダムディオリアスを捉えた。だが、ガンダムディオリアスを現す光点は動こうとせず、その場に止まっていた。やがてその姿はビビの目にも映った。そこに映っていたのは両手にナイフを逆手に持ったガンダムディオリアスが構えをとった姿だった。すると、深海から通信が入った。

「来い」

「言われるまでもない!」

ビビは深海の言葉を聞いてやる気に火が付いた。サザビー・スマッシャーのスラスターを更に噴かし、一直線にガンダムディオリアスへと向かって行きビームショットライフルを収束モードで連射していった。ビームショットライフルから撃ち出された7発の光弾は、ガンダムディオリアスへ向かって飛んでいった。しかし―――

「フッ!」

ビームが直撃する直前にガンダムディオリアスは手にしていたナイフを振るい、飛んできたビーム弾を全て弾き消した。

「なに!?」

自身が発射した全てのビームをかき消され、流石のビビも驚きを隠せなかった。だが、ビビは即座に拡散モードに切り替えたビームショットライフルを放ち、それと同時に左手首からビームサーベルを抜いた。するとガンダムディオリアスは足元を蹴って後退し、拡散ビームを回避した。

(流石に拡散は防ぎきれないようだな)

その隙を突いてサザビー・スマッシャーは一気に接近、左手のビームサーベルを右上段に構えガンダムディオリアスに斬りかかった。ガンダムディオリアスは右手のナイフでそれを受け止めた。

「ビームサーベルを受け止められる当たり、相当な対ビームコーティングだな」

「まあな、アストレイブルーフレームがアーマーシュナイダーでビームを斬っていたからな。それを更に強くした感じだ」

「だがそんな短い刀身では、ビームサーベルには勝てまい!」

「そうかな?せあっ!」

「!?」

そう言った深海は右手の操縦桿大きく前へ突き出した。それと連動してガンダムディオリアスはナイフを持った右手を大きく突き出し、サザビー・スマッシャーのビームサーベルを押し返した。

「クッ!」

ビビは咄嗟に態勢を立て直し、腹部の拡散メガ粒子砲を発射した。

(さっきも回避したなら!)

そしてビビの予想は的中し、腹部から放たれた拡散ビームをガンダムディオリアスはバックステップとスラスターで回避、そのまま距離を取るように背を見せて後退していった。

「よし、予想通りだ!」

それを見てサザビー・スマッシャーはガンダムディオリアスを追って行った。

 

サザビー・スマッシャーは背を向けて逃げるガンダムディオリアスへビームショットライフルを次々に撃ち込んでいった。しかし、こちらを向いていないにも関わらずガンダムディオリアスはビームショットライフルのビームを回避し続けていた。

「くそっ!ちょこまかと!」

自分の攻撃を回避され続けるビビは段々と苛立ちを見せてきた。ビビは更にサザビー・スマッシャーのスラスター出力を上げ、ガンダムディオリアスへ一気に接近を計った。その間にもサザビー・スマッシャーはビームショットライフルで攻撃を続けていたが、やはり命中することはなかった。そして驚異的な加速を見せたサザビー・スマッシャーはガンダムディオリアスに追いつき、左上段に構えたビームサーベルを振り下ろしてきた。咄嗟にガンダムディオリアスは反転しそれを右手のナイフで受け止めた。

「チッ!また防ぐか!?」

「このディオリアスに追いつくとは、凄まじい加速性だな。その中であの正確な射撃。見事だ」

「フン。お褒めいただき感謝だが、このまま逃げていて勝てるのか?」

「ああ、勝てるさ」

「なに?」

直後、ビビの背後からロックオン警報が鳴った。

「後ろだと!?」

ビビが慌てて背後を振り返るとそこにはディオリアスウイングが4基、サザビー・スマッシャーにその方向を向けて展開していた。

「なっ!いつの間に!?」

「お前が一気に加速したタイミングにだ」

「なんだと!?」

「加速の瞬間はブーストで一瞬視界が鈍る。その瞬間に射出させてもらった」

「熱探知にも反応がなかったぞ!?」

「射出って言っても、直後はパージしただけだからな。熱探知に引っかかる訳ないだろ?」

直後、ナイフを離したガンダムディオリアスの左手がサザビー・スマッシャーの左腕を掴み背負い投げを放った。

「なにぃー!!」

完全に油断しきっていたビビは驚きの表情を隠せなかった。そして何とか姿勢制御を行い、態勢を整えたサザビー・スマッシャーの前にヴァリアブルバーストライフルをこちらへ向けたガンダムディオリアスがいた。

「!?」

「機体の加速力、そしてあの速度の中での正確な射撃と操縦は見事だ。操縦技術に関しては言うこと無しかもしれないな。だが、ビームショットライフルと拡散メガ粒子砲以外の面制圧武器はあった方がいいだろうな。強襲機なら格闘戦も大事だが、お前の機体は格闘強襲機よりは射撃強襲機の面が強い。面制圧と牽制に効くミサイルもあった方が良いかもしれん。あとは―――」

深海は一呼吸置いて言った。

「昨日の戦闘でもそうだったが、戦闘中は頭を冷やすことだ。それと、これは昨日も言ったが能力の過信で相手を甘く見ないことだ。ビビッ島には、お前と同じ奴らが他にもいるのだろう?」

そして遅れてきたディオリアスウイングがサザビー・スマッシャーの周囲を取り赤込む様に展開し、チェックメイトとなった。

「クソッ、私の負けだ!」

「Battle Ended!」

そしてビビは降参し、バトルは終了となった。

 

「くそぉ…また負けた!」

ビビは悔しそうサザビー・スマッシャーを持ってアミオたちの元へ戻ってきた。

「ビビ、ナイスファイトだったよ」

「ああ、すまんアミオ。負けちまった」

「気にしないでいいよ。これはあくまで練習なんだからさ」

「じゃあ、次は私が行こうかな」

と、今度はミモザが名乗りを上げた。深海は黙ってバトル台の反対側で待っていた。そして、深海の向かい側に来たミモザは深海に挨拶をした。

「今度は私が相手よ!」

「わかった。早速始めるぞ」

深海はバトルシステムを起動した。

 

太陽が照り付ける乾いた渓谷をガンダムデュナメス・ヴァンガードカスタムは飛行していた。昨日に撃墜され、大破したデュナメス・ヴァンガードカスタムだったが、1度大破した機体とは思えないような快適な機動をしていた。

「凄いな明石さんって。機体の挙動に全く問題がないなんて……ハロ、GNフィールドを展開して」

「GNフィールド展開!GNフィールド展開!」

そして両肩の発生器からGNフィールドも問題なく発生し、デュナメス・ヴァンガードカスタムの周囲を緑色のGN粒子が覆った。

「GNフィールドも問題なしね!じゃ、行きましょうか!」

GNフィールドの展開も確認し、ミモザは意気揚々とデュナメス・ヴァンガードカスタムを先行させていった。だが―――

 

「あれ?全然敵機の反応がしない……」

出撃をして3分が経っても、ミモザは深海のガンダムディオリアスを見つけることが出来なかった。

「なんで?もう戦い始めて3分も経つはずよね」

ミモザは焦りを感じ始めていた。今までに経験してきたガンプラバトルならとっくに接敵をしている。ましてや1対1のバトルなら、余計にだ。

「何処かで見落とした?」

その直後だった。

「ロックされた!ロックされた!」

ハロが突然喋り出し、デュナメス・ヴァンガードカスタムがロックオンされたことを告げた。ミモザは慌ててGNフィールドを手動で展開した。すると直後に黄色いビームがデュナメス・ヴァンガードカスタムの真後ろから飛来しGNフィールドを直撃した。GNフィールドに着弾したおかげで機体へのダメージは無かったが、ミモザは完全に不意を突かれ焦っていた。

「後ろだ!後ろだ!」

「了解ハロ!」(被弾したら不味いからGNフィールドは展開したままの方がいいわね)

ミモザは慌てて反転し、その方向へと向かって行った。

「あっ!見つけた!」

そしてミモザは遂にヴァリアブルバーストライフルを両手で構えたガンダムディオリアスを発見した。ミモザは即座にGNスナイパーライフルを構え、ガンダムディオリアスをロックした。だが、岩陰に隠れていたガンダムディオリアスはそれに気づいて、すぐさまその場から飛び出した。直後にミモザはGNスナイパーライフルの引き金を引き、先程までガンダムディオリアスが居た場所を狙撃した。だがガンダムディオリアスは、渓谷の間を飛ぶデュナメス・ヴァンガードカスタムの真下を通り、一気に反対方向へと飛んでいった。

「逃げた!逃げた!」

「逃がさないわ!」

デュナメス・ヴァンガードカスタムもすぐさま反転、GNスナイパーライフルをガンダムディオリアスへ向けた。

「そこ!」

ミモザは照準が重なるのと同時にGNスナイパーライフルの引き金を引いた。しかし、深海はガンダムディオリアスを飛び出していた岩の影にスライドさせ、GNスナイパーライフルのビームを岩にぶつけることで回避した。

「良い照準だ。狙撃機体を使うだけはあるな」

深海はそう言い残し、ガンダムディオリアスはデュナメス・ヴァンガードカスタムの索敵範囲外へ逃れていった。その間もミモザはGNスナイパーライフルを撃ち続けていたが、結局命中させることは出来なかった。

「くっそー逃げられた!」

「追いかけろモザ!追いかけろモザ!」

「わかってるわよ!あと、名前覚えなさい!」

今ハロが言った「モザ」とはミモザの事である。これはミモザの父親がハロにミモザのGPベースのデータを打ち込んだ時、何故かミモザの名前を覚えなかった結果「モザ」と呼ぶようになったのだ。あと、口が少しだけ悪いらしい。

「レーダーがロストした方向へ向かってみようかな…GNフィールド解除」

そしてミモザはGNフィールドを解除し、ガンダムディオリアスをロストした方向へと飛んでいった。だが、その瞬間だった。

もらった!

デュナメス・ヴァンガードカスタムの真正面の遥か先に、ガンダムディオリアスが突然飛び上がった。直後、ヴァリアブルバーストライフルが発射されデュナメス・ヴァンガードカスタムへ向かって行った。

「うそ―――キャッ!」

ミモザとハロが反応するよりも早くヴァリアブルバーストライフルのビームはGNスナイパーライフルの銃身に命中した。しかし、ダメージレベルはCレベルなのでパーツが壊れることはなかった。

「被弾箇所は!?あれ?本体は無事じゃない!」

ガンダムディオリアスの攻撃を受けたミモザはデュナメス・ヴァンガードカスタム本体が無事であることと、GNスナイパーライフルが壊れていないことに気づいた。直後にガンダムディオリアスはヴァリアブルバーストライフルを懸架位置に戻し、デュナメス・ヴァンガードカスタムへ向けて一直線に突撃してきた。左手で腰裏のナイフを抜き、一気に近づいてくる。

「流石に一直線に向かってくる相手に、外すわけないでしょ!」

ミモザはすぐさまその場でGNスナイパーライフルを構えた。しかし、GNスナイパーライフルは一向にガンダムディオリアスをロックオンしなかった。

「え!?なんでロックオンしないのよ!」

ミモザは慌てて手元の武装スロットを確認すると、選択していたGNスナイパーライフルは「紛失判定」をくらっていた。つまり、形は残っていても使えないのだ

「嘘でしょ……」

ミモザがそう言っている間に、ガンダムディオリアスはデュナメス・ヴァンガードカスタムの直前にまで迫っていた。

「クッ!」

ミモザは咄嗟にリアアーマーにマウントされているGNビームサーベルを抜き放ち、横一文字に抜きながら振り払った。だが、ガンダムディオリアスは空いていた右手を上空でポン。と叩き急下降でGNビームサーベルを避けた。そして―――

「後ろだ!後ろだ!」

「っ!?」

僅か数秒でデュナメス・ヴァンガードカスタムの真下を潜り抜け背後を取った。そして、ミモザとデュナメス・ヴァンガードカスタムが振り返るよりも早く、ガンダムディオリアスはデュナメス・ヴァンガードカスタムを両手で拘束し、首元にナイフを突きつけた。

「射撃技術は素晴らしいな。だが、止まっていてはただの的だ。ミモザ、お前は何故デュナメスを使っている?」

「どういうことよ!?」

「お前の機体の挙動を見ていたが、お前は射撃のタイミングで必ず足を止めていたな。デュナメスは高機動と狙撃を両立できる機体だ、動きながらの狙撃が出来る。なのに何故お前は足を止めた?」

「それは……」

「……いや、いい。ともかく、狙撃の時に足を止めるのなら、本来の狙撃にスタイルを戻した方がいいだろう」

「本来の狙撃?」

「一カ所のポジションに留まり、相手を一撃で葬る。ようは、機動的ではない狙撃だ。お前の射撃センスと機体挙動なら、こちらの方が向いているかもしれんぞ?」

「でも、それじゃあ索敵範囲狭くならない?」

「なら、索敵用の何かを作ったらどうだ?ユーラヴェンガンダムの様なセンサービットみたいなやつをな。それをハロに操作させれば、一カ所に留まっていても広い範囲を索敵できる筈だ」

「なるほどね」

「だが、それに頼り過ぎるのは駄目だぞ」

「流石、行方不明の英雄さんの戦術理論は違うわね」

「茶化すなミモザ」

そしてミモザも降参し、前半戦は終了となった。

 

続く

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