ガンダム ビルド…ビビットアーミー艦隊これくしょん 作:黒瀬夜明 リベイク
そこに立っていたのはアミオたちがビビッ島で度々出会い、深海も一度だけ出会っていた八乙女撫子その人だった。
「撫子!何でお前がこんな所に居るんだよ!」
真っ先に反応したのはアミオだった。先程も言ったが彼はビビッ島で度々撫子と出会っている。と言っても、その殆どがいい思い出ではないが。
「なぁに、里帰りしに来ただけじゃ。それはそうと…お主らこそ何故、
「故郷だ?」
撫子の言葉を聞いたビビが反応した。如何に撫子が、普段からよくわからないことを言うことを知っていたとしても、今ここには深海の自宅があるのだ。それを聞いた撫子は小さく、フッ。と笑って言った。
「妾は昔ここに住んでおったのだ。今では、随分と様変わりしておるが…ここが妾の故郷なんじゃよ」
「へぇ…そうなのか」
「とは言え、いざ帰って来てみれば…なんじゃこの施設は?この地はいつから軍隊の基地になったのじゃ?」
と、撫子がそんな事を言っていた時だった。
「………!?」
クレアが自分の背後から殺気のような物を感じたのだ。どうやらそれに気づいたのは自分だけだったようで、クレアは恐る恐る後ろを振り向いた。そしてそこには―――
「深海提督さん!?」
先程の穏やかの様子とは打って変わった怒りを纏ったその表情に、クレアは思わずたじろいでしまった。そしてクレアの声を聴いたアミオ、ビビ、ミモザの3人も振り返った。
「え!深海提督、何でそんな顔をして―――」
すると深海は4人をかき分け、撫子と対峙するように4人の前に立った。
「ほう?まさか、お主がこんな所に居ようとはな。黒野深海」
「それはこっちの台詞だ。何故貴様が俺の
「話を聞いておらなんだのか?妾は昔ここに住んでいた。とさっき言ったではないか」
2人の会話を聞いたアミオたちは、どうやらこの2人に相当な因縁がある事を悟った。深海と撫子の会話は続く。
「どういうことか説明してもらおうか…」
「相変わらず野蛮じゃなお主は……まあ良い、教えてやろう―――」
撫子の話によると、まだ深海棲艦との戦争が始まる前ここ一帯は広大な森となっていたらしい。撫子はその山の一角にあった人間たちから忘れられた神社の屋敷で暮らしていたようだが、理由は不明ながらビビッ島に移住したのだ。そしてその間に深海棲艦との戦争が始まり、海軍はこの地を整地し、周囲を山に囲まれた入江となりそこに鎮守府が設置された。らしい。そして、何を思ったか撫子は帰省し様変わりしたかつての故郷を目にした。
「―――とまあ、そう言うことになる。わかったか?黒野深海よ」
「…話はわかった。お前の住む場所を壊してしまった事については謝る。すまないな」
「ほう?お主ともあろうものが、まさか謝罪をするとはな。変な物でも食ったか?」
「今度余計なことを言うと口を斬り落とすぞ?」
(深海提督、コワッ!)
そんな事を言う深海を見て、思わずミモザは恐怖心を抱いた。そしてその時だった。
「お父さん!もうすぐ、晩ご飯だよ。そろそろ―――あっ!」
体育館に秋雨が駆け込んできたのだ。そして入り口に立っていた撫子の姿を見て、思わず1歩後ずさってしまった。
「や、八乙女撫子…さんっ」
「ほう。久しぶりじゃのう黒野秋雨。壮健であったか?」
「な、なな、何で撫子さんがここに居るんですか!?」
「なぁに、ちょっとした里帰りじゃよ―――」
「お兄ちゃーん。何してるのさー早く行こ―――ってお前は、八乙女撫子!!」
秋雨から遅れて夜空も体育館へとやってきた。そして目の前の八乙女撫子を見て驚いていた。
「ほほう。お主もここに居ったとは、いやはや偶然とは恐ろしい物じゃな!」
「こんな所に来て、一体何を企んでいるつもりだい!」
「まあ落ち着け、妾は前みたいにお主らと遊ぼうなどとは思っておらんさ」
「誰がそんなこと信じるもんか!あの時、僕たちがどんな思いでお前と戦ったか。知らないくせに!」
「良いではないか。今ではいい思い出であろう?」
「ふざけるのも大概にし―――あっ!」
直後、深海が夜空の視界から消えた。そして直後、目にも止まらない速さで振り向いた撫子は何処からともなく薙刀を取り出し、深海のナイフを受け止めた。キィィンッ!という音が体育館中にこだました。そして撫子が目にしたのは、額右側に青白い炎を纏った黒い角を生やし、その下から血の様に赤くなった瞳を覗かせた深海の姿だった。撫子はその姿を見て、小さく笑みを浮かべて言った。
「やはりお主は野蛮じゃのう」
「俺がここに住んでいたことについては、俺にも非がある。だがな、俺の家族に何かしたというのなら―――」
俺はお前を殺すッ
「フッ、やはり
「黙れ。でなければ殺す」
(おいおいおい!これかなりヤバいじゃないか!どうすんだよ!)
アミオは今までに感じたことのない重い空気にタジタジしていた。昔撫子が、深海に斬られた。と言ってはいたが、こういう状況になったのだろうとは思ったが、そんな事よりも現状をどうしようかとアミオは必死に頭を回転させていた。
「お、お兄ちゃん!」「お父さん!」
だがその時、夜空と秋雨が深海を止めに入った。深海の傍に駆け寄った2人は、必死に深海を止めようとした。
「お兄ちゃん止めて!僕は撫子に色々めんどくさいことをさせられたけど、僕自身は何もされてないんだ!」
「わ、私も何もされてないよ!旅行で露天風呂で一緒になって、お話しただけだから!」
「………」
(深海提督の表情が少し変わった!)
それを見たアミオはすかさず深海の元へ駆け寄り、会話に乱入した。
「深海提督、ここでそんな事をしても意味ありませんよ!確かに撫子は、自己中心的で自分勝手で、常識は通じないし、空気も読めない大馬鹿な奴ですけど、本当は悪い奴じゃないんです!」
「なっ!アミオ、妾はそんな事は―――」
「ちょっと黙ってろこの覗き魔!」
「!?」(あ、アミオの奴。まだあの時の事を根に持っておったのか!?)
と、アミオの必死な弁明(?)を聞いた深海は咄嗟にバックジャンプをすると地面に着地すると同時に元の姿へと戻った。そしてナイフをしまい、言った。
「いいだろう。今の言葉、信じてやる」
それを聞いた撫子以外の全員が、ふぅ。と胸を撫でろした。だが深海は続けた。
「だが、お前をぶちのめさないと俺の気が済まないようだ……撫子」
「……何じゃ?」
俺とガンプラバトルしろ
「ほう?」
「ガンプラバトルで、お前を塵も残さず切り刻んでやる」
「フッ、面白い。ならば、妾の撫子コレクションであるヤオトメガンダムで逆に切り刻んでやるわ」
(アイツ、まだ撫子コレクション持ってるのかよ…)
そう言った撫子はまた何処からともなくガンプラを取り出した。そのガンプラは、右腕からドラゴンハングを取り外された旧キットのシェンロンガンダムだった。手にはビームグレイブを持っていたが、パッと見た感じはそれ以外の特徴が見受けられない、もはやカスタマイズされているのかも怪しいガンプラだった。そしてそれを見た深海は表情一つ変えず、険しい表情のまま撫子に言い放った。
「その程度のガンプラで、俺を倒すつもりか?笑えるな」
「フッ、その言葉―――」
後悔させてくれるわ!
こうして深海と撫子のガンプラバトルは始まった。
続く