ガンダム ビルド…ビビットアーミー艦隊これくしょん 作:黒瀬夜明 リベイク
深海との交流の翌日、アミオたちはその日を海原市の観光に費やした。海原市の観光名所を回ったり、海原デパートで買い物を楽しんだりと、4人は有意義な1日を過ごした。そして翌日、日本に来て4日目のこの日。アミオたちは帰国の日を迎えた。
「はぁー、もう帰る日なんだね」
「そうだな。4日あったって言うのに、あっと言う間だったな」
「はいっさ!でも、とっても楽しかったっさ!」
「うん。僕も、皆と同じ気持ちだよ!」
帰国の日の朝、海原ホテルのフロントに集合していたアミオたちはそれぞれに4日間の旅行をかみしめていた。特にアミオは深海との出会いで、ビビを守れるような強い人間になる。という人生の大きな目標が出来ていたのだった。
「さあ、駅に向かおう。電車に乗り遅れてしまう」
「りょーかい!」「はいっさ!」「ああっ」
そしてアミオたちは、海原ホテルを後にした。キャリーバックを引きながら、4人は海原ホテルのすぐ近くの海原市駅へと歩を進めて行った。そして、海原市駅の正面に到着した時だった。アミオはその正面入り口にこの旅行で友人となった3人の姿が目に入った。
「あ!アミオさーん!」
そしてその内の1人、夜空がアミオたちを早々に見つけると、後の2人、夕立と深空も後を追ってきた。
「夜空さん!それに夕立さんに深空さんまで!」
「なんだ?お見送りにでも来たのか?」
「うん!そんなところだよ!」
「よく今日が帰国の日だってわかったっさね?」
「うん。お兄ちゃんが予想立ててたっぽい!そしたら、見事的中したっぽい!」
「う、嘘でしょ……あの人そんなことまで予測できるの?もう、化け物じゃない…」
「そ、それでね。にぃにからアミオさんにお手紙だよ」
「え、僕に?」
そして深空はポケットから1枚の紙切れを渡した。アミオはそれを受け取ると、それを黙読していった。
アミオへ
2日目はお前たちを拘束してしまい、本当に申し訳ない。だが、お前たちと交流できてとても楽しかった。夜空たちとも友達になってくれたこと、感謝している。ビビッ島に帰っても、元気でな。またいつか会おう。
ps.
ビビの事を守れる強い男になれ。俺と同じ心の強さを持つお前なら、必ずなれる。
深海より
(深海さん……)
アミオは読み終わった手紙を読み終わったところで、胸が熱くなった。自身が憧れる「行方不明の英雄」が、自分の事をここまで応援してくれているのだ。それも当然だろう。
「おいアミオ。何て書いてあるんだ?」
「……ごめん。これ、ビビには見せられない」
「は?なんだよそれ…ま、私は別にいいけどな」
「あ!もうすぐ電車が来る時間だよね!急いだ方がいいよ4人とも!」
そんな中、迫った電車の発車時刻がアミオを現実へと引き戻した。アミオは急いで深海からの手紙をポケットにしまうと、キャリーバックを握った。
「じゃ、じゃあ、夜空さん、深空さん、夕立さん。僕たち、行きますね!」
「うん!元気でねアミオさん、ビビさん、ミモザさん、クレアさん!」
「ああ、お前らもな」
「またいつか会うっぽーい!」
「勿論よ!負けたまんまじゃ、悔しいからね!」
「うんっ、また、ガンプラバトルするっ」
「その時を楽しみにしてるっさ!」
そして4人は駅へと入って行った。夜空たちは、4人が見えなくなるまで手を振って見送っていた。
少し時間が流れ、アミオたちは空港で帰国の飛行機に乗っていた。そして、飛行機は発進し空へと飛びあがった。発進からしばらくして窓側の指定席に座っていたアミオは、ふと眼下に広がった海に視線を向けた。
(深海さん…僕はきっと、貴方に認められる男になってみせます!)
アミオは、届くはずのない決心を深海へ向けて宣言した。
そして、鎮守府の農場で農作業をする深海の遥か上空を1機の旅客機が通り過ぎていった。深海は、何かを感じた訳でもなくその旅客機を見上げて目で追いかけていた。
(……お前ならなれるはずだ。やってみせろアミオ!)
深海は、届くはずのない応援の言葉をアミオへ向けて語り掛けたのだった。
そして時は流れ――――
アミオたち4人が日本を訪れてから数年が経った。アミオたちは大学を卒業して島内の企業に就職した。4人はそれぞれバラバラとなったがいつも通りの日常を送っていた。そしてこの日、アミオとビビはデートの為ビビッ島の港町エリアを2人で歩いていた。すると、アミオは目の前に広がる海を見てふとある事を思い出した。
「…ねえビビ。深海さんは今頃どうしてるんだろうな?」
「はあ?お前、私とデートしてるのに他のこと考えてんじゃねぇよ」
「ごめんって……その、海を見てたら思い出しちゃってさ」
「ふーん……ま、生きてんなら元気にやってるんじゃないのか?」
「珍しいねビビ、普通こういう事はすぐ忘れるじゃないか」
「私はあいつに負けたまんまだからな。忘れてたくても忘れないんだよ」
「そっか、ビビらしいね」
そんな会話をしながら、歩いていた2人。すると、2人の目に大型の輸送船の様な船舶が入り込んできた。
「ん?何だよあの船、えらく古めかしい船だな」
「あれは日本からの輸送船だよ。ビビッ島と日本の輸出入に使われてる」
「ふーん……あれ?何だアイツ」
その時、ビビの目に輸送船の近くの海上を水柱を上げながら走る「人」のようなものを見つけた。ビビの言葉を聞いたアミオもその方向へ視線を移した。
「ああ。きっと今も現役の艦娘じゃないかな?輸送船の護衛で来たんだよ、たぶん。平和になっても、海を守り続けてるなんてカッコイイよな」
「……でもさ、護衛なら背中に着物姿の人間なんか背負うか?」
「え?」
ビビの意味不明な一言を聞いたアミオは、バックの中から双眼鏡を取り出した。ちなみにこの双眼鏡は、観光先で景色を楽しむ為にアミオが自腹を切って購入した高価な双眼鏡である。
「お前、まだそれ持ち歩いてるのか?」
「まあね。せっかく買ったんだから使わなきゃ損だし」
そして、双眼鏡を覗き込んでピントを合わせたアミオの目に映ったのは―――
「ふむ、あれは……ん?え、おい…マジかよ!」
「な、なんだよ?」
深海さんと撫子じゃないか!!
煙突から黒煙を上げる艤装を纏い海を掛ける深海と、彼の背中に何故か背負われている八乙女撫子の姿だった。その姿を見たアミオはいてもたってもいられず、港の先へと走りだした。
「お、おいアミオ!」
ビビは慌てて後を追いかけた。そして、アミオは海を駆けている深海へ向かって大声で叫んだ。
深海さぁーん!!!
そしてその声は、海上の深海の耳にハッキリと届いた。深海は、声の聞こえた方へと顔を向ける。そこには、数年前に偶然自分の前に現れた2人の少年と少女。アミオとビビの姿があった。
「っ!あれはアミオか!?」
「おい深海よ。いきなりどうしたんじゃ?アミオの名前など呟きおって」
「黙ってろ、振り落とすぞ?」
「はいはい。仰せの通りに」
だが深海はこのまま、輸送船が停泊する港へと向かうことになっていた為、返事をすることなくその場を通り過ぎていった。その代わり、艤装に取り付けてあるマストに、赤地に黄色の十字線が描かれた信号旗「R旗」を掲げた。アミオはその上げられた信号旗を双眼鏡で確認すると、その紋様の信号旗をスマホで探した。そしてそれが「信号を確認した」を意味する「R旗」だとわかると、アミオは屈託ない笑顔を見せたのだった。
そして数時間後―――
「久しぶりだな。アミオ」
「はい!お久しぶりです深海さん!」
深海とアミオの2人は、輸送船が入港した港の入り口で数年ぶりの再会を果たしたのだった。
続く