ガンダム ビルド…ビビットアーミー艦隊これくしょん   作:黒瀬夜明 リベイク

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第24話 低軌道会戦(中の後編)

少し時間は遡り、深海からアミオとビビの足止めを任された撫子はヤオトメガンダム・桜花のメイン武器であるトライデントグレイブ・桜花を構えると一気にフェネケースジャックとサザビー・アサルトに迫った。

「妾の力、存分に味わうがいい!」

「来るぞ!」

「私が前に出る!援護頼むぞ!」

「了解だ!」

トライデントグレイブ・桜花を右下段から右上段へと移動させた撫子は、グレイブモードからトライデントモードへと変更させた。先程まで出力されていた弧を描いたビーム刃が、三叉状のビーム刃を形成し、それを一気に左へと振り切った。

「くらうがいい!」

「そんな攻撃!」

そして三叉のビーム刃は先行してきたサザビー・アサルトの右手に握られたビームサーベルと衝突し、激しい火花が両機を照らしていた。

「まだ終わりではないぞ!」

そう言った撫子はスラスターを噴かした後に手元の操縦桿を前へ突き出し、スラスターの出力を上乗せした状態でサザビー・アサルトのビームサーベルを押し返した。

「くっ!凄いパワーだ。流石格闘に特化した機体だな!」

「それ、追撃じゃ!」

サザビー・アサルトを押し返したヤオトメガンダム・桜花はトライデントグレイブ・桜花を右中段に構えて突き攻撃を放ってきた。三叉状のビーム刃を受け止めるにはビームサーベルでは無理だと判断したビビはその突き攻撃を機体を右に逸らすことで回避した。

「やりおるな…ビビよ」

「もらったぞ撫子!」

直後にヤオトメガンダム・桜花の頭上に飛び出したフェネケェースジャックがフィンファンネルをバーストビームライフルの銃口付近に4つ展開させながら一斉射撃を行ってきた。放たれた5つのビームがヤオトメガンダム・桜花に迫ったが、撫子はヤオトメガンダム・桜花の左側スラスターを瞬時に全開にして右方向へスライドし攻撃を回避した。そして、そのスライドの勢いに任せたままヤオトメガンダム・桜花はなんとサザビー・アサルトの背後を取った。

「っ!後ろ!?」

「これは躱せまい!」

ヤオトメガンダム・桜花はグレイブモードに戻したトライデントグレイブ・桜花を最上段に構えると一気にそれを振り下ろそうとした。だが、ビビはすぐに手を打った。

「背後はガラ空きだと思ったか?甘いぞ撫子!」

サザビー・アサルトはヤオトメガンダム・桜花がトライデントグレイブ・桜花を振り上げた直後に、正面を向いたままヤオトメガンダム・桜花の腹部をその巨大な脚で蹴り飛ばした。

「何じゃとぉッ!」

突然のバックキックに驚く撫子。トライデントグレイブ・桜花を振り上げていた為、ヤオトメガンダム・桜花の懐はガラ空きだったことが幸いし、ビビはヤオトメガンダム・桜花が吹き飛ばされた時間を使って体勢を立て直した。

「ビビ、同時攻撃だ!」

「ああ!これはお返しだ、くらえ!」

そして吹き飛ばしたヤオトメガンダム・桜花に向け、フェネケェースジャックはフィンファンネルとバーストビームライフルを、サザビー・アサルトは腹部の拡散メガ粒子砲を収束モードで撃った。撫子の耳にロックオンアラートが届くと、撫子はすぐさま手元の武装スロットを操作し「SP」のアイコンを選択した。

「妾は出し惜しみなどせんぞ!」

撫子がそう言った直後、先程までその場にいたヤオトメガンダム・桜花はピンク色の粒子となって消えてしまった。

「なっ!消えやがったぞ!」

「落ち着くんだビビ!奴はすぐに姿を見せる筈だ、今は無理に動かない方がいい!」

「そ、そうだな。背中は任せるぞ」

「ああ、任せてくれ!」

その後、フェネケースジャックとサザビー・アサルトは互いに背中合わせとなり周囲の警戒を始めた。そして、反応は現れた。

「っ!レーダーに反応だ!」

「位置は―――」

「捉えたぞ、お主らー!」

 

 

下だッ!!

 

 

フェネケースジャックとサザビー・アサルトの真下から、トライデントグレイブ・桜花を両手で右中段に構えたヤオトメガンダム・桜花が一気に向かってきた。2機はすぐさま真下へ向けてそれぞれの射撃武器を撃ったが、ヤオトメガンダム・桜花はその射撃を掻い潜りながら迫ってきた。

「早い!なら!」

そう言ったアミオはバーストビームライフルを腰裏にマウントしながら下降すると、右手で左腰のビームサーベルを抜き放ってヤオトメガンダム・桜花に向かって行った。

「アミオ!」

「今度は僕が前へ出る!」

そう言ってビームサーベルを右上段に構えたフェネケェースジャックはそのまま一気にヤオトメガンダム・桜花との距離を詰めるとビームサーベルを振り下ろした。

「ビビは…やらせない!

「こちらとて、ここは抜かせんぞ!」

撫子もこれに応戦すべく、トライデントグレイブ・桜花を左側へと振り払いフェネケェースジャックのビームサーベルと、ヤオトメガンダム・桜花のトライデントグレイブ・桜花が激しくぶつかり合った。

「くぅっ!」「ぬぅっ!」

激しく火花を散らすビームサーベルとトライデントグレイブ・桜花。

「甘く見るなよアミオ。力ではこちらが上じゃ!」

「なに!」

そう言った撫子は、トライデントグレイブ・桜花をそのまま左側へと薙ぎ払った。その勢いに押されたフェネケェースジャックは吹き飛ばされてしまった。

(これがあの撫子だっていうのかよ!前の時より、全然強くなってる!)

吹き飛ばされながらアミオは初めて彼女と対戦をした時に比べて、ガンプラの出来も戦闘力も格段に強くなった撫子の腕前に驚愕していた。

「続けていくぞ!移転!」

そして撫子は再びSP技である「移転」を使った。ヤオトメガンダム・桜花がピンク色の粒子となって姿を消した。

「くそ!またあの技か!」

ビビは撫子が再び「移転」を使った事に少し苛立ちを感じていた。ビビは慌てて周囲を警戒し始めたがしかし、ヤオトメガンダム・桜花はその姿をすぐに見せたのだった。

「なっ!」

「これはさっきのお返しじゃー!」

サザビー・アサルトの真正面に姿を見せたヤオトメガンダム・桜花は左腕を振りかぶると、そのままサザビー・アサルトの右側頭部目掛けて左拳で殴りつけた。「移転」からの不意打ちも相まって、ビビはこれを回避できずサザビー・アサルトは後方へと吹っ飛ばされてしまった。

「ぐわぁ!」

「ビビッ!」

「もう一撃を―――」

 

させるかぁー!!

 

そうアミオは叫ぶと、フィンファンネルを自機周辺に展開させるとバーストビームライフルを勢いよく振りかぶりながら構え、フィンファンネルと同時に全門斉射を放った。

「なにっ!?」

先程弾き飛ばしたアミオのフェネケェースジャックがこんなに早く態勢を整えていたことに驚いた撫子。シールドを持たないヤオトメガンダム・桜花は、この全門斉射を回避するしかなく、撫子は7射線あるビームの隙間にヤオトメガンダム・桜花をねじり込ませてこれを回避しようとした。しかし―――

「回避なんかさせねぇぞ…撫子ぉッ!!」

今まさに回避行動に入ったヤオトメガンダム・桜花に向け、ビビのサザビー・アサルトが再び拡散メガ粒子砲を拡散モードで発射した。

「っ!!ぐわぁッ!」

無数のメガ粒子の光弾がヤオトメガンダム・桜花に襲い掛かり、その回避行動を妨害した。その結果、ヤオトメガンダム・桜花は左腕にフィンファンネルの直撃を受け、そのまま吹き飛ばされた。

「アミオ今だ!」

ビビがここぞとばかりにアミオに向かって叫んだ。このチャンスを逃すことなど出来る筈もないからだ。

 

 

おおおぉぉぉぉー!!!

 

 

アミオの叫び声と共に、フェネケェースジャックは両手でビームサーベルを抜き放つと、左肘から下を失ったヤオトメガンダム・桜花に向かって全スラスターを噴かして全力の突撃を刊行した。だが、撫子は依然として勝利を諦めていなかった。

(ここはタダでは抜かせんぞ、アミオ!ビビ!深海(あやつ)の為にも―――)

 

 

ここでくたばってたまるかぁぁぁー!!!

 

 

吹き飛ばされ未だに体勢を整えられていなかったヤオトメガンダム・桜花は、右手に握っていたトライデントグレイブ・桜花を全力を持ってサザビー・アサルトへと向かって放り投げた。トライデントモードとなったトライデントグレイブ・桜花は、一直線にサザビー・アサルトへと向かって行った。

「っ!」

その光景を見たビビは慌ててサザビー・アサルトに回避行動をとらせた。しかし、トライデントグレイブ・桜花の方がほんの僅か先にサザビー・アサルトの元に到達し、トライデントグレイブ・桜花の三叉の刃はサザビー・アサルトの左腕部を肩口から切断した。そして―――

 

 

 

これで終わりだ!撫子ぉぉぉー!!!

 

 

 

最後の一矢を放ち、無防備となったヤオトメガンダム・桜花はフェネケェースジャックが左右上段から放ってきたX字の斬撃をその身に受けた。切り裂かれた部分がオレンジ色の熱の光を放ちながら、青白いスパークを激しく撒き散らす。

(すまぬ深海……あとはお主に任せるぞ)

撫子はそう心で呟くと目を閉じた。直後、ヤオトメガンダム・桜花は爆炎に包まれ、桜の花弁の様な桃色の光を散らせながら消滅した。

 

続く

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