ガンダム ビルド…ビビットアーミー艦隊これくしょん 作:黒瀬夜明 リベイク
「Battle Ended!」
クレアの降参によりバトルは終了となった。プラフスキー粒子が消え、バトル台の上には上半身と下半身を両断されたデュナメス・ヴァンガードカスタムと、下半身だけを残してバラバラに壊れてしまったJガンダムエース、そして無傷のブルーノアアビスと、ガンダムディオリアス、ガンダムフェネクスレインバレット、ユニコーンガンダムソロモンナイトメア、ビアルカロード・イージスが立っていた。そして床には場外へ弾き出されたサザビー・スマッシャーが転がっていて、圧倒的な差を見せつけられて敗北したアミオたちは軽い放心状態だった。
「………」
「嘘でしょ……こんなに実力差があるの?」
ミモザは深海たちの実力差を身に沁みて感じていた。そして、バトルの中で何も出来なかったビビは項垂れたままで口を開こうともしなかった。
「ビビ!大丈夫!?」
「……何なんだよ…」
「え?」
「何なんだよお前はッ!!」
だが、ビビは唐突にバトル台をバンッ!と叩いて深海に怒鳴った。しかし深海は表情一つ変えず聞き返した。
「何なんだ?とは何だ?」
「何でお前は動けてるんだよ!私の能力があれば、お前は一瞬で撃破されなくちゃおかしいだろ!」
「ちょっとビビ!」
「…なるほど、さっきのサザビーはお前か。それが動けなかった理由と言うわけか…なら、俺からも言わせてもらおう」
能力を過信し過ぎだ
「なんだとッ!」
「その様子だと、能力に頼って的当てしかやってなかったんだな。どおりで動く奴を見て動けなくなるわけだ」
「ふざけるな!私はやれる!お前なんかすぐに倒してやる!」
ビビは床に落ちていたサザビー・スマッシャーを拾い上げると深海を指さした。
「もう1戦するぞ!さっき言った事、後悔させてやる!」
「ビビ止めろよ!」
「……いいだろう。来い」
ビビの挑発に乗った深海は、表情一つ変えず再度バトルシステムを起動した。
だがビビは、さっき言った言葉と裏腹に深海のガンダムディオリアスに完全に弄ばれていた。サザビー・スマッシャーの放つ近接、遠距離攻撃はことごとくディオリアスによって回避され、逆にディオリアスはサザビー・スマッシャーは一切攻撃しようとしなかった。
「何でだよ!なんで当たらないんだよ!」
「当り前だ。
「ほざけー!」
サザビー・スマッシャーは腹部の拡散メガ粒子砲をディオリアスへ向けて放つも、ディオリアスはそれを右手で、ポンッと真横の空間を叩いて回避した。
「くそ!くそくそ!くそぉ!」
「これで分かっただろ。お前の腕では俺には勝てない。わかったなら降参しろ、お前のガンプラが可哀そうだ」
「ふざけるな―――」
そしてビビは4方向からのロックオンアラートを耳にした。いつの間にか、サザビー・スマッシャーはその周囲をディオリアスウイングによって包囲されていたのだ。
「なっ!」
「もう1度言う。降参しろ」
「…ちくしょぉ……」
ビビは降参した。
「ビビさんがあんな簡単に弄ばれるなんて…」
「しかも1度も攻撃せずに降参させた……夜空たちのお兄さん、どんだけ強いのよ」
深海の一方的なバトルを目の当たりにしたミモザとクレアはその実力差を改めて感じていた。そして当のビビは、あまりにひどい敗北の仕方に両膝を突いて崩れ落ちた。
「ビビ!」
慌ててビビに駆け寄るアミオ。ビビの顔は怒りと悔しさが混じった酷い顔になっていた。
「ビビ!ビビ!大丈夫なのか!」
「アミオ…私は…弱いのか?」
「そんな事ないって!ビビはよくやったよ!それは僕が保証するから!」
「……そうか。すまない…今はその言葉にすがらせてくれ」
「ああ。大丈夫だよビビ…さ、捕まって」
と、アミオはビビをゆっくりと立ち上がらせた。そして、ふらつくビビを支えながら深海に言った。
「すいません深さん。少し、休憩スペースに行ってきます」
「わかった。後で話そう」
「僕も行くよ。看病する人が必要でしょ?」
「なら私も行くわ。クレアはここで待ってて」
「…ありがとうっさ」
そう言って夜空とミモザはガンプラバトルハウスの休憩スペースへ向かったアミオを追って歩いていった。そして残った深海、クレア、夕立、深空の4人はガンプラバトルハウスの入り口へ向かって歩いていった。
「あの、夜空さんのお兄さん」
「…クレアって言ったか?」
「はいっさ。クレアっさ、よろしくっさ」
「黒野深だ…どうしたんだ?」
「はいっさ。その…深さんのガンプラ、なんであんな動きが出来たっさ?」
「あんな動き?…ああ、あれか。あれについては教えられないな。他のファイターに自分の手の内を教える程、俺は甘くはないからな」
「そ、そうっさよね…」
と、クレアは少し残念そうな表情をした。それを横目で見た深海は正面を向き直って言った。
「だが、お前からは純粋のガンプラファイターのような物を感じる」
「え?」
「アミオからも感じたが、お前たち2人はガンプラバトルに対してしっかりと芯が通った感情を持っている。そう感じたんだ」
「あ、ありがとうございます」
「あとの2人にも感じなかったわけじゃないが、何か少し歪んでいる気がした。それが何なのかはわからないが、な」
「は、はいっさ(たぶん、自分でガンプラを作ったことが少ないミモザさんと、復讐心に憑りつかれやすいビビさんのことっさ)」
そして4人はガンプラバトルハウスの外に出た。商店街の店はシャッターを閉め始める店が多くなってきていたが、未だに「伊多ん屋」はネオンを輝かせていた。そんな中、深海は近くに合った自動販売機へ向かった。すると、それに釣られてか夕立が飛びつくように飛んでいった。
「みか―――お兄ちゃん!夕立、ミックスジュースが飲みたいっぽい!」
「…まったく、150円くらい自分で払えよ」
深海は自動販売機に小銭を入れ、夕立にねだられたミックスジュースを買った。それに続いてか、深空までも深海に寄り添ってきて―――
「にぃに……」
「ああもう、わかったよ。どれだ?」
「これ……」
「はいはい…」
とカフェオレを買わされた。ハァ…と溜息をもらす深海は、続けてクレアを呼んだ。
「クレア、何か飲みたいものはあるか?」
「えっ!いやいや、流石に悪いっさ!」
「もうこいつらに買ってしまったからな。流石に不公平だろ」
と、深海の隣でお互いにジュースを飲んでいる夕立と深空。2人の顔はとんでもなく笑顔だった。それを見てクレアは苦笑するしかなかった。
「ここは俺の顔を立てると思って…な?」
と、深海も苦い笑みを浮かべる。
「あ、ありがとうございます」
結果的にクレアが折れ、深海からホットココアを奢ってもらった。ちなみに深海もホットココアにしました。
それからしばらくして、アミオたちに連れられたビビ、ミモザと夜空が出て来た。
「深さん。お待たせしました」
「ああ。彼女は大丈夫か?」
「ええ、まあ。すみませんでした深さん。ほら、ビビも謝りなよ」
「ああ…悪かったよ」
そう言ってビビも頭を下げた。すると深海はビビとアミオに微糖の缶コーヒーを渡した。
「え?深さん、これは」
「もう終わったことだ。微糖コーヒーで悪いがガンプラバトルお疲れさまだ、アミオ」
「あ、ありがとうございます!」
「感謝は言っておく。ありがとう」
そう言って、アミオとビビは缶コーヒーを飲み始めた。
「お兄ちゃん僕には?」
「ほらよ。ホットココアだ」
「ありがとう!」
そう言って夜空は喜んでホットココアを飲み始めた。するとアミオに深海は話しかけた。
「アミオ、明日の予定はどうなっているんだ?」
「え?どうしてそんな事を…」
「俺の家に来い。そこでお前らを鍛えてやる」
深海は突然、そんな事を言い出したのだ。
続く