ガンダム ビルド…ビビットアーミー艦隊これくしょん 作:黒瀬夜明 リベイク
深海の突然の誘いに動揺するアミオ。深海はそのアミオの顔を見て、無理もないか。と心の中で呟いた。
「あの…深さん。それは一体どう言うことですか?」
「言葉のままだ。お前たちのガンプラバトルの腕を上げてやろうと思ってな…まあ、お前たちは旅行客だ。無理にとは言わない」
「そ、そうですか……なあ、ビビどうす―――」
「その話、嘘じゃないんだろうな?」
と、アミオがビビに尋ねるより先にビビが深海の言葉に食いついた。深海は真剣な表情でビビを見据えた。
「嘘を言ってどうする?俺に何か得でもあるのか?」
「………」
ビビは深海の言葉を聞くと同じく真剣な表情で深海を見据え返した。それを見たアミオがビビに尋ねる。
「お、おいビビ…本気なのかよ?」
「まあな。私は今回のバトルで何も出来なかったからな…自分より強い相手から盗めるものは、盗んで自分の力にしたい」
「ビビ…」
「お前らは好きにしていいからな。これは、私が個人的に決めたことだし」
「……わかった。なら、僕も付き合うよ」
ビビの言葉を受け、アミオも付いて行くことを決めた。ビビは驚いた顔をしたが、それでも心の中では嬉しがっていた。アミオもまた深海に向き直り、言った。
「僕も強くなりたいからな…それに、ビビを1人にはさせられないよ」
「バ、バカ!こんな所でそんなこと言うんじゃねぇよ!」
「やはりお前からは、俺に似たものを感じるな」
「深さん、何か言いました?」
「独り言だ。気にしないでくれ」
「あ、ミモザさんとクレアさんはどうする?僕らに付き合う必要ないと思うけど…」
と、アミオはミモザとクレアの方を振り返って言った。ミモザは腰に手を当てて、何故か勝ち誇った顔で言った。
「(本当なら付き合う気なかったけど、)私も行く!」
「私も行くっさ!友達が行くのに、自分だけ旅行を楽しむなんて出来ないっさ!」
(ウグゥッ!!)
とクレアの一言が、ミモザの背後から心に突き刺さった。2人の言葉を聞いて、アミオは小さく笑顔を作った。
「ありがとう2人共」
「決まりだな。なら明日、10時に駅前に来てくれ。迎えに行く」
「わかりました!あ、でも僕とミモザさんのガンプラ…」
「あ、確かに私とアミオのガンプラ壊れちゃってるよね」
「わかった。それに関しては、明日どうにかしよう。たぶん、何とかなる」
「わ、わかりました!(いったいどうするって言うんだ?)」
「じゃあ明日な。時間は厳守しろよ?」
「は、はい!」
そう言って深海は自転車に跨り、商店街を後にした。そして、それを見送ったアミオたちも、ホテルへの帰路についた。
そして翌日。アミオたちはホテルで朝食をとった後、荷物を纏めて海原市駅へ向かった。時刻は9時55分となっていた。
「もうすぐ時間だな」
「なんか、帰る訳じゃないけど……変な気分だよ。言葉で表しにくい、ってやつかな?」
「まあ、今まで知らない奴に鍛えてもらうって事なかったしな」
「そうだね……」
「それにしても、夜空たちの家ってどんな家なんだろ?」
「あ、それ私も思ったっさ。ガンプラバトルハウスじゃなくて、わざわざ家に来い。なんて、普通言うっさ?」
「うーん。言われてみればそれもそうだよな……一体どういうことなんだ?」
「まあ、それもすぐに分かる」
「わあぁぁ!!!」
と、アミオの背後にいつの間にか立っていた深海はアミオにそう言った。当然アミオはビックリ仰天して、とんでもなく大きな声をあげた。
「ええ!い、いつからそこにいたっさか!?深さん!」
「嘘だろ。一体どっから現れたんだよ…」
「まさか深さんって、どっかの暗殺者?」
「んな訳ないだろが…時間もキッチリだし、早速行くぞ」
そう言ってアミオたちは深海に付いて行った。
そしてしばらく歩いて駐車場で大きなキャンピングカーに乗った5人は、そこから更に数十分間車に揺られ、山の斜面を登っていた。ハッキリ言って、こんなところに家があるとは思えないような場所を車は走っていた。車内ではアミオたち4人全員が驚きを隠せなかった。そして、彼らは更に驚くことになる。
「少し待ってろ」
そこからしばらくして、キャンピングカーが停まった。深海はそう言うと、車から降りて道の外れへ歩いていった。そしてアミオたちは気づいた。
「え?ここって行き止まりじゃないか」
車の進行方向、そこには岩肌が姿を見せていたのだ。
「おいおい、こんなところ本当に家なんてあるのか?」
「まさか私たち騙されてる?」
「さ、流石にそれは無いと思う…かな」
アミオはちらりと外を見た。深海は岩肌のすぐ傍でしゃがみ、何かをしていた。そして、しばらくすると車に戻ってきた。
「待たせたな」
「あ、あの…深さん。ここって行き止まりですよね?」
「
「は?今は、ってどういう―――」
ビビが尋ねようとした瞬間、目の前にあった岩肌が突然薄れて始めた。
「って、なんだよこれ!?」
「岩肌が、消えていく!?」
その僅か数十秒後、岩肌は完全に消失しその奥からトンネルが出現した。
「なになになに!?どうなってるのよこれ!?」
「ま、まさか…光学迷彩っさ!?」
「まあ、大体当たりだ」
そう言って深海はキャンピングカーを進め、トンネルを潜っていった。そして車が通り過ぎた後、再び岩盤が形成されたのだ。
「嘘でしょ…」
「ま、まさかこんな体験が出来るなんて…」
「光学迷彩って、なんでこんな物が家の入り口にあるんですか?」
「それは後で教える。ほら、トンネルを抜けるぞ」
トンネルを抜けたキャンピングカーは一気に開けた場所に抜けた。そこには深海の家、もとい「深海の鎮守府」が広がっていた。車窓からはレンガ造りの工廠や倉庫、その奥には山、そして正面には海が広がっていた。
ゑゑゑゑゑゑゑー!!!!!!!!
アミオたちは揃いに揃って叫んだ。
しばらくして車は鎮守府本庁舎の前に停まった。深海はアミオたちを連れて車を降りた。
「到着だ」
「嘘でしょ…ここって軍事施設じゃ…」
「まさか深さんって、軍人っさ?」
「いや違うぞ」
「えぇ…」
「もう訳が分からん」
すると、本庁舎正面玄関が勢いよく開いた。そこから両手をバッと正面に広げた空母水鬼が飛び出してきた。
「深海ぃー!おかえ―――」
ふぉぉぁ!!
だが空母水鬼はまたしても深海の超高速ラリアットをくらって、今度は本庁舎玄関にある柱に叩きつけられたのだった。
「いい加減止めてくれないか、それ?」
「ごべんばざい……」
えぇ……
と、その場にいた全員が困惑の表情を浮かべた。だがアミオは、先程空母水鬼の放った言葉に違和感を覚えた。深海は空母水鬼を開放すると、アミオたちの方へ歩いていった。
「え?今あの人、深さんのこと「深海」って呼んだ?」
「すまないなお前ら。今うちの母さんが―――」
「深さん!」
アミオは聞かずにいられなかった。
「な、なんだアミオ…」
「深さんって本当は、あの「行方不明の英雄」の黒野深海さんなんですか!?」
「そうだが…それがどうかし―――」
あ…
深海は思わず自身の正体を明かしてしまったのだった。
続く