普通の生活をしていれば凡そ知るはずの無い単語を口にするアナスタシア。驚きのあまり、蘭子はアナスタシアに質問をする。
「ど、どうしてそれを...?もしかしてアーニャさんもネットの書き込みを見て?」
「いえ、聖杯戦争...それはアーニャが小さい頃、グランマから聞きました。願いを叶えるために戦う儀式だと。」
答えるアナスタシア。しかし疑問は尽きない。一般人ではこの事を知るはずがないのだ。それはつまり、アナスタシアがただの人間ではない事を表す。
「アーニャは、アイドルなる時、本名を隠しました。これは事務所のみんなに迷惑かけたくなかった、からです。アーニャは、本当の名前をアナスタシア・フォン・アインツベルン、いいます。昔、聖杯戦争を開催した家系の子孫です
。」
たどたどしい日本語で話すアナスタシア。しかし、蘭子達はアナスタシアが嘘をついているようには思えなかった。それは仲間意識があったからというのもあったが、それよりも2人はアナスタシアの真剣な目を見て信じたのだ。
「そうだったのか...。じゃあこの書き込みはアーニャ、君が書いたものなのかい?」
「いえ、それはアーニャではありません。アーニャの家、元は魔術師の家でも、今はもう普通の家です。魔力が残っていたり知識はあります。でも聖杯戦争する理由、ありません。」
否定するアナスタシア。アナスタシアは、自分は分家なので分からないが、もしかしたら本家の者が書いたものかもしれない、と2人に伝える。
そして飛鳥と蘭子の痣を見て、サーヴァントを召喚してしまった事に気づくのだった。
「2人ともサーヴァント召喚、してしまったのですね。今呼び出すこと、できますか?」
「うむ、よかろう。いでよ、セイバー!」
ポーズを決めながらセイバーを呼び出す蘭子。すると蘭子の側にセイバーが現れた。
「初めまして、レディアナスタシア。私はセイバーと申します。」
「よかった...召喚したのセイバー、ですね。」
「クラスによって何か違いがあるのかい?」
訪ねる飛鳥にアナスタシアは聖杯戦争に関する詳しい説明をし始める。
【数分後】
「なるほど...つまり、セイバーのサーヴァントは最優のサーヴァントと呼ばれていて、それを召喚できたボク達はラッキーだったのか。」
「どうやら、我らが瞳はとてつもない力を秘めていたようね。」
アナスタシアの説明に何とか理解を示す2人。セイバーは3人にお茶を入れていた。
「さて、今更ですがランコ、アスカ、聖杯戦争に参加しますか?」
唐突に告げられた一言に2人は一緒肩を震わす。アナスタシアは2人に、『最悪の場合殺し合いをする事ができるのか?』と聞いているのだった。マスターを殺さなくても聖杯に勝利する事はできるが、そのような事は稀である。2人はそれを、アナスタシアから聞いたばかりであった。
「もちろん、強制はしません。もし2人が、イヤならアーニャが2人に変わって聖杯、参加します。ただもし、2人が聖杯戦争に参加するなら...」
言葉を止め、考えるアナスタシア。数秒程考えたあと、驚く事を口にするのだった。
「アーニャが、ランコとアスカ、助けて、勝たせます。」
それはアナスタシアが聖杯戦争に参戦し、2人を助けるといった事であった。
「で、でもそれじゃあアーニャの願いは叶わないんだろう!?それでいいのかい!?」
驚く飛鳥に対し、蘭子も続ける。
「ア、アーニャさんにだって願い事はあるでしょ!?私たちを守るために願い事を捨てるなんて...。」
「優しいですね、2人とも。でも大丈夫です。アーニャの願い事、みんなが仲良くアイドルやる事、ですから。」
笑いながら答えるアナスタシア。それに対しセイバーは
「では、レディ、あなたは我々と同盟を組んでくださる、という事でよろしいのでしょうか?」と質問をする。
「はい。アーニャはこれから少し実家帰って、サーヴァントを召喚するための触媒を持ってきます。我が家の宝ですが、きっとパパ、許してくれます。」
「分かりました。ではその間の2人は私が命に変えても守りきります。」
セイバーとアナスタシアの間で話が進んでいく。その光景を2人は見守ることしか出来ないのであった。
【2日後】
空港のロビーに3人はいた。
「では、アーニャは今から実家に向かいます。3日後には、帰って来ます。その時に改めてサーヴァントと同盟を組みましょう。」
「ああ、わかったよ。道中、何があるか分からないから気をつけるんだよ。」
「アーニャよ、汝の旅の無事を祈っておるぞ。」
少しの会話を交わし、搭乗口に向かうアナスタシア。それを2人は静かに見送るのであった。
聖杯戦争に巻き込まれ、何も知らない2人とサーヴァントだけで戦うと覚悟を決めていた2人に、心強い味方ができたのであった。
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