大隊旗艦から離れて大体半日。ヘンチマンは降下予定地点まで順調に進んでいた。
「…なあ、アイツら、どう思う?」
「うーん、少なくとも普通の奴らではないとは思いますね。」
「…よし、ディラン、イーサン。MS隊に発進準備の指示を出してくれ。」
「はっ。」
「了解で〜す、っと。」
「ルーカス、発進準備だ。外の様子をモニターしておいてくれ。」
「了解。艦内放送しておくね。」
「ルーク。奴らから返事は返ってきたか?」
「いえ、先程から沈黙を保ったままです。」
「うーん…通信装置が壊れているのかもしれん。念のためモールス信号を試してみてくれ。」
「了解、試してみます。」
「…ねぇ、隊長。あの連中にあんまり近づくの、よくない気がするんだけど。」
「それは俺も分かってる。だが連中の正体が分からない以上、何のしようもないんだ。何より奴らがいる場所は降下予定地点だ。本部が迎えを出したのかもしれない。」
「…本部が迎えを?」
「…それが分からないから、さっきから接触しようとしてるんだ。さぁ、ミラ。格納庫に向かえ。」
「はぁ〜い。」
「隊長!返事が返ってきました!」
「何、まさかモールス信号で反応したのか?」
「なわけないですよ。無視されてました。…相手さんは我々がガンダムを持っているのか、と。」
「ガンダムの情報を把握している…か。俺が変わろう。」
「どうぞ。…どうするんです?」
「相手の出方を見る。流せるようなら流してみよう。あー、あー。こちらヘンチマン。聞こえるか?通信を代わってもらった。この隊の隊長だ。」
「聞こえる。質問の答えは。」
「…持っている。と、答えたらどうする。」
「我々に渡してもらう。本部から、回収するよう指示を受けた。」
「なるほど。ガンダムを。…だが、我々はこれを直接本部まで届けるよう指示を受けた。ガンダムは渡せないな。」
「渡せ。でなければ貴様らは本部への違反者だ。」
「渡せない。これは変わらない。」
「冗談はそこまでにしろ。これ以上我々の邪魔をするのなら我々は実力行使に出る。」
「…やはり、渡せない。」
「…それは非常に残念だ。」
「ああ。…スクランブルだ、MSを出せ!ルーク。戦闘体制だ。管制をしつつ全速力で逃げろ。俺は戦闘に出る。」
『了解!』
威勢のいい返事を背に受けながら格納庫に急ぐ。外ではもう戦闘が始まっているのだろう。爆発音が響いている。増員で新たに乗って来た非戦闘スタッフに艦橋を手伝うよう指示を出しながら、ガタガタと揺れる艦内を格納庫まで走り抜ける。すぐにガンダムに乗り込み、システムを起動して急発進。艦から離れる。と同時に、艦橋にバズーカ弾が直撃した。