黙示録の封印   作:kurono20

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手痛い反撃

「ッ!?ミラ!」

『…く!あたしは大丈夫!』

ミラは返事をすると、追撃しようとするリックディアスをバルカンで牽制しこちらへ戻ってくる。どうやら片腕を切り落とされたようだ。

『…やあ、仕留め損なったか。しかし、まあ。なんとかなりそうだな。』

好機と見たリックディアスとゲルググが近づく。庇うようにミラの前に立ち、応戦体制を取る。が。

「…」

しかし。どれほど守り切れるだろうか、と、脳裏に一瞬ヘンチマンの最後がよぎり、動きが止まる。目の前で臨戦態勢をとる二機を前に勝ち切る道筋が思い浮かばず、代わりに敗北の光景が思い浮かぶ。

『…ガンダムのパイロット、どうした?…降伏するなら仲間の命は助けるが。』

「…っ。」

『…レイルス!』

リックディアスに向け返事をしようと操作パネルに手を伸ばすと、ミラからの通信が遮る。

『ちょっと、隊長が諦めてどうするのよ!隊長が弱気じゃあ、隊員だって弱気になっちゃうわ!ヘンチマンの事が気になるのは分かる!だけど…』

「…!」

…そうだ。何をぼぅっとしていたのだろう。ここで、前に出て頑張れるのは俺だけなんだ。バシ、と腿を叩き、自分に喝を入れる。そうだ。ここで考えるべきは、ヘンチマンの事でも、負けることでもなく…

「…ミラ。」

『…』

「…ありがとう。」

『…ハ、多少は響いたみたいね。』

「すまない。…だが、おかげで目が覚めた。」

ビームサーベルを抜き放ち、ライフルをもう片方の手でつかむ。

「ミラ、バリュートを探してきてくれ。ヘンチマンには乗ってた。多分沈められたあたりにある筈だ。」

『了解、隊長。』

「ああ、あと、ミラ。」

『ん、何?』

「今度いい酒奢る。」

『…葉巻とかも、試してみたいな。』

「勿論。」

とりあえず今俺がするべきする事は、とにかく時間を稼ぐこと。そしてミラを逃がすことだ。

『…見捨てられでもしたか?仲間が離れて行くようだが。』

「…」

『…チッ。』

相変わらずの軽口を無視し、リックディアスに斬り込む。もう舌戦の機会はない事を悟ったのか、リックディアスが動き出す。正面から突撃し、ビームサーベルがぶつかり合う。こちらにペースを握られたままなのを嫌ったのか、一旦後退しようとしたリックディアスを捉えると、正面、右、フェイント、と休む間のない連撃を与える。Mk-2の反応の敏感さには慣れてきた。…これなら。

「…ッ!させない!」

ミラを追おうとしていたゲルググにライフルを撃ち込み、盾を融かす。2発目は避けられたが、こちらを先に狙う事にしてくれたようだ。反転し、ライフルを数発撃ってくる。しかし牽制のつもりか、こちらを掠めるような弾はなかった。お返しとばかりにこちらもライフルで応戦していると、リックディアスが横から切り掛かってくる。

「行儀が悪いな、横入りとは…!」

斬撃を横に逸らしながら軽口を飛ばす。奴の性格からすれば、すぐに何かしらの返しはしてくるはず。…だが、無言。無言でサーベルを振っている。…ふむ。これは集中力か、余裕がないか。分析しながら斬撃を受けつつ全力で後退し、リックディアスの勢いを殺す。なおも距離を詰めようと向かってくるリックディアスに、今度は逆に突撃し、コックピットを狙ってタックルする。かなり前のめりになっていたリックディアスの腹部は見事に凹み、AMBACさえとれずに吹き飛ばされる。とどめを刺そうとリックディアスに近づくと、ビー、とけたたましい警告音が鳴り出した。

「…ッ。やっぱり、そう簡単にはいかないよな。」

バチ、と閃光を走らせ、鍔迫り合いになる。ジジ、とビームサーベルが僅かにビームナギナタを焼き切り始めると、すぐさまビームサーベルを受け流し、逆の刃でMk-2を両断しようとナギナタを素早く降る。全力で前進することでそれをかわすと、そのまま進み距離をとる。旋回し、一度息を整えると、相対している紅い機体を睨む。様子を伺っているのか、攻めてくる気配はない。攻めてこないのも不気味だが、ありがたくもある。一度、冷静に状況を分析する。リックディアスは未だ動かない。だが、すぐにまた動き出すだろう。それまでに決着をつけなければ。ゲルググのほうも…まだ動く気配なしか。こちらが動くのを待っているのか…?それとも…

「…まさかッ!?」

理由に見当がつき、すぐに行動を開始しようと機体を動かしたが、もう遅かったようだ。ビー、ビーと何度も警報が鳴る。数は、6、8…まだ続く。…失敗だ。もっと早く気付くべきだった。…俺は、完全に包囲されている。

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