「ライリー。」
本隊からの連絡で月方面に向かい始めてから数日。依然として順調に進軍出来ており、このままいけば今日中には到着するだろう。
「隊長!どうしたんですか?」
「朝食中か。すまないな。」
「いえ、もう食べ終わりますので!」
とは言っているものの、皿にはまだ半分ほど残っている。やはり、戦闘が近い、と、気負っているようだ。
「しばらく先に、小規模のデブリ帯がある。小規模とはいえMSも隠れられる大きさのデブリが多くあり、危険だ。というわけで、先遣が必要だ。頼めるか?」
「む!先遣隊ですね!任せて下さい!」
取り敢えず本格的な戦闘前に適度に緊張させればライリーにも少しは余裕が出てくるだろう。
「食べ終わってからでいい。急いで詰めるとコックピットで吐くからな。」
「了解です、出来る限りゆっくり急ぎます!」
「…ああ、頼んだぞ。」
軽く指示を済ませて艦橋前方に戻る。基本的に俺やルーク、ルーカスが詰めている部分だ。
「隊長。ライリー、どうです?」
「多少気負っているが、心配するほどでは無い。戦闘中、強く気にかける必要はなさそうで安心した。」
「そうでしたか。…でも気をつけてくださいよ、女ってのはそういうのを表に出しにくいですし。」
「ふむ?であればライリーの世話でも任せようか?女の扱いに慣れているようだからな。」
「よして下さいよ、俺の場合はただ母さんがそういう人だったから、ってだけですから。」
「ハ、心配するな、冗談だ。…で、まだ本隊と連絡が取れないのか?」
「はい…多分前方のデブリ帯の何かがミノフスキー粒子を出しているみたいで…」
「撃沈した艦の発生装置がまだ生きていたか…?それとも…」
「可能性は低いと思うけど、出撃準備しておく?」
「そうだな。俺もここを空ける。頼んだぞ。」
「ええ、任せて下さい!」
軽く言葉を交わして、MS格納庫に向かう。
「エイダン、イーサン。トラブルだ。出撃準備してくれ。ライリーからの報告次第で出撃もする。」
「了解です。」
「なにがあったんです?」
「そこのデブリ帯からかなり強いミノフスキー粒子が出ていてな。念のためだ。」
「ふーむ。わかりました、了解です。」
エイダンとイーサンに他のMS隊に知らせてもらって、自分のジムIIIに乗り込む。乗り心地は可もなく不可もなく。訓練生時代に乗ったジムトレーナーとは比べるまでもないあたり、技術の進歩を感じる。
『隊長、先遣したライリーから通信が来ました。ミノフスキー粒子の原因と思われるものを発見したと。』
「了解。ハッチを開けてくれ。」
『ハッチオープン、ガイドビーコン起動中…宙域クリア。いつでも出れるよ、隊長。』
「よし、マイラ・レイルス、出る!」
続いてミラ、エイダンと部下達も出撃する。
『先導します。MS隊はついて来て下さい。』
「全機、ヘンチマンに追従。周辺警戒は維持しろ。」
『『了解』』
ヘンチマン号に追従してしばらく進むと、二隻、恐らく巡洋艦級がもつれるように大破していた。