黙示録の封印   作:kurono20

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輸送計画

『隊長!』

「ライリーか?」

『はい。…恐らく相打ちになり、放棄されたものかな、と。』

「…ふむ。これがミノフスキー粒子の原因か。」

『はい。…でも、異常ですよ、放棄されて随分経ってるはずなのに、ミノフスキー粒子がこんなに多いなんて。』

「分かっている。艦を調べるぞ。ルーカス、ノーマルスーツを着ろ。出番だぞ。」

『了解。あいつらの内部構造は大体分かる。任せてよ。』

ノーマルスーツを着たルーカスと共に、ジムIIIを係留して艦の中に入る。恐らく燃料タンクが爆発したのだろう、真っ二つになった艦体には、容易に入り込めた。ルーカスは暗い艦の中をまるで透視できるようにすいすい進み、ついに恐らく士官室と思われる箇所についた。

「この艦なら大体この部屋が艦長室になってると思うけど。…ぐ、ぬぬ…動かない…」

「む、扉が歪んでいるか。…ふんっ!」

壁を押して、扉を蹴破る。柔らかい素材を使っていたのだろう。扉は簡単に壊れた。

「おー、さすが。さ、急いで中を調べよう。僕は右側、隊長は左をお願い。」

「分かった。」

手早く作業に取り掛かる。資料を手に取り、表紙、パラパラと中身を見て、纏める。探すのは、この艦が大破する前に帯びていた使命。この強さのミノフスキークラフトを付ける理由を確認し、場合によっては対処する。ルーカスがある一冊を手に取り、呼んできた。

「どうした?」

「これ…」

そう言って渡された資料には、表紙に「極秘:H.M.G輸送計画」と書いてあり、さらには艦長や高官クラスのみが読むことができる旨が記載されていた。

「なんか、僕が読んで規則違反とかあったら嫌だから一応艦長なんだしこれ、代わりに読んで。」

「一応は余計だが、読もう。寄越してくれ。」

表紙から何枚かを捲る。恐らく概要のようなものだろうか、高起動試作機、や、ガンダム、といった単語が見受けられた。

「…ガンダム…か。」

「ん、ガンダム?」

「ああ、恐らく試作機のガンダムを輸送する計画のようだ。ハデス計画…冥府の神か。どういう意図の計画かは分からないが…少なくとも連邦主導の計画のようだ。」

「この艦にあるのかな?であれば何かしらした方がいいと思うけど…」

「分かってる。…ディラン、ディラン。聞こえるか?」

『こちらディラン。通信は良好とは行かないですが、聞こえます。どうしましたか?』

「この艦にガンダム型MSが搭載されていたらしい。イーサンと周辺を見て回ってくれないか?船外にあるかもしれない。」

『ガンダム…!?わかりました。周辺を捜索してきます。』

「ルーカス、俺たちは船内だ。MSを詰めるようなスペースはあるか?」

「ある。けど、多分こっち側、船首の方じゃなくて船尾の方だと思う。…でも、どうだろう…」

「他にありそうなところもないんだろ?ならさっさと移動しよう。…ところで、ガンダム型の整備って出来るか?」

「え?…触ったことはないけど…MSの基本形のままだったら多分いけるかな…?」

「だったら大丈夫だ。行くぞ。」

来た道を戻り、MSがある確率が高いと言っていた箇所へと向かう。

「この扉の先…が目的地だけど…」

「…鉄製か。まともに開けようとすれば骨が折れるぞ。」

「どうする?レーザーカッターか何かで溶かしてみる?」

「…そうだな。そうしよう。ただ、もう少し手っ取り早い方法だ。ミラ。応答しろ。」

『はーい、こちらミラ。何か用事?』

「ああ。これから指示するところにビームサーベルを突き立ててくれ。」

「え!?ちょっと待ってよ、ガンダムがどこにあるか分からないんだしもうちょっと…」

「離れてろ。ルーカス。ビーコン設置。どうだ、ミラ?」

『はいはーい。そこね。んじゃ、一気に行くわよ?』

「ああ。ルーカス、危ないぞ。もっと離れてろ。」

「あーもう、大丈夫かなぁ…?」

パシュ、という軽い音と共に高濃度のエネルギーが一点に集中する。一瞬の噴射ではあったが、MSも簡単に切り裂くサーベル。ゼロ距離からのエネルギー噴射には船体も耐えられず、ビーコンが置かれていた部分から円形に融解した。

「うわぁ…こわぁ…」

『どう?いい感じ?』

「ああ。よくやった。周辺警戒に…!?」

『爆発音!?光も確認したわ。ディランとイーサンよ。加勢に行くわね!』

「頼む!俺もジムに戻る!ルーカス、敵はガンダムを取りに来たのかもしれない!念のためあるか確認しておいてくれ!」

「え、わ、分かった!敵は任せたよ!」

ルーカスと分かれて、ミラが開けた穴から外に出る。想像よりも敵が近い…!向こうも近づくまで気が付かなかったのか…?

「もう少し…!?」

ジムまで後もう少しというところで自分のジムの目の前に一つ目がいることに気づいた。

「あれは…リゲルグか?いや、まさかゲルググ!?」

見慣れない旧型。そして、自分のMSがもう使いものにならなくなる状況に少しの間混乱する。そうこうしている間にゲルググがビームナギナタをジムIIIに突き立て、胴体から真っ二つにする。

「…ッぐ!何をしてるんだ、俺は!クソッ!」

ビームナギナタの熱風と機体の爆発を船体に隠れてやり過ごしながら情けない自分に悪態を吐く。MSを失った時点でもう自分に出来る事はほぼ無くなった。ヘンチマンに戻ってを指揮を取ろうかとも思ったが、ヘンチマンは離れた場所に隠れている。敵がこんなに近い中呼び出してもやられるだけだと判断し、ルーカスの方に戻ることにした。

「ルーカス。不甲斐ない話だが、ジムがやられた。ヘンチマンにも戻れない。そっちに戻ろうと思うんだがどうだ?」

『隊長!機体が無くなったってことだったらいい報告を渡せるよ…機体、あったよ!』

「あったって、まさか…。」

『そのまさかだよ!本当にあったよ、ガンダム!』

「分かった。すぐそちらに行く。」

ガンダムが見つかった。それについては良い報告と思っていいのだろうが、それはこの状況を打破してからだ。果たして、そもそも起動するか、起動したところでなんとかなるのか。不安は当分収まらなそうだ。

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