「隊長!ルーカスも!」
「ルーク。ご苦労だったな。」
「いえ、そんな。俺はただやるべきことをした、それだけです。」
「僕、MSの整備はできるけど、操縦は絶対できないと思う…。」
「ルーカスも、無事そうだな。よかった。…あ、お二人とも、コーヒーです。少し休んでいて下さい。」
「ありがとう、ルーク。」
「僕は、ガンダムを少し看ながら飲む。確か、脚部に被弾してたし、少し心配なんだ。」
ルーク、ルーカスから少し離れた場所に座って、コーヒーを飲む。苦味は強いが、落ち着く味だ。改めてガンダムを見る。見た目はまさに、黒いガンダム。黒いガンダムの話は聞いたことがある。たしか、ティターンズの試作機。マーク2だ。数機しか製造されなかったと聞いたが、これもその中の一つなのだろうか?たしか、3機をエゥーゴが盗んで白く塗ったとか…。これも、塗り直した方がいいのだろうか?そんな、他愛もないことを考えていると、ルークに呼ばれた。
「どうした。ルーク?」
「脚部の損傷は軽微、心配はいらないそうです。それと、少し調べてみたのですが、この機体、融合炉が通常の規格より大きくなっているので、かなり無理をした運用も可能そうです。」
「かなりの高機動だと思ったが、まだ性能が上がるのか。」
「普段はリミッターがついているみたいですが。実際、フルで性能を出すと二、三分で機体に損傷が発生し始めて、十分もすると大破すると思います。排熱も追いつかないと思いますし、リミッターはつけておいた方がいいかと。」
「なるほど…かなり機体と不釣り合いだな。」
「一時的だとしても数倍の高機動で動けるのはかなり強いんですけどね…。」
「リミッターの解除はどうやるんだ?」
「うーん、システムとしてリミッターを確認できただけなので、解除方法とかはまだ…」
「ふむ…任意に解除できるなら使い道があると思ったんだが…」
「まぁ、機体性能は申し分ないですし、無くて困ることは無いと思いますよ。」
「確かに、そうだな。そういえば、ハイパーバズーカって余ってるか?」
「隊長用のが丁度。手入れも出来てますし、いつでも使えますよ。」
「よし。なら使おう。出せるか?」
「出撃準備は出来ています。」
「ならすぐ出る。バズーカを持ってきてくれ。」
「了解。」
コックピットに入り、ハッチを閉める。ジムIIIと乗り心地が違う違和感はあるが、不安は感じない。さっきとは違って、味方がいるからか、それとも、なにか別の要因か…どっちにしろ、迷いがないのはいい事だ。
『隊長。バズーカ準備出来ました。出撃してください。』
壁から伸びているアームからバズーカを受け取り、そのまま宇宙に身を投げ出す。遠くからいくつかの爆発音と光が届く。
「あいつらは向こうだな…行くぞ。」
デブリを避けながら前線へ向かう。戦況は、遠くから見る限りこちらが優勢なようだ。
「エイダン!よく戻ってきてくれた!」
『こちらこそ、よくご無事で!』
後方からベストタイミングの援護射撃をし続けているエイダンに声を掛ける。戦場にいる高揚感からか、テンションは普段より数段増しだ。
『隊長はミラの方を手伝ってやってほしいです。背中は任せてください。』
「了解、任せた。」
ジムIIIの3番機、ミラの方へ向かう。デブリが多い地帯で、ミラは見事に3対1を捌いでいた。
「ミラ、よく捌き切った。反撃に出るぞ。」
『ありがとう、下手に攻勢にも出づらかったし、助かるわ。』
「斬り込む。支援してくれ。」
艦の残骸を利用し、身を隠しながら敵機に肉薄する。残骸から飛び出し、敵機と交錯する。抜き払い際にガザDの腕を切り落としたビームサーベルを手放す。大の字になるようにしてバランスを取り、まだ後ろも向けていないガザDにバズーカで最後の一撃を喰らわす。バズーカの反動で回転しながらビームサーベルを取り、そのまま弧を描くように上昇する。敵2機からの射撃が飛んでくるが、ガラ空きの背中にミラがビームを当て、撃破する。
「最後!」
挟まれる形となった最後のガゾウムをビームライフルで撃ち抜き、バズーカで四散させた。
『よくそんな当てるわよね、バズーカ。』
「当然だ。多少クセはあるが、本質はビームとそう変わらん。」
『まあ、そうだけど…』
「それよりも、こっちは片付いた。向こうの援護に行くぞ。」
『了解、了解。』
反転してライリー達の方に向かう。ライリー達は、隊列を組んで1機ずつ撃破していた。あと2、3機で殲滅を終えれそうだ。
『あそこね。行きましょう。』
「ああ。…いや、他にする事が出来た。ここはあいつらに任せるぞ。」
『え?することって…』
何処にいたのか、燕のエンブレムが付いたゲルググが5機ほどを引き連れてこちらに急接近して来ていた。
『うっそ、アレ、ゲルググ?どこからそんな骨董品持ち出してきたのよ。』
「油断するなよ、アレは普通のゲルググとは少し違うみたいだ。隊長機か、エース仕様なんだろう。取り巻きも手強い筈だ。…エイダン。手伝ってくれ。新手だ。」
『了解。こちらからも確認しました。援護します。』
エイダンの乗るネモのキャノン砲を開戦の合図に、バズーカとビームが飛び交う。1射目、どちらも成果なし。すぐさまもう1射。数度繰り返したが、お互いに射撃の成果はないまま戦闘は接近戦へと移行した。