黙示録の封印   作:kurono20

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奇縁

「ん、ミラ。よう。」

「あら、隊長。こんなところに、なんの用?」

「なに、大隊の整備隊の仕事っぷりを観察しようかとな。」

ゲルググの部隊を撃退した後、この部隊は本隊との合流に成功。戦闘報告後、数人の部隊でのエース部隊撃退の功績として隊員数名の昇格、さらに隊の増員が行われた。報告の一つとして発見したガンダムを見せ、発見した状況、状態と指令書の内容を報告した。現在元の所属、輸送目的などを調査中らしい。テリオン隊は損傷した機体の整備などを受けるため、大隊旗艦で休暇中だ。

「そういうミラは何を?」

「直撃こそなかったけど、ちょこちょこ被弾してたから。どうなってるかと思ったんだけど…」

手すりから覗いてみると、綺麗にバラされたジムIIIが並べられていた。

「今はイーサンのやついじってるみたい。」

横から同じように覗き込むミラがメカニックが群がってる方を指差して言う。そのようだな、と相槌をうち、整備スペースを軽く見渡すと、目的の物がここにない事に気づいた。

「ふむ。…ガンダムはどこだ?」

「私が来た時からいなかったわよ。別の区画じゃない?」

「そうか…なら無駄足だったかもだな。」

「ガンダムを見にきたの?」

「ああ。」

「…隊長ってああいう機体、苦手じゃなかったかしら?乗ってみたら案外良かったとか?」

「そういうんじゃない。…ただ、少し気になるところがあってな。」

「ふぅん。…ま、そうってことにしといてあげるわ。」

「そういうことにしとくってお前なぁ…」

「…ん、なんか来たわよ。」

話を逸らしたな、と思いながらミラが見ている方を見る。どうやら別隊のジムIIIのようだ。遠目で見る限りビームを幾つか掠らせたみたいだが…もう戦闘が始まっているのか。

「この感じだと私達も修理が終わり次第出撃かしらねぇ?」

「そうだろうな。まだ先遣隊が敵とぶつかった程度だろうが、これからその小競り合いも本格化してくるだろう。」

「はぁー。久しぶりの休みだと思ったんだけどなぁ。」

「ふむ。…せっかくの月面上空だ。この任務が終わったらグラナダでバカンス出来るか掛け合ってみるか。」

「え!本当?やった。じゃあこんな任務さっさと終わらせよ!」

「ああ、さっさと終わらせよう。…それとミラ。」

「ん?何よ。」

「ここは禁煙だ。」

「ええっ!」

未遂だったミラは見逃す事にして整備格納庫を後にする。行き先は勿論ガンダムの元。整備区画にいないとなると…格納庫か、別の艦、か。

「レイルス中尉!」

「…お?ああ、どうした?…そうか、俺も昇格したんだったな。」

「はい!大隊長から中尉に新しい作戦指令、だそうです。」

「思ったより早かったな。前線か?」

「いえ、実は…」

 

「…はあ?なんだそれ?」

「本部からの要請です。貴隊が適任だ、と大隊長が。」

「そりゃまた勝手な…」

「…ん?隊長じゃない。まだここにいたの?」

「ん、ミラか。どうやら新しい作戦指令らしいぞ。」

「あら?整備はまだみたいだったけれど。」

「いくつかMSは補充されるらしいし、そうかからないんじゃないか?」

「本当?新型かしら。」

「そこは分からんが…それより問題は、作戦内容だ。」

「ん?前線ならいつでも行けるわよ?まさか後方任務とか?」

「いや…」

軽く聞いただけの自分よりまた説明してもらった方が確実と思いチラッと伝言役を見る。意図を察してくれた様で、頷いてそれについては私の方から、と説明を引き継いでくれた。

「えと、今回の作戦では貴隊に地上に降りてもらいます。…とは言っても地上の地球連邦軍本部に行くだけですが。」

「え、地上?行くの?」

「ええ。輸送して欲しいものがありまして。その任務には貴隊が適任だと、大隊長が。」

「お留守番ってありかしら?地上は私、パスしたいの。」

「うーん…ああ、でもヘンチマン号は置いていかなきゃですので…そこに合流という形なら出来なくもないですね。」

「んー…確かに面倒だが…どうせなら来てもらいたいんだが。そんな嫌か?地上。」

「うん。なんか動きづらいのよね。地上って。」

「そりゃそうだがな?」

「それに雨とか降るじゃない。水が降ってくるって、なんか気持ち悪くて。…本部の連中もなんか気に食わないし。」

「それが本音だな。…まあ、そう大人数必要なものでもないしな。数人で充分だろうし、ミラはこっちで待っててくれ。」

「ありがとう。…他の人たちにはもう言ったの?」

「今聞いたばかりでな、まだだ。」

「じゃあ私はヘンチマンに戻るわ。何人かはいるでしょうし。話しておいてあげる。」

「助かる。なら俺はこっちを見て回ってこよう。そっちは頼んだ。」

「はいはーい。…随分急ぐわねぇ。…あ、そうだ。君。」

「はい!どうされました?ケリオス曹長。」

「いやね、輸送するとか言ってたけど、何を運ぶのかな、って。」

「ああ、ケリオス曹長も見たと思いますが…ガンダムです。」

「え、ガンダムって、あの?」

「はい。今は第二格納庫に格納されていますよ。…見に行かれますか?」

「うーん…いいかな。ヘンチマンにも行かないとだし。」

「そうですか、了解しました。」

 

「…にしてもやっぱ広いな、ここ。」

小隊員を探し歩きながら独りごちる。言葉が返ってくることを期待しての言葉ではなかったのだが、すぐに後ろから返事が返ってきた。

「やっぱり旗艦ですから、豪華なんでしょうね。」

「ん?君は…」

「おはようございます、レイルス中尉。明日付けでテリオン隊に着任する、セキグチです。」

「ああ、ケンヤ セキグチ一等兵、だったか。もうこの艦に着いていたんだな。話は聞いている、歓迎するよ。」

「ありがとうございます!」

「勤務は明日からなんだろ?今日くらいはしっかり羽を伸ばしとけよ。」

「了解しました!」

「…そうだ、これは一応今日伝えておこう。」

「はい、なんですか?」

「もしかしたら明日すぐからでも動くかもしれない。心の準備はしておいてくれ。」

「…はい!」

じゃあ、と言ってセキグチと別れる。…確か、MSパイロット。新しく補充される奴に乗る予定だな。パイロットとしてはそこそこ。地上勤務が長かったようだが、その腕がどこまで宇宙で通じるかって所か。

「あ、隊長。」

「ん、イーサンか。ディランは?」

「ライリーのシュミレーター訓練に付き合ってます。…あ、隊長、僕のシュミレーター訓練付き合ってくださいよ。一人だと暇なんですよ〜。」

「なら朗報だ、これから忙しくなるぞ。今度は地上、連邦本部に行く。」

「ええ…?何かやらかしましたっけ僕。」

「心配するな、普通の任務だ。MSの整備が終わり次第出る予定だから、一応準備をしておいてくれ。」

「ふーむ…まあ、了解で〜す。」

「ディラン達はこっちのシュミレーター室に?」

「そうですそうです。あ、なら僕が伝えておきますよ。差し入れでも持っていくついでに。」

「そうか?なら頼む。」

「は〜い。」

残りの三人はヘンチマンにいたようで、ミラから連絡があった。何か食べてくれば、とのことだったのでディラン達を誘って食堂で談話してからヘンチマンに戻ることにした。

 

「…はい、こちらは順調です。そちらの経過は?」

「とりあえず整備を受けている。…例の、ガンダムは?」

「地上に輸送する事になりました。輸送中を逃したら奪取は難しいかと。」

「分かった。そこに合わせて襲撃させよう。」

「…しかし、隊長。やつら、信じていいんですかね?」

「…少なくとも、我々はまだ生きている。支援してくれているのも本当だし、今は信じるしかないな。」

「…ご武運を。」

「ああ、ありがとう。」

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