「結果は見えています」と、ステータス見える系外面闇深内面限界オタクウマ娘トレーナーは言った。 作:親の顔より見たウマ娘
こんなのオタクみんな好きじゃん。
「ううん……違いますね」
トレーニングコースを走るウマ娘ちゃん達を眺めながら、独り言ちる。
彼女らの走る姿こそ、この世の何より尊ぶべきモノ。私のような愚物が彼女たちに違和を見出すのはおかしな話だ。
しかし、どうにもピンと来る子がいない。
勿論、ウマ娘ちゃんはウマ娘ちゃんで在るというだけで問答無用に尊いし推せる。実力の話をするなら、この中央トレセン学園に入学できているというだけで言うまでもない。
中でも突出した子の
神理事長や聖たづなさんから早く担当を見つけろと言われている手前、というかそもそもこんな私に選り好みなどできるはずもないのだが、それでもウマ娘ちゃんのとっても大事なトゥインクルシリーズを預かるこの身。
中途半端に担当を選びたくないというのも事実であり……。
「困りましたね……」
いや、分かる。分かるのだ。
このトレセン学園は、万年トレーナー枯渇状態。
ウマ娘ちゃん2000人に対して、トレーナーの数は100人程度。
一人のウマ娘ちゃんを見る期間は最低でも三年から四年。契約を結んだ時期によっては五、六年なんてザラにある。
そして、当たり前の話だが一人のトレーナーが一度に見られるウマ娘ちゃんの数には限度がある。ベテランと呼ばれるようなトレーナーでも例外は無い。
しかも、基本的にトレーナー業はハードだ。
ウマ娘ちゃんを第一に考えるのがトレーナーなのだから当然だが、そうなるとトレーナー自身の時間は必然的に限りなくゼロになる。私はそれで構わないし大半のトレーナーもきっとそうだろうが、それはそれとしてやはり体力的にも精神的にもキツいものがあるだろう。
だから、ウマ娘ちゃんの数に対してただでさえ少ないトレーナーは、その実情ゆえに絶望してこのトレセン学園を去って行くし、トレーナーを得られず活躍できなかったウマ娘ちゃんもまた失意を胸に中央を去って行く。悪循環だ。
それでも夢を見て、ターフを、ダートを駆けるウマ娘ちゃんがいる。それを叶えてやりたいトレーナーもまた然り。このトレセン学園にはそれを最大限サポートする体制が整っている。
なんだここは。ウマ娘ちゃん天国か。何もかもがウマ娘ちゃんのためだけにあるではないか。私はいつ召されたんだろう。理事長ありがとうございます、足舐めます、いえ、舐めさせてください。ふへへへ。
……まあつまり、私のような新人でもトレセン学園側からすれば遊ばせている余裕は無いわけで。
それに私は少々特殊。世にも珍しい
普通の人間とウマ娘ちゃんとの間には人バ一体の絆が生まれるらしいが、ウマ娘ちゃんとウマ娘トレーナーとの間にその絆が生まれるか否かはまず母数が少な過ぎるのもあって不明瞭。ウマ娘としての名前を捨てて、只人として紆余曲折ありトレーナーになった私ではあるが、それでもトレーナーとして上手く行くかは分からない。
本来なら、私はなりふり構わずにスカウトして何が何でも契約を得なければならない立ち位置なのだ。
なのだが……。
「はぁ……」
担当が、決められない……!
というか、ウマ娘ちゃんに近付けないんだ!
恐れ多くも同じ種族。この身が憎い。どういうわけだか知らないが、ウマ娘ちゃん達に近寄ると気が付けばウマ娘ちゃんが展開する尊い空間、てえてえフィールドに馴染んでしまう……罪深い。
私のことは許し難いけど、やっぱりウマ娘ちゃんは存在が聖なので、私は疑問を抱く間もなく浄化されてしまう。死ぬ。意識が飛んだら私の死体が転がってたなんてことはしょっちゅう。だから仕方ないね。うん。いや、仕方なくないよ、何を正当化しようとしているんだ。
内心頭を抱えつつ、私はウマ娘ちゃん達の汗と努力と友情を目に焼き付けるのであった。
「……ふふ」
やば、かわえ……。ふへへ、もっとイチャイチャしてください。して。お給料全部払うからっ! トレーナーは高給取りだよ!
余生は年金を全額払ってでも、トレーニング終わりのウマ娘ちゃんの足裏を全身で掃除する仕事などをして過ごしたいですね。
□
そして訪れた選抜レースの日。
私は、運命と出会った。
『鎧袖一触! 万邦無比! これぞ、シンボリルドルフの走りだぁーっ!』
ひょえーッ、消えるー!?