仮面ライダーVirtual   作:mikan-neko

1 / 10
仮面ライダーVirtual 1話

 それは、ありふれたVtuber達の個性を身に着けたライバー達の闘いであり

 Vライバーの頂点を決める大戦である――

 

 そんな最中、ある時一人の青年「蜜柑猫」は、箱推し専用ドライバー「MIX」を手にした謎の男を追い求めていくうちに、彼は気づかぬままこのVライダー大戦に巻き込まれてしまったのだった――

 そして、その末ある出来事をきっかけに個人勢専用ドライバー「fast」を手に入れた蜜柑猫はこの、V界の頂点に立つための戦いへと身を投じるのだった。

 

 それは今は無き(引退)人々を追いかけるための戦いである――

 

※※※※※

 

 時は遡り、2016年――その存在と概念は爆発的な知名度と人気を確立させた。

 

 その名も『Virtual Youtuber』

 

 そして、その言葉を放ったのは「キズナアイ」という一人の存在で――まるでそれが泉に放った投石の如く、瞬く間に波紋が広がり。

 キズナアイ、電脳少女シロ、ミライアカリ、のじゃろり、輝夜月と次々と頭角を現し、その巨大なる存在は、後にネットユーザーから「バーチャルユーチューバー四天王」として一つの時代を築き上げたのだった――

 

 そして歴史は変動を繰り返し、時は少し経過して2018年、とある革命が電撃として世間を震撼させた――

 そう、手軽にVになれるシステムが登場したのだった。

 その結果、世の中にVが溢れ、もはやその存在、概念への期待感や未知は薄まり、代わりに台頭してきたのは現実との融合であった……そして、Vtuberという概念が偏差してゆく中――何やら、裏側での動きに異変が起こるようになったのだった。

 しかし、何が起こってるのか誰も分からない、誰も知ることなどない。

 

“表側”にいる人間には決して明かされることのない事実。

 

 それは、電脳空間で行われる仮想世界での大戦。

 

 誰が始めたのかはわからない。

 しかし、その紛れもない蹴落とし合いは事実だった。

 もはや溢れかえってインフレするその界隈では起きざるを得なかったのかもしれない。

 

 Vtuber界の頂点へと君臨するための大戦。

 

 名前などない。

 名前など、後に残ったものが囃し立てて作るものだからだ――

 

※※※※※

 

 そんな事実を知らずに、今日も今日とて堕落に過ごしている一人の男がいた。

 

「あれ?この人やめるの!?」

 

 彼は、デスクの上で光るモニター越しで、あまりの衝撃に声を漏らすのだった。けれども仕方がない。それは、淡々とTwitterに綴られた、引退宣言だったのだから――

 

「まじか……」

 

 などと落胆するが、もう何度と経験すれば慣れるものだ。推しの引退もとい卒業……。それは、Vtuberだけには留まらず、何かで活動していれば必ず来るものだ。

 仕方がない……。しかし、最近増えた気がする。

 昔から配信を一度二度しただけで引退する人は何人か居た……昔のやらかしが表に出回ってしまったというものがほとんどだが、しかし最近は結構な頻度で引退する人を見かける……。

 やりたいことができただとか、一身上の理由だとかそういうあやふやな物から、炎上騒動が理由な物まで、色々な理由で何人ものVが引退しているのだ。

 主に個人勢で……。

 まあ仕方がないことではあるのだろう。そもそも、個人勢だと中々人を集めるのは難しいと聞く……。きっと彼女もそういった理由なのだろう。

 

 そんな思いを抱きながら、ネットの掲示板を眺めていると、気になる記事を見かけた……。

 

「転生……?転生か……よく見つけられるよな」

 

 そのスレタイに嘲笑交じりにも関心な声を上げるのだった。

 まあ独り言ではあるけれども……。面白そうだなあなんて見ているのは、自分の知らないVの転生した先が、どうやら大手のにじさんじという件らしかった。それで、彼の掲示板には予想通り賛否両論で溢れていた。

 個人的にどうでもよい話題ではあるものの、ふと思うのだった。「もしかしたら、あの引退した彼女も、どこかで転生しているのでは」などと思い至っては色々なところに行っては探す日々……。

 だが、どこに行っても彼女と思わしき情報は無く力が抜けた声で呟いた。

 

「やっぱり本当に卒業しちゃうのかあ」

 

 その次の瞬間だった。

 メールの着信音が響く――いつもながらどっかのメルマガかと目にしたが、件名は英語……。珍しく思いメールを開くと、見知らぬURLだけが貼られていた。

 誰かからのいたずらか? だとしたら、どこに漏れたんだ? というか、このアドレスは今までほとんど使ってこなかったやつだぞ? しかもなんだ――「vtってどこの国だ?grってなんだ……?」などと、URLを見ると少し不可解過ぎて、怖くなってきた……因みに、件名を和訳すると「真実を教えよう(Teach tha truth)」これはもしやフリーメイソン的なアレか? まさか招待されちゃった? などとうきうきするもすぐに正気に戻るや否や「馬鹿馬鹿しい」と嘲笑って、迷惑メールフォルダに振り分けるのだった――が、しかしその瞬間、着信音が鳴って、驚きのあまりに、声を上げた――しかも、こんな夜中にだ。

 

 もしかして、心霊的な何かか!? 

 

電話を取るべきか、切るべきか――それ以前に怖すぎて手が動かなかったし、声も出なかった……。意を決して通話を切ろうとボタンに手を差し伸べようとしたその次の瞬間「やあ」と何故か、何も操作していないのに勝手につながった。

想定外の事態にただただ、力の抜けたままその声に耳を傾ける。

 

「えっと……聞こえてるかなあ?」

「――」

「うん、まあいいや、早速本題に移るけどこの前引退した子の事なんだけど」

 

 ちょっと何言っているのかわからない。

 なんだ、急にいきなりどうしたんだと、心の中で蜜柑はジッとその電話を見つめる。

 

「君にだけ特別に、本当の事を教えてあげるよ、じゃあねえ」

 

 特別に……特別ってなんだ? どういうことだ? 一体何だったのか――彼はわからなかった。いきなりの事過ぎて、どうしていいのかがわからなかった……。

だが新手のウィルスとかそんなものじゃなかった。もっと大きな何かで、しかもずっともっと大きなものだった。

 

 ここで引き下がった方がよかった。

 むしろ引き下がらなきゃダメだった。

 しかし、好奇心には負けられなかった――

 

 恐る恐る……生唾を飲み込みながら、その意味不明なURLをクリックした……すると、見たことのないブラウザが画面を覆い隠して真っ白になる――ヤバイッ!! そう本能的な恐怖にパソコンの電源ボタンを押す――しかし、何の不具合かPCの電源はついたままで――気づけば知らぬ間によくわからない.Exeファイルがダウンロードされていて――明らかにヤバイ……故に、もう迷うという思考、感情はその焦燥によってかき消され、無我夢中になってケーブルの中を搔き分けでケーブルを抜く――どうだ!!

 

『Now Loading…』

 

 と、画面真ん中――中心に何かをローディングしていた……。

 何が起こるのかは、わからない。

 何が動力で動いてるのかもわからない。

 もう何もすることはできない。

 

 だから、呆然とその画面を見るしか無くて――

 

 次の瞬間、目の前が真っ白に染まるのだ。

 

 一体何が起こったんだ? 気を……失ったのか? 痛い……頭が……打ったのか? 何が――

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。