狩人になった私の話。   作:ぽんぱたあすか

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37.第二回雪辱戦

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 さて。

 「ご主人、準備できましたニャ!」

 「ニャー」

 装備良し、アイテム良し、さっきは忘れた温泉良し。一つ一つチェックして、うむ、と大きく頷いた。

 「死相が」

 「でてない」

 ぼそりと呟くネコの手が、頭に向けて降り下ろされた拳をガッチリとガードする。さすがガード特化のネコだぜ。

 

 新メンバーを紹介するぜ!勇敢のニーア!以上だ!

 終焉3兄弟への誘いをぶーたれぶーたれ拒否したナタリーの代わりにと雇ったのだが、個性が強いのまで代替しなくても良いんだよ。

 単語しか喋れない淡々としたナイスガイである。ナタリーを正反対にしたように余計な口はきかないが、言うことが率直に辛辣すぎて心が痛いのが難点。

 そういえばうちの子、オスばっかりだなあ。そろそろ女の子が欲しい。一緒にアハハウフフしたい。

 

 「ニャー」

 単語以上の言葉を必要とすると、勝手に自分言語で省略するのも難点。わかんねえよ。私は人間だよ。

 「作戦はあるですかニャ?とのことですニャ」

 通訳ありがとう。

 あるよ。前々から使ってた戦法だけど、漫画読んでてネーミングが決定した。

 その名も。

 「動く盾大作戦ッ!」

 「鬼」

 「人間だよ」

 なあに、リュウ。そのイビルジョーとかティガレックスとかナルガクルガに武器を持たず特攻しろって言われたみたいな目。武器は勿論あげるとも。

 「ほうら、ガンキンSネコ鉄塊だよ。握り締めておいで」

 「防御力UPでなんたる動く盾。拒否して良かったニャー」

 「ニャー」

 「が、がんばります、ニャ!」

 ううん、リュウは本当に良い子だな。ニーアもひたすら無表情で反抗するわけじゃないし。バカ(ナタリー)は畑の栄養分になってろ。ミミズにまみれてギャーギャー言ってると私の心が程々に癒されて一石二鳥。

 

 「さて、行くかー」

 と、意気込んで装備を調えてきたのが良かったらしい。イビルジョーはあっさり撃破できた。だが1乙。

 でも制限時間の半分以上残ってるし、あとはゆっくりやれば余裕だよね。

 「ちょっとトイレ行ってくるわ。先に突撃してきても良いよ」

 「緊張感」

 「下半身が緊張してきたんだよ。R18になったら私たちの冒険がここで終了だろうが」

 「お気を付けて行ってきて下さいニャ」

 数分ロスして、しかし余裕を持って矢をつがえる。先に滅するは当然ひ弱っ子のナルガクルガだ。ティガちゃんはナルガ挟んで対峙しとけば、攻撃の大半がナルガに引っかかるので非常に避けやすい。

 うっかり矢を取り落として更に1乙。……まあ、多分大丈夫だよね。

 やや曇った心中は爆破してポイしておくことにした。チキン殺法に磨きがかかる。ビバ、人類の英知の結晶モドリ玉!

 ──というのが間違いだったんだと思う。

 「ご主人、あと1分でタイムアップですニャー!」

 な、なんだってー!

 おいおい待てよ、ナルガたんを削り落として、ティガも怒りまくり転びまくりであとちょっとなんだ。もう少し延長してくれても良いだろうハンターギルド。

 しかしギルドの無情さはキリン装備制作風景からもわかる通りである。泣いても血尿を流しても決定が覆ることは絶対にない。

 最早こうなれば!

 怒りの暴れん坊に引っかけられた体のまま、回復薬を飲むことも諦めてキャンプを飛び出した。

 懐から取り出しましたるはシビレ罠。捕獲ができれば万々歳!

 相手がやたら遠くにいることを確かめて、チャッチャと設置を──しようと。

 「ニャー」

 あれ。

 「ご主人、あぶニャーい!」

 引っかかった。見えない何かに。何か、え、あれ、立てない。

 人は慌てているときこそ失敗をするものである。私は思い知った。今ここで誓おう。今後、一切の動揺を捨て去ることを。

 だから、ちょっと止まってくれないか、ティガレックスさん。

 「アッ──!」

 轢き殺されて吹っ飛ぶ私を更に尻尾でレシーブ。地面に落ちた私を更に足蹴にしてカンフーサッカー。もう止めて!私のライフは0よ!

 酷いオーバーキルである。

 「神は言っている……ここで死ぬ運命ではニャいと……」

 やかましいこの動く盾。一発で土に帰りやがってからに。あとお前1単語以上繋げられるんじゃねえかこのペーパー製盾。

 あいるびーばっく。明日を覚えてやがれ。

 

 

 

 

 

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38.そして伝説へ

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 というわけで、だ。

 「勝った!第1部完!」

 「という夢を見たんだニャ」

 夢じゃねえよ。ちゃんと勝ったんだよ。何でナタリーがいるんだよ。

 「心配してこっそり陰で見守ってたご主人想いのネコに、なんたる言いぐさだニャ」

 「ほう。こんがり肉片手に一杯やってたネコが心配とかほざくか」

 「ぎくり」

 

 そんなこんなで、やっとのこと村クエの制覇が完了した。実際の討伐風景は、特に起伏なく終了したので言わない。

 ほんとに何にもなかった。奇跡のような神回避も、息を呑むような超絶プレイも。ほんと何も。ただただ儀式のように粛々と、仏のような凪いだ心持ちで弓をつがえていたら、普通に終わったのである。

 どういうことなの。もうちょっとこう、人に語るような熱い展開があってもいいじゃんね。

 村長さんも、まあ凄い、とかいう普通の感想で終わらせてくれちまったよ。さすが、さすがハンターさんですわ……!みたいな涙なしでは語れない展開を望んでいた!私は!

 とはいえ。

 「お疲れさんでしたー(※ナタリー以外)」

 「お疲れさまですニャー(※ナタリー以外)」

 「ニャ(※)」

 「おいおい、これは何ていう種類のイジメですかにゃ?」

 純然たる事実だ。お前のどこに疲れるような要素があった。

 かんぱーい!と杯を呷る。ニコニコが止まらない。

 そこかしこから血が滲んで温泉が浸食されているようだが、そんなもん知ったことではない。

 なあに、鉄分の追加だ。何も問題はない。

 「うへへへ、今の私に勝てぬものなどない!ネコちゃんもういっぱーい!」

 「でろんでろんすぎて多分ファンゴにも勝てないと思うけどニャあー」

 そうだ、とバカが鳴く。

 今の私は気分が良い。発言を許可する。

 「良いクエストあるニャ。行ってくると良いニャ」

 「どんとこい!」

 ざばーっと湯をかき分けて上がると、足がもつれてすっ転んだ。湯当たりかな?

 「どう考えても酔いですニャ」

 まあ良い。足下がおぼつかない程度でどうこうなる私ではない。

 手渡されたクエスト要項をろくすっぽ確認もせず、よたよたと着替える。バキとか何とか書いてあったと思う。新種のモンスターかな。かな。

 私は行こうではないか!私を待つクエストがある限り!次を!その次のクエストを私は求め続けよう!

 「じゃあいってくる!」

 「行ってらっしゃいニャー」

 「南無」

 ニーア何それ。新手のお見送りの挨拶?何だか微妙に不安を呼び寄せる呪文みたいだよね。

 勢い良く暖簾を弾き、私は光明煌めく外の世界へ駆け出した。

 

 帰ってきた私から、そうそう、言いたいことがあるよ。

 装備くらい寄越せ。

 クエストはそれからだ。

 




モンスターハンターは数多の狩りゲー、共闘ゲーの中でも、最も自分の成長が分かりやすいゲームだと思います。つまり成長途中が一番楽しかったよね!
ということで、DSでも一応プレイしてたんですが、特にネタもなく……以後の更新は中々難しいので、アホみたいな村クエスト完了をもって、ひとまず終了です。
お付き合いいただきありがとうございました!
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