狩人になった私の話。   作:ぽんぱたあすか

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34.まさかの再会

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 最近みんなと予定が合わない。仕方がないのでとりあえず、上位クエストの単品オーダーを消化することにした。

 ボルボ亜種を追い回し、ナルガ亜種を射抜き倒し、バナナ──じゃなかった、ええと、よく見ると男前な顔した水生獣を惨殺する日々。

 上位ソロとか気が遠くなるっつうの。ボマーが強烈すぎて自爆乙るところだった。

 一番辛かったのはアレだ。ペッコ亜種。

 黒ティガレックスとか普通に召喚してんじゃねェよ凄いノド仏。つうか呼ばれてんじゃねェよタマネギ発生機。騙されてんぞ。

 まあそんな感じで、無事全ての依頼を達成した私の前に。

 

 「あらカグラちゃん。新しい依頼が来てますよ」

 まさかの再会があった。

 逞しいにも程がある、山のような四肢。逆向きに生えるごん太の一対の牙。逆立つ棘は、土の中を進むのに邪魔じゃないんだろうか。

 折れないか?折れないか。強いもんね、それ。

 立派な前足が打ち下ろされるのを、寸でのところで緊急回避。過ぎ去る巨体に向けて弓を引き、振り返ったところで顔面に連射弓を叩き込む。

 ぱぎゃああああん、と上がる悲鳴が心地良い。痛撃、連射強化、攻撃力大の私の嫁(ファーレンフリード)は痛ェだろ!

 「どおおおおおおおおだこのアゴ一号!一人でテメエに向き合うのが怖くて数の暴力に訴えてた私とは違うんだよコノヤロウ!アゴ二号と雁首揃えて畏れおののくが良いバカヤロウ!」

 「ご主人、楽しそうでイキイキしてますニャ」

 「ここぞとばかりに言いたい放題だニャー」

 これが言わずにおれるかってんだ。圧勝だぞ圧勝。回復薬グレート4個しか使わずに瀕死まで追い込んでんだぞ。おかげで懐のハチミツが空腹を煽るったら。

 置いといた爆弾に矢をぶち当てると、盛大な爆音と悲鳴が重なった。

 「勝った。第3部、完」

 「1部(むらクエ)が終わってないニャ」

 あんな怖いの二度と行かねェっつってんだろ。

 しかし、凄い中途半端だニャ、という進言には、屈辱ではあるが頷かざるを得ない。

 そうだよね。アマツマガツチソロ討伐が2部だから、次はラスト古龍が3部ボスだよね。

 アカムトルムなんて、「くくく、奴は古龍四天王の中でも最弱よ」とか言われるような存在だよね。アマツのが強かったし。

 そういうわけで、じゃあウカムも続けて行くかー、という話になった。

 アカムが非常に簡単だったので、ハチミツは置いてきた。回復薬も置いてきた。グレート10個あれば良い。

 

 ──間違ってた。

 

 「ごごご主人、あぶニャーい!」

 「カグラ、雪山に氷漬けの人間って、中々神秘的で良いと思うんニャけどニャッ!」

 「だーれーがー、期待にそぐってやるものかああああああッ!!」

 なにこれウカムさん怖い。シャクレとるとかアイロンとかスコップとかボンバイエとか色々呼んですいませんした。

 でもスコップは正しいと思うの。その大地を掘り進む雄志は正にスコップですよね。

 大地を掘り進むだけなら良かったんだけど、氷のレーザービームとか薙払いとかに、毎度毎度、氷岩飛ばすの止めてくれませんかね!

 怖いっていうか、物凄く鬱陶しい。

 

 ぜえぜえと息を切らせながらも討伐が完了したのは、回復薬グレートも尽きようかという頃だった。

 ありがとね、リュウ。笛吹いてくれて。雪だるまと化した私を喜々として殴りにきたナタリーはそこで埋まってろ。

 もう二度と一人でウカムさんになんか来ないんだから。

 

 

 

 

 

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35.ひとりでアルバ

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 頑張ってアルパ……いや、アル……何だっけ、アルパカっぽい容姿をしているよね、彼。崖からにょっこりこっち見てるのと目があった第一印象からアルパカだったから、もうアルパカにしか見えなくなった。そんな古龍を出現させた。

 させたっていうと私が招いたみたいで非難の的なんだが、みんなで相棒持ちのモンスターを狩りまくってたら、「ワレ子分共に何してくれとるんじゃ」とばかりに巣から出てきたのである。

 さすが集団行動を愛するアルパカ。仲間思いな義理堅い奴だ。

 奴が姿を現したとき、あれだけゴキブリみたいに村にいたハンターたちは、謀ったように私のみだった。まさかソロでお鉢が回ってくるとは思わんかった。

 

 そして現在、第二回目の顔合わせである。ネコは置いてきた。この戦いには付いてこれそうもないからな。嘘だけど。

 一回目でネコフェチだったらしいアルパ……アルバトリオンだっけ。聖剣みたいな名前の古龍がネコの尻ばっか追いかけ回して、人の足では追い付けなかったのである。

 しかし二人きりになってほんとの勇気見せたからといって、ロマンチックが生まれるということもなかった。うふふあははと微笑ましい(うざったらしい)恋人同士の追いかけっこが成立するのは、あくまでも海岸での話。

 汗が地面を潤すこともできず蒸発する溶岩地帯ではリアル鬼ごっこと大差ない。いや、まさしくその通りなんだけど。佐藤さんに限定されない無節操さ以外は。

 

 降り注ぐ炎塊を刹那で見切り、引いた弓を解き放つ。

 角を!私は天を貫く角を求めている!

 というわけで狙うはひたすら顔面である。弓で翼チクチクやったってあんまり痛そうじゃないし。やっぱり生体急所は顔面に集っておりますよ。

 「ふっははは!その程度の攻撃を私が食らうとでもぎゃああああああッ!」

 止めろよそういう右曲がりダッシュ。テオさんナナさんで実証済みだが、私はそういう陰険な攻撃が大嫌いだ。

 轢かれついでに溶岩帯にぶち込まれて一瞬あの世を垣間見た。ああ、対岸で手を振るオッサン(ディー)の姿がちらついた気がする。現実だと良いな。ポッケでピンピンしてたオッサン、何かの拍子に死んでたりしないかな。

 そういう願望に浸り続けるのはとても危険なので早々に立ち直る。追突事故の傷は深いが、溶岩に突っ込んだ方は不思議とチリチリ焦げた程度で済んだらしい。

 奴が壁に突き刺さってもがいてる今がチャンス!さっさと回復を済ませて──あれ?

 「ルァァァァアアアアアアアアアアア」

 あなたさっきまで、ええと、炎っぽくなかったですかね?

 パリパリ音が聞こえるのは気のせいだろうか。空気はどことなく冷たい。空気って超伝導対応してたっけ。

 あんぐりと口を開ける私を尻目に、アルバトリオンは軽やかに宙を舞い上がる。

 やがて弓も届かない距離でホバリングした彼と視線が合って。

 

 わあ、この構図、凄いデジャヴ。数ヶ月前の塔の天辺辺りでこう、降り注ぐ雷光に戦慄した覚え、が。

 

 「待て、ちょっと、待て!」

 待つはずがない。

 悲鳴を上げてきびすを返す私に、許容もなく慈悲もなく、死の光柱が降り注ぐ。こんな戦争は大嫌いだ。わはは、ウーランツァール!

 「属性チェンジとか反則だろー!」

 迸る泣き言に返事をくれるネコはいない。一人って寂しい。

 しかしいなくて良かったと思うこともある。リュウは良いけど、ナタリーはちょっとね。

 ひたすら上空を気にしながら走ってたら、うっかり溶岩に片足突っ込んでショック死するかと思ったのは絶対に内緒。

 まあ、いつものことだし今更ではあるんだが。

 

 

 

 

 

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36.みんなと一緒:みんなでアルバ

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 私は見向く価値もない天然隠密性能持ち凡人なので畜生アルバ死ね仕方ないが、ルナという美女にも遊稀というガチムチにも反応しないということは。

 「俺には聞こえる!まりさたんハァハァという古龍の叫びが……!」

 「咆哮うるせえええええええ!ひっでえなアルバ最悪だな!まさかのロリか!」

 「ああ、まりさちゃああああんッ!」

 あ、轢かれた。

 脇目も振らずに突進を繰り返すアルバトリオンに、ついに熱いタックルをぶちかまされたまりさがゴロゴロと転がってきた。

 すかさず粉塵を振りまく自動回復機(ユウキ)。あいつ、調合分まで毎回持ってきてるんだぜ。おかげで回復薬が全く減らなくて超助かる。

 でもあいつ、前衛なのにね。早食い持ってるわけでもないのにね。

 ううう、と呻いたまりさが、死人の体で呟く。

 「私はただしゃがんでいたいだけなのに……」

 どこぞの真珠姫みたいなこと言うなよ。しゃがみ撃ちってちゃんと言わないと、休憩を欲してるだけの人間みたいだよ。

 あと、そんなこと言ってる間に、緊急回避しような。

 「あああ、まりさちゃんがー!」

 「乙!」

 「おつー」

 瀕死で猫に回収されていった少女に全員で手を振って、さて、と古龍に向き直り。

 ……あれ?

 「あれ、もしかしてガンナー好きなのかな」

 「あれー、まりさたんいなくなっちゃった。じゃあカグラたんでいいや。みたいな勢いだよなー」

 うわ馬鹿こっち見んな!軽快な動作で走り寄って来るのを止めろ!

 あんまり遠くから見ていた2人が憎らしかったので、友情破壊型有名ゲームの貧乏王を擦り付ける勢いで駆け寄った。100mを9秒で走り抜けるような素早さだったと思う。狂走薬なめんな。

 「ば、ばか!こっち来んな!」

 「巻き込むの止め」

 よう悪友ども、一緒に死のうぜ!

 

 そんなこんなしてる内に、撃ち溜めた睡眠薬入りの矢やら弾やらが減ってきた。

 翼破壊がしたいよねー、という共通の願いの下、全員が大タル爆弾Gを抱えてきている。炎食らって引火しないのが心底不思議。世の中ってご都合主義だよね。

 「あ、そろそろ寝るよー」

 飛び上がったアルバにボコボコと弾を当てていたまりさがのんびりと可憐な声を上げるのに、各々返事をして距離を取った。

 熱気をはらむ空気を、鋭い音を立てて砲弾が切り裂く。狙い違わず脳天に命中。

 バランスを失ってぐらりと巨体が傾ぐのに、全員タル爆をさっと抱えて。

 「……あれえ、まだだったのかな」

 「寝ないね」

 地面に落ちた途端、再び体勢を立て直してすっくと立ち上がった。

 仕方がないので再度弓をつがえる。まりさがしゃがみ込んで、遊稀が双剣を抜き放ち、ルナが大剣を肩に担いで駆けだした。

 途端。

 「ん?」

 「あれ、寝た?」

 「あ、寝た」

 「えええええええええええええ」

 何だ、やっぱりオネムだったのか。まっすぐ立ったと思ったら、横倒れになって土煙を上げる。

 それで、ルナはどうしたの。寝た子が起きそうな悲鳴なんぞ上げて。

 「溜めちゃった!」

 爆弾を設置しつつ横目で見れば、確かに剣を振り被り、現在進行形で溜め途中である。横にそっと2つ目の爆弾を置いてそそくさと待避。

 遊稀やまりさも慣れた様子で翼に爆弾をセットして距離を置いた。

 「誰かー!私吹っ飛ばして!」

 「弓だし」

 「ボウガンだよ」

 「双剣だぜ!」

 で、このメンツの誰がスーパーアーマー吹っ飛ばせると。溜まるまでの短時間で。

 絶望に満ちた秀麗な顔が見物である。身体には覇気が満ちているというのに、何という情けない顔。

 だがしかし、このメンツがそんな捨てられた子犬の目に負けると思うな。

 「いんじゃね?大剣強いし」

 「だって爆弾……!」

 「大丈夫、死なない死なない」

 「うわーん!」

 ルナの咆哮(なきごえ)と共に、垂直に打ち落とされる一閃。

 古龍に当たったのが先だったのか爆弾を両断したのが先だったのかは、残念ながら視認できなかった。何せ、連鎖的に残り5個の爆弾が火を噴いたのだ。

 その衝撃たるや、まさに地獄。現在古龍最強の座を陣取るアルバトロスの翼がギッタギタになるほどの凄まじさである。

 ちなみに爆弾って、あんだけ火噴いてんのに火属性じゃないらしいよ。世界7不思議の一つに数えられてるのはマメ知識な。

 「みんなのばかー!」

 それにしても人間ってのは丈夫なもんだなあ。

 

 爆発より3秒後。大剣を抱えながら元気に走り回るルナの姿に、人体の不思議さを思わずにはいられなかった。

 

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