転生したら天魔人だった件   作:通りすがりの気分屋

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今日は私、ティアノがやらせていただきます。
リムル様とリード様が各国の王侯貴族と面会を終え、リムル様はイングラシアからユウキやシズ様の教え子達を招待し、リード様は勇者マサユキに会い特に問題なく対応することが出来たようです。
これから前夜祭があるのですが、まだ来ていないのは魔導王朝サリオンとミリム様達だけですね。


耳飾りの現所有者

正幸(マサユキ)達の対応を終えたその日の夜、迎賓館の大広間は豪華に飾り付けられ、各国の重鎮達が一堂に会していた。

時魔家当主の時には、時魔家の力欲しさに薬を混ぜた飲食物を渡されのが嫌で参加しないといけない時以外は適当な理由で断っていたけど、今はそんな事を感じず楽しく感じるのは良いことだな。

いくつか嫌な気配の奴らがいるけど…

立食形式の席と畳の席を半分ずつに分けているが、慣れている者くらいしか畳を使っておらず、多くは立食形式だったが仕方がない。それに楽しみ方は人それぞれだ。

確かここでの挨拶はリムルがやることになってたな。

最近、会談等はリムルが担当することが多く。俺は武力面での対応が決まりつつあった。

 

リムル:「ええと本日はよくぞ、お出で下さいました。ワタクシが、この度魔王となりましたリムルです。本日は難しい話を抜きにして、皆さんには是非とも、我が国の料理を堪能して頂きたく思います。長話は苦手ですので、それでは早速始めましょう!乾杯!」

 

リムルの音頭で参加者達は持っていたグラスを掲げる。

参加者達はシュナ達が作った料理を美味しそうに食べていき誰もが料理に良い評価を言ってくれていて、俺は安心していた。

出された料理を何の心配なく食べることが出来るパーティなんて、向こうの世界では経験出来なかったかもな。

 

日向(ヒナタ):「食べないの?」

 

リード:「姉さん!」

 

白と黒のナイトドレスを着た姉さんが料理を持って近づいてきた。

 

日向:「煉武(レンム)さん達から聞いてるわ。今までの経験からこういう空気には慣れていないの?」

 

リード:「それもあるけど、こんなに楽しいパーティは初めてなんだ」

 

日向:「初めて?」

 

リード:「姉さんがいて、義兄(にい)さん達がいて、シュナがいて、安心して料理を食べることが出来るパーティ。こんな夢のような時間を体験出来るなんて夢にも思わなかったから、料理よりこの光景を見ておきたいんだ」

 

日向:「聖司(セイジ)…」

 

ユウキ:「やあやあリード君、久しぶり!」

 

リード:「ユウキさん!」

 

湿っぽい空気になりかけた時に、俺が最も警戒している人物であるユウキが近づいてきた。

 

ユウキ:「いや~、まさかいつもヒナタが話していた弟君がリード君だったとは、聞いた時は椅子から転げ落ちちゃったよ」

 

リード:「リムルから聞いてますよ。すみません、姉さんには俺から言っておきますから…」

 

ユウキ:「いやいや大丈夫!それより君が本当にヒナタの弟なのか疑うくらい穏やかだね」

 

リード:「…へぇ~、それは、俺達が似てないってことですか?

 

ユウキ:「いやいやそんなわけないだろう!すごく似てるよ!!」

 

リード:「そうですか!それは良かった!」

 

怒りから喜びへと変わる僅かな時間、リードの怒りの顔を間近で見たユウキと偶然見ていたリムルは同じことを思っていた。

 

リムル・ユウキ:(([日向/ヒナタ]と全く同じ顔だった…怖かった…))

 

レント:「お~いリードさん!」

 

リード:「レント」

 

白スーツを着て金髪がなびいて女性の目を釘付けしながら、ワイングラスを持ってレミンの父レントが来た。

 

リード:「来てくれたんだな」

 

レント:「レミンからの招待状貰っちまったら行くしかないだろう?それと気になる報告を受けてな」

 

リード:「気になる報告?」

 

レント:「ああ、北の海で槍を持ってスーツを着た白髪の男が一人で槍頭鎧魚(スピアトロ)やクラーケンといった複数の大型種を仕留めたって報告を少し前に受けてな。心当たりあるか?」

 

…正直言って心当たりしかない。

確かに少し前に煉武義兄さんが一人でどこかに出かけていたな。帰ってきたらびしょ濡れだったから間違いない。

俺のこの沈黙の回答をレントは予想していたようだった。

 

レント:「やっぱりレンムか?」

 

リード:「…うん」

 

レント:「俺たまに思うんだけど、ヒナタ以外のお前ら時魔兄弟の強さはおかしすぎるだろ」

 

リード:「それは自覚してる」

 

そんな雑談をしていると、会場に大きな魚とイカが運ばれてきた。先ほど話題に出たスピアトロとクラーケンだった。

そして運ばれてきたスピアトロとクラーケンを捌くのは、ハクロウだ。

ハクロウの包丁捌きは見事の一言で、スピアトロの赤身が綺麗に並び、クラーケンの身は僅かに光を反射していた。

しかし、皆は食べに行こうとしない。

 

レント:「おい、お前の世界って魚を生で食べるのか?」

 

レントが顔色を悪くして俺に聞いていきた。

やはりこの世界では、魚は焼くか煮込むなど一手間加えてから食べるのが当たり前のようだ。

仕方ない、誰も行かないなら俺達が食べるとしますか。

 

リード:「ハクロウ、ワサビ抜きでイカとトロを二つずつ握ってくれないか」

 

白老:「はいリード様、どうぞ」

 

ハクロウが握った寿司を目の前で出される。やはり最初というのもあってか大トロを握ってくれた。

俺は辛いものが苦手だから基本ワサビ抜きの寿司を食べることが多い。

俺の寿司の食べ方は最初は醤油をつけずに食べているので、まずはトロの方を食べる。すると口の中で大トロが溶けて口に旨みが広がっていく。

 

リード:「美味い!」

 

次にイカを食べる。

すると、柔らかくも歯応えがある食感を楽しみつつ、またも口の中で溶けて旨みが広がっていった。

 

リード:「美味い!」

 

リムル:「ワサビ抜きでそこまで言うなんて子供だな。寿司ってのはワサビの風味を食べてこそ通だろう。ハクロウ、俺にはサビ有りで頼む」

 

煉武:「私にはサビありとサビ抜きをそれぞれ一貫ずつ頼む」

 

白老:「承知しました」

 

リムルと煉武義兄さんも来て、リムルはサビ抜きで食べていることをからかわれたので俺も言い返した。

 

リード:「通って言うけど、ワサビの刺激なしでネタの味を楽しむのも通じゃないかな?」

 

リムル:「ムッ!」

 

煉武:「プッ!聖司にも同じこと言われたな(サトル)

 

リムル:「うるせぇ!」

 

リード:「『も』って…煉武義兄さんも言ったの?」

 

煉武:「いや私は違う事を言ったな。縁護(エンゴ)達もワサビ抜きで食べていたことを悟にからかわれ、それで少しイラついたアイツらが同じことを言っていたな」

 

リード:「ある意味自業自得ってことだね」

 

リムル:「うう…」

 

縁護:「ハクロウ、兄上と同じものを四人分頼む」

 

白老:「承知しましたエンゴ様」

 

縁護義兄さん達も煉武義兄さんと同じものを頼み、寿司を食べる。

 

縁護:「美味い」

 

生夢(ショウム):「美味しい!」

 

釈迦人(シャカト):「最高!」

 

自然(シゼン):「うんめぇ!」

 

縁護義兄さん達も久しぶりに食べる寿司に舌鼓を打ちながら寿司を食べていった。

 

シズ:「ハクロウさん、私にも煉武さん達と同じものをお願い」

 

日向:「私はサビ抜きで」

 

ユウキ:「僕は子供じゃないのでサビ有りで!」

 

白老:「承りました」

 

シズさんは煉武義兄さん達と、姉さんは俺と、ユウキはリムルと同じもの注文した。

 

シズ:「美味しい!」

 

日向:「本当ですね」

 

ユウキ:「うっわ、口の中で溶けた!」

 

シズさん達の反応も良好。

それを見ていたヨウム達が自然義兄さんに近づいてくる。

 

ヨウム:「なあシゼン。それってそんなに美味いのか?」

 

自然:「あん?当たり前だろ!騙されたと思って食ってみろよ!」

 

自然義兄さんは、ハクロウに新しい寿司を握ってもらうと、その皿をヨウムの前に出す。

ヨウムは恐る恐る寿司を握って口の中に入れて噛んだその瞬間、

 

ヨウム:「うっま!」

 

自然:「だろう?俺の故郷の国の名物の一つだ!」

 

ヨウムが寿司に感銘を受けて寿司を注文すると、ガゼル達も刺身などを注文してきた。

それをきっかけに来賓の方々が注文を始める。

流通が整うまでの間は、魔国連邦(テンペスト)でしか食べられない料理として注目が集まるな。

こうして、宴会が予定通りに進んでいったが、

 

兵士:「た、大変です!!」

 

一人の兵士が叫びながら、慌ててやってきた。

どうやら、何かあったようだ。

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

煉武:「どうした、何があった?」

 

煉武が水の入ったコップを兵士に渡して聞くと、兵士は礼を言って水を飲み干し報告を始めた。

 

兵士:「大型の飛行物体が町の外に飛来しました!!」

 

縁護:「っ!?」

 

報告を聞くと縁護が突然立ち上がり、窓を開け飛行物体がいる方向を見る。

その姿を確認すると、縁護は顔から汗が流れだした。

 

縁護:「やはりこうなるか…」

 

生夢:「縁護兄さん顔色悪いけど大丈夫?」

 

釈迦人:「汗も凄い流れてるけど」

 

縁護:「あ、ああ大丈夫だ…それとあの飛行物体は魔導王朝サリオンの守護竜王だから安心しろ」

 

生夢・釈迦人:「「‥‥‥は?」」

 

縁護の言葉に、生夢と釈迦人が絶句する。彼らも黄金郷エルドラドでその言葉の意味をよく理解出来ており、それと同時に他の国の兵士達がやって来た。

 

兵士:「報告します!ま、魔導王朝サリオンの守護竜王が、その姿を現しましたぁ!!」

 

兵士:「一大事です!エ、エルメシア・エル・リュ・サリオン陛下その人が、この地に降り立ちまして御座います!!」

 

兵士:「今、エルメシア陛下の御一行が、この場へと向けて歩き出されましたぁーーーッ!!」

 

兵士達の報告で宴会場にいたもの達は大慌てになっていった。

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

リード:(流石は、西側諸国に匹敵する経済を持つ国だな)

 

俺は騒然となった会場を見て、改めて魔導王朝サリオンの天帝の影響力を理解した。

ホウテンの話によると、魔導王朝サリオンは十三の王家があり、それらを束ねる天帝の影響力は絶大で、並みの者なら会うことも叶わない程雲の上の存在のようだ。しかも西方評議会に加盟していないが、それに匹敵する経済力を持ち、その歴史は武装国家ドワルゴンの倍以上、つまり二千年以上の歴史を持つ大国だ。

そんな国に縁護義兄さんは転移して、その国の最高戦力の特別教官をやっていたという事はその武力は無視出来ない程と見た方が良い。

 

リード:「行こうリムル」

 

リムル:「ああ」

 

リムルと共に入り口に向かうと天帝エルメシアの姿がすぐに分かった。

なにせ本人はガゼル以上に『英雄覇気』を自然に発動出来る程の実力者だったからだ。

 

リード:(あの人が魔導王朝サリオンを作った天帝エルメシア‥‥‥ん?アレって、まさか…)

 

天帝エルメシアの耳についている耳飾りの存在に気づくと、俺は心の中でも絶句した。

隣にいたリムルも、少し離れたところから見ていた煉武義兄さん達も言葉を失っていた。

そんな状態でも、天帝エルメシアは俺達の前に立った。

 

エルメシア:「招待、ありがたく頂戴した。朕は嬉しく思う」

 

リムル:「こ、こちらこそ、お会い出来て光栄です」

 

リード:「それでは、ささかなながらも食事を用意しておりますので、今夜の一時を楽しんで下されば幸いに思います」

 

エルメシア:「うむ。リムル殿、リード殿の心配り、朕は心地良く感じておる。明日からの祭りとやらも期待しておる故、せいぜい朕を楽しませてたもれ。それと―――」

 

天帝エルメシアはリムルに顔を近づけ、隣にいる俺にもギリギリ聞こえる小さな声で

 

エルメシア:「今日でなくてもいいので、時間を作って欲しいわ。堅苦しくない場で、本音で相談したい事があるのよ」

 

と囁き、リムルが了解の意を答えると、今度は俺に顔を近づけてきた。

 

エルメシア:「あなたも、いつでも良いから時間を作ってくれないかしら?出来れば兄弟全員で」

 

リード:「…わかりました」

 

俺はそう返事をすると、エルメシアさんは満足そうに頷いて、縁護義兄さんの所に近づいていった。

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リード:「リムル気づいた?」

 

リムル:「当たり前だ。アレは俺が縁護にあげた物なんだから間違えるわけないだろう」

 

リード:「だよね」

 

縁護義兄さんは、あの耳飾りを自分を保護してくれた人に今までのお礼としてあげたと言っていた。

そして、エルメシアさんがその耳飾りを着けていたという事は、

 

リード:(縁護義兄さんを保護してくれたのは天帝エルメシアその人って事!?)

 

日向:「聖司、リムルさんどうしたの?さっきから複雑そうな顔をしているけど」

 

ガゼル:「また何をやらかしたんだ?」

 

俺とリムルの様子を心配して姉さんが原因を聞き、ガゼルは俺達が何かやらかしたのだと思い少し呆れながら聞いてきた。

これは共有しないとやっていけないな。

 

リード:「…実は―――」

 

俺はエルメシアさんが着けていた耳飾りが元は縁護義兄さんが着けていた物で、この国の移住すると決めた時に今までのお礼としてその耳飾りを自分を保護してくれた人、つまり天帝エルメシア・エル・リュ・サリオンその人に譲ったのだと、姉さんとガゼルに話すと二人はこめかみを押さえた。

 

日向:「私、とんでもない人の義妹(いもうと)になってしまったわね…」

 

ガゼル:「時魔家は人誑しの才能でもあるのか?あの妖女(オンナ)のあんな顔を初めて見たぞ」

 

そう言うガゼルの目線の先を見ると、縁護義兄さんがエルメシアさんに箸の持ち方を教えながら刺身を食べさせようとしていた。

エルメシアさんが縁護義兄さんに向ける目は、フラメアが自然義兄さんに向ける目と同じであった。

つまりエルメシアさんは縁護義兄さんの事を…

ガゼルが言っているのはそういうことだろうが…

 

リード:「多分縁護義兄さん気づいてないと思う。相手の好意だけは何故か鈍感だから」

 

ガゼル:「そうか…」

 

リムル・煉武:「「‥‥‥」」

 

この時のリムルと煉武義兄さんのエルメシアさんに向ける目が険しくなっていたのだが、そのことに誰も気づいていなかった。

一方、エルメシアの姿を見たグレイド、ティアノ、ダイロス、キョムは小声で話していた。

 

ティアノ:「すごいシルビアちゃんそっくり」

 

ダイロス:「並みの者なら入れ替わった事には気づかないだろうね」

 

キョム:「しかし実力は凄まじい」

 

グレイド:「ああ、究極能力(アルティメットスキル)所有者だ」

 

四人はエルメシアの実力を的確に見抜いていくが、その脳裏に過ったのエルメシアの母親であるシルビアの顔だった。

 

ティアノ:「シルビアちゃん元気にしてるかしら?」

 

キョム:「アイツは結構自由人だからな」

 

グレイド:「どこかでふらついているんだろう」

 

ダイロス:「容易に想像がつくね」

 

四人は、そう結論付けミリム達が来るのを待っていた。特にティアノは落ち着いておらず、到着するまでずっとそわそわしていた。




本当にエルメシアちゃん、シルビアちゃんにそっくりで驚いたわ。それにしてもミリム様達は遅いですね…
それに、ミリム様がお二人の仲睦まじいところを見たらと思うと、考えるだけでも心配です!
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