開国祭一日目を終えて、二日目は武闘大会本戦というこの開国祭の目玉イベントがいよいよ始まろうとしていた。
それにしても、
ゴブキュウ達が作った闘技場の観客は満員だった。強度は物理も魔法に対しての問題はなく、余程の実力者たちがぶつからなければ問題ないだろう。
前世でこういう所には一度も行ったことがなかったから、特等席での観戦は楽しみだ。両隣はシュナと姉さん、すぐ後ろの席には
見回りは昨日レミンの部下になった
アナウンスをするソーカはノリノリで出場者たちの紹介を始めた。
蒼華:『最初に紹介するのは、一番人気のこの人でーす!!昨日の第一試合の覇者、その名は、勇者、マ~サ~ユ~キー--ッ!!』
ソーカの紹介に既に顔色が悪くなっている正幸。すまんが我慢してくれ、この大会が終わったら焼肉奢ってやるから。
蒼華:『体術と剣術を併せ持つ独特なスタイルは、相手に攻める隙を与えさせない。圧倒的な強さで名を馳せて、若くして“勇者”を名乗るマサユキだが、今日は一体どんな試合を魅せてくれるのかー--ッ!?その甘いマスクに見惚れる者が後を絶たず、その目で見つめられて落ちない女はいないという。マ~サ~ユ~キ~~ッ!!今日、本戦でその勇姿を見られる者は、その幸運を嚙み締めろー---ッ!!』
正幸の紹介だけで会場のテンションは一気に上がっていく、流石は今注目の勇者だな。
…一応シュナには手を出さないように
二人目は正幸の仲間のジンライという男だ。
蒼華:『続いての選手は勇者マサユキの仲間ジンライー--!』
正幸が最初に戦った相手でが、ビビりのアイツがよく戦たなと思ったが、昨夜その答えを教えてくれた。
正幸:「だって先輩達時魔兄弟と比べたら全然怖くなくて、不思議と一撃で倒せました!」
なんて笑顔で言っていたがアイツの感覚大分マヒしてるな。俺がいない間何かなかったか聞いておくべきだったか。
蒼華:『舞を舞うように美しく、見る者の心を奪う!果たして今日の試合でも、鮮やかな血飛沫の中、流麗な舞が見られるのかー-!?“流麗なる剣闘士”ガイ選手!』
あの男、少し警戒すべきだな。実力ではなく性格という意味でだが、ソーカの紹介中もきざなポーズをとっていたり、なんでも自分の思い通りになるって思ってるヤツの空気を感じる。
蒼華:『そして、四人目、五人目はまさかの方々が出場!』
うん…?なんだろうものすごく嫌な予感がするんだけど…どうやら俺の気のせいじゃないみたいだ。その証拠に後ろの煉武義兄さんとリムルも同じような顔をしている。
蒼華:『四人目はこのお方、圧倒的なパワーで予選を勝ち抜き、なんと片腕だけで予選通過をするという実力を知らしめた英雄ヨウム一団最強の
自然:「ッシャアアーーーー!!!」
ファルメナスとテンペストの国旗が縫われている上着を着て大声で入場する自然義兄さんがいた。
連絡付かないと思ったら何やってるんだあの人!?
リムルも釘を刺すのを忘れていたのか、いやそもそも実力差があって出場するとは思っていなかったのだろう。予想外過ぎて頭を抱えていた。
…ちょっと待って、さっきソーカは複数人いるような口ぶりだったが、まさか…
後ろを見るとリムルと煉武義兄さんも同じことを考えていたらしく、顔色がさらに悪くなった。
蒼華:『五人目は、あらゆる予測を立て相手の体力をねごそぎ奪い取り、洗練された技で相手を完封していったこのお方!魔導王朝サリオンの特別戦闘教官!そしてその正体は、同じく魔王リード様とヒナタ様の義理の兄にして魔王リムル様の弟分!時魔兄弟次男、
魔導王朝サリオンとテンペストの国旗が縫われた上着を着てまるで植物のように静かに入場してきた縁護義兄さんの姿があった。あんたもかい!!
まあ大方自然義兄さんに誘われて断れなかったんだろうな。全く自然義兄さんは何がしたいんだ?
だけど、一つ心配なことが出てきたぞ。もし二人が今日ぶつかれば、間違いなくこの闘技場は只はすまない。最悪崩壊なんてこともあり得る。
どうか当たりませんように!!
蒼華:『続いて、お二人にも引けを取らない凄まじいい強さを見せた、謎の覆面男!正体不明の
おおい!もう少しマシな変装はないのカリオン?ライオンのマスクじゃないと駄目ない理由ってある?言ってくれば釈迦人義兄さんがもう少しマシな変装させることが出来るのに…
蒼華:『あー-っと、ここでとある匿名の人物より
ミリムめ、いつの間にソーカと接触したんだ?
前夜祭の時に問い詰めたら、ミリムも迷宮の作製に協力していたらしい。しかもティアノが協力してミリムの事を隠していたようだ。別に怒りはしないが一言言ってほしかったな。
蒼華:『さあ。ここからはテンペストの幹部から出場です!』
昨日リムルが何人か特別枠で参加させると提案したが、俺の配下はみんな既に他国の者達に知れ渡っているし、全員出る気はなかった。
ちなみにリムルはソウエイに御庭番の頭領に
そして、参加したのはあの二人だ。
蒼華:『幹部ともなれば実力は一騎当千!優勝すれば魔王リムル様の“四天王”としての地位が約束されているー--ッ!!』
ゴブタ:「やめるっす…そういうフリはやめるっすよ…」
蒼華:『最初の一人は、ゴ~ブ~タァ~ッ!!そのニヒルなマスクに憧れる者も多い、エリート戦士!天才の名をほしいままにする、若き戦士長。果たして、今回はどのような戦いぶりを魅せてくれるのでしょう!?』
青褪めてゴブタに俺は同情する。だってカリオンに義兄さん達の参加となると運が良くて重症、運が悪くて半殺しだろうな。
蒼華:『最後に紹介するのはこちら!
はっきり言って優勝できる可能性が一番高いのは縁護義兄さんだ。俺達兄弟の中では俺と煉武義兄さんに次ぐ実力がある上に、自然義兄さんとの相性も悪い。自然義兄さんがアレを使えるようになっているなら話は別だけど…
出場者の紹介を終え、リムルが挨拶のために舞台に降り立った。
リムルの登場に国の住民や近隣の国々から来た者達は大興奮で、煉武義兄さんがリムルに耳打ちをすると黄色い悲鳴が響く。二人はそれらの反応に気にせず対応する。
リムル:「さて諸君。よくここまで勝ち残った。激しい予選を突破した一部の者以外は既に強者だと言えるだろう」
リムルの言う一部の者は、絶対義兄さん達の事だな。幼い時から見ていたから家族以外で実力を把握してるのはリムルだけだからな。
そう思いながらリムルの挨拶を聞いていく。
リムル:『勇者マサユキよ。君が優勝できれば俺との食事の場を設けよう』
正幸:「ありがとうございます」
(この人が、縁護さん達の兄貴分…)
ガイ:「おい、魔王よ。俺が優勝したらもう一人の魔王リード=テンペストとの挑戦権を与えるのだろうな?」
ガイという冒険者が、傲慢な態度で優勝賞品の要求をしてきた。まさか俺と戦いなんて馬鹿なのか?
ガイ:「ふん!ヒナタと引き分けたというがどうせ卑怯な手を使ったのだろう!この俺が貴様の化けの皮を剥いでやるわ!」
指を指して俺を非難するガイ。それに殺意マシマシな目で見るのはかなりの数がいた。特にウォズ、コウホウ、ギドラ、ゲリオン、グレイド、ジレイク、アスラの七人の異常なまでの殺気を感じ取れた。
ウォズ:「(我が魔王から許可もらったら全員で殺るよ)」
黄奉達五人:「(異議なし!!)」
ジレイク:「…コク…」
絶対許可しないけど、そう言えば姉さんもガイを睨みつけてるな。見ないでおこう…
アレ?よく見たら正幸もかなり怒ってないか?アイツがあそこまで怒るなんて見たことないな。
自然:「ちょっといいか?み、じゃなくて魔王リムルさん。俺も優勝したらお願いしたいことがあるんだけどそれもいい?」
リムル:『なんだ?』
自然:「俺が優勝したら、アンタへの挑戦権をもらおうか」
リムル:『…えっ?』
自然義兄さんの言葉にこの闘技場の空気が不穏に変わった。
一緒に参加していた縁護義兄さんも驚いて見開いていたが、すぐに怒りが目に宿った。やっぱり聞いていなかったみたいだ。
朱菜:「どういうつもりなのでしょう?」
リード:「それなら直接言うよ」
(何を考えているんだ自然義兄さん)
蒼華:『これはなんという事でしょう!?まさか魔王と戦いを望む者が二人も現れるとは!この大会はいったいどうなってしまうのでしょう!!』
ソーカが強引に終わらせてくれたおかげで、すぐに抽選に移った。
クジ引きで組み合わせが発表されると、その内容に俺はひとまず安心した。
第一試合
第二試合 “勇者”マサユキVS“流麗なる剣闘士”ガイ
第三試合 “狂狼”ジンライVSゴブタ
第四試合
決勝戦は自然義兄さんと縁護義兄さんになるな。だけど正幸のスキルって自分の都合のいいようになるっていういかれた能力があるはずだったけどなんでガイと戦う事になってるんだ?
⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫
蒼華:『それでは第一試合を開始します。今大会で実況を行いますわ私ソーカと───』
釈迦人:『時魔兄弟四男
もうやりたい放題しているな。
自然義兄さんとゲルドは舞台に残り、他の選手は控室に移動していた。
二人は向かい合い既に準備は完了していた。
自然:「ゲルド!本気で来いよ。三上さんの弟分だとか
ゲルド:「勿論ですシゼン様」
二人がにらみ合い、試合開始の合図が出たのと同時に二人の拳がぶつかり、凄まじい音を闘技場に響かせる。
蒼華:『なんという音!これがあの二人の実力を物語っています』
釈迦人:『いい音だけど…これじゃあゲルドが
釈迦人義兄さんがそう言うと同時に自然義兄さんが腕にさらに力を入れ、自分よりわずかに大きいゲルドに力で勝り、さらにその巨体を場外一歩手前まで吹き飛ばした。
蒼華:『な、なんと!あのゲルドに力勝ちしただけでなく、その巨体を舞台の端まで吹き飛ばした!』
釈迦人:『まあ、自然の体の構造は少し特殊だからね』
蒼華:『どういう事ですか?』
釈迦人:『秘密!』
釈迦人義兄さんがそう言うと姉さんとシュナ、シズさん達が俺とリムル、煉武義兄さんに説明してほしいと目で訴えてきた。俺達はそれを素直に答える。
リムル:「自然の筋力が異常発達してるのはみんな知ってるよね?」
シズ達:「ええ/うん/はい」
煉武:「その筋力のせい一番負担が大きかったのは骨だ」
朱菜:「骨?」
リムル:「そう。異常な質と量の筋肉を持つ自然は何度も自分の筋肉で骨折を繰り返していった」
リード:「その結果、自然義兄さんの骨の強度はもはや人間のそれじゃない。力と耐久性は俺達兄弟一だ」
シズ達:「‥‥‥」
俺達の説明を聞いてシズさん達は、言葉が出てこなくなっていた。
改めて俺達の事を理解したのだろう。
自然義兄さんとゲルドの殴り合いは、完全に自然義兄さんが優勢だった。
そして、ゲルドがアッパーを繰り出すと自然義兄さんは頭突きで対応した。すると仕掛けたゲルドの腕から血を吹き出し、自然義兄さんの額はわずかに赤くなっているだけだった。
リムル・ヨウム:「「いいいいいぃっ!!」」
自然義兄さんの頭突きの恐ろしさを知る者達は額を押さえる。俺や煉武義兄さんも額を押さえた。
蒼華:『なんと!?仕掛けはずのゲルドの腕から血が噴き出し、シゼン様はほぼ無傷だー--!』
釈迦人:『無理もないよ。自然のあの頭の硬さは生まれつきだし』
蒼華:『えっ?』
日向:「そうなの!?」
リード:「うん…俺も初めて受けた時はしばらく立てなかった」
煉武:「私も平衡感覚がなくなり、
リムル:「ああ、赤ん坊だからって油断してた」
シズ:「本当に生まれつきなんだ…」
朱菜:「凄いですね…」
この短時間でゲルドは全身痣だらけで出血しているに対して、自然義兄さんはほぼ無傷。どちらが優勢なのか一目瞭然だった。
自然:「ゲルド、お前なめてる?」
ゲルド:「どういう意味でしょうか?」
自然:「言葉通りだ。力、硬さ、速さ、技術あらゆる面で俺はお前の上をいく。スキルを使って戦わないと、お前死ぬぞ」
ゲルド:「‥‥‥シゼン様、先ほどの言葉そっくり返させていただきます。あなたも俺をなめているのですか?」
自然:「ああん?」
ゲルド:「確かにあらゆる面では俺の上をいきます。しかし、それで俺が死ぬと結びつけないでください!」
自然:「…何が言いてぇ?」
ゲルド:「スキルを使わないただの怪力のあなたに、俺達配下は簡単に殺されないという証明をすると言っているです!!」
自然:「ッ!」
ゲルドの言葉を聞き、顔をしたに下す自然義兄さん。少し経つと自然義兄さんの肩が僅かに揺れ始め、遂には大声で笑った。
自然:「ブハハハハー--ッ!!!」
ゲルドを含めこの試合を見ていた者全員が呆然となる。そして一分近く笑い続け、遂にはおさまった。
自然:「まったく、『怪力だけじゃ殺せない』って。そんな事言うの。身内以外でお前が
ゲルド:「二人目?」
自然:「その心意気に敬意を払って、俺の全力全開の技を使わせてもらうぜ」
ゲルド:「ッ!受けて立ちます!」
自然義兄さんが本気になった顔で構えると、ゲルドも自分の全力の防御の態勢になった。
蒼華:『シャ、シャカト様、これは…』
釈迦人:『間違いなく、自然の技を真っ向から受け止める気だね。だけどこれはゲルドも望んだ事だから止めるなんて出来ないよ』
リムル配下の中で一番の守備力を誇るゲルドの防御に対して時魔兄弟一の怪力を持つ自然義兄さん。まさしく盾対矛の勝負という緊張感が張り詰めた空間で自然義兄さんが動いた。
自然:「
全武力を拳に籠めた自然義兄さんの一撃は凄まじくゲルドを壁まで吹き飛ばした。
蒼華:『勝負アリ!勝者はシゼン様ー---!!』
大歓声、そして拍手が闘技場の観客席全体から聞こえてきた。一方的な戦いであったが、素人でもわかるほど凄まじさをこの拍手が表していた。
ゲルド:「お、お見事です…シゼン様」
自然:「試合には勝ったのに勝負には負けた感がハンパじゃねえよ。ありがとうよゲルド」
自然義兄さんは、重症のゲルドを担いで医務室に向かっていった。
リムル:「良かったな自然」
リムルは、そう呟くがこれを聞いていたのは俺と煉武義兄さん、シズさんくらいだった。
⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫
第二試合は正幸とガイとの戦いだった。
ガイ:「フン!勇者よりこの俺が優れている事を証明してやる!」
正幸:「‥‥‥」
ガイ:「フン!恐怖で何も喋れないか?まあいい、俺の目的はあのいかれた魔王リード=テンペストを討つこと」
正幸:「いかれた魔王?」
ガイ:「そうだ!ヴェルドラを抑える力を持つというがどうせでまかせに決まっている!俺がヤツを殺してそれを証明するのだ!!」
正幸:「…そうかわかった」
ウォズ:「(我が魔王、あのガイという男の暗殺の許可を!)」
リード:「(ダメ!)」
ウォズが物騒な事の許可を求めたが却下する。それにあんな風に言われるのは慣れてるから問題ない。
試合開始の合図が出ると、正幸がガイの顔面目掛けて膝蹴りを繰り出した。
ガイ:「カハッ…」
正幸:「お前は僕が徹底的に叩き潰す!」
ガイ:「小癪な!」
ガイが剣を抜いて斬りかかるが正幸は冷静に対処し、グローブを『気闘法』で強化して対応する。
ガイ:「おのれ逃げるな!」
正幸:(こんなの先輩の動きに比べれば全然遅いよ)
ガイ:「クソッ!」
ガイはとうとう業を煮やして大振りな剣を振るうが、正幸はその隙を狙って完璧な正拳突きをガイの水月に決めると、ガイは意識を失って倒れた。正幸は剣を使わずに完璧な勝利をおさめた。
蒼華:『勝負アリ!勝者は“勇者”マサユキー---!!』
釈迦人:『ソーカちゃん、正幸君がこっちに向かって手招きしてるよ』
蒼華:『アッ!本当ですね!』
ソーカが舞台に降り立つとマサユキはソーカが持っているマイクを貸してもらい、皆のいるまである事を言った。
正幸:『皆さん、僕は次の二回戦は棄権します!』
正幸のこの言葉に観客がどよめくと正幸は気にせず、言葉を続ける。
正幸:『皆さん、魔王リード=テンペストが異世界からの転生者というのは知っていますね?僕は魔王リード=テンペストの前世と同じ世界からやって来た異世界人で、僕はイングラシアにある自由学園のような場所で魔王リード=テンペストの後輩なのです!』
観客:「なんだって!?」
観客:「マサユキ様が魔王リード=テンペストの後輩!?」
正幸:『そして今の僕があるのは魔王リード=テンペストのおかげなのです!』
観客:「嘘でしょう!」
観客:「それじゃあ、以前マサユキ様が言っていた憧れの人とは…」
正幸:『皆さん、魔王リード=テンペストは敵対しなければ人間に危害を加えません!そしてそれは魔王リムル=テンペストも同じです!僕たちが誠意をもって対応すればいいのです!過度な欲を抱かずにどうか対等な関係で接していってください!』
正幸が自分の言いたい事を全部言って頭を下げると、観客から賞賛の声が上がった!
観客:「なんて偉大な方なの魔王リード=テンペスト様は!」
観客:「そんなお方の仲間達が悪者のわけがないだろう!」
観客:「考えてもみれば、ファルムスは一方的に宣戦布告して滅びたんだろう?ならマサユキ様の言い分は間違っていないな」
ここで俺と自分の関係を明かすとは思いもしなかったが、多分本当の目的は別にあるのだろう。その証拠にうなじ辺りから汗が噴き出るように流れていた。
正幸:(危なかったー---!!つい頭に血が上ってガイをボコボコにしたけど、次の相手は自然さんだよね?普通に重症は避けられないよ!)
リード:(今度ステーキでも奢るか)
⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫
第三試合はゴブタと正幸の仲間のジンライ。
開始早々、ジンライの攻撃にゴブタは防戦一方だった。このまま戦えばゴブタの場外負けになると誰もが思ったその時、縁護義兄さんが『思念伝達』でゴブタに語りかけてきた。
縁護:「(ゴブタ、そのまま場外負けしたらある程度覚悟していた方が良いぞ)」
ゴブタ:「(え?それはどういう事っすかエンゴ様)」
縁護:「(ここで場外負けしたらハクロウが稽古をもっと厳しくすると言っていた)」
ゴブタ:「(マジっすか!?それだけは勘弁っす!)」
ゴブタが縁護義兄さんの話を聞いてジンライの攻撃から逃げることに成功する。
ジンライ:「おいおいマサユキさんが尊敬する人の仲間だからどれ程だと思って期待していたけど別に大したことはねえな!」
ゴブタ:「それなら奥の手を見せるっすよ!!召喚ッ!!」
ゴブタが奥の手である
リード:「なんでランガが?」
ランガがジンライに体当たりを決めるとジンライは場外まで吹き飛ばされ、目を回して見事に気絶していた。
ゴブタも驚いていた様子だった。どうやらランガが勝手に割り込んだのだろう。
蒼華:『勝者はゴ~ブ~タァ~!!』
しかし、これは結果がすべての大会だ。誰も文句を言えない。
だけど、次の第四試合は見ものだな。
⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫
第四試合は、カリオンと縁護義兄さんの試合。既にカリオンはやる気だ。
カリオン:「クックック、あのシゼンとかいうヤツと戦ってみたかったがその兄貴であるお前もなかなかの実力だな。見ただけでわかる」
縁護:「私もあなたのような実力者と戦えるとは嬉しいです」
友好的な話に聞こえるが、縁護義兄さんも既に構えていて、いつ開始されてもおかしくない。
そして試合が始まると、カリオンが跳躍して、空中から仕掛けてきた。
カリオン:「くらえ!」
縁護:「時魔流武術
カリオンの放った気弾の中から自分に直撃する物だけ軌道を変えていく。
蒼華:『な、なんと!アレだけの数に冷静に対応して傷一つついていない!!』
釈迦人:『時魔流武術防の型・極撃流操で、自分に着弾する物だけ対応してるんだよ』
蒼華:『あ、あの数の中からですか?』
釈迦人:『言っとくけど縁護兄ならそれくらい朝飯前』
カリオン:「ならこれならどうだ!」
横一線の攻撃が縁護義兄さんに迫る。撃流操はあくまで攻撃の向きを変える技で、あの技のように攻撃範囲が横に広がっているのは対処できない。
だけど、その手の攻撃の対応手段を持ち合わせている。
縁護:「時魔流武術
横一線の攻撃が縁護義兄さんを裂いたように見えたが、その像は霞のように消えると、別の位置に縁護義兄さんがそこにいた。
蒼華:『こ、これはどういう事だー--!?攻撃を受けたはずのエンゴ様が消えたと思ったら別のところに移動していた!?』
釈迦人:『アレは神の型に次ぐ難易度が高い技なんだけど、
カリオン:「なるほど。気配をわざとその場所に留め、本物は完全に気配を遮断して移動する。まさしく究極の回避技だな」
縁護:「驚いた!一度見ただけ見抜いたのはあなたが初めてだ!」
カリオン:(何言ってやがる。あれだけ攻撃したのに無傷なヤツが言うと皮肉に聞こえてくる)
「こうなったら、とっておきの技を出させてもらうぜ」
縁護:「来い!!」
カリオンが構えて金色の妖気を纏うと縁護義兄さんは真っ向から迎え撃とうとする。
カリオン:「くらえ!!」
金色の妖気を自身の右拳に収束させ凄まじい速度で攻撃が叩き込まれる。その威力は巻き起こる煙の量が表していた。
そして、煙るが晴れ舞台の光景が露わになると俺と煉武義兄さんは思わず立ち上がった。
リード:「ッ!?」
煉武:「いつの間に習得した!?」
その光景はカリオンの凄まじい拳を縁護義兄さんは
縁護:「時魔流武術
カリオン:「…ハッ」
(どんだけ強いんだよ。リードの兄弟は…)
縁護義兄さんは、空いているもう片方の腕で仕掛けた。
縁護:「
縁護義兄さんの手刀の攻撃が凄まじい速度で八回連続繰り出され、カリオンは八か所から出血し意識を失い倒れた。
蒼華:『しょ、勝負アリー---!!勝者はエンゴ様ー---!!』
カリオンを抱えて医務室に向かう縁護義兄さん、観客からの賞賛の声を浴びながら舞台から消えていった。
エルメシア:(流石エンゴ!素敵!!)
モミジは縁護義兄さんがハクロウの弟子としての期間を知るとあまりの短さに言葉を失っていた。
エルメシアさんは恋する乙女のような顔で縁護義兄さんを見ていたが、それに気づいていたのはリムルと煉武義兄さんだけだった。
⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫
お昼を済ませた後の二回戦は、正幸が棄権したから自然義兄さんが決勝戦へ駒を進め、ゴブタと縁護義兄さんの試合だけとなった。
ゴブタ:「エンゴ様、戦わないとダメっすか?」
縁護:「ハクロウに殺されたいのなら棄権していいぞ」
ゴブタ:「全力でいかせていただきます!!」
試合開始の合図が送られると、ゴブタはいきなりランガを召喚した。
ゴブタ:「見ていてください。リード様達の変身を参考に得た究極の力を!
それはまるで、ランガがゴブタを覆うような変化だった。一言で言うと直立して人型となったランガ。
だけど、アレってランガの力をそのままゴブタが持ったことになるだよな。
ミリム:「うわぁー--!!かっこいい。何だあれ、格好良いのだっ!!」
ティアノ:「そうですねミリム様!」
シュナの隣に座っていたミリムが大興奮し、ティアノもそれに同意している。あんまり甘やかすとラミリスみたいになる恐れがあるから後で注意するか。
しかし、ゴブタのヤツ多分というか絶対やらかすな。
煉武:「ハクロウ、ゴブタがやらかしたらミリムに預けるぞ」
白老:「ほ?わかりました」
どうやら煉武義兄さんも俺と同じ予想をしたみたいだな。
ゴブタ:「へへ、いくっすよ!」
ゴブタが縁護義兄さんに向かって走り出す。一般人には消えたように見えただろう。そして縁護義兄さんは今いる場所から三歩横にずれたその時、ゴブタはその場所を突っ切り止まることなく壁に激突した。
時魔兄弟:(((やっぱり…)))
釈迦人:『…ソーカちゃん、これゴブタの場外負け』
蒼華:『は、はい!勝者はエンゴ様ー---!!』
これで明日の決勝戦は自然義兄さんと縁護義兄さんの勝負になったな。
ミリムが凄まじい怒りをゴブタに向けていたが、これはアイツの自業自得だ。ランガの強力な力を練習もなくいきなり使えるわけがない。ミリムがゴブタを鍛えるって言ってるし、少しスパルタ訓練を受けさせるか。
全く今日は医務室が忙しかったよ。五人も診察しないといけなかったんだから。
だけど明日はさらに準備をしておくか。明日はもしかしたら、今日以上の重傷者が運ばれてくるかもしれないし。
⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫
トーナメント表を見ていた自然は拳を強く握り笑みを浮かべた。
自然:「良し!明日の決勝戦はやっぱり縁護兄貴か!ぜってぇ負けね───ッ!?」
自然は、突然
自然:(ったく、少し前から鬱陶しいし痛みの間隔も短くなってやがるな)
自然は腕を回しながら異常がないか確認するがその異常は感じられず、フラメアとヨウムの姿が見えるといつも通りの調子で行動を共にした。