武闘大会決勝が始まったけど、
どっちが勝ってもおかしくないこの勝負、一瞬も目が離せないよ。
ソーカの実況はまさしく仙人以下の者達の心境を表していた。
縁護
自然義兄さんのライジングドラゴンロッドで中距離から攻撃に、縁護義兄さんはメダガブリューで攻撃を流す。この時ぶつかった衝撃は風となって観客席までに飛んでいた。昨夜急いで威力だけを上空に流す結界を張っていなかったら今頃ここは半壊状態だっただろう。
その直後メダジャリバーで反撃するが、ライジングタイタンソードで防がれてしまう。これはぶつかったときに凄まじい音が響き渡り、地面が僅かに窪むほどのぶつかり合いだ。
武器の間合いを潰して縁護義兄さんは一気に仕掛けようとするが、それよりも早く自然義兄さんが蹴りを放つ。これは紙一重で躱されるが、この時深く地面が抉られた。
蒼華:『おおっと!!再び地面が抉れた!一体何が起こっているのでしょう!?』
アルノー:「あの人たち、よくあんな攻防出来ますね」
バッカス:「うむ…」
煉武:「貴様らの基準で考えるな。
リムル:「あったな。お前が
煉武:「
リムル:「ハッ!やってみろ!公衆の面前で大恥かかせてやる」
シズ:「二人とも落ち着こうね」
何故か喧嘩になった二人をシズさんが止めてくれたから安心した。ここで二人が戦ったら面倒な事この上ない。シズさんがいてくれて本当に良かった。
そんな中姉さんの表情は驚いているというより何かに打ちのめされているような顔で二人の戦いを見ていた。
あまりにも次元が違う戦いに日向はただただ非常な現実に打ちのめされたいた。進化して事で身体能力が向上しているが自分よりも数段早い速度でそれを制御していたことに。
日向:(
日向は再び時魔兄弟との実力差を思い知らされた。
そして二人の一進一退の攻防は、互いの武器のぶつかりの勢いによって後ろに飛ばされたことで終えた。
舞台の損傷は激しく、抉られたり窪んでいたりなど凄まじい光景だった。
しかし、お互いに決定打を決めることが出来ずいたずらに消耗しているだけだった。
縁護:(やはり近接戦は自然の方が有利だな。何度も搔い潜ったがその度に体術か頭突きで距離を離される)
自然:(やっぱり守り
自然義兄さんが息を大きく吸って吐くと、自然義兄さんの空気に変化が起き始めた。
リード:「これは…」
煉武:「やはり会得していたか」
俺と煉武義兄さんは自然義兄さんの変化を知っているし姉さん達もその変化に気づいたようだ。
まあ当然か、昨日あんな常識はずれなものを見たら誰だって気づく。
自然:「
自然義兄さんの殺気がほとんど消えると再び武器を構えるが動こうとしない。おそらく、早くなれって言っているのだろうな。
それは縁護義兄さんも気付いているはずだ。
縁護:(良いだろう。三上さんのためにもお前をここで倒す!)
「
蒼華:『おおっと!!両者の雰囲気が大きく変わりました!昨日エンゴ様が一回戦で見せた
ソーカの解説が終わったと同時に二人の距離が一瞬でお互いの間合いに入る。
先に仕掛けたのは自然義兄さんだ。ライジングドラゴンロッドを繰り出し水月を狙っての正確な軌道で繰り出す。しかし側面から縁護義兄さんのメダガブリューがそれをライジングドラゴンロッドごと砕く事で防ぐ。
今度は縁護義兄さんがメダジャリバーを振るうが、自然義兄さんがライジングタイタンソード繰り出すとメダジャリバーが砕けた。
そして二人は再び距離を置いた。
これを見た観客達は、反応は凄まじかった。
観客:「おいおい何が起きたんだ!?」
観客:「急に消えたと思ったらすごい音が聞こえて、その後姿を見たらお互いの武器が壊れるぞ!!」
観客:「一体何しやがった!!」
観客が何が起きたのか推測し続ける中、俺と煉武義兄さんは違和感の正体に確信を持てた。
リード:「やっぱり…だね煉武義兄さん」
煉武:「ああ」
シズ:「どういう事?」
リード・煉武:「「二人の
日向:「…えっ」
俺と煉武義兄さんの言葉に姉さんはもちろんシズさんやアルノー達も絶句していた。
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カリオン:「あれでまだ不完全!?」
ゲルド:「どういうことですか!?」
リードと煉武が、縁護と自然の
生夢:「その答えは簡単さ。
生夢がカリオン達の前で
カリオン:「なんかエンゴさんより殺気を感じるんだが…」
生夢:「そうそれが答え」
ゲルド:「殺気がですか?」
生夢:「ゲルドやカリオンも相手にもよるが、技を殺気なしで放つなんて普通は出来ないだろう」
ゲルド:「ええ」
カリオン:「まあな、簡単な技一つ使うだけでも僅かな殺気は感じる」
生夢:「その通り。だけど
ゲルド:「なっ!?」
カリオン:「おいおいそれって!?」
生夢:「そう、命の奪い合いにもなる勝負において殺気を隠すことは出来ても完全に消すことは不可能な上に仮に出来たとしても無防備になる。だけど煉武兄さんと
生夢が『思考加速』を最大まで加速さえ、これからの勝負を一瞬も見逃さんとしてモニターに視線を向ける。ゲルドやカリオンもモニターに視線を向けた。
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トレイニー:「シャカト様、この勝負どちらが勝つのでしょうか?」
ラミリス:「分かんない?」
釈迦人:「だって、どっちが同じ条件同士の勝負なんて予測着くわけないじゃん」
迷宮で試合を見ていた釈迦人はふざけた態度で答えるが、その目は真剣そのものだった。
色付きのサングラスをかけて分かりにくいが、釈迦人にとって自分の
釈迦人:「しっかり手の内を明かしてくれよ二人とも、聖司達の時はまともな情報は霞程度しか得られなかったんだから」
舌で唇を舐めて試合の様子を見る釈迦人の姿に、ラミリスはギィにどこか似ていると思った。
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残った武器を構えてにらみ合う二人。圧迫的な緊張感の中少しずつ少しずつ、距離を詰めていく。
蒼華:『両者ともに動きませんが、これはお互いにカウンターを狙っているのでしょうか?』
ソーカには悪いけどそれは違う。今の二人は時魔家基本戦法である『先の先』を使っている。何が来るの、どう対応するのかでお互いにその作戦を考えているのだろう。
煉武:(しかしその時はもう終わる…動くぞ)
次の瞬間、自然義兄さんは凄まじい速度で縁護義兄さんに突っ込む。縁護義兄さんもそれは予想通りだったで胸のオーラングサークル内の下部分であるオーラングアンダーが光り出すと下半身が異常にまで大きくなり尻尾まで出現し、大きく尻尾を振るった。
自然義兄さんは跳躍することで難なく回避したが、どうやら縁護義兄さんはそれを狙っていたようだ。今度はオーラングサークルの中間部であるオーラングミドルが光り出し両肩のワイドスティンガーが伸びた。自然義兄さんは空中故に回避することが出来ず、両肩を貫かれてしまう。しかしどうやら自然義兄さんはここまで読んでいたようだ。序盤で行った筋肉を圧迫させる方法を肩で披露し、ライジングタイタンソードでワイドスティンガーを破壊した。
蒼華:『おおっと!!再びお二人が消えその直後に姿を現したら、シゼン様は両肩を負傷し、エンゴ様は両肩の装備を破壊されていた!!』
自然義兄さんはライジングタイタンソードに八属性の聖霊を纏わせる。縁護義兄さんもメダガブリューに八属性の聖霊を纏わせようとするが、一瞬早く準備を終えていた自然義兄さんが一瞬で自分の間合いに近づいて圧倒的な物理的破壊力と精神的破壊力のあるライジングタイタンソードを振るった。
凄まじい爆発が起き、あまりにも強すぎる爆風だったため俺とリムルと煉武義兄さんはそれぞれ咄嗟に三重の結界を張って観客を守った。
そして広範囲に広がった土煙が晴れていき舞台の状況が確認出来るようになる。
蒼華:『な、なんと!!!あの凄まじい攻撃をエンゴ様は流していた!!!』
ライジングタイタンソードを縁護義兄さんはメダガブリューで横に流していた。その威力は絶大で地面に底が見えないほどの細長い大穴が出来上がっていた。
自然:(嘘だろ!?確かに俺の方が速く動けてた。なのになんでこの攻撃防げてんだよ!?)
自然義兄さん自身何が起きたのかはっきりわかっていないだろう。自分の方が速く動けていたはずなのに、対応が追い付かない攻撃のはずなのに、理解が追い付ていなかった。
しかし、リードと煉武は既に気づいていた。
リード:「成程ね」
煉武:「自然のヤツ油断していたな」
日向:「どういうことですか!?」
リード:「見ればわかるよ」
俺はそう言ってただ試合を見ていた。
そしてその理由がみんなもすぐに気づいた。縁護義兄さんの殺気が自然義兄さんより薄いことに。
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縁護:「何故お前の必殺の一撃が対応されたかわからないようだな自然」
自然:「!」
縁護:「簡単な話だ。お前の
メダガブリューをライジングタイタンソードから離し、自然義兄さん目掛けて振るう。
自然:(
ライジングタイタンソードから手を放し防御の態勢になるが、それは来なかった。なぜなら縁護オリジナルの技が繰り出されたのだ。
縁護:「
軌道が曲がるという通常ではありえない軌道の剣が自然義兄さんをアルティメットフォームごと八か所同時に切り裂き傷口から大量の出血をする。
自然:「カハッ…」
(嘘だろ…まだこんな技隠し持ってやがったのか…一回戦のアレはこれを悟らせないためのブラフだったのか…クソッ、もう少しだと思ったのによ…)
縁護:「悪くなかったぞ。しかし、お前では私に勝てない」
この光景を『思考加速』で見ていたリムルは正直安心すらしていた。
リムル:(悪いな自然、縁護が勝ってくれて正直今ホッとしてる。だからこのまま倒れてくれ)
勝負アリ、誰もがそう思っていた。当事者同士である縁護や自然も素人の大半の観客達も、皆が同じ結果だと確信していた。
フラメア:「シゼン様!!」
フラメアの声が自然の耳に届くと、自然の足が寸前のところで踏ん張った。
縁護:「っ!?」
その光景に縁護は驚いていた。いかに兄弟一の耐久力をほこる自然でも、その耐久力以上の攻撃をまともに受けて
しかし、今最も驚いていたのは踏ん張った自然本人だった。
自然:(なんで俺立ってるんだ?変身も解けてない…どうなってやがる?)
ヨウム:「何やってるんだシゼン!!」
自然:(ヨウム?)
観客席に身を乗り出し大声で自然を呼ぶヨウム。その表情は苛立ちが含まれていた。
ヨウム:「何ぶっ倒れかけてんだ馬鹿野郎!絶対に負けるんじゃね!お前俺達英雄ヨウム一団最強の男だろうが!!」
息切れをしながら必死に訴えるヨウムの姿に皆の視線が集まる。しかし蔑む目線をする者は誰一人としていなかった。
フラメア:「シゼン様!!」
フラメアの声が聞こえる方角に視線を向けると自分が入場してきた登場口にその姿があった。
フラメア:「頑張って下さいシゼン様!あなたが戦いを諦めるなんてあり得ません!あなたは誰かのためにならどこまでも強くなれるお方です!!だから諦めないで下さい!!」
自然:「!?」
フラメアの言葉を聞いた自然は記憶の奥底に眠っていた実の母である
自然:「‥‥‥はぁ~~~ったく!ヨウムの馬鹿が無茶ぶりを要求するわ。フラメアのせいで諦められなくなるわで散々だよ」
大きなため息を吐いて頭を掻きながら文句を言うが、その声は文句を言う者の声ではなかった。
自然:「ホントによ、しょうがねぇなぁ。あそこまで言われちゃ…勝つしかねえだろう!!」
リード:「色が!?」
煉武:「アレはグローイングフォーム?」
日向:「…いいえ違います!」
黒いアルティメットフォームが
世界の言葉:『確認しました。新規固有スキル『属性紋』の獲得───成功しました』
自然:「名づけるなら、仮面ライダークウガアルティメットエレメンタルフォーム、かな?行くぜ縁護兄貴」
縁護:「‥‥‥」
蒼華:『な、なんとー--!!ここにきてシゼン様に変化が起きた!!一体、どうなるのでしょうか!!!』
この決勝戦の決着は最早神ですら知ることは出来なくなった。出来るとするなら決着が既に目前にまで迫っているという事だけだった。果たして、勝つのは縁護かそれとも自然なのか。
一体自然君に何が起きているのかしら?だけど、この勝負どちらが勝つのかまだまだわからなくなっちゃったね。
縁護君も自然君もどっちも頑張って!!