転生したら天魔人だった件   作:通りすがりの気分屋

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今日は俺、リムル=テンペストがやるぞ。
開国祭三日目の武闘大会決勝戦の縁護(エンゴ)自然(シゼン)の勝負は縁護の必殺技が決まり、縁護の勝ちだと思ったんだけどなんと自然が土壇場でパワーアップしてしまった。
明らかにやばそうだけど、縁護頑張ってくれ!自然と戦うなんて俺嫌なんだけど!?


開国祭三日目・武闘大会決勝戦 決着

自然義兄(にい)さんが土壇場でオリジナルフォーム、仮面ライダークウガアルティメットエレメンタルフォームを前に縁護義兄さんの警戒心は最大限まで高まっていた。未知の力を前にして、縁護義兄さんの情報収集能力で導き出された答えによってアレくらいの警戒心を出させたのだ。

 

縁護:(仮面ライダークウガアルティメットエレメンタルフォーム…完全な未知の力だが、ダメージは確実のはずだ。それに能力の予測はある程度出来ている。いつでも対応が可能だ)

 

縁護義兄さんはメダガブリューを握りなおして、いつでも迎撃できる構えをとると、自然義兄さんはそれを狙っていたのか通常じゃありえない速度で縁護義兄さんに突っ込む。

 

リード:(あの速さ、光の聖霊の力で俺の『閃光』に限りなく近い!だけどそんな直線じゃカウンターをもろにくらうぞ!)

 

俺の予想通り縁護義兄さんがタイミングを合わせてカウンターを狙いメダガブリューを振り下ろすと、()()()()()()()姿()()()()()

 

縁護:「っ!?」

 

縁護義兄さんのメダガブリューが空振りし地面を抉るが、自然義兄さんは姿を消してるようではなく言い換えるなら存在そのものが消えたというべきだ。あの速度で突っ込んで急ブレーキをしたにしても縁護義兄さんと激突するはずなのに、縁護義兄さん本人にその様子は見られなかった。

 

蒼華(ソーカ):『おおっと!突然シゼン様が消えてしまった!?いったいどこに消えたのだ!!?』

 

この異常な事実に俺達も戸惑っていた。何故なら俺達も自然義兄さんの姿を確認できていなかったからだ。

 

煉武(レンム):(ありえない私の『万能感知』で見つけることが出来ないだと!?)

 

リムル:「(智慧之王(ラファエル)先生、本当に自然を見つけることが出来ないのか?)」

 

智慧之王(ラファエル):「(是。範囲を広げて『万能感知』を発動させていますが、残滓すら感知されません。)」

 

リムル:「(マジかよ…)」

 

やっぱり、リムルや煉武義兄さんも姿を確認することが出来てないみたいだな。こうなったら『聖魔眼』を発動させてみる。

すると驚きの光景が映った。

 

リード:「どういう事!?」

 

驚きのあまり椅子から立ち上がるが仕方ないだろう。

何故なら、自然義兄さんが()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

そう、『万能感知』ではその姿が確認されないのに何故か俺の聖魔眼では捉えることが出来ていた。

 

リムル:「リードどうした?」

 

煉武:「何かわかったのか?」

 

リード:「‥‥‥これを見て」

 

二人に『思念伝達』で俺が見た光景を映すと二人も驚いて舞台と俺の見た光景の二つを見比べていた。

 

煉武:「これほどの速度で走り続ければ、普通は竜巻が起きてもおかしくない。それに地面になんの影響も出ていないだと!?」

 

リムル:「(智慧之王(ラファエル)先生どういう事だ!?)」

 

智慧之王(ラファエル):「(解。リード=テンペストの情報から推測すると時魔自然(シゼン・トキマ)は空間の聖霊の力を使って別の次元に移動したと推測されます。)」

 

リムル:「(そんなこと出来るのか!?)」

 

智慧之王(ラファエル):「((いな)。空間の聖霊だけでは不可能です。しかし先ほど時魔自然(シゼン・トキマ)は上位属性である光の聖霊の力と移動した時に発生した力の二つを加えることでそれを可能とし、時魔縁護(エンゴ・トキマ)にはその姿を確認することも触れることも出来ません。)」

 

リムル:「(それじゃあ自然が圧倒的に有利じゃないか!?)」

 

智慧之王(ラファエル):「(否。時魔自然(シゼン・トキマ)時魔縁護(エンゴ・トキマ)の姿は見ることは可能ですが触れることは出来ません。お互いに別の次元の物体に干渉することは出来ないからです。)」

 

リムル:「(つまり、攻撃する時は姿を現すしかないってことか?)」

 

智慧之王(ラファエル):「(是。)」

 

シズ:「リムルさん、何かわかったの?」

 

リムル:「あ、ああ実はな───」

 

リムルはおそらく智慧之王(ラファエル)から得た情報を俺達に教えるとシズさんや姉さんは言葉も出なかった。

理屈は理解できるけど、それを実行するとしたらとんでもない魔素(エネルギー)量を消費する上に、自滅する可能性が高い博打にもならない無謀な行動だからだ。

しかし、その無謀な行動はもう終わるようだ。

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

縁護は消えた自然がどこから襲ってきてもいいようにいつでも対応可能な態勢で待ち構えていた。

そして背後の空間の歪みを察知した。

 

縁護:「そこか!…っ!?」

 

気配を感じた方角に体を向けるとそこには確かに自然の姿があった。しかし、その姿を確認し、『万能感知』と持ち前の情報収集能力から導かれた予測に驚きを隠せずにいた。自然はなんとそれを狙っていた。

兄である縁護の情報収集能力を封じるには、自身の存在の情報をぎりぎりまで与えないようにするしかなく、自然は激しく消耗する博打に打って出たのだ。

 

縁護:(先ほど以上に聖霊の力が集結している!そして、殺気が()()()()()()!!)

 

自然:(くらえっ!)

 

縁護:(まずい!)

 

アルティメットエレメンタルフィスト!!

 

鏡花水月(きょうかすいげつ)!!

 

縁護は咄嗟に鏡花水月で回避しようとするが左肩に自然の拳が直撃し、縁護の左腕が力を失い重力に従って拳が落ち、左右に揺れた。

 

蒼華:『なんと!?シゼン様のあの凄まじい一撃を前に流石の縁護様も無傷ではいられなかったようだ!』

 

自然:「クソッ!!もう一発…ッ!」

 

縁護:(なんという破壊力だ!『無限再生』が発動できないとみると、『破壊之神(シヴァ)』で魂との繋がりを一時破壊したか…だが、この勝負もらった!)

 

仮面の下で縁護は僅かに口角を上げると、自然の体から血が噴き出した。

そして片膝をつき、アルティメットエレメンタルフォームからアルティメットフォームに戻ってしまい、背中の紋章も消えてしまう。

 

蒼華:『どうしたのでしょう!?突然シゼン様の体から血を吹き出し!先ほどの姿に戻ってしまったー--っ!』

 

ヨウム:「シゼンー----!!」

 

自然:「ハァ…ハァ…ハァ…」

(クソッ!あと少しなのに…)

 

縁護:(土壇場でパワーアップは焦ったが、流石にダメージが深いあの体ではもたなったようだな)

「私の勝ちだ自然。安心して気絶しろ」

 

シゼン:「ッ…!」

 

ヨウム:「クソッ!」

 

今度こそ勝負アリ。誰もが、ヨウム達すらそう考えていた。()()()()()()

 

フラメア:「諦めないでください!シゼン様!」

 

自然:「フラメア…」

(諦めるなって…大技二発とも対処されて体はもうボロボロ、もう打つ手がねぇ…)

 

フラメア:「だってエンゴ様は、鬼竜武神化(きりゅうぶしんか)を解除しています!」

 

自然:(‥‥‥は?)

 

縁護:(まずい!)

 

フラメア:「先ほどの自然の攻撃を避ける際、エンゴ様から殺気が肌で感じる程でした!つまりそれは鬼竜武神化(きりゅうぶしんか)を解いたということですよね!?それなら肩に当たっただけでも凄まじいダメージの筈です!それにエンゴ様の動きに違和感もありました!あの剣の対応も間違いなく響いています!追い詰めらているのはエンゴ様も同じなんです!!」

 

フラメアのユニークスキル『好事家(モノズキハ)』は、審美眼と解析鑑定に特化したユニークスキルである。その性能を誰よりも理解していた自然に再び闘志に火が付くと、両腕の筋力だけで体を上空に跳び態勢を整える。

 

自然:(ありがとよフラメア。おかげで再点火出来た!)

 

縁護:(まだ動くのか?)

 

蒼華:『ここで再びシゼン様が復活したー--!どうやらまだ諦めていないようだ!!』

 

観客達の声も響き、自然を応援する声も聞こえてくる。しかし、今の自然が一番聞こえる声援はフラメアとヨウム達だった。

 

フラメア:「シゼン様ー--!!負けないでください!」

 

ヨウム:「勝てー---!シゼン!!」

 

自然:「もうコレにかけるしかないな。ハァッ!!」

 

縁護:「っ!!」

 

フラメア:「きた!」

 

日向(ヒナタ):「あの動きは!」

 

自然は残された最後の手段である武踊(ぶよう)を使う。独特なリズムでのダンスで観客を魅了していく中、ヨウム達はますます自然の勝利に確信を持てるようになっていく。

 

ヨウム:「なあミュウ、これなら」

 

ミュウラン:「ええ、いけるわ」

 

煉武:「それはどういう根拠があっての発言だ?」

 

ヨウム:「確かにシゼンは俺達の中じゃ一人でも最強だった」

 

ミュウラン:「だけど、フラメアから情報を得た時はそれ以上の動きで戦っておりました。私の記憶じゃそれで上位龍族(アークドラゴン)を何の苦もなく完封してしまう程です」

 

ミュウランが自信満々で言う姿に煉武とリムルは内心喜んでいた。自然の事をここまで信じてくれる事に二人はただ喜んでいた。

 

縁護:「これ以上付き合うつもりはない!」

 

自然:「そんな冷たいこと言うなよ!」

 

縁護はメダガブリューを振るうが、自然はそれを右腕で流す。それをきっかけに最初はどこかぶれていた自然の踊りの動きが洗練され始めていく、そんな中自然はあることを考えていた。

 

自然:(…フラメア、お前は本当にすげぇヤツだな。お前の情報が俺をより楽に勝たせてくれる)

 

それはフラメアへの賞賛と感謝だった。

 

自然:(さっきだってそうだ。俺はあの時確かに意識を失った。なのにお前の声で目覚めた…うん?フラメアの声で‥‥‥あっ)

 

ここで自然は何故あの時フラメアの声で意識が戻ったのか。その答えを義弟(おとうと)からの話で導いた。

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

それは、二人で稽古を終え、昼食を食堂で食べていた時。自然が興味本位で聞いたことだった。

 

リード:「暴走時の事?」

 

自然:「うん。お前シュナだけ何もせずただ避けていっただけだろ?もしかして意識あったのか?」

 

リード:「うーん…あの時は七曜の皆殺しとそれに従った奴らの殲滅っていうのでほぼ頭がいっぱいだったな」

 

自然:「ほぼ?」

 

リード:「うん」

 

運ばれていきた大盛り牛丼と大盛りカツカレーが運ばれてくると、二人はそれを食べながら話を続けた。

 

リード:「あの時もシュナの事を考えてし、暴走してた時なんてシュナの声を頼りにしてたから」

 

自然:「どういうことだよ?」

 

リード:「あの時、意識が何もない空間を彷徨(さまよ)っているような感じがして宛てもなく歩いていたんだけど、突然シュナの声が聞こえてきたんだ」

 

自然:「ふーん」

 

リードの話を聞きながら、自然は切られた分厚いトンカツを口の中に運び咀嚼しながら相槌を打つ。

 

リード:「もちろん皆の声も聞こえてたんだけど、方向がわからなくて…」

 

自然:「なんだそれ…」

 

リード:「だけど、シュナの声だけははっきり聞こえたし、方向も分かった。だからそれだけを頼りに歩いたんだ」

 

自然:(あっ、もう話の顛末読めてきた)

 

リード:「そして、気付いたらシュナとキスしてたってわけ」

 

自然:「だと思ったよ。ごちそうさん」

 

自然は、ため息をつきながら何も無くなった皿を持って返却棚に置いて午後の訓練に向かった。

この時リードは自然を見ながら、自分と煉武の二人と縁護達の差を既に気づいていた。

 

リード:(今の義兄さん達が必要なのは、強さでもなければ技術じゃない。命を賭してでも誰かを守りたいと思う心が必要なんだ。煉武義兄さんは俺達の事でそれを成しているけど、それはすぐに利かなくなる。それを言うなら、自然義兄さんが一番近いか…)

 

リードは、自然とフラメアが二人きりの時、自然の表情が自分が知る中では一番穏やかで優しい顔をしていたことはっきりと覚えていた。

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

答えに気付いた自然は、猛攻を繰り出しながら仮面の下で笑みを浮かべる。

 

自然:(なんだよそういう事かよ。聖司(セイジ)に散々馬鹿って言ってたのに俺の方が大馬鹿じゃねぇか)

 

自然は『万能感知』でフラメアの様子を確認すると、完全に信じ切った目で見ていたことを知る。その様子に自然は嬉しさを覚え、あることを確信する

 

自然:(フラメア。俺はようやく俺がお前に対する見方を知ることが出来た)

 

縁護のメダガブリューの攻撃を受けてしまい、自然は後ろに下がってしまうが舞台ぎりぎりまで踏ん張る。

 

自然:(参ったな、どうやら俺はお前を配下や仲間として見ることが出来ねぇみてぇだ)

「縁護兄貴、次で終わらせようぜ」

 

縁護:「…良いだろう」

 

自然が片足に力を籠めると、縁護もメダガブリューに残りの力を籠め始める。

 

蒼華:『おおっと!どうやらお二人はそろそろ決めるようです!』

 

会場の空気が緊張で包まれる中、自然は利き腕に残った膨大な力を溜め、縁護も自分の魔素(エネルギー)をメダガブリューに吸わせる。二人に僅かな間静かな時間が訪れるがそれはすぐにおわりを告げる。

自然が一気に駆け込み拳を放つと縁護もタイミングを合わせてメダガブリューの必殺技である『グランド・オブ・レイジ』を繰り出し、激突する。

 

自然:「うおおおぉー----!!!」

 

縁護:「はあああぁー---ー!!!」

 

凄まじい一撃のぶつかり合いによる発生する余波も凄まじく、リードとリムル、煉武が咄嗟に結界を張って対処する。この時、対峙していた縁護すら誰も気づいていなかった、自然の両目が僅かに()()()()()()()が宿っている事に。

 

フラメア:「ッ…シゼン様!!」

 

二人のぶつかりは観客席にまで届くほどの爆風が起きるが、リード達によって事なきを得た。

 

蒼華:『い、一体どちらが勝ったのでしょう』

 

二人のぶつかり合いで異常な魔素の乱れが発生し感知系のスキルが使えないため、肉眼でしか確認することが出来なくなり、土煙が大きく上がるが、やがて舞台の様子が確認できるようになった。

 

蒼華:『こ、これはー---!?』

 

そこにあった光景は、変身解除された倒れている縁護と自分の血で赤く染めあがっていたグローイングフォーム姿の自然だった。

 

蒼華:『しょ、勝負ありー---!!激闘に次ぐ激闘を繰り広げ、最後まで立っていたのはシゼン様だったー---!!』

 

ヨウム:「よっしゃー--!!」

 

誰よりも喜び雄叫びを上げるヨウム。ここでミュウランはあることに気付いた。

 

ミュウラン:(いつものシゼンなら『うるせぇ!』って言う筈なのに…まさか!)

 

ミュウランはある予感が頭の中で過るとそれは的中し、変身が解除され自然の体が前に倒れていく。

 

ヨウム:「シゼン!」

 

しかし、寸のところで自然の体を誰かが支えた。

 

フラメア:「ぐぬぬぬ…」

 

自然:「…フラ…メラ…」

 

フラメア:「お…重い…!」

 

フラメアは両手で自然を支えようとするが、それは数秒程度しか支えられず二人とも倒れると思ったその時、地面が手の形をして二人を支えた。

 

ミュウラン:「まったく、無茶ばっかりするわね」

 

自然:「へへ…悪いなミュウラン」

 

フラメア:「ありがとうございますミュウラン様」

 

ヨウム:「お前らー--!俺達最強の男を今すぐ医務室に運ぶぞ」

 

ヨウム一団:『おおー--!!』

 

転移魔法で呆れながら自然達を支えるミュウランや後からやって来たヨウム達に運ばれていくの彼らのやり取りは正に地位も関係のない仲間達の姿であった。




さ・い・あ・く・だ!!
嘘だろマジで自然と戦うの!?嫌なんだけど、アイツらって重傷でも戦うっていう戦闘民族の思考回路してるんだけど、いやだー--!
自然と戦いたくない!アイツを傷つけたくない!

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

自然とは別々の医務室で休んでいる縁護にエルメシアは付きっきりでいた。エラルドもいたのだが、天帝命令で観客席に戻らせた。
そしてつい先ほど、縁護の意識は回復していた。

エルメシア:「エンゴ…」

縁護:「エルメシア…すまない。土壇場で化けた自然(アイツ)の実力が知りたいと思ったばかりにこんな失態を…」

エルメシア:「そんなことはないわ!エンゴも凄く頑張ったもの!!」

縁護:「いいや、魔法師団(メイガス)の特別教官の名に泥を塗った…本当にすまない」

エルメシア:「エンゴ…」

縁護:(自然にあって、私には無いもの。それが敗因だ。一体なんなんだ?)

縁護は拳を強く握り、今回の敗北で自分に足りないものが分からず、ただただ悔しい思いでいっぱいだった。
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