彼は謎の声に導かれこのジュラの森に足を運んだ。我が魔王は彼の失った片翼を治すのを承認し、それに備えて我々の家に戻った。
「森にいたソウエイの分身体を射貫いた!?」
「俺も驚いたよあんな遠くにある森に届くだけでも驚きなのに、その森にいたソウエイの分身体を射貫いたなんて誰も思ってもみなかった」
リードは明日の治療に備えて必要な物を机の上に置いていた。
リードが帰って来るとリムルがおり、客人のことをきいてきたのでリードはありのままのことをすべて話すとリムルは冷や汗をかいていた。
「…こんなもんか?」
「治療なら俺の回復薬があるのに」
「それは最後に使う?」
「最後?」
「あの
「どうやって知った?」
「リグルが宿に案内させたとき背中を『聖眼』と『魔眼』で確認したあと戻ってくる途中偶然ゲルドのオーラがみえて確認したら背中の呪いと質がよく似てたから確信した」
「じゃあどうするんだ?」
「呪いごと背中の筋肉を削る」
「え?」
リードがあまりにも恐ろしいことを言ったためリムルは一瞬理解が遅れた。
「マジ?」
「じゃないと治療出来ない」
「でも痛みのあまりもだえるだろ?」
「コウホウとウォズ、リグルに四肢をおさえてもらう」
「………」
「なんだ?」
「お前予知夢を見る度に成長してないか?」
「?そうか?」
「ま、しっかり治してやるんだぞ」
「おお」
リムルは自分の家に帰るとリードは机にならべた明日の治療に使う物を確認した。
「えっと…四肢をおさえるためのベルト、悲鳴をださせないための口枷、そして最後に使うリムル(大賢者)の回復薬………これでいいか、ふあ~~、もう寝よう」
リードは道具の確認すると自室に入って休んだ。
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翌日、リードはシュナに作ってもらった死覇装を着て昨日のメンバーを集め、ゲルドに頼んで作らせた仮設の治療所に集まっていた。
「説明は今朝リグルからきいてると思うけど一応もう一度聞く……本当に良いんだな?」
「かまいません」
「俺のスキルで感覚を消すことができるけど…」
「必要ありません」
「………」
「これから受ける痛みは自分の未熟さへの罰だとして受け入れるつもりです、だから必要ありません」
「……わかったそのベットに横になってくれ」
「はい」
リードは青年の覚悟がわかるとこれ以上のなにをきいても無駄と悟り青年をベットに寝かせると念のため青年の手足をベルトでとめた。コウホウに足を、ウォズとリグルに右腕と左腕をおさえた。
「最後にこれもいいか?」
「おねがいします」
青年の悲鳴をおさえるため口枷を嵌めるとリードは青年の傷口をみた。
その傷は切られたような痕があり、リードが『聖眼』で確認するとその中の筋肉は翼の付け根寸前まで腐っていた。
リードは青年の傷口に手をかざし『光』の魔力をこめると楕円形の光の塊が青年の傷口を包んだ。
「ッッーーーーーーーー!!」
呪いの部分ごと背中の筋肉を消し飛ばすと青年の大量の血がリードにつき、青年は痛みのあまりベルトが切れる程暴れるとコウホウたちは必死にとめた。
「くっ!」
「我が主!」
「リード様早く!」
「わかってる」
リードは回復薬をかけると青年の動きがピタリと止まり気を失った。
「ウォズ、彼は?」
「問題ありません、気を失っているだけです」
「そうかコウホウ、彼を宿まで運んでくれ」
「は」
「ウォズはリムルにこの事伝えて」
「了解しました」
コウホウは青年を背負い宿まで送り、ウォズはリムルの報告のために仕事場に向かった。リードも出かけるために翼と羽をだした。
「リード様どちらへ?」
「ちょっと湿地帯まで行ってくる」
「?何故?」
「聞くな」
「!…わかりました」
リグルはリードの湿地帯でなにをするのか悟るとリードをそのまま湿地帯に行かせた。
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湿地帯ではオークたちとリザードマンたちが巨大な石柱をリムルとリードそしてオークディザスターゲルドが闘った場所に建設していた。
「お~いアビル!」
「これはこれはリード様」
リードは建設中の石柱を現場監督をしているリザードマンの首領アビルのもとに着地した。
「どうだ慰霊碑の建設は?」
「順調です、あと少しで完成します」
「そうか」
リードは建設中の慰霊碑に視線を向ける様子をアビルが顎に手をあててみていると率直なことを言った。
「しかしリード様はやはり優しいお方だ」
「そうか?」
「ええ、しかしその優しさがいきすぎれば最悪自分自身を殺すことになります。どうか胸の中で留めておいてくだされ」
「……ありがとうアビル」
「いえあなたをみていると少々心配になるので、つい」
「それでも忠告ありがとう、それじゃあ完成したら教えてくれ」
「もちろん、お気をつけて」
「じゃあな」
リードはアビルに別れ告げ再び翼と羽を広げて町に戻っていった。
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リードが町に着いた時には既に夜になっていた。着地した場所はリードたちの家の前だった。正面玄関にはウォズとコウホウが出迎えた。
「お帰りなさいませ、我が主」
「ただいまウォズ、コウホウ」
「リード様、あの
「はやいな、わかったすぐに行く」
リードはすぐにリビングに行くと翼がもとに戻った
「悪い私情で少し出かけてた」
「かまいません………リード様」
「“様”?」
青年は立ち上がりリードの前に跪いた。
「オレをあなたの配下に加えてください」
「………故郷はいいのか?」
「…故郷に戻る気はありません…あなた様に会えなければオレは一生片翼のままでした、しかしあなたはこんな余所者のオレの翼を治してくださった……だからこの恩を返させてください!」
「……そっか、お前名前は?」
「え?今は名を捨て
「なら新しい名前を配下の証として与える、ウォズとコウホウは何か異論はないか?」
リードは青年を配下に加えると決めるとウォズとコウホウに異論はないか確認した。
「ありません我が主」
「あんなのを目の前でみられたら、異論はございません」
「よし決まりだ今後もよろしくな!」
「!…はい!」
「それじゃあ、お前の名前は“
「ホウテン…」
リードは名付けの魔素を少し消費したが十分の一程度だった。
そして青年は自分の新しい名前を何度も繰り返し言った。
「ホウテン、お前の荷物は?」
「え?宿に少々ありますが…」
「じゃあ、明日それをここに持ってこい、部屋はまだまだ空いてるから」
「良いのですか?」
「もちろん」
「……ありがとうございます!明日荷物をここに持ってきます」
ホウテンは自分の泊まっている宿に飛んで帰っていった。
「今日からシェアハウスって呼ぶことにするか」
「それは何故?」
「たぶんもっと住居人が増えると思うから」
「ぬはははは!リード様が言うならそうでしょうな!」
「まあ、君みたいな邪魔なヤツでなければ私は構わないけどね」
「ほうヤるか?」
「お前ら時間考えろ」
「「………はい」」
それを見送ったリード達はもう遅い時間になっていたので3人とも自室に戻ることにした。
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ホウテンが仲間になって一月が経ちリードはリムルに書類を届けるためホウテンと共に
コウホウとウォズから意見があったがリードはホウテンにこの町のことをいろいろと知って欲しかったのを理由に納得させた。
「リード様、何故執務室ではなく更衣室なのです?」
「見ればわかる」
「?」
ホウテンはどういうことなのかわからず首をかしげるが、リードは気にせず更衣室の前にくると右手でノックをした。
「リムルーお前に確認してほしい書類があるんだけど入っていいか?」
「リード助かった早くきてくれ!」
「??」
ホウテンは更衣室から聞こえてくるリムルの必死の声にさらに首をかしげた。
そしてリードが扉を開くとホウテンは更衣室の光景に目を疑った。
「リード様これは?」
「うちの女性陣はリムルを着せ替え人形にするのが定番になってきるの」
それはリムルがシオンやハルナ達に女装をさせられていた。
「まあ今回はそんなに種類は多くないみたいけどって………なんで泣いてるんだ?」
「いえ…まさか…同じ苦労をしている者がいて……つい」
「ホウテンまさか君も…」
「はい!故郷の姉に休日に着せ替え人形にされ!しかもすべて女の服と!もう心休まるのは弓の練習くらいです!!」
「ホウテン!」
「リムル様!」
同じ苦労を味わっている者同士硬い握手をしている光景をみたリードはなにも言えず持っていた書類を近くの机において更衣室をでていき、リムルが出てくるまで待った。
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リムルがシオンに抱えられ、リードがホウテンを連れて食堂に向かう途中、仕事が片づいたウォズとコウホウに会い皆で行くことになった。
「そういえばホウテン。君、私たちと会ったときどうやって足を人間の姿にしていたんだい?」
「えっ?ウォズ、それどういうこと?」
「
「へぇ」
「それはオレのスキルのおかげです」
「スキル?」
「はい、『
「もしかしてそのスキルでずっと旅を?」
「ええ」
「なら今もそのスキルを使っているのか?」
「いえ、リード様に名付けられてからは何故か足は人間のものに変わっていたのです。念じれば戻りますよ」
「ふーん」
(もしかして名付けってその名付け親の願望にも影響してるのか?)
そのような会話をしていると食堂が見えてきた。リードそこで恐ろしいことを口にした。
「もし手が足りなさそうなら手伝うつもりだけど、ウォズ達はどうする?」
「「「!?!?」」」
「リード様、料理出来るので「我が主それなら私が手伝うので我が主は休んでいてください!」…どうしたウォズ?」
「さよう、ウォズの言うとおり!リード様はゲルドと同じくらい働いているので少しの時間だけでも休んでください!」
「………シオン、少しリムル様を渡してくれないか?ちゃんとすぐに返す」
「え?わかりました…」
ホウテンは普段喧嘩ばかりのウォズとコウホウが急に息の合った説得行動からある答えを見出だしたが、確認のためシオンからリムルをもらい小声で話した。
「あの~リムル様、もしかしてリード様の料理は………」
「察しが良くて助かる、既に被害者はウォズとコウホウそしてリグルの3名がでた」
「なんと…」
「あとシオンの料理も同レベルで危険だから気をつけろ」
「わかりました…シオンありがとう」
「いえいえ」
そんなやり取りをしていくとリムル達は食堂に到着したがいつもと違うことに気づいた。
「アレ?なんかいつもより騒がしくないか?」
「たしかに…」
リードは食堂の扉を開けるとそこにいたのは
「アレ?お前ら…」
「なんでいんの?」
「これはリムル様、リード様!!」
リザードマンのガビルとその配下達であった。それをみたシオンとコウホウは
「「斬りますか?」」
と背負っている自分の得物に手をのばした。
「ウォズ、この者たちは?」
「我が主とリムル殿に無礼をはたらいた愚か者たちだ」
「射貫きましょう」
「まっ待たれよ!我輩の話を聞いていただきたい!!」
コウホウとウォズ、ホウテンの殺気が本物だとわかったガビルは慌てて自分たちが来た目的を話した。
「つまりアビルに勘当され、俺達の配下になりたいと…」
「はい!」
(リムル、どうする?)
(他に行く当てがないなら別にいいんじゃないか?)
(たしかにガビルはどこか抜けてるが仲間思いのいいヤツだし大丈夫か…アレ?)
「そういえば、なんで親衛隊長までいるんだ?」
リードの記憶上ガビルの妹である親衛隊長は罪を犯していないはずなのにガビルと一緒にいることに疑問を抱いていた。
それを察した親衛隊長は立ち上がり自身のことを話した。
「いえ、私は勘当された訳ではありません、リムル様から名を賜った父の統率は今後100年は揺るがないでしょう、なので見聞を広めよと、私を見送りだしてくれたのです」
「えっ!?我輩を慕って付いて来たのでは…っ」
「いえ、違います、一応は兄上を慕っていますが、それよりもリード様とソウエイ様に憧れておりまして…」
親衛隊長はキッパリと否定し本音を言うと頬がほんのり紅くなりまるで恋する乙女のような表情で言うとガビルはショックを受けたがすぐに口喧嘩に発展した。
(ソウエイはともかく俺にも憧れているなんて…)
(お前は少しは自分の顔のよさに気づけ!)
(?)
リムルとリードも脳内会話で軽い口喧嘩がおきたが、すぐに名付けの人数をわけた。
リムルはガビルの配下100名に、リードは親衛隊長とその配下4名に名付けをすることになった。
「そうじゃあ…親衛隊長から順に
リードが名付けを行っているとガビルがじっとリードのことを見ていた。
「…なんだ?」
「ああ!いえ別に…」
「言っとくけどお前にはもう『ガビル』って立派な名前が…!?」
リードがガビルに軽い注意をしようとすると魔素が大量に持っていかれたのを感じさらにガビルがひかりだした。
(なんで?…あっ!?もしかして名付けって上書き出来るのか?だとしたら失敗した!)
「ありがとうございます!今後もよろしくお願いいたします!」
「………ハァー、あまり手柄をあげることに急ぐなよ」
「ハッ!肝に銘じておきます!」
あまりのガビルの喜びにリードは自分の失敗がくだらないと思えてきて、ガビルがもっとも注意すべきところをするとそのままみんなで昼食をとることになった。
こうして我が魔王の配下に
しかし今この町にある者たちが近づいていることに私たちはまだ知らない。