転生したら天魔人だった件   作:通りすがりの気分屋

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我が魔王達の町に武装国家ドラルゴン国王ガゼル・ドワルゴンがやって来た。
彼らの目的は我が魔王リード・テンペストを見定めることであった。我が魔王は自分が無害と証明するためにジオウガイムアーマーに変身しガゼル王と一騎打ちにのぞんだ。


心強い味方

剣を構えた二人はそのまま動かずにいた。

緊迫する空気の中リードはあるタイミングを狙っていた。

 

(まずはどれくらいなのか…)

 

やがて一枚の葉がガゼル王の右目に重なった。

 

(小手調べだ!)

 

リードは瞬動法でガゼル王に接近し、右手の『大橙丸』で左頭部を狙い、左手の『大橙丸』で下斜めから攻撃した。

ガゼル王は捌ききれないと判断し後方に避けるとリードはその距離を瞬動法で接近し十字型に攻撃を繰り出すがガゼル王はこの攻撃を受けリードを押し出す。

うまく着地したリードは再び体勢を整えた。

 

(流石にこれは無理か、ならこれならどうだ?)

 

今度はリードは残像が数体出来る程の瞬動法でガゼル王の周りを高速で移動した。

 

(おいおい、残像出来てるぞ…)

 

「ほう、瞬動法をあのように使いますか」

 

「我はあまりおすすめ出来ませぬと言ったのだが…」

 

「いやいや、あれもリード様の戦い方だ」

 

リムルがリードのやり方に驚きハクロウがリードの瞬動法に感心しているなか、ガゼル王はリードの残像に惑わせれず冷静にリードの出方を窺っていた。

そして右斜め後ろから攻撃するとガゼル王は体を捻らせリードの攻撃を弾いた。

その後もリードはあらゆる方向と位置から攻撃を繰り出すが、ガゼル王は避けたり捌いたり受けたりなどで対処していた。

 

「リードさん…」

 

「大丈夫ですシュナ様、リード様なら必ず勝ちますとも!!」

 

(ガゼル王はその昔剣鬼と呼ばれる達人に教えを請い、その剣技をもって英雄王と謳われるお方、生半可な剣技で勝てる相手じゃないぜリードの旦那)

 

シュナは心配そうに見ているなかリードは攻撃を止め距離をおいた。

 

(流石英雄王と呼ばれることはあるな、そう簡単に当ててくれないか)

 

「どうしたその程度か?」

 

「うるさい、まだまだこれからだ」

 

「ではこちらからいくぞ!」

 

ガゼル王は宣言し構えをとった。

 

(!!あの構えは!)

 

リードがガゼル王の構えに気づいたと同時にリードはドライバーを回転させた。

 

「朧・地天轟雷!!」

 

フィニッシュタイム!鎧武!

 

ガゼル王は一瞬でリード視界から消えた。

 

(!やっぱりあの技だ……ということは…)

 

ガゼル王の剣がリードの下から襲いかかって来るがリードはそれを避ける。

 

(次は……上だ!)

 

リードは両手の『大橙丸』にエネルギーを溜め姿勢を低くした。

そしてガゼル王の2回目の攻撃が上から来るとリードはこの攻撃を迎え撃った。

 

スカッシュ!タイムブレイク!

 

二人の剣がぶつかり合い金属音が響くと同時に2つの棒状の物が宙を舞った。

 

「…へへ、結構ギリギリだった」

 

やがて棒状の物___ガゼル王の剣の一部が地面に突き刺さった。

 

「ふっふははははははッ、こやつめ俺の剣を叩き折りおったわ!!」

 

ガゼル王が大笑いしているがリード少々混乱していた。

 

「あ、あの?」

 

「俺の負けだ、お前が邪悪ではないと判断した。良ければ話し合いの場を設けてもらいたい」

 

「___では、勝者リード・テンペスト!!」

 

リードの勝利で周りから歓声があがる中、リードは変身を解除した。

 

「見事だったぞリード、しかしよくぞ俺の朧・地天轟雷を見切ったな」

 

「いやあ、その技俺の剣の師匠が使ってて、この前その対策が出来てたばかりだったから」

 

「なんだと!?まさかその師匠とは…」

 

「ほっほっほっお見事でしたぞリード様」

 

ハクロウが近づいてくるとガゼル王が驚きの表情を浮かべていた。

 

「まさか剣鬼殿ですか?」

 

「森で迷っていたあの時の小僧が見違えりましたぞ、いえドワーフ王、儂以上の剣士になられて」

 

「剣鬼殿に言って頂けるとは恐縮です」

 

お互いの再会に昔のことを話しているとリードは二人を交互に見ていた。

 

(ハクロウが師匠だったとは、道理であの技が使えるハズだ)

 

「さあ早く案内してくれリード、リムル。上空から見たかぎりじゃ美しい町並みだったぞ?美味い酒くらいあるのだろう?」

 

「…まああるけど」

 

「裁判の時と比べて軽すぎない?」

 

「なぁにこっちが素よ」

 

ガゼル王の態度急変にリムルとリードは少し戸惑ったが案内しようと町に戻ろうとした時

 

「どっどうした?」

 

「落ち着け!」

 

突然ペガサスナイツのペガサス達が興奮しだした。

 

「どうした?」

 

「分かりません!急に慌て始めて!?」

 

ペガサスナイツが必死にペガサスを宥めようとしているなかホウテンは真っ直ぐ空を見ていた。

 

「………ガゼル王」

 

「なんだ?」

 

「あなたが連れて来たペガサスはこれで全部ですか?」

 

「そうだが?」

 

「………今日は客が多いな」

 

「ホウテンどうした?」

 

「前方におよそ千の野生のペガサスがこちらに接近中」

 

「千!?」

 

ホウテンの報告がペガサスナイツの2倍の数でリードは驚いていた。

 

「しかもそれを率いているのはペガサスの特殊個体(ユニークモンスター)___レッドペガサス」

 

「レッドペガサスだって!?」

 

ウォズは『万能空間』から単眼鏡を取り出し遠くを見ると冷や汗を流していた。

 

「?なあウォズ、レッドペガサスって何?」

 

「500年に1度現れるといわれているペガサスのユニークモンスターです。その能力は通常のペガサスの10倍はあると記録で読んだことがあります」

 

「10倍!?」

 

「ええしかしその分気性が荒い上に統率力が強く500のペガサスを率いるといわれていますが、今こちらに近づいているのは間違いなく今までのレッドペガサス最強の個体です」

 

リードはウォズの説明に固唾を飲み、肉眼でその群れをみるとリードは苦笑いを浮かべた。

 

「あれが………レッドペガサス」

 

それはまさしく赤い血で染まった悪魔に見えた。全身が鮮血のように赤く、ガゼル王のペガサスの3倍の大きさがあり全身の筋肉が普通の馬より遥かにあった。

レッドペガサスが着陸すると他のペガサスも降りて、どのペガサスもガゼル王のペガサス並みの大きさをしており、まさに最強の群れと言ってもいい程の威厳があった。

 

「「「「「………」」」」」

 

全員がレッドペガサスをずっと見続けるとレッドペガサスがゆっくり歩き出した。

 

「「「「「!?」」」」」

 

1歩、また1歩とゆっくりと重い足音を鳴らしながら歩いていくと、レッドペガサスは()()()()()()()()()()()

 

「………」

 

「………」

 

コウホウとレッドペガサスが見つめ合っているとレッドペガサスがコウホウに()()()()()()()()()

 

「「「「「!?」」」」」

 

リムル達が驚いているなかコウホウが何かに気づいた。

 

「!?貴様……もしやあの時の!!」

 

「ヒィィィイイン!!」

 

レッドペガサスが正解と言わんばかりで鳴いた。

 

「こ、コウホウ知ってるのか?そのレッドペガサス」

 

「ええ数年程前ですが…」

 

「マジで!?」

 

コウホウの衝撃的発言で皆が驚いているなかベニマルは何か思い出したような声をあげた。

 

「もしかしてあの時話してたことか!?」

 

「そうだぞベニマル」

 

「えっちょっと待ってどういうこと?」

 

「え~っと数年程前、その日の稽古を終えた我はオーガの里に戻る途中、子どものペガサスを人間達から守る為に戦っていたコイツを見たのです」

 

コウホウは昔のことを話し始めた。

 

「最初は興味がなかったのですが…コイツと目があった時、勝手に体が動いていて気づいたらその人間達全滅させてました」

 

「………ちょっと気になるんだけどその時の人間ってどれくらいいた?」

 

「………八十人程ですかね」

 

コウホウが片手でその時の数を数えて出た数にリードはとんでもない配下だったと改めて再認識していると今度はレッドペガサスはリードに擦り付けてきた。

 

「おおっと、なんだ?」

 

「ぶるるる、ヒィィン」

 

レッドペガサスはリードに何か伝えようとしているが、リードは何が伝えたいのか分からず困っているとリムルの影からランガが現れた。

 

「そのレッドペガサス『私たちをリード様の配下に加えてください』っと言っております」

 

「えっ?ランガ、コイツの言ってること分かるの?」

 

「ええある程度は…」

 

「………」

 

リードがレッドペガサスと向かい合い少しの間考えていたがすぐに答えが出たようだ。

 

「わかった、良いぞ」

 

「!?ヒィィィイイン!!」

 

レッドペガサスが喜びで大きく鳴くと他のペガサスもともに鳴いた。

 

「それじゃあ、お前の名前を与えよう」

(って言っても)

 

リードはコウホウとレッドペガサスを交互に見た。

 

(見たときに決めてたんだ)

「お前の名前は『赤兎(セキト)』だ」

 

「ヒィィィイイイン!!」

 

(うおぉ!予想以上に減ったな…あっヤバい…)

 

あまり急激に魔素を消費したこととさっきの一騎打ちで体力も消費したことでバランスが保てなくなり前のめりに倒れそうになるが間一髪のところをある者が支えてくれた。

 

「大丈夫ですか?リード“さん”」

 

「…ゴメン、シュナ助かった」

 

「リード、俺が代わりに案内してやろうか?」

 

「いや、いいよリムル俺もいくよ、すぐに回復するから」

 

「…わかった、シュナ悪いけど少しの間リードを頼む」

 

「お任せください」

 

「さて、待たせてすまないガゼル王」

 

「う、うむ」

 

支えてくれた者__シュナに謝罪と感謝をするとリードはシュナに支えながらガゼル王をリムル達の町に案内した。

 

       ⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪

 

ガゼル王とその配下達に町を案内した後、リードが眠っている間に出来た集会場で宴会が行われた。

リードとリムルはガゼル王に向かい合う形で料理を食べていた。

 

「しかしまさかレッドペガサスがお前達の配下になるとは…」

 

「俺は家族が増えたみたいで嬉しいな」

 

「お前らしいよ」

 

ガゼル王がリードのマイペースに呆れてため息をつく、リードの配下はそれを補うような者が多いことは既に知っているがやはりため息をついてしまうようだ。

 

「それはそうとリムルとリードよ、お前達に提案がある」

 

「「?」」

 

「俺と盟約を結ぶつもりはあるか?」

 

「………」「ムグッ!」

 

「『何言ってんだこのオッサン』みたいな顔するな、お前は何をしているんだ…」

 

ガゼル王の意外な申し出にリムルは驚きの表情を浮かべ、リードは食べ物が喉をつまらせジョッキの酒で流した。

 

「この町は素晴らしい造りをしていた。ここはいずれ交易路の中心都市となるだろう。後ろ盾となる国があれば便利だぞ?」

 

「…ガゼル王、それは俺達魔物の集団を国として認めるということですよ」

 

「無論だ。それとリードよ、敬語は良いぞお前はこやつらの主の片割れなのだからもっと堂々とせい」

 

「はい」

 

「これは王として言っておる、当然だが善意の言葉ではない。双方の国に利にある話だ」

 

「ホントにぃー?、俺達だまされてない?」

 

「ふははははっ恩師やドライアド、それにウォズさらにはレッドペガサスが気に入ったヤツを前にその主を謀ろうなどはせん」

 

「なら良いけど…」

 

「条件は取りあえず二つだ

一つ 国家の危機に際して相互協力

一つ 相互技術の提供の確約

なに答えは急がずともよい、よく考えるがいい」

 

『(…リムルこの話俺は受けるべきだと思う)』

 

『(俺もだ)』

「いや、この話、喜んで受けたいと思う」

 

「こちらも断る理由が無いしな」

 

「ふっ王者に相応しい判断力だ、流石は俺の弟弟子達だ!」

 

「で、お前達の国の名前はなんというのだ?」

 

((え?))

 

リムルとリードは後ろにいるベニマル、コウホウ達にアイコンタクトを送ったが全員首を横に振った。

 

「いや、まだ国っていう段階じゃなかったから」

 

「そう俺達はジュラの森大同盟の盟主だけど、国主ってワケじゃないし…」

 

「リムル様とリード様を王と認めぬ者がいたならばこのシオンが…「シオン君、食事の最中に獲物を抜くのはいけないことだ。しまいなさい」…ハイ」

 

「国の主を決めるって話ならリムル様とリード様で決まりだと思うぜ」

 

「確かに力ある者に従うのが魔物の本能ですが、ここにいるのはそれだけ配下になったワケじゃありませんしね」

 

「くはっ、確かにな」

 

ベニマルがリムルとリードを国主に推すとホウテンとコウホウもその事に賛同した。

 

「おい、あまり俺達を持ち上げるんじゃない」

 

「そうそう、ここには森の管理者だって「いいと思います、リムル陛下、リード陛下」………」

 

『(あの社長め…っ)』

 

『(俺達に丸投げかよ!)』

 

「ここの王は貴様達以外おらんようだな、諦めろ。では明日の朝までに国名を考えておけ。そして今夜は酒に付き合え」

 

「「考える時間くれないのかよ!」」

 

そうしてドワーフ達の宴会は朝方近くまで続いた。

 

      ⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪

 

翌日ドワルゴンとの調印式が行われることになった。

リムルとリードの話し合いによって国名は『ジュラ・テンペスト連邦国』に決まり、中央都市はリードを含む全員によって『リムル』と決まった。

そしてガゼル王達は調印式が終わるとドワルゴンに帰っていった。

 

      ⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪

 

二日後

 

「来てやったぞリムル、リードよ!」

 

「おい!」

 

「まだ二日しか経ってないぞ!」

 

ガゼル王が少数の供を連れてやって来た。

 

「今度は何の用だよ?」

 

「お前達に土産をやろうとおもってな」

 

「土産?」

 

ガゼル王が供に合図を送ると布で葉巻きされたものを投げその拍子で表面の布がめくれると

 

「えええっ!?」

 

「コイツってたしか!?」

 

「ベスターじゃねえか!?」

 

泡を吹いて気絶しているベスターであった。

 

「有能なコイツを遊ばせておくも勿体ないのでな。とはいえ、俺に仕えるのを許すわけにはいかん」

 

「王よ、それではベスター殿の知識が我等に流出することになりますぞ!?」

 

「流出していった本人が今更なにを言う」

 

「それは…っ」

 

カイジンは止めようとしたがガゼル王の正論で言葉に詰まった。

 

「そのための盟約よ、ここでの成果はきっちり我が国でも享受させてもらう。ベスターよ」

 

「はっはい」

 

「貴様の本分を生かしここで精一杯生きてみせよ」

 

「…っ…は!今度こそ…今度こそは期待に応えてご覧にいれます」

 

ベスターは涙を浮かべながらガゼル王に与えられたチャンスを活かすことを約束すると今度はリムルに体を向けた。

 

「リムル殿、リード殿、カイジン殿すまなかった。許されるならここで働かせてほしい」

 

「……優秀な研究者が来てこっちも大助かりってもんだ、旦那達コイツのことは俺に免じて許してやってくだせぇ」

 

「…カイジン殿」

 

「カイジンがいいなら俺は別にいいよ」

 

「だな、本人も反省してることだし、これからよろしくなベスター」

 

「…っ……ありがとう…ございます」

 

「ふっ、存分に励め。では、サラバだ」

 

こうしてガゼル王はドワルゴンに帰っていった。




こうして我々にドワルゴンという頼もしい味方が現れ、優秀な研究者ベスターが我々の仲間となった。
しかし、この町に天災そのものが近づいて来ていることに我々は知らなかった。
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