しかしそこに天災そのものが近づいていることに私たちは知らなかった。
「ハァ~」
リードは町から離れた草原に横になりながらため息をついた。
「まさか俺達が
ガゼル王から魔物の危険度が
「出来れば
(しかもあのヴェルドラも
「ハァ~」
「リード様!」
「ん?」
リードは自分を呼ぶ声が聞こえると起き上がり回りをみたら、ウォズを連れてきたホウテン、赤兎に乗って来たコウホウとリグルであった。
「どうした?」
「どうしたじゃありませんよ我が主。非番とはいえどこに行くかくらいは誰かに伝えてください」
「少し位いいだろう」
「…我たちが
「…まあな」
「大丈夫ですよ、オレ
「………え?」
全員が視線をホウテンに向け、少しの静寂が訪れ、そして
「「「「えええーーーー!!!」」」」
「ホウテンそれ本当!」
「はい」
「というか何故キサマ
「フルブロジアにいた時フレイ様の幹部だったから」
「…魔王フレイの幹部…」
「一体誰ですか?」
「『
「デストロイってなんかやばそうだな…ってお~いウォズ?」
ホウテンからミリム・ナーヴァの名前が出てくるとウォズの様子がおかしいことにリードが気付き呼び掛けても返事なく、軽くつつくとつついた方向に倒れた。
「えっ!?ちょっとウォズー!?」
⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪
「まさか…君があの魔王ミリムに会っていたなんて…」
「ウォズ大丈夫か?」
気絶したウォズはすぐに回復したが、すごく疲れた表情になっていた。
「まああの方は自由奔放な方なのでお会いするのは運次第ですかね」
「会ったとしても出来れば敵対したくな………!?」
リードが何かに気付き空を見た。
「リード様どうし……!?」
「何ですかこの魔素量!?」
「それも凄まじい速度でこっちに近づいてきてます!」
リグルとウォズ、コウホウが自分達に近づいて来ている謎の飛翔体に警戒しているがホウテンは笑みを浮かべていた。
「噂をすればなんとやらですね」
「えっ?ホウテンもしかして…」
「ええ、決して手を出すなよリグル、ウォズ、コウホウ。ミリム様は次元の違うバケモノだからな」
「「「!?」」」
ホウテンから接近してきているものの正体が明かされるとリグル達は声にも出せない驚いた表情になり、やがてその接近してきているものがリードの前に凄まじい土煙をあげて降り立った。
「初めまして、ワタシは魔王ミリム・ナーヴァだぞ!お前がこの町で一番強そうだったから挨拶に来てやったのだ!」
土煙がおさまりそこにいたのは、ピンク色のツインテールの少女だった。
「………」
(この娘が魔王!?もう少し怖そうなイメージがあったんだが…)
「お久し振りです、ミリム様」
「うん?おー!お前はフレイのところの『ニクス』ではないか!」
「はい、いろいろありまして今はこのリード様の配下となり『
「ニクス…やはり」
リードがミリムの姿を見て少し拍子抜けしていたが、ホウテンが礼儀正しい挨拶をすることでリードはこの少女が魔王であると理解した。
しかしウォズはホウテンの前の名前で何か確信をえたようだ。
「ところで何故俺が一番強そうって思ったのですか?」
「ミリム様の眼『
「そうなのだ!もう一つお前と同じくらいのヤツがいるがそいつは今こっちに来ているおる!」
「なるほど」
(俺の『聖眼』と『魔眼』の上位互換か)
「………ハァ~」
「どうしたコウホウ?」
「ベニマル達が凄まじい速度でこっちに来ています。少々止めてまります」
「その必要はない」
「え?」
「ミリム様少々聞きたいことがあるのですがよろしいですか?」
「なんなのだ?」
コウホウが赤兎に乗ってベニマル達を止めに行こうとするが、リードがそれを止め森の方向に手を伸ばした。
ホウテンはその間ミリムの相手をしていた。
(ごめんなみんな
⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪
(リード様今お助けします)
(まあリードにはアイツらがいるから大丈夫だと思うが…)
リムルはリードのところに向かったものを確認するために向かっていると、後からベニマル、シオン、ソウエイが全速力でリードのところに向かっていたが、突然
(!?なんだこれは…?)
必死に立ち上がろうとするが腕にも力が入らず立ち上がることさせ出来なくたっていた。
「ベニマルどうした?」
「急に身体に力が入らなくなり、シオン!ソウエイ!お前達は大丈夫か!?」
「そっそれが…」
「俺達も…動けない」
「なんだと!?」
(リードの新しいスキルか)
リムルは自分以外に影響がないのを感じるとリードの仕業とすぐに悟り、ベニマルは自分だけでなく他の二人も動けずいることに驚くがそれよりもリードの元に向かおうとする意思が勝り、必死に身体に力を入れようとするが全く入らなずにいた。
(リード様!!)
ベニマルはこの先にいるリードの身を案じた。
⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪
「ふ~」
(流石にあの三人からだと凄まじい力だ…それにしてもこの『
「なぁなぁ、急に魔素量が増えたが一体なにをしたのだ?」
リードが新たに獲得したエクストラスキル『
「ああ、俺のスキルですよ………ところで先程からなにを?」
リードが質問に答えているとミリムがリードの背中をペタペタ触っていた。
「なあゲルミュッドの残した水晶では天使の翼と悪魔の羽があったはずだがどうしたのだ?」
(ゲルミュッド?そういえばソウエイから監視している者がいるって言ってたな。まさかアイツの目を通して…)
「それってこれのことですか?」
「おおっこれなのだ!」
リードが翼と羽を出すと、ミリムは子供のように興奮しお目当てのものを不思議そうに眺めてた。
「ミリム様そろそろ(グギュルルルル)………」
ホウテンがミリムを帰すように言おうとした瞬間突然誰かの腹の虫が大きく鳴った。
「………」
リードはリグル、ウォズ、コウホウ、ホウテンの順にアイコンタクトを送ったが全員首を横に振り、ミリムに視線が集まった。
「…なにか美味しいものはないか?」
ミリムが素直にお願いするがリードは対応に困った。
「えっと…」
(どうする見た目が子供でも実力は俺達全員でも傷をつけるどころか最悪俺達が全滅する強さを持つ魔王、機嫌が悪くなったら周囲の被害が………ん?子供……あっ!アレがあった!)
「それならこれはどうですか?」
リードは『万能空間』から中身の入ってビンをミリムに渡し、ミリムがそれを受け取りビンの蓋を開け中身をつついた。
「なんなのだこれは?」
「まあ舐めてみて」
ミリムは不思議そうにビンの中身を見てゆっくり口に運んだ。
(頼む気に入ってくれよ)
リード達五人が緊迫する中、事の成功を唯々祈っていた。
「……な、なんなのだこれは!?こんな美味しいもの今まで食べた事がないのだ!!」
(よし!!)
(今がチャンスだ!)
「ミリム様それをお譲り致しますがいくつか条件があります」
「(おいホウテン!)」
「(この場は任せてください!)」
ミリムが舐めた物___蜂蜜に大喜びしているとホウテンがミリムに交渉を持ちかけてきた。リードは『思念伝達』で止めようとしたが、ホウテンは自分に任せてほしいと頼んだ。
「な、なんなのだ?」
「まず1つ目オレ達に手出しないこと
2つ目オレの事はフレイ様には内密にお願いします」
「それだけで良いのか?」
「ハイ。良いですよねリード様」
「えっあっうん」
「わかった!その条件のもう!だから貰っていいか?」
「別に構わないけど…」
「やったのだーー!!」
ホウテンの交渉(?)のおかげでミリムはリードに敵対しないことを約束した。こうしてリード達はひとまず危機を回避した。
⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪
(イヤなんでついて来る!?)
あの後リムルがリード達の元に着き自己紹介を終えリードがベニマル達から奪った力を返した後少し注意をし、リグルにミリムの事を知らせるために先に『影移動』で町に戻った。
ここまではよかったのだが、何故かミリムがリムルの呼び出したランガの背中に一緒に乗って蜂蜜をなめていた。
「なぁなぁ、お前達は魔王になったりしないのか?」
「…しねーよ」
「まだその時じゃない気がするし」
「え、だって魔王だぞ?格好いいだろ?憧れたりとかするだろ?」
「しねーって」
「そうそう」
「えぇぇーーー!?じゃあ何を楽しみに生きているんだ!?」
「そりゃあまあ、色々と」
「やること多くて大変なんだぞ」
「でも…魔王は魔人や人間に威張れるのだぞ?」
「退屈じゃないのかそれ?」
ミリムがリムルとリードに魔王になることを勧めるが、リムルは今の仕事が多く魔王になっても余計なわだかまりが出来る恐れがあることと思い、リードは自分は最高最善の魔王になると決心しているが、まだ魔王になるのは無理だと思っていた。
しかしミリムは諦めず魔王になるようすすめるが二人が賛成しないことに面白くないのか威張れることを呟くと、リードが偶然にもコウホウによく似ていたあるバトルマンガのキャラクターを思い出しながら言うとミリムは図星をつかれたような表情になった。
そしてやけになりミリムはランガから降りリードの肩を掴み、激しく揺すった。
「おま、お前達!?魔王になることより面白いことしているんだろ!?」
「えっ?」
「ズルイぞ!ズルイズルイ!もう怒った教えろ!そしてワタシを仲間に入れるのだ!?」
(駄々っ子か!!)
「わかった入れる!入れるからこれ以上揺らすな!」
(俺も
リードがミリムの我が儘を受け入れるとミリムは揺らすのを辞めてくれた。
「本当だな!?」
「ああ、それじゃあお前のことはミリムと呼ぶからお前は俺達のことをリードとリムルって呼ぶけどいいか?」
「むっ、いいけど…特別だぞ?ワタシをミリムと呼んでいいのは仲間の魔王だけなのだ」
「そっか、それじゃあ今日から友達だな」
「と…ともだち…」
「ホラ着いたぞ」
「ようこそ俺達の国、
友達と言われ照れていたミリムはテンペストの町並みに目を輝かせた。
整備されている道に見たことのない食べ物等ミリムにとって興味深いものがたくさんあった。
「とりあえずこれだけは約束してくれ、まずウロチョロしないことそれから俺かリードの許可なく暴れないこと」
「うむ!わかったのだーーー!!」
「あーーれーー!!」
「っておいい!!」
リムルがミリムに町での約束をさせるが好奇心旺盛のミリムはリードを連れて町を走りだし、リードはミリムに引っ張られて行った。
『(リムル!とりあえず中央広場に出来るだけ多くの住民を集めてくれミリムの相手は俺がやるからーー!!)』
『(あっああわかった!)』
「なあリードこれはなんなのだ?」
「ああこれは…」
リードはミリムに町の案内をし、紹介するたびにくる質問に丁寧に答えた。
⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪
「ミリムいいか?この町のみんなには俺が言っておくから、絶っっ対!怒ってもすぐに殴るなよ」
「わかったのだ」
「よろしい。さてそろそろいいか」
中央広場に住民が集まるとリードはドルドが作った魔イクで発表を始めた。
「えー、今日から新しくここに滞在することになった、客人という扱いだから粗相のないように」
リードが前置きを言っている間、住民達はミリムのことに気づいている者が何人かいた。
「それじゃあ本人から一言」
「うむ、コホン、ミリム・ナーヴァだ今日からここに住むことになったよろしくな」
「はっ!?おいどういう意味だ?」
「そのままの意味だぞ?ワタシもここに住むことにしたのだ」
「いやお前、自分の領土があるだろ!」
「大丈夫なのだ!たまに帰れば問題ない!」
(こっちは大アリ!!)
幸いにもミリムは魔物達にとって人気者だったため、住民達は大喜びであった。それに答えるためにミリムは手を振った。
「ミリム様ー!!」
「かわいー!!」
「うむ、ワタシとリードは友達だから何があったら頼るといいのだ」
「友達か…」
(ヴェルドラを思い出すな)
ミリムの友達発言でリードはヴェルドラのことを思い出し感傷に浸っているとミリムがもじもじしていた。
「えっと、そっそうだな友達というより…
「えっ?えっと…
「ちっ違うのか?」
「!?ウソウソ!!俺達は
こうしてテンペストに最も危険な魔王ミリムが滞在することになり、リードの親友と住民に宣言してしまった。
⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪
「ぷはー、スゴイのだ~泳げるのだ~」
「ミ、ミリム!風呂で泳いじゃいけないぞ」
「そ、そうです!」
((ミリム様ナイスです!!))
ミリムはこのテンペストの名物とも言って良いお風呂が気になりリードと共に入ることになった。最初は断ろうと思ったがミリムが片腕に力を溜めているのに気づいて頷くしかなかった。
そしていざ風呂場に行くとシュナとウォズとコウホウに会いそこでみんなと一緒に入ることになり、『混浴場』に行くこととなってしまった。
その時もリードはシュナに任せるよう言うおうとしたが、またミリムが力を溜めていたのでまた頷くことしか出来ず、結果リードとシュナはお互いに顔を赤くしながら体をタオルで隠し背中合わせの状態で風呂に入っていた。
「(ウォズ、やはり我の予想通りリードさまは…)」
「(ああ、無自覚のようだね…これはミリム様に感謝せねば)」
(どうしようまさかリードさんと一緒に入るなんてでもなんだか暖かい…)
(2、3、5、7、11、13、17、19、23、29、31、37、41…)
ウォズとコウホウは『思念伝達』でミリムに感謝し、シュナはタオル越しでも感じるリードの暖かさを堪能していたが、リードは素数を数えて理性を保っていた。
『(リードこれから今後についての会議を始めるんだが大丈夫か?)』
『(リムルーーー!!!ありがとうーー!!すぐに行く!)』
『(おっおう)』
「ウォズ、コウホウ。会議が始まるから一緒に行くぞ」
「えっもうですか?」
「いいから行くぞ、ミリム、シュナの言うことよく聞けよ」
「わかったのだ~」
「じゃあシュナ悪いけどミリムを頼む…」
「はっハイ」
リードはリムルからの
⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪
「…リード大丈夫か?」
「(いろいろと)大丈夫じゃない」
集会場にはリムルとリード、カイジンにリグルド、ベニマル、ソウエイ、ハクロウそしてリグル、ウォズ、コウホウ、ホウテンが集まっていた。
リードは先ほどのことで頭から湯気が出ていたので氷をつくり頭にのせていた。
「さて、今回はミリムについてだよな?」
「そうですリード様。まさか魔王本人がやって来るとは」
「いや気になるのは他の魔王の出方だ」
「カイジンそれはどういうこと?」
「それならホウテンが一番よく知っていますよ」
カイジンの言葉にリードが質問するとウォズがホウテンに答えるよ促し視線がホウテンに集まった。
ホウテンはタメ息を吐いて答えた。
「魔王はミリム様を含め十名、その全員がお互いに牽制し合っているのです」
「フムフム」
「さらにリード様はこの町の盟主の片割れ、事情を知らない魔王から見れば『テンペストと魔王ミリムが同盟を結んだ』と見えるでしょうね」
「………やっぱり」
「しかもミリムは配下を持とうとしない魔王なので魔王間のパワーバランスが崩れ、それを面白く思わない魔王が現れるかもしれません」
「なるほど」
(勢力争いに巻き込まれるかもしれないってことか)
「そもそも何故急に魔王ミリムがやって来た?我はそこが気になる」
「それならあの時聞いておきました」
「あの時?」
「リード様がベニマル達の力を奪ったあの時です」
「マジか…」
「それでわかったのですが、どうやらジュラの不可侵条約を撤廃させたようです」
「不可侵条約?」
「ハイ、条約の可否には発案した魔王と最低でも他二名の魔王の賛同が必要であり、
「撤廃の理由は?」
「暴風龍ヴェルドラが消滅したことでミリム様が撤廃を提案したそうです」
ホウテンから撤廃の理由を聞いてリムルとリードは冷や汗を流し脳内会話で緊急会議が行われた。
『(リムルこれって原因俺達なんじゃ…)』
『(だろうな…こうなった以上ヴェルドラが復活後は忙しくなるだろうな)』
『(はあ…最悪だ)』
二人が脳内会議を行っている中、ウォズ達はミリムの事での話し合いを行いベニマルの一言でまとまった。
「ではミリム様の相手は
「「「異議なし」」」
「!?ベニマルお前!!」
「だってめちゃくちゃ懐かれているじゃないですか」
「オレたちも協力しますよ」
「ぐぅ…っ、わかった…っ」
ミリムの相手がリードに決まり反対しようとしたが、ホウテンが協力すると言ってリグル、ウォズ、コウホウが賛同の頷きもあったことで、魔王ミリムはリードが担当することに決まった。
こうして我がテンペストに最古の魔王
彼女の訪問に続き次の魔王の勢力も動き出していた。
⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪
リードは自室でウォッチを磨いていた。
「これで最後と……さあ寝よう」
ウォッチを磨き終えリードは布団で休んだ。
「………これって予知夢?」
リードは周りが何もない暗い場所にいた。
「…今度ベスターにいろいろと調べてもらうか……!?誰だ!……え?」
リードは背後から気配を感じ後ろをみると人がおり、その人物の顔を見た途端、彼の思考は止まり涙を流した。
「生きてたの………ヒナタ姉さん!」
リードがヒナタと呼んだ女性は剣抜きリードに襲いかかった。
「えっ…」
ヒナタの剣は真っ直ぐリードを貫いた。
「ね…え…さん、なん…で?」
リードは疑問を述べるがヒナタは何も言わなかった。やがて周りの景色が消えた。
「はっ!はぁはぁはぁ」
リードは大量の汗を流し貫かれた箇所を触るが何もなかった。
「………ふぐぅ…やっぱり…無理なのか?」
リードは顔を枕に沈めて、声が漏れないよう泣いた。
その声を聞いていた者はリードだけだった。