転生したら天魔人だった件   作:通りすがりの気分屋

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この本によれば、我がテンペストに最古の魔王破壊の暴君(デストロイ)ミリム・ナーヴァがやって来た、我が魔王と私達はこの危機を乗りこえ、ミリム・ナーヴァはこの町に滞在することになった。
そして他の魔王の勢力も動き出していた。



訪れる者達 前編

 

「おはようなのだー!」

 

「おはようミリム、朝ごはんリグルが作ってくれたぞ」

 

「わかったのだー!」

 

 

ミリムが滞在することになりシェアハウスはさらに賑やかになった。このシェアハウスに住んでいるのはリードにウォズ、コウホウ、ホウテン、リグルそしてミリムの六人となっていた。

今日の朝食はパンモドキにジャム(砂糖未使用)、目玉焼きそして野菜スープと牛乳(牛鹿の乳)と洋食だった。リードは先に朝食を済ませていたがミリムの相手があるからミリムが起きてくるまで待っていた。ミリムはどれも美味しそうに食べていると隣に座っていたリードがふと思った。

 

(姉さんもこんな気持ちで俺のこと見てくれてたのかな?)

「ミリム食べこぼしがついてるぞ」

 

リードが布巾でミリムの頬に付いた食べこぼしを優しく丁寧に拭き取るその光景はまるで兄妹のようであった。

 

「魔王を子供扱いするな!」

 

「食べこぼしをつけるヤツのセリフか…ミリム食べ終えたら製作工房に連れていってやるぞ」

 

「なんだそれは?」

 

「可愛い服がいっぱいあるところだぞ」

 

「!?行ってみたいのだ!」

 

「じゃあまず朝ごはん食べてからな」

 

「わかったのだー!」

 

ミリムは朝ごはんを美味しそうに食べながら嬉しそうな表情になっていた。

 

      ⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪

 

「おお~~~~~っ!すごいのだ!服だらけなのだ!」

 

製作工房に来たミリムは可愛らしい服が大量にあることに大興奮し、目を輝かせていた。

 

「それじゃあシュナ、しばらくミリムの相手おねがいな」

 

「ハイ………あのうリードさん…」

 

「うん?」

 

「何かあったのですか?」

 

「えっ……なんで?」

 

「いえ、どこか元気がないように見えて…」

 

リードはシュナの疑問がほぼ核心につかれていたことで一瞬動揺したが、すぐに平然とした態度に戻した。

 

「大丈夫だ…ちょっと寝不足なだけ」

 

「しかし…」

 

「これっこれ着てみたいのだ!」

 

「あっはい」

 

「それじゃあミリム、シュナの言うことを聞けよ」

 

「わかったのだ!」

 

リードは製作工房から出ると久しぶりに魔力感知の範囲を町の外まで広げた。

 

(………こっちに接近してきるのが四つ、どれもそれなりの魔素量だが一つだけ飛び抜けているのがあるな。まさかどこかの魔王の配下?)

 

リードは胸騒ぎがし、羽と翼を広げて広場に向かった。

 

      ⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪

 

広場に降り立ったリードは来客に目を向けた。

 

「ほう本当に天使の翼と悪魔の羽を持っているな…お前がこの町の主か?」

 

「正確にはその片割れだ。そういうお前は何者だ?」

 

そこにいたのは複数の魔人で全員がどこか動物を思わせる姿をしていた。その中のリーダーの男が名乗った。

 

「俺は魔王カリオン様の側近、三獣士黒豹牙(こくひょうが)フォビオだ」

 

「俺はこのジュラの森の盟主の片割れリード・テンペスト」

 

「リードか…ここにいい町だな、魔王カリオン様が支配するには相応しい、そうは思わんか?」

 

「………冗談をいいに来たのか?」

 

リードが返事をした途端リーダーの男フォビオが殴りかかってきた。その時辺りには()()が舞い、甲高い金属音が響き、リードに攻撃は届かなかった。

 

「相変わらずだな、フォビオ!」

 

「!?誰だ貴様!?」

 

「忘れたのか?散々あんなにやり合ったのに…」

 

フォビオの攻撃をホウテンがリードが少し前にクロベエに頼んで作ってもらった特殊な双剣の片方で受け止めた。

そしてどうやらホウテンはフォビオのことを知っていたが、フォビオは知らず自分の攻撃を止めたことに困惑していた。するとホウテンは懐から鳳凰を思わせる仮面をつけるとフォビオは驚愕し、目を見開いた。

 

「貴様まさか…『ニクス』か!?」

 

「その名は捨てた。今の名は『鳳天(ホウテン)』だ!」

 

ホウテンはそのままフォビオを押し構え直した。

 

「くっ!」

 

「フォビオ、お前さっきのはオレ達とやり合うってことだよな?」

 

「フォビオ様!!」

 

「貴様らの上司は礼儀を知らんのか?」

 

「「「!?」」」

 

配下の者が助太刀に行こうとした時、背後からコウホウが隠形法(おんぎょうほう)と瞬動法で現れ突然自分たちの背後に圧倒的強者が現れ配下の者は動けずにいた。

 

獣人族(ライカンスローブ)は強さを重んじる種族のはずだがこれは種族の平均の強さしか考えていないのかい?」

 

(獣人族(ライカンスローブ)!?それってあの水晶の娘の…)

 

さらにその横からウォズがマフラーを使って姿を現した。

このときウォズの口から彼らの種族を聞くとリードは「夜の蝶」の水晶で見た白髪で琥珀色の瞳の少女のことを思い浮かべた。

 

「リード様ご無事ですか?」

 

最後にリグルが瞬動法でリードの側に近づいた。

 

「みんな来ることないだろう、それにさっきの攻撃は避けることはでき………うん?」

 

リードが戦闘になりそうな空気を変えようとしたとき、背後から異常なまでの魔素が荒れているのを感じ、ゆっくりと振り向くとそこにいたのは、

 

「ミ、ミリム!」

 

「「「「!?」」」」

 

「全員退避ーー!!」

 

親友(マブダチ)とその子分になにするのだーー!!」

 

「なっ…魔王ミリム!?」

 

ミリムの姿を見て危険だと判断した、リードはリグル達に退避命令を出し、リードとホウテンは空に、ウォズはマフラーで、コウホウ、リグルは瞬動法で離れるとミリムが怒りの一撃を放ち、それに対抗するためにフォビオが『豹牙爆炎掌(ひょうがばくえんしょう)』という大技を放つがミリムの覇気で上空に打ち上げられ火柱があがった。

この時リードとホウテンはもう少し上を目指して飛んでいたら巻き込まれていたと心がシンクロした。

火柱がおさまり、リードが状況を確認するとリードの予想通りの光景になっていた。

それはフォビオが泡を吹いて気絶しているというリードが予想した()()()()()()()()()()()()()()()()だった。

 

(これ絶対面倒なことになるな…)

 

「リードさーん!!」

 

「シュナ!」

 

リードが状況の整理をしているとシュナが呼ぶとリードはシュナの前に着地した。

 

「申し訳ありません。侵入者に気づいたミリム様が飛び出してしまい止める間もなく」

 

「なるほど、まぁ本気のミリムの動きを止めること自体無理だろう」

 

シュナから報告を聞いたリードはミリムを止めることなどこの町の者には不可能であるため、納得しため息をつくとミリムがリードに気づいた。

 

「おおリードよ!あやつが舐めた真似をしておったからワタシが代わりにお仕置きしておいたのだ」

 

「………」

 

ミリムがあまりにも褒めて欲しそうな眼差しを向けるがリードは褒めるべきなのか悩んでいた。

 

(魔王カリオンってヤツの配下に手を出して最悪戦争になるかもしれない、でもミリムのこの純粋な目は流石に怒るのは無理だな………よし!)

「ミリム、俺かリムルの許可なく暴れないって約束しなかったか?」

 

「うぇ!?え~っと…」

 

リムルの約束でミリムはリードかリムルの許可なく暴れないという約束のことを聞くとミリムは慌てだした。

 

「そう!これは違うのだ!この町の者ではないからセーフ、セーフなのだ!」

 

「俺とリムルの約束は()()()()()()で俺かリムルの許可なく暴れないことなので………アウトだ!」

 

「ふえぇぇーーー!!!」

 

「まぁ、今回は俺達のことを思っての行動だったので、目を瞑るけど次はないからな」

 

「うぅぅわかったのだ…」

 

最古の魔王が魔人に注意されている。

本来あり得ない光景にフォビオの配下は驚いていた。

そうしているとリムルがソウエイとリグルドを引き連れて広場にやって来た。

 

「リード大丈夫かって!?なんだこの状況?」

 

「おおリムル、ちょっとトラブルがあっただけだから大丈夫。そっちの用事は?」

 

「終わって帰ってきたら、いきなり火柱が上がって急いで来たんだよ!」

 

「ああゴメン…取りあえずコイツら会議場に案内するか」

 

「その途中で説明も頼むぞ」

 

「わかったよ」

 

「我が主」

 

「うん?どうしたウォズ?」

 

「少々私はホウテンと話したいことがあるのですが、よろしいですか?」

 

「えっいいけど、なるべく早く頼む」

 

「ご安心をすぐに戻ります」

 

ウォズはそう言うとホウテンの肩を掴みマフラーで姿を消した。

 

「…さて運ぶか」

 

「いや行かせていいのかよ!」

 

「大丈夫だろ?」

 

      ⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪

 

町からかなり離れ警備隊も滅多に来ない森の中にウォズとホウテンは現れた。

 

「どうしたウォズ?オレと話がしたいなんて」

 

「………」

 

ウォズはホウテンの質問に答えず、ドライバーは装着させ右手にオレンジのウォッチ『クイズウォッチ』を握っていた。

 

「!?」

 

クイズ!

 

ホウテンは咄嗟に距離をとり、双剣の柄の先端を合わせ弓に変え、ウォズはクイズウォッチをそのままドライバーに装填し、持ち手を動かした。

 

「変身」

クイズ!アクション!投影!フィーチャータイム!ファッション!パッション!クエスチョン!フィーチャーリングクイズ!クイズ!

 

両肩にボディそして頭にハテナマークの模様が入り、仮面にはオレンジで『クイズ』の文字が入っていた。

 

「なんのつもり「問題!」…はっ?」

 

「君のあの背中は自作自演である、マルかバツか?」

 

「…!?なに言ってる!?バツに決まっているだろう!!」

 

ホウテンがいきなり自分のあの背中を自作自演と言われ怒りながら答えるとウォズの肩の鎧の片方が開きバツマークがあった。

 

「…なるほど…では次の問題!」

 

「今度はなんだ?」

 

「君は天翼国フルブロジアのスパイである、マルかバツか?」

 

「…バツに決まっているだろう」

 

ホウテンがウォズの意図を理解するとため息をつきながら答えた。

すると今度も肩の鎧の片方がバツマークの部分が開いた。

 

「そうか…では最後の問題!」

 

「やっとか…」

 

「君は________である、マルかバツか?」

 

最後のウォズの言葉に風が吹き周囲の樹々が揺れた。

そしてホウテンは諦めた表情で答えた。

 

「…それはマルだ…」

 

そしてウォズの今まで開いていた。バツマークとは逆側の肩の鎧が開きそこにはマルマークがかかれていた。

 

「…ウォズ、貴様まさかオレのリード様への忠誠心を疑っているのか?」

 

「いや、君の言動からは我が主への忠誠心は本物だとわかっているが、一応確認しただけだ」

 

「だったらその前に何か言え!危うく射貫くところだったぞ」

 

「すまない、けど私はあのお方を正しい道に導く役目がある、だからこのような行動にでたんだ。しかし安心したまえ、君のことは内緒にしておく」

 

「助かる」

 

「では戻ろう」

 

ウォズは変身を解除すると、ホウテンの肩を掴みマフラーでリード達の元に戻った。

 

      ⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪

 

ミリムにお昼ご飯をあたえ、フォビオの意識が戻ったことで話し合いが始まった。

会議場ではリムルとそのとなりにリードが座っておりその後ろにはベニマル、シオン、リグルド、コウホウ、リグルが控え、向かい側にはフォビオが座り、後ろには配下の三人が控えていた。

 

 

「さて、君達は何をしにこのテンペストに来たんだ?」

 

「人間を配下にしているようなヤツに答える義理はないね」

 

リードの質問にフォビオは答えようとせず、そっぽを向くとフォビオの目の前を矢が通過し、壁に刺さった。

 

「フォビオ…お前いい加減にしろよ」

 

矢を放った犯人はウォズと共に少し離れていたホウテンだった。

 

「ホウテン!?交渉の最中に矢を放つか!?ふつう!?」

 

「リード様、先に手を出したのはコイツです。三獣士の地位に甘え、他人の力量も測れないコイツに遠慮することはないのです」

 

「フン、魔王フレイを裏切り、こんなヤツらの配下に成り下がったお前に言われたくないな」

 

「言っとくがオレはおそらくフルブロジアでは死亡扱いだろう、それとさっきからその言動はなんだ?オレ達と敵対関係になりたのか?このリード様とリムル様が支配するこのジュラの大森林全てを敵に回すのか?カリオン様ではなく、お前の判断で」

 

「………っ」

 

「フォビオ様…」

 

ホウテンが言葉巧みにフォビオに正論マシンガンを連発し控えていたフォビオの配下が言うべきであると促すとフォビオも仕方なさそうに言った。

 

「謎の魔人達を配下にスカウトするよう命を受けここに来た」

 

「俺達のことだな」

 

『(どうやらミリム以外にも俺達のことを見ていた魔王がいるみたいだな)』

 

『(だとしたら俺がミリムからいろいろ聞き出してみる)』

 

『(ああ、頼む)』

 

(カリオンめ、約束を破ったな!)

 

するとミリムがフォビオを妖気(オーラ)で威嚇し、リードが後ろを振り向くとミリムは瞬時に妖気をしまった。

 

「魔王カリオンに伝えてくれ、日を改めて連絡をくれれば交渉に応じると」

 

「……」

 

リムルの伝言にどこか不満があるのかフォビオはリムル達を睨み立ち上がり扉の前に立つと、蜂蜜をなめているミリムを見た。

 

「…きっと後悔させてやる」

 

大きな足音をたて、フォビオは会議場を出た。

 

『(あの様子じゃあ話し合いは無理だな…)』

 

『(まああんな目にあったらな…さて)』

「ミリム、魔王カリオンについて話が聞きたいんだけど」

 

「それはリードにも教えられぬぞ。お互い邪魔はしないという約束なのだ」

 

((はい、秘密があると自白を頂きました))

 

「それってカリオンだけの約束か?それとも他の魔王も関係してるのか?」

 

「いや、それは…」

 

「教えてくれないかー、まあ仕方ないいくら親友(マブダチ)でも内緒にすることはあるもんな~でも俺達が知らずに邪魔しちゃうかもしれないしな~」

 

「むむむ…親友(マブダチ)…でも…約束……」

 

先日のホウテンのやり方を参考にし、リードがわざとミリムの心を揺さぶる発言しあと一歩のところまでいた。

 

『(もう一押しだが決定打が…)』

 

『(リードこんなのはどうだ?ミリムに………)』

 

『(なるほどその手があったか!)』

 

「そうだ、今度ミリム専用の武器を作ってやるよ親友(マブダチ)の証としてさ」

 

「本当か!?やはり親友(マブダチ)が一番なのだ!何でも聞くがいい!」

 

「それじゃあお言葉に甘えて」

(チョロい…チョロすぎる、騙されないか心配になるくらい…)

 

ミリムが自分専用の武器が貰えるとわかった途端様々な情報をリード達に教えてくれた。そんな中リードはミリムが騙されないか心配になっていった。

そしてわかったことはミリムを含む魔王四名がオークロードを傀儡の魔王にさせるという計画だった。

 

「つまり俺達が魔王達の計画を邪魔したってことになるな」

 

「ですね…」

 

「だとしたら、カリオン様やフレイ様はともかくクレイマンの動きは警戒しなくては…」

 

「どういうことだホウテン?」

 

「クレイマンはリード様とは考え方や性格が逆なのでどんな卑劣な手を打ってくるのか分かりません…なのでクレイマンを今一番警戒すべきです」

 

「そうか…ってアレ?ミリム?」

 

リード達が今後の魔王達の対応を考えているといつの間にかミリムが眠っていてリードの膝に頭をのせていた。

 

「………」

 

「リード様代わりましょうか?」

 

「いやいい、すまないけど俺とミリムだけにしてくれないか?」

 

「…わかった、行くぞみんな」

 

「「「「「「「は/はい」」」」」」」

 

そうしてリムル達が部屋を出るとリードはミリムの頭を優しく撫でた。

 

「…姉さんもこんな暖かい気持ちで俺を撫でてくれたのかな?」

 

リードの呟きは眠っているミリムは聞こえておらず、リードにしか聞こえていなかった。




魔王ミリムの襲来の暴風はより大きくなって私たちに迫ってきていた。
さらに南の国だけでなく、西側のある国も動き出していた。
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