俺と悟さんは巨大なドラゴンの前に立ちすくんでいた。
『(ど、どうする聖司君?!)』
『(取り敢えず、話しかけてみます。)』
「あ、あのあなた一体?」
俺はなるべく相手に不快感を与えないよう、できるだけ平然と話しかけた。
【我はこの世に4体しか存在しない竜種の1体、『暴風竜ヴェルドラ』である!!!そう堅くなるな少し話し相手が欲しいだけ故もう少しこっちに来い。】
「あ、はっはい。」
俺は言われた通り悟さんを抱えてながらゆっくり近づいた。悟さんすみません、今は逆らわない方が身のためなので我慢してください。
【では、まず我から質問がある。本来なら知能を持たない筈の低位のスライムに、召還されないとこちらの世界にこれない筈の天使と悪魔の魔力を感じとれるな、お主らユニークか?】
「「ユニーク?」」
【強いスキルや能力を持つ者のことだ。しかし、スライムはともかくお主は新しい種族か?不思議な気配だな】
(悟さんどうする?)
(ここは全部話したほうが良いな、説明は俺がやるから任せろ。)
(じゃあ、お願いします。)
悟さんは俺たちが転生したことを話した。
【成る程『転生者』か、お主ら非常に稀な生まれ方をしたな】
「と、言いますと?」
【我が知る限りたまに異世界から来るものがいるその者は『異世界人』というが、異世界から転生するものは初
めてだ。本来なら、魂が耐えきれなくなるからな】
(つまり、俺たちの他に日本人がいる可能性があるな)
(ああ、この洞窟を出たら探してみるか。)
(そうしますか)
「わかりました、ではその『異世界人』という者に会って
みようと思います」
【なんだ、もう行ってしまうのか?】
(ションボリしてる!?)
(成る程どうやらかなりの間1人で過ごしていたようだな、もう少しこの世界のことを知っておくのも良いかもしれ
ない)
(じゃあそうするか)
「やはり、もう少しあなたの話が聞きたいです」
【そうか!ゆっくりしていくと良い!】
俺たちはこの洞窟から出るというと明らかに落ち込んだヴェルドラさんが少し可哀想だったから、もう少し話し相手をすることにした。
「では、こちらの質問も良いですか?」
【ああ良いとも何でも聞くといい!】
「ヴェルドラさんはなんでこんな洞窟の奥に?」
俺が質問の許可を求めたらあっさり承諾してくれたので、悟さんが俺たちがもっとも気になっていたことを聞いた。
【それはだな、あれは300年前ちょっとうっかり町を1つ灰にしちゃってな。】
「……しちゃってなって」(汗)
「結構凄いことをしますね」(汗)
【その時人間の『勇者』が現れて、ちょびっと嘗めてたのは確かだが途中で本気をだしたが、負けてしまいこの『無限牢獄』に封印されたわけだ】
「このヴェルドラさんの周りにあることですか?」
【ああそうだ。】
「………………よっと。」
『告:『無限牢獄』の解析に失敗しました』
悟さんが『無限牢獄』に触れてみた。どうやら『大賢者』で試したみたいだが失敗したようだ。
『(どうする悟さん、この話聞いたら助けたくなる)』
『(だが、『大賢者』でも無理だ『方法ならあります』と…マジか!?)』
『(どんな方法!?教えてくれ!)』
『解:それは………』
俺はそれを聞いて、最初は聞いていて大丈夫かと思ったが、悟さんに(『大賢者』を信じてくれ)と言われあまり気乗りはしないが了承した。
「あのさ俺たちこれから外に出るんだけどその期間ヴェルドラさんをその『無限牢獄』からだす方法があるぞ。」
【おお!その方法は何だ!?】
「俺の胃袋に入ってくれ」
【………………】
それはヴェルドラさんが悟さんの胃袋にいる間中から『無限牢獄』の情報を送り外側と内側の両方から『無限牢獄』を解除するという方法であった。
「という方法があるんだが、どうだ」
【…フ、フハハハハハハ!!】
突然ヴェルドラさんが大笑いをしあまりの大声に俺は耳を塞いだ。
【いいだろう、そうしてくれ!】
「い、良いんですか?」
【ああ、ここでお主らが再び帰ってくるのを待つより、そうしたほうがずっと良い】
「よし、じゃあ早速【ああ、ちょっと待て】ん?」
ヴェルドラさんの了承をもらい、悟さんが捕食しようとしたときヴェルドラさんが急に静止をかけた。
「何です?」
【その前に互いに名を与えようそうすれば
『(どうする悟さん?)』
『(良いんじゃないか、響きも悪くないし!)』「じゃあ、まずこっちから名付けるけどいいか?」
【ああ構わん】
「では少し待ってください」
俺たちはヴェルドラさんの名前を考えるため、脳内会話で会議をした。
『(なにか良い案あるか、聖地君?)』
『(悟さんは?)』
『(俺はもう決めてある!)』
『(え?俺もです。)』
『(そうか、じゃあ一斉に言うぞ)』
『(はい)』
『『((テンペスト!!))』』
『(あれ?)』
『(まさか同じことを考えていたとは)』
『(じゃあ決まりだな)』
『(だな)』
まさかの同じ名前だった、偶然でも少し笑ってしまいそうだ。
「名前決まったぞ」
【おお、どんな名前だ】
「[テンペスト]です」
【………[テンペスト]!!実に良い!!今日から我は暴風竜ヴェルドラ・テンペスト!!!】
一瞬黙ったから気に入らないと思ったが、どうやら気に入ったようだ。しかし、あまりに声が大きかったから俺はまた耳を塞いだ。
【それでは今度は我の番だ。スライムよお主には[リムル]の名を与えよう、そして、お主の種族は何だ?】
「ハイ、俺の種族名は……………
(今咄嗟に考えたろ)
(いや急に思い出せなかっただけ!)
【そうか
「ありがとうございます」
『告:エクストラスキル『王の器』『時の王者』『天界の翼』『魔界の羽』を獲得』
(なんだ今の?まあ後で聞けば良いか)
「じぁあ、気を取り直して、いくぞヴェルドラ」
【うむ、ああそれとリードよ】
「何ですか?」
【次会う時はもう少し柔らかい態度で頼む友にそのよう
に接されるのはあまりな】
「わかったよ、ヴェルドラ」
【うむでは、また会うその日までさらばだ】
そういってヴェルドラはリムルさんにまた会うその日まで捕食された。
『問い:『無限牢獄』の解析を開始しますか?』
(YESで。)
「それじゃあ、外にでますかリムルさん」
「さんは良いよ、リード」
「わかったよ。リムル」
それからしばらく洞窟の外を目指す間、さまざまなモンスターに襲われたがリムルと交代で魔物を倒していき、リムルが捕食したモンスターのスキルをいくつか一緒に覚えた。
そして遂に、
「おお扉だ」
「どうやら出口みたいですね」
扉に近付こうとしたとたん、扉が開いたので咄嗟にリムルを抱えて『閃光』を使い、近くの岩陰に隠れた。
「ふぅ、やっと開きやしたぜ。鍵穴まで錆びついちまってんだから」
「まぁ仕方ないさ。300年も手入れもされず、誰も入ったことないんだろ?」
「行き成り襲われたりしないですよね?まぁ、いざとなったらエスケープで逃げれますけど」
扉から入ってきたのは2人の男性に1人の若い女性であった。
『(あの3人『冒険者』か?)』
『(この世界ならそれが当たり前だろう、てゆうか俺たちあの3人がなに言ってるのかわかるぞ!)』
『(確かに何故?)』
『解:意志が込められている音波は『魔力感知』の応用で理解できる言葉へと変換し、逆に思念を乗せて発声すれば会話も可能です』
『(よかった~、俺英語ダメだったんだよな)』
『(俺も少し苦手だ、しかしこれでこの世界でコミュニケーションがとれるな)』
そんな話しをしていると、3人の冒険者の姿が消えた。
『(おお!あいつらのスキルか?)』
『(まあ洞窟の奥に進むなら、出れて好都合だけど羨ましいなあのスキル)』
3人の冒険者が奥に進むと俺は『閃光』を使って、念願の洞窟脱出が叶った。
「おお久しぶりの陽の光りだ!!」
「俺は洞窟の暗闇に慣れてたせいか眩しい」
「リード、早速森に入ろうぜ」
「そうだな、ヴェルドラの土産話も必要だし」
こうして俺たちは森に入り辺りを見渡しながら歩いていると、緑色の肌をした人型の魔物の群れに遭遇した。
(リムル、こいつらってゲームやアニメよく見る)
(ああゴブリンだ、でもあいつら俺たちを警戒しているだけで襲ってくる気配が無いな)
「あっあの」
「「うん?」」
俺達が脳内で話し合いをしている途中でバンダナを巻いたゴブリンが話しかけてきた。
この後俺たちはまだ知らないこれから起こっていく出来事に、そして俺のユニークスキルを使う日もそう遠くないことに俺たちはまだ知るよしもなかった。