転生したら天魔人だった件   作:通りすがりの気分屋

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この本によれば、災厄の魔物カリュブディスが復活し、我が国テンペストは総力をもってこれを迎え撃った。
しかしカリュブディスの狙いは我らではなく、ミリム様だと判明し、その後はすぐにことが片付いた。そして魔王カリオンが現れ、我が国テンペストとユーラザニアは不可侵協定を結んだ。


検査結果と獣王国の交易

 

「えっ?仕事に行く?」

 

「うむ!心配するな終わったらすぐに帰ってくるのだ」

 

リード達はシェアハウスで食事を済ませると、ミリムの突然の行動に驚いていた。

 

「それは、他の魔王に会いに行くということですか?」

 

「うむ!仕事だからな!安心しろホウテン、お前のことはフレイに内緒にしといてやる!」

 

「ありがとうございます」

 

「…気をつけて行ってこいよ」

 

「うむ!リードもな!ドラゴナックルありがとうなのだ!」

 

ミリムがそういって嬉しそうに、ピンク色で龍の腕をモチーフにしたナックルはつけていた。以前約束したミリム専用の武器である。『脱力』と『減速』の効果を刻んだ魔鋼をしのばせた、ミリムの安全装着のような武器である。

 

「じゃあ行ってくる!」

 

ミリムは魔法で服を着替えると、そのまま飛んでいった。

それを見届けたリード達は全員息を吐いた。

 

「「「「「ふーーー」」」」」

 

「…行っちゃった…」

 

「またすぐに会えますよ」

 

「そうだな」

 

「よし!みんな早く食器片付けるぞ」

 

リードはリグル達を連れてシェアハウスに戻った。

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

「そうか、ミリム行っちゃったか」

 

「ああ…ところでリムル、今日の会議の目的は?」

 

リードがミリムの報告を()()()で済ませると、今回の会議の質問をした。

 

「ああ、ユーラザニアへの使節団を決めようと「行かせてください!」…」

 

リムルがユーラザニアへの使節団を決める会議と知るとリードは真っ先に挙手をした。

 

「あのなリード、今回はリザードマンの時とは違うんだぞ?」

 

「分かってるけど、やっぱりここは盟主の片割れである俺が行った方がいろいろといい筈だ!」

(本当はそれだけじゃないけど…)

 

「確かに盟主本人が来ることで向こうも失礼なことは迂闊にできない」

 

「そうすればいざこざが起きず、視察もしやすくなるな」

 

リムルはリードを止めようとしたが、リードの意見に賛成する者もおり、それも良いかもしれないと考えた。

 

「…わかったじゃあリードを団長にメンバーは……」

 

リードが心でガッツポーズをしていると、リムルが他の者を選ぼうとしたとき、リグル、ウォズ、コウホウ、ホウテンが挙手し、ウォズとコウホウは睨み合っていた。

 

「ウォズ、人間の貴様が行ってもなめられるだけだぞ?」

 

「心外だね、君みたいな戦闘狂が暴走したときの抑止力は必要だろう?」

 

二人の間で火花な散るとリードは頭をおさえ、リムルはリードに同情した。

 

「あっ!俺ベスターに検査の結果が出たから来てほしいって言われたんだ!」

 

「なんだって!わかった!後のメンバーは俺が決めるからお前行ってこい!」

 

「サンキューリムル!リグル、ホウテンついてきて!」

 

「えっ?」

 

「あっはい!」

 

「「我が主!私は?/リード様!我は?」」

 

「お前らは喧嘩するからダメ!」

 

リードの禁止命令にウォズとコウホウは分かりやすいショックを受け固まってしまい、リードはリグルとホウテンを連れてベスターのもとに向かった。

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

「ゴメンベスター!遅れた!」

 

「いえ、他のことで時間を潰すことが出来たので気にしないでください。ところで今日はあの二人ではないのですか?」

 

リードがベスターの研究室に到着しての開口一番の謝罪をベスターは笑いながら返した。そしてリグルとホウテンを連れていることに質問した。

 

「あの二人が喧嘩しだすと、大事な結果を聞き逃すかもしれないから置いてきた」

 

「そうですか」

 

「それで検査結果はどうだったんだ?」

 

リードがベスターの質問に答えるとすぐに検査結果の報告を聞きたくて仕方がなかく、椅子に座っていても落ち着かない様子だった。

しかし、ベスターはすぐに真剣な表情に変わりリードに向かい合った。

 

「わかりました、検査の結果リード様に判明したことはいくつかあります」

 

ベスターのこの言葉にリードとリグル、ホウテンが真剣な表情になった。

 

「教えてくれ」

 

「はいまず一つ目、これを教える前に確認したいことがあります」

 

「なんだ?」

 

「リード様完全回復薬(フルポーション)をお使いになったことは?」

 

「えっ?ないけど」

 

「そういえばリード様は傷を負ったら『超速再生』で治しますね、それがどうかしたのですか?」

 

ベスターの質問の意図が読めず僅かに困惑しながら答えるとベスターが安心した笑みを浮かべた。

 

「よかった…それ程の大怪我がないことに安心しました。………実はリード様は完全回復薬(フルポーション)が効かないことがわかったのです」

 

「………えっ?えええ!どう意味だよベスター!」

 

いきなりこのテンペストの長所ともいえる完全回復薬(フルポーション)が効かないことにリードは勢いよく立ち上がり、リグルとホウテンも驚いていた。

 

「…私もリード様の血を調べて驚いたのですが、正確にはリード様はどうやら魔素への抵抗力が異常にまで高くそれが魔素を分解し、無効化してしまう。要するに魔素を介する薬や魔法が通じないのです」

 

「………ん?だとしたらリード様が致命傷を負ったら終わりということですか?」

 

「………そうなります」

 

「………最悪だ」

 

リードがベスターの報告に絶望するとベスターが申し訳なさそうな表情になっていった。

 

「申し訳ありませんリード様、しかし、まだ後二つわかったことがあり、それは悪い報告ではありません」

 

「………お願い」

 

「はい…オホン、次にわかったことはリード様の『光』と『闇』についてです」

 

今度はリードの主力とも言ってもいい『光』と『闇』の説明と聞き、リードは僅かな期待を抱いた。

 

「これも調べて驚いたのですが、リード様の『光』と『闇』は共鳴し合っているのです」

 

「?それがどうことだ?」

 

リードが首を傾げていたが、ホウテンは驚きのあまり口が開いていた。

 

「つまりリード様の魔素量は今も増え続けいるのです」

 

「…ええっとう~、つまり戦闘のバリエーションが増えるってことか?」

 

そんな単純な話じゃないですよ!!

 

ベスターの分かりやすくした説明をリードなりに解釈するとホウテンが声を荒げた。

 

「ホ、ホウテンどうした?」

 

「リード様あなたこの世に生まれてどれくらい経ちましたか?」

 

「えっ?」

(人間だったときのを含めれば十八歳だけど、種族が違うから)

「一年くらい?」

 

一年でその魔素量がおかしいんですよ!

 

ホウテンの突然のキャラ崩壊にリードとリグル、ベスターが少々距離を置いた。

 

「ホウテンどういういうこと?」

 

「…天使族(エンジェル)に関しては詳しくは知りませんが、悪魔族(デーモン)の基準で考えるならリード様は既に上位魔将(アークデーモン)クラスの魔素量を保有しています…」

 

「?それってスゴいのか?」

 

当たり前ですよ!魔王種の一歩手前の存在なんですよ!

 

「えっ!?」

 

しかも、この成長速度は明らかにおかしいことなんです!

 

「………な、成る程よくわかった…で、最後にわかったことは?」

 

ホウテンが息を切らし肩が激しくゆれる程荒ぶり、リグルが水の入ったコップを渡した。

 

「はい、これがもっとも驚いたことなのですが、リード様には()()に『人間』の血が混ざっていいたのです」

 

ホウテンがその報告しました聞くと持っていたコップを落とした。

 

「………ベスター殿、それは間違いないですか?」

 

「………はい」

 

ホウテンが確認をするし、ベスターが肯定するとホウテンはまるで壊れた人形のような動きでリードを見た。

 

「…?どうしたホウテン?」

 

一体あなたのからだはどうなっているのですか!!??

 

「どわぁ!ホントどうしたホウテン?キャラ崩壊がスゴいぞ?」

 

受肉したデーモンやエンジェルの肉体の血に人間の血が含まれていることにおかしいと思わないんですか!?

 

「ホウテン!取りあえず一回深呼吸して落ち着いて説明してくれ!頼むから!!」

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

「…申し訳ありません。あまりの検査結果に動揺してしまいました」

 

「…お気持ちお察しします」

 

「で、何がどう変なんだ?」

 

ホウテンを落ち着かせいつもの冷静さが戻ると、リードもある意味落ち着きホウテンに聞いた。

 

「実はデーモンの受肉にもそれ程詳しくないのですが、人間の血を持つデーモンかエンジェルは聞いたことがないのです」

 

「そうなのか?」

 

リードは新たなに誕生した種族ということもあり、デーモンやエンジェルに関しては何も知らなかった。

 

「はい、人間の魔王なら会ったことがありますけど…」

 

「人間の魔王?」

 

「レオン・クロムウェル様です」

 

「レオン・クロムウェルだって!!」

 

「ええ…知ってるのですか?」

 

「まあ、ちょっとな」

 

リードはここで予想外な名前を聞いて驚いていたが、僅かにレオンの情報が得られたことに幸運だと思った。

 

「…取りあえずベスター、その検査結果俺に頂戴」

 

「そう言うと思ってもう一枚書いておきました」

 

ベスターからもう一枚の検査結果を受け取ったリードは検査結果の木簡に一通り目を通すと、『万能空間』に入れた。

 

「また何か分かったら教えてくれ」

 

「はい」

 

「戻るぞリグル、ホウテン」

 

「「は」」

 

リードはリグルとホウテンを連れてベスターの研究室を後にした。

 

「………リード様、あなたは一体何者なのですか?」

 

ベスターは先ほどの検査結果とは()()()()を机棚から出した。そこに書かれていたのは『リード・テンペストの血液成分』と書かれており、そこには()()()()()()()()()()()()()()()()()()と書かれていた。

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

「なんだよこの検査結果!」

 

「仕方ないだろ、ベスターだって頑張ったんだから………このメンバーでいくのか」

 

リードが仕事場に戻った時には既に会議は終わっており、リムルがリードにユーラザニアへの使節団のメンバーが書かれた木簡をもらい、リードはリムルにベスターからもらった検査結果を渡し、互いに感想を言った。

 

「しっかし、お前の今後の戦い方も考えないといけないな」

 

「うん」

 

「お前はどこか自己犠牲的な戦いをするところが見えるのが俺は心配なんだ」

 

「うん」

 

 

「…現状今のお前の傷はお前自身しか治せないんだぞ」

 

「わかってる」

 

「…今日はもう帰っていいからユーラザニアへ行く準備すませてこい」

 

「えっ?でも今日の仕事は「コウホウとウォズは先に帰って準備してるぞ」お言葉に甘えて!」

 

ウォズとコウホウが喧嘩したときの被害がたまにひどいことになることがあり、リードはリムルの言葉に甘えて先に帰らせた。

 

「よろしかったのですが?先に帰らせて?」

 

「こんな検査結果の後じゃあ仕事に支障が出るかもしれないだろう…それよりもユーラザニアへの準備をしたほうが気持ちの整理もしやすいだろう」

 

「成る程!さすがリムル様です!」

 

「………」

(それだけじゃない、あのペンダントをつけるようになってからリードはまた俺に隠し事を………だがいつか話すだろう)

 

そう思いリムルは仕事に取りかかった。

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

そして月日が経ち、遂に使節団の出発式が行われることとなった。

メンバーは幹部候補のボコブリン、その取り纏め役としてリグルとホウテン、副団長にベニマル、ウォズ、コウホウそして団長のリードが整列していた。

リグルドはリグルの成長ぶりに大号泣していた。

既に準備を済ませたリード達は、リムルが送る言葉を待っていた。

 

「諸君、是非とも頑張ってくれたまえ」

 

リムルのこの短い言葉に場が静まり返り、リードは心でこけた。

 

『(リムル、もう少し言葉お願い!言葉!)』

 

『(駄目か!?)』

 

『(当たり前だ!)』

 

リードがすぐに『繋がる者』でリムルに抗議すると、リムルは言葉を続けた。

 

「コホン、いいかお前ら今回は相手と今後も付き合っていけるのかを見極めるという目的もある。我慢しながらじゃないと付き合えそうもないのならそんな関係はいらん。お前達の後ろには俺や仲間達がいる。恐れず自分達の意思はキッチリ伝えろ。友誼を結べるか否かその目で確かめて欲しい。頼んだぞ!」

 

次の瞬間が住民から喝采の声が響き渡り、リムルはリードに近づいた。

 

「じゃあリード任せたぞ」

 

「ああ、リムルも頑張って」

 

リムルがリードが拳を付き合わせると、次はベニマルに近づいた。

 

ベニマルしっかりリードを見といてくれよ

 

お任せをリードの行動はたまに予測出来ないのでしっかり見ておきます。それにちゃんとカリオンが信用に足る人物か見極めてきますよ

 

そして全員は赤兎が連れてきたペガサスが引く馬車に乗り、その馬車の裏にある『浮遊』の効果を刻んだ刻印を発動させると、馬車が宙に浮き彼らは魔王カリオンが納める国獣王国ユーラザニアへ出発した。




こうして、私たちは獣王国ユーラザニアへ向かった。
そして新たな出会いがもうすぐであることを我が魔王は知らない。

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

とある地下牢に長髪で白髪で虎耳の女性が同じ髪色の少女の前に座っていた。

「じゃあ行ってくるからな」

「………うん」

「土産物と土産話楽しみにしてろよ!」

「………うん」

女性が明るく接するが少女の言葉に感情はなく、女性はどこか悔しそうな表情だったが、少女はうずくまっていて女性の顔を見ていなかった。

「じゃあまたな!」

女性は元気に少女に別れを告げて、出入りの金属の扉が重い音を出して閉まった。
そして足音が遠ざかると少女のすすり泣き声が小さく響いた。

「スン……ごめんなさい……スン……お姉ちゃん」
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