転生したら天魔人だった件   作:通りすがりの気分屋

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我が魔王と私達はユーラザニアで御前試合を行うことになり、私と脳筋で圧勝し彼らの信用を得た。
その後は私達は問題なく視察を行い、いよいよ明日テンペストに帰ることとなったが、我が魔王が一人で…おっと少し先を読みすぎてしまった。


大問題発生!!

 

「あっというまだったな~」

 

「ですね」

 

リードはユーラザニアの城の客室の寝床で横になり、視察の最初の感想を言うと相部屋となったリグルも同意した。

客室は一部屋二人と決まっており、リードとリグル、ウォズとホウテン、ベニマルとコウホウとリードが決めた。勿論ウォズとコウホウが異論を唱えたが、

 

「じゃあお前ら同じ部屋にする?」

 

とリードの代案を前に大人しく引き下がった。

その後は、ウォズとコウホウはユーラザニアの戦士達と毎日手合わせをすることとなり、その度にリードが回復薬と『光』の力で治療羽目になった。

 

「まあ、おかげで高位回復薬(ハイポーション)との取引が出来るようになったからいいか」

 

「お疲れ様です。…アッ!」

 

「どうした?」

 

「すみません、ベニマル殿と報告書をまとめないといけないので少々行ってまいります」

 

「おお、俺も少し出るから鍵持っていっとけよ」

 

「はい」

 

リグルはそう言って、ベニマル達の部屋に向かった。

そしてリードは持っときたバックの中から手帳を取り出した。

それにかかれていたのは、()()()()()()()()()()

 

「さて、改めてここの地図を覚えなおすか………うん?」

 

リードが何かしようとしたとき見覚えのない小さな本が入っていた。

 

「なんだこれ?こんなの入れた覚えがないけど…」

 

リードが違和感を感じ、最初のページを開き目を通すとすぐに本を閉じた。

 

「………見間違いか?」

 

リードが再びページを開いた。

 

『今日はリードさんがウォズとコウホウを連れてわたくしの仕事場に来てくれました。数着の衣類製作の依頼を済ませると、わたくしはリードさん達に簡単な昼食をつくり、また来てほしいと断られることを覚悟してお願いしました。ですがリードさんはこのお願いを了承してくださいました。

好きな殿方が来てくることがこんなに嬉しいことだったことを今日までわたくしは知りませんでした。』

 

リードはこの文を読み終えると大量の汗を流し、顔は耳まで赤くなっていった。

 

「絶対これシュナの日記じゃん…」

(誰が仕込んだ?テンペストを出る直前まで入ってなかったはず………まさかリグル達……)

 

リードは突然のことで頭が回りきらずにいた。いくらリムル達と過ごしているうちに成長しているとはいえ、このようなことは初体験だったため、頭から湯気が出ていた。

 

「………よし!見なかったことにしよう!そしてシュナにバレずに返そう!」

 

リードはあまりの出来事に現実逃避をし、部屋を出た。偶然部屋を出るところを目撃したホウテンはリードの顔が耳まで赤くなっていることに気づくと、まるでいたずらっ子のような妖艶の笑みを浮かべた。

 

「ふふ、作戦成功♡」

 

その後、フォビオに呼ばれていたホウテンは城の入り口に向かった。

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

城の入り口の庭にフォビオは立っていた。理由はホウテンとここで会う約束をしていたからだ。

 

「こんな人気のないところで二人っきりってどういうつもりだ?」

 

気配を殺し、フォビオの接近したホウテンは笑いながらフォビオの喉を指でなぞった。

 

「………俺はそういう趣味はない…」

 

「つれないなぁ、アルビスならもう少しいい反応するのに…」

 

ホウテンが残念そうにフォビオから離れると、フォビオが真剣な表情でホウテンに質問をした。

 

「ふざけないで教えてほしい、何故あなたがあの国にいたのですか?」

 

「………」

 

「天翼国最強の戦士!戦士長『死鳥』のニクス!」

 

「………」

 

ホウテンは髪を耳にかけると、少し考えてから答えた。

 

「いろいろあってな…」

 

「いろいろとは…?」

 

「…これ以上は言えないな」

 

「………」

 

月明かりが二人を照らすと、ホウテンはどこか辛そうな表情をしていたことにフォビオは気づいた。

 

「?あのニクス「ホウテーーン!!」ん?」

 

何故そんな表情をしているのかフォビオがさらに質問しようとしたとき、コウホウが凄まじい形相で現れた。

 

「どうしたコウホウ?」

 

「リード様を見ていないか?」

 

「え?少し前に部屋を出たところは見かけたけど…」

 

「なんだと…!?」

 

「だが、その後は見かけてないぞ。………何かあったのか?」

 

ホウテンが首をかしげて聞くとコウホウは懐から、リードの手帳を出した。

 

「さっきリード様の部屋に入ったとき偶然視界に入って確認したら…」

 

ホウテンが手帳を見るとあるページが目にとまった。

 

「これは…この城の地図!?」

 

「ああ、しかも見ろ!」

 

コウホウが指を指したページには地図が描かれており、ホウテンがその地図を見ると、地図に描かれている部屋は赤いバツがつけられ、赤いラインがリードの部屋から一階の行き止まりまで繋がっており、()()()に赤くマルマークが描かれていた。

 

「………コウホウ」

 

「…ああ」

 

「確かリード様はここ数日この城の床を見てたよな?」

 

「…ああ」

 

「まさか…」

 

「…ああ」

 

「?おいどういことだ?」

 

状況がついてこれてないフォビオがホウテンとコウホウに状況確認をしたら、ホウテンがフォビオの両肩の上に手を置いた。

 

「おいフォビオ」

 

「な…なんだ?」

 

「ここ…地下に何かいる?」

 

「!?」

 

ホウテンが地下の存在を聞いた途端フォビオの表情が険しくなった。

 

「何か知ってるんだ?」

 

「その前にどうやって地下の存在を知った!あそこはこの国でもごく一部の者しか知らない国家機密だぞ!」

 

フォビオのこの言葉でコウホウとホウテンの顔色が青くなった。

 

「迂闊だった…」

 

「明日帰るから油断してしまった…」

 

「??どういうことだ?」

 

「説明は後だ!コウホウ!リグルとウォズを呼んでくれ!場所は覚えているな!」

 

「勿論だ!」

 

「じゃあ頼む!フォビオ地下への入り口まで案内してくれ!その時に説明する!」

 

「わ、わかった!!」

 

コウホウはリグルとウォズを呼びに向かい、ホウテンはフォビオと共に地下への入り口に向かった。

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

リードは足音をたてずに目的地に向かっていた。

 

(この数日でわかったのはあの地下に行くにはその出入りするやつから鍵を()()()()といけない。そして決まった時間に同じやつが食料を持って行くからそいつから借りれば…)

 

リードが突き当たりのかげに隠れると、狐の獣人族(ラインスローブ)の少女が行き止まりの壁を押して現れた。

 

(きたきた、あとは偶然を装って…)

 

『魔力感知』で距離を計り、こちらに曲がる瞬間わざとぶつかった。

 

「うわぁ!」

 

「おっとすまない」

 

「だ、大丈夫で…って!リード様!!」

 

「すまない、この近くで用事があったのを思い出して急いでいたんだ。怪我はない?」

 

「もっもちろん大丈夫です!」

 

「気を付けてね」

 

「はっハイです!」

 

まさかテンペストの盟主と会話する機会が訪れると思っておらず、狐の獣人族(ラインスローブ)は緊張が体で表現しなりながら去っていった。

 

「………おやおや?こんなところに鍵があるな、一体なんの鍵なんだろう?」

 

リードは先ほどの少女が落とした鍵を()()、先ほど少女が現れた行き止まりの壁の小さな穴に指して回し壁を押すと、そこには階段がありその先は暗い空間が広がっていった。

 

(かなり分厚い鉄製の扉だな、それを石造りに誤魔化すとはここの技術者はなかなか)

 

リードは壁の造りに感心していると、『閃光』の力で小さな光の玉を出して、階段を静かに降りていった。

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

「本当にリード様にそのような眼が!?」

 

「お前がカリュブティスに取り込まれていたのを一番に気付いたのもあの人だ!」

 

ホウテンはフォビオの案内のもと、リードが向かった行き止まりの壁___地下への入り口に向かっていた。

 

「だがいつから?」

 

「おそらく、この国に来てすぐだろう」

 

「なんだって!?」

 

「何回も床を見てたからな、おそらくその時既に…」

 

ホウテンがフォビオにリードの眼を説明し、地下への入り口に向かった理由もホウテンは察していた。

そして合流通路でコウホウがリグルとウォズそして()()()を連れて現れた。

 

「ドルン殿!?何故あなたがここに?」

 

「…コウホウ殿がリード様が地下に向かったっと聞いたので私も同行をお願いした」

 

「…ドルンさん」

 

「フォビオ、私はここで彼らに例の事を話す」

 

「なっ!?」

 

「こうなってしまったら、いずれ彼らにも伝わるそれなら早めに伝えた方がいい」

 

「………わかりました」

 

ドルンがあることを話すことにフォビオは反対であったが、自分を強くしてくれた人の気持ちをむげにすることが出来ずうなずいた。

 

「…ドルン殿、地下には何がいるんですか?」

 

「…現三獣士白虎爪(びゃっこそう)スフィアの妹だ」

 

「!?あいつに妹がいるなんて初耳だが…」

 

「生まれてすぐに地下へ送らねばならなかったんだ」

 

ドルンが暗い表情になると、フォビオは心配に見たがドルンはまた話を続けた。

 

「180年前、ある事件が起きた」

 

「180年前…」

 

「ああ、その者この都市ラウラの町の一部を破壊し、カリオン様に重傷を負わせた」

 

「なんだと!?」

 

コウホウとウォズ、リグルは驚きを隠すことが出来なかった。魔王であるカリオンに傷をしかも重傷を負わせることが出来る者は限られてくるからだ。そしてホウテンは何か気づくと信じられないという表情だった。

 

「…ドルン殿、まさかその犯人は…」

 

ホウテンの予想にドルンはただ静かに頷いた。

 

「ああ、まだ幼いスフィアの妹だ」

 

「「「「!!??」」」」

 

「ちょっと待ってほしい…魔王が子供相手に傷を負ったなんて信じられない!」

 

「……無理もない、しかし私は確かに目撃したんだ

白虎の爪がカリオン様に深い傷を負わせたところを…」

 

リグル、ウォズ、コウホウは言葉が出なかった。十大魔王の一人のカリオンに幼い少女が傷を負わせた事実に、しかしホウテンはまだ冷静であった。

 

「…何故処刑しなかったのです?」

 

「………泣いていたから」

 

「なに?」

 

ホウテンの怒りの籠もった問にドルンは泣きながら答えた。

 

「…あの娘は…力が制御出来ず……暴走して…起きてしまった事件だったんだ!!」

 

「………」

 

「あの娘の処罰を決める際、あの娘は『ごめんなさい、ごめんなさい』と繰り返し謝りながら、泣いていたんだ…」

 

「………」

 

「私はその時の被害を抑えることが出来なかったことを理由に三獣士を引退する際、カリオン様より『お前のこれまでの働きにより望みを叶えてやる』とおっしゃられたとき、私はあの娘の助命をお願いし、あの娘は地下牢に永久投獄にと処罰が決まったのだ」

 

「…まずいな…」

 

「「えっ?」」

 

ホウテンの予想外の返事にドルンとフォビオは驚いた表情になった。

 

「いや~、実はリード様は『侵入(インベイション)』というスキルがあってな、それが記憶を読むことが出来るんだ」

 

「………なんだって?」

 

「もしあの時ドルン殿の記憶からこれを知ったのなら…」

 

ホウテンの予想を察したリグル、ウォズ、コウホウは眉間をおさえた。

 

「間違いないね…」

 

「やりますよ、リード様なら…」

 

「あの人の優しさは底なしですから…」

 

「そうとわかったら、慌てる必要はないな…」

 

「おい!なぜそうなる!!」

 

フォビオはホウテン達の態度の急変に戸惑ったが、リグル達が笑いながら答えた。

 

「だってあの人、そういう理由ならどんな手段も使いますから」

 

「ええ、人助けならなおのこと」

 

「はぁ!?馬鹿を言え!カリオン様に重傷を負わせた相手だぞ!」

 

フォビオが不可能であると言うが、リグル達は顔を見合わせ答えた。

 

「「「「それでもやるのが、あの人だ!!」」」」

 

「………」

 

「しかしさっきは慌てる必要はないと言ったが一応その地下牢に行こう。下手したらテンペストとユーラザニアで戦争が起きるかもしれない」

 

「…わかった、ついて来てくれ」

 

ドルンが地下牢への入り口に案内をすると、リグル達はドルンについて行き地下牢へ向かった。

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

「はじめまして」

 

「………」

 

リードが地下牢の前にくると中にいる少女に挨拶をしたが少女は返事をしなかった。

 

「…ご飯少ししか食べてないんだな」

 

「………」

 

「…黙ってないで顔を見せてくれないか」

 

「………」

 

リードが必死にコミュニケーションをとりたいというお願いが伝わったのか、少女は顔をあげた。

 

「………」

(まさかここで会うとは…)

 

その少女は「夜の蝶」の水晶でみた少女であった。しかし水晶で見た時より幼く痩せていた。

 

「改めて、はじめまして俺は「リード・テンペスト様ですか?」………なんで知ってるの?」

 

「昨日知らない女の人の声が教えてくれた」

 

「声?」

(ホウテンも声で俺の事を知ったって言ってたな…)

「詳しく教えてくれないか?」

 

「…うん」

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

それは食事が運ばれいつも通りの静かな夜のことであった。

 

『孤独な獣人よ』

 

「!!誰?」

 

『外の世界を見たいですか?』

 

「…無理だよ、僕の力はカリオン様を傷つけるんだよ…」

 

『それを可能にする者が明日現れます』

 

「…え?」

 

『そのお方は天使の翼と悪魔の羽を持つ種族半天半魔(エンジェデーモン)のリード・テンペスト』

 

「………本当?」

 

『ええ』

 

「……あなたの名前は?」

 

『残念ですが、教えることは出来ません』

 

「じゃあ、そのリード様が来たら教えても?」

 

『構いませんよ、それではあなたに明るい未来が訪れることを祈ります』

 

それを最後に声は途絶えた。

 

「………ありがとう」

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

「それは本当?」

 

「はい」

 

「そっか」

(偶然か?どっちにしろ後でホウテンに確認するか)

「中に入っていいかい?」

 

「え?でもこの牢の鍵は三獣士とカリオン様しか持っていませんよ…」

 

「心配無用!」

 

リードが『万能空間』から、カイジンに作ってもらったピッキングセットを取り出し、解錠を始めた。

 

(まさか釈迦人(しゃかと)義兄(にい)さんに教わったピッキング能力がここで役立つなんて…)

 

解錠を完了させ、牢の入り口が開くとリードは少女の隣に座った。

少女は驚いた表情をしていたが、リードは気にしていなかった。

 

「まずは俺達の国テンペストについていろいろ教えよう」

 

「はっはい!」

 

少女は緊張していたが、目は好奇心溢れるほど輝いていて、リードは楽しそうにテンペストの事を話し始めた。




こうして我が魔王の持ち前の行動力が新た出会いにたどり着いた。
しかし我が魔王に危機が迫っていることに我が魔王は気づいていなかった。
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