転生したら天魔人だった件   作:通りすがりの気分屋

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この本によれば、我が魔王リード・テンペストは帰還中、突然魔素を感知すると私達4人を連れて捜索に向かった。
そこで我が魔王は拐われたドラゴニュートに出会う。
合流した私達は傀儡国ジスターヴの兵士と戦うこととなった。


実力差

 

「「グハァ!」」

 

数体の魔人を鎧を拳で破壊し屍へとかえるリード、黒と緑のアーマーに魔人の血によって青色にかわり、他の魔人の目にはまさに魔王として映っていた。

 

(やっぱり、殺すことへの抵抗を感じない……これじゃあ姉さんに会えたとしても…)

「どうした?まだ俺は戦えるぞ!」

 

「ひっ怯むな!数で潰せ!!」

 

俺は魔人の血だらけになった自分の拳を見て、人間としての何かが無くなっていくことを感じた。

だが、その感情は今この場にはいらないだろう。

魔人を挑発した俺はそのまま残りの魔人の集団に突っ込んだ。

その後は、まさに一方的の虐殺だった。

兵士の鎧は一撃で破壊され、そのまま兵士を貫き、仕止めていった。

何人か逃げる奴がいたが情報が流れることを防ぐためにジカンギレードを銃にかえて仕止めた。

 

「………」

 

わずか数分で俺の周りには魔人の死体が転がっていた。この死体がもし人間の死体だったらと考えたが、何も感じることはなかった。

 

(やっぱり心も変わってきてるのかもな…)

 

俺は今の自分がこの状況を喜んでいるのではないかと思うと自分が恐く感じた。

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

コウホウの周り十体近くの魔人が取り囲んだ。どの魔人も既に自分達の勝利に確信していた。

しかしコウホウは顔をしかめているだけで平然としていた。

 

「やっちまぇ!」

 

リーダー格の魔人の指示で一斉にコウホウに襲いかかり、剣を振り下ろした。

 

ガキィィン!

 

「なっ!」

 

コウホウがやったことはただ方天戟を上に上げただけ、しかしそれだけで魔人全員の攻撃を防いだのだ。

そして魔人達を上空に押し上げると、方天戟を上空に振るい、斬撃を放つと魔人達を一掃した。

 

「ひぃい!」

 

リーダー格の魔人は目の前の鬼人に恐怖した。圧倒的な武を持つこの者にいくら束で挑んだところで勝ち目がないと今頃悟ったのだ。

 

「た、助け…」

 

リーダー格の魔人は命乞いをするが、コウホウはただ方天戟を振るい首をはねた。

 

「………ふぁぁあああ~~~」

 

仕止めた直後コウホウは口を大きく開き、欠伸をした。しかもそれは眠気からくるのもではなく、

 

「つまらん」

 

退屈からくるものであった。

その後相手がいないことを確認すると、コウホウはドラゴニュートの少年の近くに座った。

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

「打てー!打ち落とせ!」

 

魔人達は魔法弾や弓を使って空にいるホウテンを打ち落とそうとするが、ホウテンは楽々と攻撃を避けることに楽しんでいた。

 

「ほらほら、そんな攻撃じゃ永遠に当たらないよ」

 

ホウテンが敵を煽ると敵は怒りをあらわにするかと思いきや、逆に笑った。

 

「今だ!打てー!」

 

ホウテンの死角から今までの倍の大きさの魔法弾が命中し、大爆発を起こした。

 

「ざまぁみろ!アハハハハ!」

 

「いや~確かに危なかったな」

 

「!?」

 

魔人達が驚いて後ろを振り向くと、背を向けたホウテンがそこにいた。

 

「なっ!何故だ、確かに命中したはず!?」

 

「あれくらいなら、当たったって誤魔化すことなんて雑作もない」

 

「くっ!」

 

魔人が距離をおき、魔法弾を放とうとした瞬間突然視界が反転した。

 

「あれ?」

 

「ああそれと、もうお前達………死んでるから」

 

ホウテンの言葉を最後まで聞くことなく、魔人達は肉片にされていた。

 

「本当にハクロウ先生の剣術はすごいな。今度お礼に一緒に釣りにいこう」

 

ホウテンは敵がいないことを確認すると、ドラゴニュートの少年のもとへ戻った。

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

ウォズはシノビアーマーを駆使し、森の中に身を潜めていた。

 

「くそっ!どこ行ったあの人間?」

 

「まだ遠くまで行ってないはずだ!」

 

魔人達が悪態をつきながらウォズを探し、お互いに背を向けた瞬間、ウォズは木から飛び降りジカンデスピア カマモードで魔人の首をはねた。

 

「まったく、これならまだオークと戦っていたときの方が戦いがいがあるね」

 

「いたぞ!数で押せー!」

 

「しつこいな」

 

ウォズは敵の動きがワンパターンだったこととこれ以上時間をかけるのは得策ではないと判断し、ジカンデスピアのボタンを押し、三回スライドタップした。

 

フィニッシュタイム!一撃カマーン

 

ウォズが五人に分身し、同時に斬撃を放つと迫り来る魔人を一掃した。

 

「なっなんだあの人間、聞いてないぞ!」

 

ウォズのあまりの実力に恐れ逃げようとした魔人をウォズはすかさず片足を切断した。

 

ぎゃあぁああーー!

 

魔人は切られた足をおさえ悶え苦しむがウォズはただ黙って近づきジカンデスピアを魔人の首に向けた。

 

「ひっ!」

 

「今から私の質問に正直に答えろ、いいな?」

 

ウォズの問いに魔人は黙って頷いた。

 

「何故ジスターヴの兵士である君たちがこのジュラの森にいる?」

 

「お、俺達はただあのガキを連れてこいって命令されただけだ…」

 

「あのドラゴニュートの少年を?」

 

「そ、そうだ」

 

「一体何故?」

 

「あ、あのガキは珍しいスキルを持っているらしいってことしか、聞かせれてない…」

 

「…なるほど、では一体誰の命令だい?」

 

「そ、それは……!?アガッ?」

 

「?」

 

ウォズの最後の質問に答えようとした魔人が突然喉をおさえて苦しみだした。

 

「おっお許しを…!?かっぁ…っ」

 

魔人は何かに謝罪し空に手を上げるが、白眼になり力尽きた。

 

「…どうやら思った以上に厄介そうだ、早く合流するか」

 

ウォズは枝を利用して、窪地に急いで戻った。

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

「くそっ!なんだあのボコブリン!?」

 

リグルは剣と鞘で魔人達の相手をしていた。

 

「おい!魔法部隊一斉射撃の準備!」

 

リーダー格の魔人が指示を出すと、リグルは剣を鞘に納めた。

そして深呼吸を中腰に構え、柄に手を添えた。

 

(…なんとか全員範囲内にいるな)

 

状況を把握し、柄を握ると柄を通して風の力を剣に溜め始めた。

 

「おい!急げ!」

 

「「はっ!」」

火炎大魔法弾(フレイムショット)

 

「はぁ!」

居合 円!

 

素早く抜いた剣から風の斬撃が繰り出され円のように広がり、木や魔法弾を切り裂き敵すらも容易に切断した。

 

「………ふーー、威力の調整がまだまだだな」

 

リグルは決して慢心せず、己の未熟な部分を学習しながら窪地に向かった。

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

リグルが窪地に戻るとウォズとコウホウがにらみ合い火花を散らし、ホウテンはドラゴニュートの少年を後ろに隠し、戻ってきたリグルに気付くと手招きをした。

リグルも頷きウォズとコウホウを避けてホウテンに近づいた。

 

「あの~何があったのですか?」

 

「実はオレが戻って来る前に始まってな。『どっちの手柄が上か』って喧嘩になってる」

 

「え?」

 

「ウォズは『兵士から情報を一部聞き出した』ってことで、コウホウは『自分が一番早く戻ってきてずっとこの少年を守った』ってことで言い争ってるんだ」

 

ホウテンの話を聞いたリグルは呆れてものも言えず、ウォズとコウホウを見た。

 

「そもそも君はこの少年を守ったっというが、ただ座っていただけだろう!」

 

「ぬかせ!貴様こそ情報が一部というのはどういうことだ!?ちゃんと全部聞き出しとけ!」

 

火花を散らし、激しい妖気のぶつかり合い二人はため息しかで出なかった。

 

「まったく、少しの間だけでも仲良く出来ないのか?」

 

「カリュブディスでも喧嘩するほどですから、無理かと…」

 

「だな…それとあれはどうする?」

 

ホウテンが森を見ると木が倒れる音と大きな足音が徐々に大きくなり、ウォズとコウホウも喧嘩をやめた。

するとその正体は灰色のナイトスパイダーだった。

 

槍脚鋼鉄鎧蜘蛛(メタルナイトスパイダー)!」

 

「ナイトスパイダーの進化した種族か。厄介だね」

 

「まあこの子を守りながら戦うのは……どうしたの?」

 

ホウテンが少年をみると、少年は胸をおさえて深く深呼吸をしていた。

 

「おい小僧どうした?」

 

「はぁ…ふぅ…はぁ…ふぅ…」

 

すると少年のからだがみるみる変わり始めた。

 

「「「「!?」」」」

 

突然の変化にリグル達は咄嗟に武器を、少年とメタルナイトスパイダーに対応出来る距離に離れた。

そして少年のからだは、人間の柔らかい肌が固い黒い鱗にかわり、背中から竜の翼が生え、爪や歯も鋭い爪と牙に変わった。

 

「がああぁぁああーーー!」

 

少年は、いや少年だったそれ竜人は大きな咆哮を上げた。

 

「なんだアレは!?」

 

「…竜戦士化(ドラゴンボディ)…」

 

「何ですかそれは?」

 

「竜を祀る民は、人と人化した竜が交わった者の子孫でかつては竜の姿になって戦う者が多かった」

 

「そういえば、さっきそんなこと言ってたね」

 

「だが今ではその姿になれるにはごく僅かしかいない」

 

「つまり、奴らがあの少年を狙った理由はあのスキルにあると?」

 

「多分…そうだろう」

 

ホウテンが冷や汗を流しながら、少年だった竜人を警戒した。

 

「どうしたんだいホウテン?」

 

「オレも少し前、あのスキルを持った者と戦ったことがある。その時は…あそこまでの変化はなかった!」

 

「…どれくらいの変化だった?」

 

「今はソウカくらいの姿が普通らしい」

 

「がああぁぁああ!」

 

竜人は咆哮を出し、見た目以上の素早い動きでメタルナイトスパイダーの懐まで潜った。

 

「「「!?」」」

 

「速い!」

 

「………」

 

竜人の速さにリグル、ウォズ、ホウテンは驚いていたが、コウホウだけが静かに見ていた。

そして懐にまで潜った竜人が渾身の一撃を放ち、メタルナイトスパイダーを吹き飛ばした。

しかしメタルナイトスパイダーのあまりの硬さに竜人の手が血を流していた。

 

「流石にあの硬いからだを殴ればそうなる」

 

「………」

 

ウォズはさも当たり前のように言うが、次の瞬間竜人の手が瞬く間に治った。

 

「なっ!『超速再生』!?」

 

「あれも使えるのか!?」

 

腹に大きなへこみが出来たメタルナイトスパイダーは、すかさず体勢を立て直した。

 

「オレ達も加勢し「待てホウテン」!?何故止める?」

 

「ちょっと気になることがある。それを確認するまで待ってくれ」

 

「………」

 

今のままでは、勝ち目がないと分かったのか竜人が姿勢を低くして唸り始めた。

 

「がぁあ……がああぁぁああ!」

 

大きな咆哮をあげると背中から赤黒いオーラが獣の頭となって具現化した。

 

「アレは?」

 

「ゲルドのオーラに似てるな」

 

リグルとウォズが獣のようなオーラに注目すると獣のオーラはメタルナイトスパイダーに一直線に迫った。

 

「キィイイイィイ!」

 

メタルナイトスパイダーが脚で串刺しにしようとしたが、獣のようなオーラが口を開くとメタルナイトスパイダーの脚を食いちぎり、さらに勢いをつけ腹を半分食い千切った。

 

「「!?」」

 

「コウホウ、あの傷は…」

 

「どうやらあの馬車はあの小僧の仕業のようだな」

 

リグルとコウホウは森にいたナイトスパイダーの死体の頭の傷と今の傷が同じものと確信し、竜人から目が離せなくなった。

そして先ほど攻撃が致命傷となり、メタルナイトスパイダーはそのまま倒れた。

 

「グルルルル…」

 

低い唸り声を出しながらゆっくりとリグル達に視線を向けた。

リグル達もいつでも対応出来る準備は既に整っていた。

 

「「「「………」」」」

 

「………」

 

しかしその状況は背後からの突然押し寄せてきた圧倒的妖気(オーラ)によって一変した。

 

「「「「!!??」」」」

 

「がああぁぁ!」

 

突然の妖気(オーラ)によって、リグル達は膝をつき、竜人は元の少年の姿に戻り気を失った。

 

「な…なんだ?今のは?」

 

「わからない。しかしあの方角は確か」

 

「ええリード様が戦っている方角です」

 

「…リグル、ウォズ、コウホウお前達はこの子を連れてベニマル達のもとに先に戻ってくれ」

 

「お前はどうする?」

 

「様子を見てくる」

 

「…わかりました。気をつけて」

 

コウホウが少年を担ぎ走りだし、リグルとウォズは瞬動法とマフラーでベニマル達のもとに向かった。

そしてホウテンは先ほどの妖気(オーラ)を調べるために向かった。

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

森の上を飛ぶホウテンは、先ほどの妖気(オーラ)に何か既視感があった。

 

(さっきのはまるで何かの覇気…しかし『魔王覇気』とは異色の気配だった…一体アレはなんだ?)

 

そうして飛行しているとある者が見えた。

 

(なっ!なんでヤツがここいる?)

 

その者は真っ白い紳士服をきた若い男ような者であった。

 

(十大魔王の一人クレイマン!!)

 

しかしホウテンの知るクレイマンは常に冷静でどこか余裕のある表情だったが、今の彼には余裕の表情はかけらも感じられなかった。

 

(一体どうしたんだ?)

 

ホウテンがクレイマンの視線の先をみるとホウテンは冷や汗を流した。

 

「…リード…様?」

 

ホウテンは一瞬ではあるが自身の主が分からなかった。

それは今のリードの姿はダブルアーマーではなく、仮面には二つの時計がありその時計の針が10時と2時を指し、ライダーの文字が仮面にあった。

ここまではリードの知るジオウの強化フォーム『ジオウⅡ』であるが違っていた。

なぜなら、ジオウⅡは()()アーマーを纏っていたからだ。

そしてホウテンはこの時先ほど感じた妖気(オーラ)のことを思い出した。

 

(あの気配は確か…でもなんでリード様が…いやリード様の血は…まさか…)

 

ホウテンの記憶に仮面をつけ白い服をした女を思い出していた。

今のホウテンに出来ることは今この状況を見守ることしか出来なかった。




この時ホウテンの思い出したのは何か、そして我が魔王に一体何が起きてこうなったのか、それは次のお話で。
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