彼を狙う傀儡国ジスターヴの戦士達から彼を守るため我が魔王と私達の五人は交戦を開始した。
その後、配下の私達四人は我が魔王の合流を待つ間、私達は少年の力を目の当たりにすることとなった。
その直後突然強大な
ホウテンは今地上の状況を見ていた。いや見ていることしか出来なかった。
今自分の視界に映っているのは、十大魔王の一人
何故こうなってしまったのかそれは少し遡る
⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫
「俺に集まりすぎだろ!」
俺は倒しても倒しても湧いてくる敵にイライラしていた。
なぜなら敵の数はおよそ100程で、50までは覚えていたが、その後はめんどくさくなって数えるのをやめた。
「もう一気に片付ける!」
リードはジオウウォッチとダブルウォッチを押し、ドライバーを回転させた。
『フィニッシュタイム!ダブル!』
両肩サイドのメモリドロイドが人型になり、リードが高く跳ぶと2体のメモリドロイドも高く跳び、足を合わせダブルの形が出来た。
『マキシマム!タイムブレイク!』
「ハアァァ!!」
必殺のライダーキックはそのまま残り敵を全滅させ、リードの背後は僅かな炎が残った。
「…さて、リグル達と合流するか」
リグル達のもとへ向かおうとしたとき、突然拍手の音が聞こえてきた。俺は音のする方をみた。
「これは驚きました。まさか私の兵があなた方5人に全滅とは」
森から現れたのは、紳士服を来た男だった。だけど俺は『魔力感知』と『聖眼』で男の魔素量を確認すると、その魔素量は信じられない量だった、おそらく魔王だろう。
「………誰だ、お前?」
「これは申し遅れました。私は十大魔王の一人
「クレイマン?」
確かミリムとホウテンの話じゃああまり良い印象はないな。
「一体魔王がなんの用だ?」
「実はあなたにお願いがあって参ったのです」
「お願い?」
「はい、あなたが会ったドラゴニュートの少年をこちらに渡して欲しいのです」
「………」
クレイマンのこの要求に俺は沈黙した。
ホウテンやミリムの話が本当ならコイツにあの子をやるわけにはいかない。
「…それにしてもあなた方の強さには驚きましたよ。まさか私の部下が全滅とは…」
「………」
「どうですか、盟主を辞めて私の配下として働きませんか?」
「なに?」
何を言ってるんだコイツは?
盟主を辞めろって言ったのか?
なんでコイツの配下にならないといけないんだ?
それにさっきから妙にイライラするな。
「ああもちろん!あなたには“五本指”筆頭の地位を与えますよ」
作り笑いで条件を出すクレイマンにリードは不愉快な思いをし始めた。
なんだコイツの言葉は?
仲間が殺されて悲しみや怒りが伝わってない。
むしろ俺達を配下にしたいと躍起になっているように聞こえてくる。
それにやっぱりいつもよりイライラすのはなんでだ?
『解。個体名クレイマンの『精神支配』に
(精神支配?)
俺は『魔眼』を使うとクレイマンと俺の間に糸のような魔力で繋がっており、これがそうなのだと理解した。
(なるほど、それじゃあ…)
リードは全身に『闇』の力を限界まで溜めた。
そして
リードを中心にドーム状の魔力の塊が辺りを吹き飛ばし、リードとクレイマンに繋がっていた魔力を力ずくで破壊した。
「なに!?」
驚いたクレイマンは衝撃に耐え、リードは首をおさえ左右にふった。
「話中に精神支配って、どういう了見だ?」
「…っ!?気づいていたのですか?」
リードがクレイマンの小細工に腹をたてるが、クレイマンは冷静を装い次の手を考えていた。
(なぜ魔王種でもないのに私の精神支配が効かない!?いやまぐれに決まっている!もう一度やれば…)
「質問いいか?」
「…なんです?」
「お前は自分の配下が殺されて平気なのか?」
「ああその事ですか」
リードの問いにクレイマンは吐き捨てるように答えた。
「無論怒らないといえば嘘になりますが、それ以上のモノが目の前にあるので、不思議と怒りがわきませんね」
「…は?」
モノって言ったのかコイツ?
コイツもしかして自分の配下を道具でしか見ていないのか?
自分を慕う配下をなんでそんな風に言えるんだ?
「それに弱いヤツの死を悲しむなんて…くだらない!」
クレイマンが屍となった自分の配下をまるでゴミのように蹴った。
プチン
この時俺の中の何かが切れた。それと同時に理解したコイツはクズだと、
「……けるな…」
「あ?」
「ふざけるなーーー!!!」
リードの中の『光』の力が溢れだしリードは光の球体に包まれた。
『確認しました。『__の卵』の
さらに魔王種への進化に挑戦。___成功しました。
個体名リード・テンペストは
世界の言葉がリードに知らせると光の球体ははじけ、中の
「…っ!?」
(なんだ?!何が起きている?)
クレイマンは今起きている現象にただ戸惑うことしか出来なかった。光の球体から現れたのは、今までとはどこか違う鎧を纏い、仮面の針は二つになり、二時と十時をさしていた。
そして鎧は白く輝き、その神々しい姿にクレイマンはある存在を思い浮かべた。
(まさかアレは!?いやそんなはずがない!!魔物があの存在になるだとあり得ない!)
「き、貴様は一体なんだ!?」
⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫
そして現在、クレイマンの問いに答えずただ沈黙しているリードはまるで感情の抜けたような気配を、クレイマンは仮面越しで感じていた。
不気味に感じるクレイマンが瞬きをした次の瞬間、リードが
「なっ…!?」
そしてクレイマンが距離をおく寸前、リードがジカンギレードに『光』の力を纏わせて振り下ろした。
そして、クレイマンの左腕を肩から切断した。
「グアアアァァァァーーー!!!」
クレイマンは悲鳴を上げ左肩を抑えると、リードが下からの斬撃に気付き一瞬で距離を置いた。
「ハァ…ハァ…ハァ…」
「っ…!?」
状況をうかがっていたホウテンは目を疑った。それは今の状況ではなく、先ほどのリードの動きであった。
(馬鹿な!クレイマンが瞬きをした瞬間にリード様が一歩前に進んだと思った途端、リード様がクレイマンの目の前まで移動した!?)
ホウテンは主であるリードに僅かな恐怖を感じた。その恐怖は300年前と200年前にある者と対峙したときに感じた同じ恐怖であった。
「………」
リードがただクレイマンを見つめると、持っていたジカンギレード捨て、右手を引き『光』の力を溜めるとそのまま真っ直ぐに放った。
「!?」
巨大な霊子の塊が拳の形となり、クレイマンに直撃すると周囲を抉り飛ばした。その衝撃波は空にいるホウテンにまで届いていた。
「くっ…!?」
(アレは間違いなく神聖魔法。それもあの
衝撃波に寄って土煙が辺りを包み、やがて土煙が収まるとボロボロになったクレイマンが立っていた。
「ハァ…ハァ…ハァ…」
(馬鹿なあり得ない!この私がこんな奴に押されるなどあるはずがない!!)
クレイマンは歯を食いしばり現実を受け入れられずにいる状態でも、リードはかまわず先ほどの技を放とうとした瞬間糸の切れた人形のように倒れた。
「…なに?」
クレイマンが驚き慎重にリードに近づくと、その姿は変身解除された姿であった。それをみたクレイマンの口角が上がった。
「ふ、ふははははは!!まったく驚かしてくれたものだ」
(とはいえ、またああなってはマズイ、ここは記憶を消した上で支配するか)
クレイマンが残った右手を伸ばし、リードに迫ろうとすると上空から矢がクレイマンの足元に刺さった。
「こっこれは!?」
「大人しくこのジュラの森から消えろ、クレイマン」
「!?」
クレイマンが空から聞き覚えのある声が聞こえると、驚いた顔をして見上げた。
「きっ貴様は死鳥のニクス!」
「今の名は
「貴様生きていたのか…」
「そんな今はどうでもいい…だろ?」
ホウテンが同時に矢を複数放つとクレイマンは慌てて回避した。
「今の重傷のお前を倒すくらい、俺には造作もないぞ」
「くっ!?」
「あの馬車の魔人はお前の配下だろう?」
「やはり気付いていたか」
「ああ最初は東の帝国だと思っていたが、忘れられた竜の都と東の帝国と隣接しているお前の国じゃないと色々と筋が通らないからな」
一瞬の隙をみせないホウテン、クレイマンもリードを手にいれることをまだ諦めておらず打開策を考えていた。
「それと、ユーラザニアの地下牢にいた少女の暴走もお前が原因だろう?」
「…何を根拠に「『中庸道化連』」…!?」
「そこに所属すると言っていたティアとフットマンという奴らがオレの前に現れる少し前、フルブロジアである『果実』が数個盗まれた」
「………」
「その果実はフルブロジアとユーラザニアの国境で採れる果実で生のままでもいい味であるが、ある副作用を起こす。それは食べた本人の魔力の流れを乱し、錯乱状態にさせるという恐ろしい効果があった」
「…それがなんだと言うんだ?」
ホウテンが腰の入れ物から、何かを地面に放り投げた。
それは表面は赤く美味しそうな果実であるが噛られた果肉は禍々しい黒であった。
「これをユーラザニアで見つけてな。ユーラザニアもこの果実のことはしっているから栽培を禁止しているんだ。そしてさっきのお前の反応で色々とわかった。」
「………」
「このままだとオレにいろいろなことが暴かれ死ぬか、このまま引くか選べ」
「っ貴様!」
クレイマンは悪態をつくが、ホウテンは余裕な表情でクレイマンの出方を伺った。
そしてクレイマンが魔力で自身の左腕を繋げるとそのまま森の奥に行き姿を消した。
「彼に伝えてください。次会った時はあなたは私の優秀な部下になっているでしょうと」
暗闇からクレイマンの声が響き、その後はクレイマンの気配が消えるとホウテンは息を吐いた。
「ふぅ~、なんとか引いてくれて助かった」
「う、ううん…」
「!?リード様!」
リードの意識が戻るとホウテンがリードの側に駆け寄った。
「大丈夫ですか?リード様!」
「あれ?ホウテン、なんでここに?………そうだクレイマンは!?」
「大丈夫です。引きました」
「え?なんで?」
「え?」
「え?」
リードの記憶がよみがえるとクレイマンのことを思いだし慌てて起き上がり、ホウテンが引いたことを伝えると原因であるはずのリードの様子にホウテンがまさかと思いリードに率直に聞いた。
「リード様、覚えてないのですか?」
「何が?」
「ああいえ、覚えてなければ………!?リ、リード様…」
「?どうしたホウテン?」
ホウテンの様子が突然おかしくなり、リードが首をかしげて聞くとホウテンは震える指でリードの「頭」をさした。
「か、髪が…」
「ん?髪?髪の毛がどうし………え?」
リードが近くにあった水溜まりに顔のぞかせるとリードは目を疑った。
肩まであった長く艶のある美しい白い髪が首筋まで短くなり、艶のある美しい黒い髪に変化していた。
「………ホウテン」
「は、はい!」
「先に戻ってくれる。後で俺も戻るから」
「わ、わかりました…」
ホウテンはすぐにリードから離れていき、リードはホウテンにまで聞こえないところまで離れるところを確認するとリードの肩が震え始め、
「や…や…やったーーーーー!!戻ったーーーーー!!」
辺りに響くほどの喜びの声があたりに響き渡った。
リードは前世で姉によく似ていると母に何度も言われたことがあり、それがかわったことでショックを受けていたが髪だけでも戻ったことがリードにとっては嬉しすぎることであった。
その後は水溜まりに写った自身の髪を嬉しそうに撫でた後、リードはホウテン達のもとへ戻った。
⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫
先に戻っていったホウテンは先ほどのリードの変化のことをずっと考えていた。
(あの装備から感じた魔力に神聖魔法を纏うあの戦い方、そしてあの髪はまるで……まるで西方聖教会騎士団団長
ホウテンは背筋に寒気を感じながら、リグル達のもとへ急いで戻った。
こうして我が魔王は進化し、クレイマンを退けた。しかし我が魔王とクレイマンの戦いはまだ始まったばかりであった。
⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫
西端にある不毛の大地にある
「今の気配は…間違いない」
そこに銀色の髪に濃い紫メッシュを高校生ぐらいの男が近づいてきた。
「ねぇダグリュール今のってやっぱり」
「ああ、お前の予想通りだディーノ」
「うわ、マジか」
「すぐにギィとラミリスに連絡して
「オッケー」
ダグリュールとディーノは急いである者に連絡した。
⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫
北にある大陸、氷土の大陸にある巨大な城のベランダのある部屋に赤い髪の男が南の方角を眺めていた。
「やっぱり蘇ったか…」
一言呟くと、氷の扉から緑の髪のメイドが現れた。
「ギィ様、ダグリュール様から連絡が来ました」
「わかったすぐに行く」
メイドがお辞儀をし部屋から出ると、男を南の方角を再び眺めていた。
「…もう二度と、お前にあんな思いをさせないからな」
男はそう呟くと、部屋を出た。