転生したら天魔人だった件   作:通りすがりの気分屋

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ついに、シュナ君の本当の思いに気づいた我が魔王。しかし、最悪の未来があるかもしれない自分がシュナ君に相応しいのか悩むこととなってしまう。
そして、我が魔王が知らぬ間に魔王の称号を与えられることとなっていたが、この時の私達に知るよしはなかった。


リードの決意

 

「ゲリオン、ギドラ、ウォズ、コウホウ、見回りに行くぞ」

 

最近俺はまだ朝日が昇りきっていない未明の時間に見回りをすることが習慣になっていた。

ソウエイ達が普段から見回りをしているが、頼りきりなのも盟主としてどうかと思い、この見回りを始めた。

最初は早く起きることはつらかったが、毎日やるにつれて馴れてきた。おかげで前世で義兄(にい)さん達に教わった技を身体に覚え込ませる時間が持てるようになった。

しかし先日、見回りに行くところをウォズとコウホウに見つかり、リムルに黙っておく代わりにウォズ達も連れて行くこととなった。

そして今日も見回りに行く為に身体のあちこちをストレッチして、ウォズ達が来るのを待っていた。

 

「リード様、俺とギドラは既に準備出来ています」

 

「おお、相変わらず早いな。ゲリオン、ギドラ」

 

後ろを振り向くと、体長50センチほどの真っ赤なカブトムシと縦長の瞳をし、蛇の頭をしたマフラーを巻いた180センチほどの青年がいた。

リムルがドワルゴンに行ってる間に新しい配下(仲間)になった。ゲリオンとギドラである。

ゲリオンとギドラは人間の奴隷商達に襲われていたところを見回り中に見つけ助けたのだ。(もちろんその奴隷商達は、近くにいたガバル達に引き渡した。)

ゲリオンはなんとあのゼギオンの弟で、違いは角の先と色しかないほどよく似ていた。

ギドラは九頭蛇(ナインスネーク)という蛇の頭が九つある魔物だった。故郷を人間に滅ぼされた際に別れた妹分を探し続けていたが、諦めていたところを奴隷商達に襲われ、俺に助けられた。

会った時には、二人ともボロボロで動かすのも危険な状態の重傷であった。

運悪く回復薬を持っていなかった俺は、必死に『光』と『闇』の力を使って治療し、怪我の場所によっては俺の手で改造したところもあった。

そのあと聞いた所によると、二人もあの声を聞いてテンペストを目指していたそうだ。

二人は助けてくれたお礼に、配下になると言ったので、証として俺は名前を与えた。

ゲリオンは特に変化はなかったが、ギドラは名前を与えると九つの内六つが消え、二つはマフラーのようになり、最後の一つは人間の頭となった。

 

「我が主、お待たせしました」

 

「準備が終わりました」

 

ウォズがライドストライカーに、コウホウが赤兎に乗って来ると、ギドラはウォズの後ろに、ゲリオンはコウホウの前に乗った。

 

「それじゃあ、行くぞ」

 

「「「「ハッ!」」」」

 

リードが翼と羽を広げて空を飛ぶと、コウホウは赤兎に指示を出してあとに続き、ウォズはライドストライカーを発進させた。

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

今回の見回りの範囲がほとんど終わり、小池で休憩していた。

 

「此度も異常なく終えそうですな」

 

「何事も起きないことは良いことだよ」

 

「確かにそうだな」

 

「しかし、これではからだが鈍ってしまいます」

 

「ギドラ、お前の言いたい「グルオオォォォーーーン!!」!?」

 

突然雄叫びが聞こえ、聞こえた方向を見ると一頭の白い馬が大型の魔物に追われていた。

白い馬に乗っている小柄で銀色の長髪をした女性が、孤刃虎(ブレードタイガー)に襲われていたのだ。

 

「あれはブレードタイガー!」

 

「何故こんなところに!?」

 

「考えるのは後だ!ウォズ達は追われてる方を守れ!」

 

「「「「ハッ!」」」」

 

俺はドライバーを出し、ジオウに変身した。

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

(テンペストまであと少しなのに…!)

 

ブレードタイガーに出くわしたことに悪態をつくが、それで状況は変わるワケでもなく、女性は鞭を振るった。しかし、ルベリオスからここまで来たことによる疲労が溜まっていて速度はなかなか上がらない。自身も戦う力があったが疲労のため余力もあまり残っていなかった。

 

「グルオオォォォーーー!!」

 

ブレードタイガーの爪が女性にめがけて振るい、女性もそれに気付き死を覚悟した。

 

(ごめんなさいサーレ。最後にお会いしたかったです伯母様…)

 

キィィィィン!

 

痛みに備え目を瞑るが、痛みが来ない代わりに甲高い音が聞こえ、不思議と思い目を開けると、

 

「……ジオウ…」

 

ジオウに変身したリードが、ジカンギレードでブレードタイガーの攻撃を防いでいた。

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

なんとか間に合った。

俺は剣でブレードタイガーの爪を押し返し、ブレードタイガーの体勢がわずかに崩れて、立て直すために距離をおいた。

追われていた女性に視線を移すと既にウォズ達が守るために囲み、俺たちから離れていた。

 

「さて、お前みたいな大柄の虎の相手をするならこれがいい」

 

俺はそう言って、ピンクのウォッチ『エグゼイドウォッチ』を起動させた。

 

エグゼイド!

 

ウォッチをドライバーに嵌め込むと、両肩にガシャットが装飾され、両腕にはガシャコンブレイカーブレイカーが装備されたエグゼイドアーマーが現れると、ドライバーを回転させる。

 

アーマータイム!レベルアップ!エグゼイド!

 

リードがアーマーを装備すると、仮面にエグゼイドを文字が入った。

そして、リードを中心に半径十メートル内がVRゲームのような空間に変化した。

 

「祝え!全ライダーの力を受け継ぎ、時空を越え過去と未来を繋ぐ時の王者!その名も仮面ライダージオウエグゼイドアーマー!レジェンドライダーの力を顕現させた瞬間である!!」

 

ウォズが恒例の祝福を終えると、すぐに離れた。

 

「さて、ノーダメージでクリアするか…」

 

ブレードタイガーがリードを襲うが、器用に避ける。

さらに空間に出現したブロックを足場にし、まるで重力を無視したような動きでブレードタイガーの背後に回る。

 

(やっぱり、進化してから前世みたいな動きが出来るようになってきてる。さらに進化出来ればもしかしたら前世以上の動きが…)

 

ブレードタイガーが背後に体勢を変えようしたと同時に、ガシャコンブレイカーブレイカーを使い連続で攻撃する。

攻撃が当たった場所に『HIT』の文字が表れ、最後の一撃で『CRITICAL』の文字が表れるとブレードタイガーは苦痛の雄叫びをあげ、吹き飛ばされた。

そして、トドメの一撃を放つために二つのウォッチのスイッチを押しドライバーを回転させた。

 

フィニッシュタイム!エグゼイド!

 

「いくよ」

 

クリティカルタイムブレイク!

 

リードの胴体部分にクリティカルタイムブレイクの文字が表れた。

 

(本当の使い方は違うけど、仕方ないか…)

 

リードは文字をガシャコンブレイカーブレイカーで打ち上げ、その文字を全てブレードタイガーに叩き込むと、ブレードタイガーは爆発四散した。

 

「ふぅ~、一件落着」

 

「「「「我が主!!/リード様!!」」」」

 

決着がつくとウォズ達が、凄まじい速度でリードのもとに駆け寄った。

 

「リード様お怪我!?」

 

「大丈夫だよコウホウ。それより追われてた方は?」

 

「ああ、その方は…」

 

ウォズ達が追われてた女性の壁になっていたことに気づき、道をあけた。

そして、リードと視線が合うと女性はスカートを引き、頭を下げた。

 

「先ほどは助けていただき、ありがとうございます。リード・テンペスト様」

 

「?俺まだ名乗ってないけど…」

 

「ワタクシは魔王ルミナス・バレンタインの姪、レミン・バレンタインと申します」

 

「えっ?」

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

「聞いたことない名前ですね」

 

「そんな…」

 

あの後、俺たちはシェアハウスに帰宅し、ちょうど起きていたホウテンから魔王ルミナス・バレンタインについて聞いたが、ホウテンもどうやら知らないみたいだ。

しかしホウテンが少し待ってくださいと言って少しの間考え込むと何か思い出したような声をあげた。

 

「もしかすると、十大魔王の一人鮮血の覇王(ブラッディーロード)魔王ヴァレンタインの前の魔王の名前かもしれません」

 

「前の?」

 

「はい、オレが生まれる前に代替わりしたと、聞いたことがあります」

 

へぇ~、魔王も代替わりするのか。

リグルとベルン、リュウエイも起きてきたが、コハクはまだ起きてきておらず、俺たちは接待室に移動した。

俺とレミンは向かい合うように座り、リグル達は俺の後ろに待機していた。

 

「さて、まずいくつか質問するけどいい?」

 

「…はい」

 

「君はもしかして、声を聞いてこのテンペストに来たの?」

 

「!?」

 

俺の最初の質問にレミンは驚きの表情を浮かべた。

どうやら彼女も声を聞いてここに来たのか…

 

「あの…リード様…」

 

「うん?」

 

「ワタクシが二千年程前の世界から時を越えてやって来たと言ったら信じてくれますか?」

 

『『『!?』』』

 

突然彼女は突飛押しもないことを言ったことに、コウホウ達は驚くが、ベルンは研究者故なのか興味津々な表情にすぐかわり、俺は自身も時空を越える手段を持っており、リグルとウォズもあり得ない話ではないことは既に知っていてあまり驚かなかった。

 

「…話せるだけ話して」

 

「はい」

 

彼女の話によると、

二千年程前、暴風竜ヴェルドラが彼女の故郷夜薔薇宮(ナイトローズ)を襲撃することを彼女の伯母の友人が知らせてくれたそうだ。

だが、彼女の母親は彼女を産んで力の殆どを失い既に動くことすら出来ない状態だったそうだ。

彼女は母と共に死ぬ覚悟をしたが、その友人というのは未来を知っていて、彼女が未来で俺を支える配下として生きなければならなかったそうだ。

彼女も最初は断っていたが、故郷のみんなに説得され、彼女の母親から、未来に行った時彼女のための手紙と俺への手紙を渡されて彼女は今から十二年程前のこの世界にやって来たそうだ。

………とりあえずヴェルドラは復活したら虫の息になるまでしばくか

 

「………辛かったな…」

 

「…いえ、もう過ぎたことです。今は前を向いて未来に生きるつもりです」

 

彼女の言葉は、静かで力強かった。そして瞳は真っ直ぐと俺を見ていた。

 

「分かった。君の荷物はそれだけ?」

 

「えっ?はい…」

 

「…君の職業は?」

 

「…医者をしてました…」

 

「本当!?」

 

「はい…」

 

助かった~、魔国連邦(テンペスト)には医者がいなくて少し困ってたんだ。

俺たちの国は衛生面はしっかりしているが、いない越したことはない。

それに完全回復薬(フルポーション)は病気には効かない、一人でも的確な処置が出来る者がいると安心出来る。

こうして、新たな配下(仲間)レミンが加わることとなり、後から起きてきたコハクはとても喜んでいた。

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

俺は今日は仕事は休みだが、レミンのことをリムルに紹介しようと出掛けようとしたが、リグルが代わりに行くと言ったので、シェアハウスは俺一人となった。

そこで俺は、レミンの母親からの手紙を受け取り、みんなにみられるのは俺が読んでから判断することとなった。

そして俺は、自室のベランダで手紙を開いた。

しかし、

 

「…真っ白だな」

 

手紙には、一滴のインクの後がない真っ白であった。

俺は裏返すが、やはり裏も真っ白で何も書かれていなかった。

 

「もしかして…レミンの言った話は作り話?」

 

俺がそんなことを疑問に思うと、同時に風が俺の方に吹いてきて、僅かに紙から()()()()がした。

 

「この匂いって…」

 

俺は前世で煉武(レンム)義兄(にい)さんに教わった炙り文字を思い出し、『獄炎(ヘルブレイズ)』で手紙が燃えないよう慎重に炙ると文字が浮かびあがり、手紙の内容がはっきりと浮き出てきた。

そして俺は手紙の内容を読むと、一年前見た予知夢の意味を悟った。

そして俺はすぐに『思念伝達』を使った。

 

「(リグル、ウォズ聞こえる?)」

 

「(リード様?)」

 

「(いかがしました?我が主?)」

 

「(至急シェアハウスに住んでるヤツを全員集めてくれ、重大な知らせがある)」

 

「(!?まさかリード様…)」

 

「(ああ、みんなにオーマジオウのことを話す)」

 

リグルは俺が何をしようとしているのか気づくと、俺は肯定した。

そして二人は少しの間沈黙するが、夕方までには全員集めますと返事をし、俺は手紙の内容を再び視線を移動させた。

 

「…そんなことは、絶対にさせない」

 

俺は手紙を机の引きだしの中に入れ、リビングに向かった。

………もう逃げるワケにはいかない。

この国の盟主として、みんなの居場所を守るためには手段を選り好みすることは無理だ。

俺はそう悟った。

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

シェアハウスのリビングに集まり、俺は机の北側の椅子に座り俺の背後にリグルとウォズ、そして他のヤツは机を囲むように座っていた(ゲリオンはギドラの頭の上に乗っている)。

 

「リード様どうしたのです?いきなり我々を集めるなんて?」

 

ホウテンが代表として質問すると、みんなも疑問の目で訴えてきた。

そして俺は静かに口を開いた。

 

「今からみんなに話したいんだ………俺の力のことを…」

 

「「「「「「「「?」」」」」」」」

 

俺は、みんなにジオウのことを話した。

最初は何人か質問したが、話が進むにつれて誰も質問しなくなった、いやリグル同様出来なかったと考えるのが妥当だろ。

そして、俺のオーマジオウ化に備えて俺を殺すための自身の精鋭部隊を作ろうと考えていることも話した。

 

「___以上が全てだ。今まで話さなくてゴメン」

 

俺はみんなに謝罪する。

俺がこの事を話さなかったのは、俺の心のどこかでみんなを信じきれていないところがあった気はしていた。

しかし、あの手紙を読んでそんなことはないと、知ることが出来たため、みんなに話すと決めたのだ。

だけど…

 

「もちろん、精鋭部隊の件は強制じゃない。お前たちの意思で決めてくれ」

 

俺のこの言葉で一区切りとなり、しばらく全員が沈黙した。

するとコウホウが立ち上がりと、跪いた。

 

「リード様、我の命はリード様に救われました。このコウホウ最後まであなたについていく所存です」

 

「…コウホウ」

 

次にホウテンが立ち上がった。

 

「ハーピィにとって翼を失うことは死を意味します。しかしあなたは、余所者であるオレを受け入れ蘇らせてもらいました。その恩は決して軽くありません。…オレもコウホウと同じ意見です」

 

「…ホウテン」

 

今度は、コハクとリュウエイが立ち上がった。

 

「僕はリード様のおかげで外に出ることが出来ましたし、居場所をくれた方です。…だから、本当にリード様が自分を殺すことを望むのでしたら、僕もお二人と同じです」

 

(やつがれ)もコハクと同じ意見です」

 

「…コハク…リュウエイ」

 

今度はベルンが立ち上がり

 

「私も恩を仇で返す気はないので」

 

「…ベルン」

 

そして、ギドラが立ち上がり

 

(それがし)もゲリオンも入らない理由なんてどこにもありません」

 

「ウム、その通りだ」

 

「…ギドラ…ゲリオン」

 

最後にレミンが立ち上がり

 

「ワタクシも最初からあなたに仕えるために来ました。助けられた恩もあります」

 

「…レミン」

 

俺は少し拍子抜けだった。話さないことを責められるかことは覚悟していたが、逆に俺の我が儘に最後まで付き合う気でいることは思わなかった。

俺はみんなの忠誠心を少しなめていたかもしれない。

そんな俺をリグルは俺が気づかないうちに嬉しさで少し笑っていることに気づいたが、敢えてふれないでおいた。

けど、リグルド達に話すのはまだ止めておくべきだろう。少なくとも今は…

 

「ところでリード様、部隊名は決まっているのですか?」

 

ホウテンの質問にみんなの視線が俺に集まる。

もちろん決まっている。部隊名は、

 

人魔混合隊(トライブ)だ!」

 

人魔混合隊(トライブ)!なかなか良いですね!」

 

リグルが賛成すると、他のみんなを名前が気に入ったようで盛り上がっていたが、残念だがそういうワケにもいかない時間は後一年もないからな。

俺は手を叩き静かにさせた。

 

「さて、早速みんなに最初の大仕事がある。これは情報が多くの者に知られると、敵に気づかれる恐れがあるからリムル達にも秘密にしろ。いいな?」

 

『『『『『は!』』』』』

 

「それじゃ俺たちの最初の大仕事は____」

 

俺は最初の仕事を伝えると、その場の空気が緊張感で包まれた。

 




こうして我が魔王は、人魔混合隊(トライブ)を結成し私達の繋がりは強硬となった。
そして、オーマジオウのことを話したのは、我が魔王の覚悟の証でもあることを、私とリグルは気づいていたが、胸にしまっておくことにした。
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