レミンから渡された手紙を読んだ我が魔王は、コウホウ達に覚悟を決めてオーマジオウのことを話すが、彼らは我が魔王に最後までついて行くことの意を伝えた。
これによって、私達の繋がりは強硬になった。
そして、今日は我が魔王の友リムル殿が、イングラシアへ向かうこととなった。
「じゃあリード、留守番頼む」
「ああ、任せといて。ウォズ、しっかりリムルをサポートしろよ」
「お任せを我が主」
リムルとアイコンとなったシズさん、そしてウォズは、召喚された子供達を救うためイングラシアに向かうこととなった。
しかし、そのためにはまず冒険者の登録が必要だとウォズに教えられ、最初にブルムンド王国に向かうこととなった。
冒険者登録でBランク冒険者にならないと、イングラシアにある自由組合の本部に入れないそうだ。
リムルの実力なら問題ないし、ウォズがいれば、ブルムンドに到着するのはそんなに時間はかからないはずだ。
俺達はリムル達を見送ったが、何故か一瞬だけリムルの背中が姉さんの背中と重なったように見えた。
(ちゃんと帰ってきて…
俺はそう祈らずにはいられなかった。
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進むこと数時間、ウォズが道案内をしてくれているおかげ安心な旅が出来ている。
まあ、俺達は『魔力感知』があるから迷うことはないのだがな。
そして、日が沈み俺達は野宿の準備をしていた。
ウォズは今、俺の『胃袋』から出された材料で今日の晩飯を作っていた。
「なあシズさん、イングラシアにいる子供達の他に教え子はいるの?」
「ええ、
「へえ、シズさんすごいな」
「そんなことないよ……そういえば…」
「ん?」
「リード君の髪型とヒナタの髪型がそっくりだったよ」
「えっ」
シズさんの言葉に驚きを隠せなかった。
そういえば、リードがたまに髪を嬉しそうに弄っているのを見たことを思い出すが、ウォズが持ってきた料理を持ってきたので、この話はお預けとなった。
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その後、旅は順調に進み、俺達はブルムンド王国に到着した。
そして冒険者登録のため、自由組合の支部の受付に行くこととなった。
俺は仮面をつけ、ウォズは素顔のままだったが、英雄ウォズと誰も気づいていなかった。
そして、自由組合の支部の受付まで来ると、ウォズが懐から冒険者カードを取り出した。
受付は確認すると、ウォズと何度も目線を動かす。
まあ、そうなるか…
「え、英雄ー「すまないが、あまり
受付人が大声で名前を呼ぶ前に、ウォズが口を塞ぎフューズに伝言を頼むと俺達は適当な場所に座った。
そしてしばらく待つと受付人が現れ、俺達はフューズのいる部屋まで案内された。
「久しぶりだな、フューズ」
「リムル殿お待ちしてました。ウォズも久しぶりだな」
「お久しぶりですギルドマスター」
ウォズが前もって連絡しており、フューズがギルマス権限で俺をBランク冒険までに取り立てることが出来るらしい。
俺は魔物の主だから目立つ行動は避けるべきと考え、ウォズが事前に手回しをしていたことに感謝した。
「こちらがリムル殿の冒険者カードです」
「サンキュー、フューズ」
俺はフューズの用意してくれた冒険者カードを『胃袋』にしまい、宿をとって明日の準備をするために俺達は出発しようとしたが……フューズから待ったがかかった。
「実はリムル殿の到着を知り、ブルムンド王が極秘希望されています」
これは予定外だが、逃す手はない。
ドワルゴンに続いて二国目の承認が得られるチャンスだ。
一応、ウォズとアイコンタクトをとると、ウォズは頷いてくれた。どうやらウォズも同じ考えだそうだ。
俺は快く承諾して、ブルムンドの短期滞在が決まった。
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翌日、フューズの知り合いの貴族ベルヤード男爵の館に訪れた。
国王との会談が行われるのは明後日。
その内容を元にして、相互に確認する形となるらしい。
「時間は有限です。早速始めましょう」
一つ、両国間の相互安全保障
一つ、両国間の相互通行許可
少々揉めた点もあるが、お互いが納得する条件となった。
「お互いに利にある関係でいたいものですね」
お互い笑顔で握手しようとしたとき、ウォズが待ったをかけた。
「どうしましたウォズ殿?何か不都合でも?」
「いえ、条約を結ぶ前に見てもらいたいものがあります」
えっ?俺何も聞いてないんだけど!?
いろいろ聞きたいことがあるのに、片足義足の男が入ってきた。
「ジーギス?何故彼が?」
「ジーギス君、これを飲んでくれないかい?」
「まぁ、ウォズさんの頼みなら良いですけど」
ウォズはジーギスという男に
「ウォズ殿、彼に何を?」
「我が国特産品の
「フル……ははは、ウォズ殿からかっているのですか?
「結果を見てから、感想を言ってください」
すると、地面にコロリと落ちたもの___義足にベルヤードが驚くが、この後さらに驚きの光景を目にした。
「あ、足が…生えた!?」
館からベルヤードとフューズの驚きの声が響き渡った。
「バカな!!
「ウォズ殿、先ほど特産品と言いましたが…」
俺はウォズの顔を見ると計画通りに事が進んでいる笑みを浮かべていた。
そして、これの
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宿でウォズが夕食を作って持ってきてくれたが、俺は先ほどのウォズの行動の説明をまだ聞いていなかった。
「ウォズ、説明しろよ」
「勝手な行動したのは申し訳ありません。しかしあの二つの条約は我々のデメリットが大きいのです」
「デメリット?」
そんなに大きなデメリットはなかったはずだ。それにメリットの方が大きくあったはず。
なかなか答えが出ない俺に、ウォズはついに答えを教えた。
「良いですかリムル殿。人間の脅威は魔物だけではないのです」
「………あっ!」
この言葉に、ようやく俺は気づいた。
そうブルムンドが本当に警戒しているのは他国の侵略、俺達のジュラの大森林の東にある国東の帝国からの侵攻に俺達を防波堤にすることが狙いだったのだと、今になって気づいた。
だからウォズは少しでも俺達のメリットを大きくしようとしてたのか。
そういえば昨日、ウォズがフューズに何か頼んでたな…アレはそれを見越して、ジーギスさんを呼んだのか…
リードに後でお礼言っとくか…ウォズがいなかったら、俺は完全に騙されていた。
これはシオンがウォズの言うことをちゃんと聞くはずだ。
まさに理想的な秘書、料理ができ、サポートも完璧、リードが羨ましいな。
そして、二日後の会談本番は何の問題なく終え、俺達はイングラシアへと向かった。
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狼車の中で、ウォズから西側の国々の常識を教えてもらっていた。
もともとは対魔物の相互組織であったが、今や国家間の協定をも担う絶大な権力を持った組織となった。
イングラシアはその評議会の中心となっている。理由はジュラの大森林から離れているため魔物による被害は少ないようだ。
「それと、イングラシアに入ったら極力目立つ行動は控えてください。西方聖教会に目をつけられます」
「わかった」
「リムル殿の実力なら、十大聖人…最悪
「…強いのか?」
「…最低でも私以上の実力です」
「………」
ウォズの説明を聞き、俺は今後の行動は慎重にならねばならないと再認識した。
ウォズが自分以上の実力があると認めるそのヒナタに関しても情報を集める必要があるな。
そして、俺達はついにイングラシアに到着した。
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門番に失礼な態度で対応されたが、俺がBランクそしてウォズがAランクの冒険者であると知ると豹変して丁寧な態度で接せられた。
町に入ると、俺は
そして興奮が落ち着いてきた頃、ウォズが自由組合の本部まで案内してくれた。
この本部の出入口が自動ドアになっているのに驚いたが、ウォズはそのままフューズからもらった紹介状を渡すと、しばらく待つことになった。
「なぁウォズ、お前ユウキってヤツに会ったことあるのか?」
「いえ、私はずっと実力をつけるために冒険者をやってたので、正直興味がなかったです」
「…そうか」
ウォズと他愛のない話を続けて行くと受付嬢が現れて、俺達は応接室まで案内され俺達は再び待つことなった。
部屋に飾られてある物を見ると前世で見たものばかりだから異世界人なのは間違いない。
それにシズさんの教え子なら、真実は全て話しておくべきだ。
「初めまして、僕はグランドマスターの
「初めまして
「私の自己紹介は必要ないですよね。グランドマスター」
「ああ、ウォズさんあなたのことはこのイングラシアでも有名ですよ」
「そうですか…リムル殿」
「ああ、そうだな」
俺はアイコンとなったシズさんを机に置いた。
「何ですかそれ?目玉に見えますけど」
「久しぶりユウキ」
「………え?えええーーー!!!」
うん予想通りの反応だな。
ユウキがパニックになっていたが、しばらくすると落ち着いてきたようだ。
「シズ先生…一体何があったのですか?」
「実は……」
シズさんは、ユウキに自分の身に起きたことを話した。
イフリートが暴走したこと、それを止めるために俺とリードが戦ったこと、そしてひとまずシズさんの魂をこのアイコンに移したこと等全て話してくれた。
「なるほど、つまりリムルさんとリードさんはシズ先生の恩人ということですね!」
「まあイフリートを分離させたのはリードだけどな…」
「なんとお礼を言ったらいいのか。僕に出来ることがあるなら何でもします!」
ユウキはシズさんを助けられたことに恩を感じ、俺達ことは全面的に信用してくれたそうだ。
あと紙を大量にもらってユウキが好きそうな漫画を出すと師匠と呼ばれるほど敬われた。
ウォズは、出されたシュークリームがどこに売っているのか運んできた女性に聞いていた。(もちろんリードへの貢献品として買うために)
こうして私達は無事にイングラシア王国へと到着し、グランドマスターであるユウキの信用を得ることが出来た。
しかし、これから私達は思いもよらない苦労を経験するのは私もリムル殿も予想していなかった。