そこでグランドマスターであるユウキ・カグラザカの信用を得ることに成功した。
そして私達は、教師としてイングラシアで生活することとなった。
ユウキに頼んで俺はシズさんが教師を勤めていた教室の担任、ウォズは副担任ということで就職が決まった。
住む場所はユウキが手配してくれたので、気の抜ける場所が出来て本当によかった。
シズさんのことは幼い子供には少し重い話題なので、話すのは体が戻ってからと決まった。
そして授業初日
「ちーーっす。今日から君達の担任に___」
という俺のフレンドリーな挨拶に対し、返ってきたのは炎の剣撃だった。
俺は慌てて避けるが、ウォズは普段コウホウと喧嘩しているのか平然と避けやがった。
「剣ちゃん、かっけーーー!!」
「それ、必殺技だろ?ついに完成したのか!」
「でも、詰めが甘いわね。避けられてるじゃないの!」
学級崩壊してるじゃん!!
おいおい、余命僅かじゃなかったっけ!?
敵意剥き出しじゃねぇか!!
シズさんどんな教育してたの!?
「リムル殿、あの年であの火力は天才と呼ばれても不思議じゃないですよ…」
言ってる場合か!と言いたくなったが、ウォズは実力を見誤ることはない。
これは奥の手を使うか…
⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫
「リムル殿、あなたは少し大人気ないですよ…」
ウォズが何か言っているが聞き流す。
ランガを出したことを言っているだろうが、時にはこういう手段が有効なのだよ。
「………ケンヤ・ミサキ君」
「!?」
ウォズが俺に何を言っても無駄と悟り、俺達に斬りかかって子供ケンヤ・ミサキを静かに呼んだ。
「ランガを出していることに不満があるようだけど、君がいきなり襲ってきたんだ。理由くらいは教えてくれても良いんじゃないか?」
ウォズが優しげに言っているが、声に僅かな圧がかかっていた。
さっき俺に大人気ないって言ってたけど、お前も大人気ないぞ。
「…シズ先生なら、アンタみたいに簡単にかわせるから…」
確かに一理ある。
これ程の力がある子供達をシズさんは真剣に向き合っていたのだとよくわかった。
しかし、俺は俺のやり方でやる。
シズさんのやり方を俺が真似しても、本人でなければ意味がない。
「よし!それじゃあ今からテストをしよう」
『えーーーー』
「えーーー、じゃない」
俺がテストをやると言うと、子供達が一斉に文句を言ってきた。
やはりテストはどの世界でも嫌われているな。
「テストと言っても、一人ずつ俺と模擬戦を行って、十分以内に俺を倒すことが出来れば終わり、だが、十分以内に倒せなければ俺の勝ち。簡単なルールだろ?」
俺が内容を話すと、子供達が余裕な表情になった。
そして、俺はウォズとともの子供達を引き連れて運動場に向かった。
⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫
運動場につくと、見学者が集まってきた。
どうやら俺達のことが気になって、見にきたのだろう。
最初の相手はケンヤ・ミサキ、十歳。ガキ大将のような、やんちゃな坊主だ。
俺も少し本気でいくか…
俺は久しぶりにジクウドライバーを出現させ、ゲイツウォッチを起動させ、ゲイツに変身した。
『ライダータイム!仮面ライダーゲイツ!』
「なっ何だよ、そんなのどうせこけおどしだろ!」
「そういうのは、俺に勝ってから言え」
「へっ!俺はシズ先生以外の大人に負けたことがないんだ!なめんなよ!」
「それでは、始め!」
ウォズの合図と同時に、ケンヤは持ってきた剣に炎を纏わせて俺に斬りかかってくる。
しかし、仮面ライダーとしての身体能力のおかげもあり、難なくかわすことが出来ている。
五分経過すると、炎を撃ってきた。
しかしこれは…
「おい。炎にこだわらず、普通にエネルギーだけを込めて撃ってみろ」
「うるさい!シズ先生が使ってた技は凄かったんだ!お前の言う事なんか聞くものか!」
ダメだ。シズさんへの憧れが強くて、俺のアドバイスを聞く気がない。
そうしていくうちに、十分経った。
ケンヤは、しょんぼりして仲間のもとへ戻った。
⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫
次の相手はクロエ・オベール、十歳。おとなしい雰囲気の女の子だ。
子供達の声援も、頑張れ!より怪我をするな!という声が多かった。
ウォズが合図を出すと、クロエは本を掲げた。
まさか、アレで殴る気じゃないよな…ライダーの力で、結界がなくともそれなりの防御力はあるから心配ないが…
なんて考えていると、クロエは魔法を発動させ、水の球体で俺を閉じ込めた。
そして内側から、刃のようなものがあらわれた。
「その魔法は、そこから捕えた者へと降り注ぐように変化させられるの!負けを認めるなら解除するけど、認めないなら死んじゃうよ?」
大人しそうなくせに、恐ろしい子!
でも、俺には通じない。何故なら他のライドウォッチがあるからだ!
だから俺は、ウィザードウォッチを使った。
『アーマータイム!プリーズ!ウィザード!』
仮面ライダーゲイツウィザードアーマーになり、俺はクロエの魔法に干渉し解除させた。
クロエは自分の魔法を解除されたことに戸惑っていた。
「凄い魔法だけど、俺には通用しないのだよ。でも、この魔法は上手に扱えてる。今後ともしっかり勉強するように!」
俺はクロエの頭を撫でるが、クロエは涙目になっていった。
すまない、これでも手加減したんだ。だからウォズ、その殺気の籠った目線を俺に向けないでくれ!(後から聞いてみたが、どうやら無意識にやっていたらしい)
クロエは、戦意喪失で俺の勝ちだ。
⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫
次は最年長のゲイル・ギブスン君、十一歳。大柄な体格で俺も最初は中学生かと思ったほどだ。
ちなみ俺はさっきのウィザードアーマーのままである。
「死んでも恨まないで下さいね」
ウォズの合図と同時に、俺にそう言うと、ゲイルは本気の魔力弾を俺に撃ってきたきた。
威力や速度はすごいが、これはウィザードの力を使うことはないな。
俺は『
「なんですかそれ!?汚い!」
「ゲイル君、これよりももっと汚い手段を使う大人もいるし、この世界でそんな言葉は意味が無いよ」
ゲイルが抗議するが、ウォズがこの世界の先輩としてのアドバイスを送る。
ゲイルはそれを聞くと少し冷静になり、拳に力を込めて殴りかかってくるが、結果はケンヤと同じになった。
⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫
次の相手はリョウタ・セキグチ君、十歳。ケンヤとは正反対な弱気な少年だ。
「リョウタ、俺の仇をとってくれ!」
ケンヤの声援と同時にウォズが合図を出す。
すると、リョウタが目の色を変えて攻撃してきた。
リョウタの能力は、見た目とは正反対の『狂戦士化』である。
動きはいいし、相手が俺かリードでなければそこそこ戦えるだろう。
しかし、知性を失うのがダメだな。
俺は、ウィザードアーマーを解除して、仮面ライダーゲイツの状態で、十分間余裕で回避し続けた。
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最後の相手はアリス・ロンド、最年少の九歳。クロエとは正反対のお転婆な女の子だ。
「ようやく私の番が回ってきたわね!不甲斐ないアンタ達は、私の活躍を見ていなさい!」
どうやら、この少女が真のリーダーなのかもな。
最後に油断して負けたら折角の苦労が水の泡だ。
そしてアリスが持っていた多数の人形を空へ投げると、
「行けーみんな!あんなヤツやっつぇちゃえ!!」
アリスがそう叫び、俺は、は?、と思いながらさっきの人形達を見ると、命を吹き込まれたように動きだし、俺に襲いかかってきた。
アリスの能力は
おそらく、シズさんが精霊の力を使役していたことを、そこからイメージしたのだろう。
襲ってくる人形から逃げながら、俺はゴーストウォッチを起動させた。
『ゴースト』
『アーマータイム!カイガン!ゴースト!』
ゴーストアーマーを装備した俺は、パーカーゴースト達を解放し、人形の相手をした。
「ちょっと!真似しないでよ!」
という文句の声が聞こえたが無視だ。
リードだって取り入れられる技術は、平気で取り入れている。
パーカーゴースト達には、もちろん人形を壊さないように手加減をさせながら戦わせた。だってそんなことをすれば、
『告。個体名アリス・ロンドが泣き出す確率…百パーセント』
という予測が立てられたので、俺は十分間パーカーゴースト達に任せて、観戦していた。
ここだけの話、この光景を見て、何故だか心がほっこりしたのは秘密である。
⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫
運動場の片付けはウォズが代わりにやってくれるので、俺は子供達の相手を続ける。
「さて、今お前達が体験した通り、俺は強い。そしてウォズは俺の次に強い。その俺達がお前達に約束しよう。お前達を助ける、と。この仮面に誓ってな」
俺は仮面をみんなに見せて宣言した。
「その仮面…シズ先生の?」
「ああ、シズさんにもらった。そしてお前達のことも託されたんだ」
アリスの問いに俺は答えた。
するとアリスは満足そうに頷いた。
「わかった。私はアンタ達を信じる」
「じゃ、じゃあボクも───」
「私はね、最初から二人を信じてたよ」
アリス、リョウタ、クロエは俺とウォズに対して少しは心を開いてくれたようだ。
「なんだよ……じゃあ、俺だって……」
「そうだな、ケンヤ。僕もこの人なら、信じても良いんじゃないかと思うよ」
ケンヤとゲイルも異論はないようだ。
こうして、俺達は子供達の信頼を得ることが出来た。
⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫
「ほんっっっとうに、あの子達がゴメンね!!リムルさん!ウォズ!」
学校が終わり、部屋に帰って、シズさんに今日のことを話すとシズさんが謝ってきた。
「シズさん、あの子達は大好きなあなたがいなくなったことで、気が立っていただけなのです。だから私もリムル殿も気にしてません」
「そうだよ。俺も気にしてないから大丈夫」
「リムルさん…ウォズ…」
俺とウォズは子供達の事情を察し、気にしてないことを伝えるが、シズさんはどこか申し訳なさそうだった。
「それよりも今は、あの子達を救うことを考えなければなりません」
「そうだな…ウォズ、お前の意見を聞かせてくれ」
「……正直に言って大丈夫ですか?」
「………ああ」
この世界の人間の言葉が、今後アイツらを救う為の参考には充分過ぎるから、ウォズの素直な言葉が例え残酷なものでも聞く覚悟は既に出来ていた。
「結論から言いますと………下位や中位の精霊では、あの膨大な魔素をコントロールすることは不可能です」
「………」
「私は今まで、シズさん以外の
「上位精霊なら可能なのか?」
「はい、我が主に誓って間違いなく」
充分過ぎる情報だ。
後はどこで上位精霊を見つけるべきか…
「トレイニー殿なら、何か知ってるかもしれません」
「どういうことだ?」
「トレイニー殿は風の上位精霊
「何か知ってる可能性はあるな…リードに連絡してみる」
ウォズの考えが正しければ、あの子達を救うことが出来るかもしれない。
俺は、リードから渡されたもう一つのアイテム『ファイズフォンX』でリードに連絡してみた。
『繋がる者』や『思念伝達』が通じるとは思えないし、このファイズフォンXの性能の確認をする必要があったから。
⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫
リムルがイングラシアに行ってから、俺は一人で頑張っていた。
今まで二人でやってきた仕事を一人でやると何だか、前世で
(この前はブルムンド王国の商人が大量の
少しの不安を感じたが、それはすぐにあり得ないと考えた。
商人が信用を失えば、それは商人にとって痛手だ。信用を一つ失うことで、最悪商売が出来なくなるリスクがある。
あのミョルマイルという商人はそんなリスクを侵すような男ではないのは明らかだったことを思い出した。
(どうやら少し疲れが貯まっているみたいだな。今日はもう休むか…)
俺がそう思い、布団に行こうとした時ファイズフォンXが鳴った。
(!リムル達に何かあったの?!)
俺は眠気がとび、急いでファイズフォンXのボタンを押した。
「もしもし?」
『リード、頼みたいことがあるんだけど…』
リムルの声を聞いて、安心した俺は胸を撫で下ろしリムルの頼みを聞いた。
「わかった、トレイニーさんに聞いてみる」
『ああ、しばらくしたら一旦そっちに戻るからその時いろいろ教えてくれ』
「待ってリムル、これだけは報告させて」
『なんだ?』
「リグルが
『………はっ?』
「じゃあまたね」
『ちょ、ちょっと待て!リード』
俺はファイズフォンXの電話をきり、閉じた
リムルが何か言っていたが、詳しい詳細は今度帰ってきた時に教えるか。
俺は寝間着から私服に着替えるとトレイニーさんのところに向かった。
こうして、私とリムル殿の教師生活の初日を無事に乗り越えることが出来た。
しかし、あの子達を救うまで安心するのはまだできなかった。