転生したら天魔人だった件   作:通りすがりの気分屋

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我が魔王リード・テンペストは友のリムル殿より、上位精霊を見つける手がかりをトレイニー殿が知っている可能性があると知り、トレイニー殿のもとに向かった。


解決の糸口

夜の森はなかなか薄気味悪いが、俺は前世で、夏の無人島と冬の雪山に、一ヶ月ずつ放り込まれた経験があるから別に平気だった。

その上『魔力感知』を最大範囲まで広げていたから、不意打ちには簡単に対象出来る。

そして木の少ない広場に出た。

 

「トレイニーさん、いる?聞きたいことがあるんだけど」

 

俺はトレイニーさんに呼びかけると、わずかに風が吹いた直後、姿を現した。

 

「なんのようですか?リード様」

 

「実はトレイニーさんに聞きたいことがあるんだ」

 

俺はトレイニーさんに上位精霊を子供達に使役させ、膨大な魔素を制御することが可能なのか。どうすれば上位精霊と出会うことが出来るのか聞いた。

 

「なるほど、確かに上位精霊なら可能ですが、無視出来ない問題があります」

 

「無視出来ない問題?」

 

「はい」

 

そういうとトレイニーさんは自身が契約している風の上位精霊風の乙女(シルフィード)を出した。

 

「リード様、この子に話しかけてみてください」

 

「えっ?…え~っと、初めまして俺はリード・テンペスト、君がシルフィード?」

 

シルフィードは、俺が話しかけると、俺に近づき腕を首にまわし、頬擦りをしてきた。

 

「ちょっちょっと何!?」

 

「これは…」

 

トレイニーさんも予想外だったようで、目の前の光景に目を丸くしていた。

 

「トレイニーさん、これは一体?」

 

「上位精霊は数が少なく、気まぐれで気に入らなければ助力は望めないと説明しようと思ったのですが…まさかこんなに懐くとは…」

 

「なるほど…シルフィード、そろそろトレイニーさんのところに戻って…」

 

シルフィードは少し不機嫌な顔になったが、トレイニーさんのところに戻った。

しかし、トレイニーさんの話から推測すると、上位精霊を使役するのは一筋縄ではいかないようだ。

 

「精霊の棲家に行くことが出来れば、相性の良い精霊に出会るかもしれませんが…」

 

「精霊の棲家?」

 

トレイニーさんは、精霊の棲家について知っている情報を全て教えてくれた。

精霊女王が統べる別次元にあり、入り口はその女王の意思ひとつで引っ越し、場所の特定は難しいらしい。

これだけで気持ちが下がるが、さらに気持ちが下がる情報がくる。

トレイニーさんはもともと、その精霊女王のもとにいたのだが、はぐれた上、かなり昔に亡くなったそうだ。そのため現精霊女王とはなんの接点もないようだ。

さらにトレイニーさんの知っている精霊の棲家の入り口も今は無くなっているようだ。

 

「お役に立てず申し訳ありません」

 

「いや、リムルの考えた方法に間違いがないとわかっただけでも充分だよ。ありがとう」

 

俺はお礼を言って、翼と羽を出し、シェアハウスに戻った。

トレイニーはリードを見送りながら、先ほどの光景を思い出していた。

 

(上位精霊であるシルフィードがあそこまで懐くとは…そう言えばベスター殿の報告では、リード様には人間の血があると言っていましたが……!?)

 

ここでトレイニーの考えは、ある可能性に至った。

 

(まさかリード様は、魔王種の他にあの力を獲得したというのですか!?)

 

この晩、トレイニーはこのことをリムルに報告すべきか悩むこととなった。

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

あの晩から数日が経ち、リムルとウォズそしてシズさんが影移動で帰ってきた気配を感じ、俺はリムル庵に向かった。

そして、リムル庵に到着すると、先に到着していたシオンとシュナの食べている物に俺は驚いていた。

 

「おー!リードただいま」

 

「あ…ああリムル、おかえり…シュナ達が食べてるのってもしかして…」

 

「ああイングラシアに同郷人の店があってな。お土産で買ってきたぞ。お前が言ってた大好物のシュークリーム!」

 

リムルが俺にシュークリームを渡すと、俺はゆっくりと前世のことを思い出しながら、シュークリームを食べた。

 

『聖司、シュークリームあるけど食べる?』

 

『うん!お姉ちゃんと一緒に食べる!』

 

『じゃあ、一緒に食べようか』

 

『うん!』

 

それは、俺にとって前世でもっとも幸せだと感じていた日々の思い出でもあった。

 

(もう、無理なんだな…)

 

俺は改めて、この無情な現実を思いしらされた。もう二度と姉さんと呼ぶことがないことに、俺の胸は悲しみで広がった。

 

「おいおい、泣くほど嬉しかったのか?」

 

「えっ?」

 

リムルに指摘され、頬に冷たい感触を感じた。

 

「あ…うん、もう食べれないと思ってたから…」

 

俺は誤魔化し、二つ目を取ろうとすると、シュナと手が重なった。

 

「「!?」」

 

俺は慌てて手を引き、シュナに表情が気づかれないよう素早く後ろを向いた。

 

「ごめんシュナ」

 

「いっいえ、大丈夫です…」

 

どうしよう、リムルに気づかれたら絶対からかわれる。

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

リードとシュナが互いに顔を背け、シュナは顔が、リードは耳が赤くなっていた。

これはこれは、初初しいですな~

ベニマルは複雑な心境なのか、二人の光景を見ながらお茶を大量の飲んでいた。

 

「(リムル様、リード様をからかうなら、お二人が結ばれた時にしてください)」

 

到着したホウテンも、さっきのことは見ていたらしく、俺に『思念伝達』で釘を刺してきた。

 

「(お二人のような組み合わせは、結ばれた後にからかうのが面白いのですから)」

 

「(ああ、なるほど…)」

 

前言撤回、どうやらホウテンは、恋愛相談のようなことをしてきた経験が豊富らしい。

しっかりとからかうタイミングを熟知している。

もしかして、コイツは……俺の中のホウテンの評価が少し下がった。

 

「ところでリード、トレイニーさんから何か聞けたか?」

 

俺は切り替えて、今回の目的を果たすとしよう。

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

俺は、リムルにトレイニーさんから聞いた情報を全て話した。

上位精霊は気まぐれで、助力してくれるかは運次第。しかも、精霊の棲家の入り口がどこにあるのかわからなず、現精霊女王とはなんの接点もないを伝えた。

 

「でも、上位精霊で膨大な魔素を制御するのは間違いじゃないみたい」

 

「なるほど」

 

「お役に立てず申し訳ありません」

 

「トレイニーさん!?」

 

「いたの?!」

 

「はい」

 

いつの間にか現れたトレイニーさんは、シュークリームに手を伸ばした。

 

「あのう、トレイニー殿?」

 

「何ですか、ホウテンさん」

 

「その精霊女王の名前ってラミリス様ですか?」

 

「えっ?そうですけど…何故あなたラミリス様の名前を…」

 

「十大魔王の一人ですけど…」

 

「………えっ?」

 

ホウテンの衝撃報告に、その場の空気が固まった。次の瞬間、

 

ええええーーーーーーーー!!!!

 

みんなの驚愕の声でリムル庵が大きく揺れ、埃が少し落ちてきたが、ホウテンが翼でシュークリームをかばった。

 

「何で魔王が精霊女王やってるの!?」

 

「逆です。精霊女王が堕落して魔王になったっと本人から聞きました」

 

「堕落して魔王になれるの!?」

 

「大昔、ある事件があって、その時に堕落したと。あとトレイニー殿の知るラミリス様と同一人物ですけど…」

 

「えっ?どういうことですか?」

 

「ラミリス様は寿命が尽きると、子に転生し、人格と記憶は継承すると、これも本人から聞きました」

 

なんだろう、ホウテンのことをこれからは魔王大百科って敬意を込めて呼ぼうかな…

軽く現実逃避をしたが、すぐに正気に戻した。

トレイニーさんは嬉しさのあまり泣いているが、これは気にしないでおこう。

 

「ちなみに、オレの知っている魔王の情報も、そのラミリス様から聞いているものが殆どですね。あの方はミリム様と並ぶ最古の魔王の一人なので…」

 

「………マジで?」

 

「はい」

 

ということは、ミリムなら精霊の棲家の入り口がどこにあるのか知ってるかもしれないな。どうやって連絡のとるか…

ミリムとの連絡手段がないか考えていると、ホウテンは報告を続けた。

 

「数年前に、私用で精霊の棲家にも行ったことがありますよ」

 

「「それ本当!?」」

 

「はい。入り口が今もあるか確認に行き、ラミリス様に子供達の件をお願いしに行きましょうか?」

 

「構わないよ!寧ろ、お願い!」

 

「はっ」

 

「よかったな、シズさん」

 

「うん」

 

まさに幸運としか言えないことしか起きないことに、喜ぶみんな。でも、入り口が移動していたら、また振り出し戻ることになるが、今はホウテンに頼ることしか出来ない。

 

「先ほど凄い声が聞こえましたけど、何かあったのですか?」

 

遅れて、ベルンとゲルドが到着した。

 

「おおベルン殿!」

 

「!?」

 

ガビルがベルンに声をかけると、ベルンの顔が赤くなり、ゲルドの背中に隠れた。

 

「リムル様からのお土産があるのだが、どうですか?」

 

「………いただきます」

 

ベルンは隠れながらシュークリームを受け取り、ゲルドの背中に隠れて食べた。

この様子に、リムルは既にあることに気づいていた。

 

『(リード君、何か知ってる?)』

 

『(………実は)』

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

リムル達がイングラシアへ旅立って数日が経ち、ベルンが来たことで、一日一個だった完全回復薬(フルポーション)が、三個作れるようになり、ドワルゴンから来た研究者達も加わり、一日で五個作れるようになった。

 

「いやー、ベルン殿の才能は素晴らしいですな!」

 

「そうでもないよ。ドワルゴンじゃあ煙たがれてたから…」

 

「…それはどういうことですかな?」

 

「………ドワーフなのに、雪みたいな白い肌、触れたものを振動で壊すスキル…これだけ言えば分かるでしょう…」

 

ベルンのことをしっかりと見ていてくれたのは両親だけ、その両親は亡くなり、伯父も最近ではマシになったが、最初の頃は見て見ぬふりをしていた。

ベルンの暗くなる言葉を聞いてガビルが妙に静かになったなと思って後ろを見ると、

 

「………せん」

 

「はい?」

 

「許せませんな!?そのような美しい肌を貶し、このような素晴らしいスキルがあるのに、何故あなたが貶されるのですか!?」

 

「………えっ?今…なんて…」

 

「だから、何故あなたが…」

 

「その前!」

 

「えっ?美しい肌と…」

 

「…っ!」

 

ベルンは、ガビルがお世辞を言う性格ではないことを知っていたので、ガビルのこの言葉が本心からのものだと分かっていた。

そして、自分の肌を褒めてくれたのは、両親以外で初めだったことで動揺していた。

 

「ベルン殿?顔が赤いですが…」

 

「…っ!」

 

急接近してくるガビルに驚いたベルンは慌てて距離をおこうとするが、足元にあった椅子のせいで態勢を崩す。

 

「わっ!」

 

「ベルン殿!」

 

ガッシャーーン!

 

「…っう!」

 

「大丈夫ですか?ベルン殿」

 

「え?…あっ!」

 

ベルンはガビルに庇ってもらっていることに遅れて気づいた。

 

「ごめんなさい」

 

「いえいえ、我輩も…」

 

「何か大きな音が聞こえましたが…」

 

「ベルン!ガビル!ベスター!さっきウォズから報告があったん…だけ…ど」

 

大きな音に気づいて慌ててやって来たベスターと、ウォズからブルムンドの報告を受けたことで笑顔でやって来たリード。

しかし、タイミングが最悪だった。

今、ベルンとガビルの姿勢は、第三者から見れば、ガビルがベルンを押し倒していると見られる状態だったからだ。

 

「…え~っと…お邪魔しました…」

 

「まっ待ってくださいリード様!」

 

「ガビル殿、少々お話があります…」

 

「伯父さん待って!話を聞いて!」

 

勘違いし、扉を閉めたリードをガビルが追いかけようとするが、眼鏡が異様な反射をし、殺気を隠していないベスターに止められ、ベルンが慌てて説明しようとしている。

その後、リードとベスターの誤解を特のにガビルとベルンが苦労したのは言うまでもない。

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

『(つまり、裏表ないガビルからの言葉を聞いてから少し意識してるってことか?)』

 

『(そういうこと、ベルンはからかわれると大変なことになるからちょっかいをかけない方がいいよ。)』

 

リムルにガビルとベルンのことを教えたことで、リムルが何かするまえに釘を刺しておく。

その後、ウォズから俺用のシュークリームを貰い、リムルからは、イングラシアで学んだ魔法の本を貰った。

そして、時間が経ち、リムルとウォズがイングラシアに戻る時間が近づいていた。

 

「ウォズ、イングラシアで買ってきて欲しい本があるんだけど…」

 

「なんでしょうか、我が主」

 

「実は………」

 

俺は買ってきて欲しい本を伝えると、ウォズは驚いていたが、何か勘違いをしていたのかすぐに承諾してくれた。

 

「お任せを、必ず我が主のために!」

 

「受け取るのは帰ってきた時にね」

 

「はっ!」

 

「おーい、ウォズ!行くぞ!」

 

「今行きます!」

 

「では我が主、行ってきます」

 

リムルとウォズは転移魔法陣でイングラシアに戻っていった。




こうして、私達は子供達を救うという目的に大きく前進した。
しかし、果たして精霊の棲家の入り口を見つけることが出きるのか…今の私達には賭けることしか出来なかった。
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