転生したら天魔人だった件   作:通りすがりの気分屋

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我が魔王の友リムルは、シズさんの心残りであるイングラシアの子供達を救う為に、精霊の棲家を見つけることとなった。
そして精霊の棲家の入り口の場所を知っているホウテンに頼り、私達も子供達に出来ることをしていた。


大商人ミョルマイル

 

イングラシアのある洋食店に、ウォズはやって来た。

 

「こんにちは」

 

「あっ!ウォズさん、いらっしゃいませ。店長ー!ウォズさんが来ましたよ」

 

「おう、今日は弁当を頼まれていんだ」

 

店長の男は、リムルやリードの同郷の異世界人だが、ユウキと同じくスキルは何も得ずにこの世界にやって来た。

いかつい見た目だが、この男の店がシュークリームなどを売っている。

綺麗にサンドイッチをバスケットに詰めていき、弁当ハンカチで綺麗に結ばれる。

 

「ほらよ、ギルドのもう一人の英雄に来てもらえるとは嬉しいね」

 

「いえいえ、私などシズさんに比べれば足元にも及びませんよ」

 

「謙遜するな!シズさんにも、からだが戻ったらまた来てくれって、伝言頼むぜ」

 

「分かりました。必ず」

 

「おう、またな!」

 

シズの要望もあり、ヨシダにはシズがアイコンになったことやその経緯を説明していた。

そして、シズの説明もあり、リムルやリードのことを信用してくれるようになった。

 

(…真の英雄とは、シズさんのように多くの者の命や心を救っていった者だと、私は思うけどね…)

 

ウォズがそう考えると、それを既にやっているある人物の顔が浮かぶと、自然と笑みがこぼれた。

 

(そういう意味なら、今の我が魔王やリムル殿は既に英雄なのだろうがね…)

 

ウォズはマフラーを使って、リムル達のもとに向かった。

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

ウォズがリムル達のもとに到着すると、リムルは木陰で休み、ランガは子供達の相手をしていた。

 

「リムル殿、ただいま戻りました」

 

「おう、ウォズお帰り。おーいそこまで!お昼にするぞー」

 

今日は、野外授業という名目で郊外で模擬戦をしている。

ホウテンだけに精霊の棲家の入り口を探させるのは気が引けるのだが、今の俺達に出来ることは少しでも魔素を発散させることと、上位精霊を見つけることだけだ。

 

「くぁーっ、やっぱ運動のアトのメシはウメーっ!」

 

子供達が美味しそうに食べる。

クロエは最近ウォズに懐き、今ではウォズの膝の上で食べるのが、日常となりつつなっている(もちろん、郊外限定である)。

 

「(そう言えばリムル殿)」

 

「(なんだ?)」

 

「(自由組合(ギルド)本部で聞いた情報なのですが、数日前ファルムス王国で天空竜(スカイドラゴン)の目撃情報があったようです)」

 

「(天空竜(スカイドラゴン)?)」

 

「(以前戦ったカリュブディスと同じ、災厄級(カラミティ)の魔物です。その飛んで行った方角がこのイングラシアというのです)」

 

「(なんだって!?)」

 

ウォズからの報告に俺は、久しぶりに危険ごとに対する緊張感を感じていた。

おそらくその情報は本当なのだと、ウォズが判断したのだろう。

すると上空から咆哮が聞こえてきた。

空を見上げると、そこにいたのはさっきまでウォズと『思念伝達』で話していたスカイドラゴンだった。

 

「おいおい、まさか…」

 

「間違いありません。上位龍族(アークドラゴン)であるスカイドラゴンです」

 

「ね、ねえ、先生、あのドラゴン街に向かってるよ」

 

クロエが悲しい顔で伝える姿を見て、リムルとウォズは『思念伝達』で話し始めた。

 

「(リムル殿、お願いできますか?)」

 

「(任せろ!ランガと一緒に子供達も頼む)」

 

「「((はっ!))」」

 

「俺が今からあのドラゴンを倒しに行ってくる」

 

「リムル先生!あんな化け物を相手にするなら、騎士様達が来るのを待たないと!」

 

「そうだぜ!?そりゃあリムル先生は俺達より強いけどさ、あんな化け物に勝てっこないって!」

 

「ちょっとちょっと!勝手に死ぬなんて、許さないんだからね!」

 

俺が行くと行ったら予想通り、ゲイルやケンヤ、アリスはこういう時には、信用がない上に、クロエやリョウタも不安そうに見つめてくる。

 

「安心したまえ、リムル殿や私はアレ以上の化け物と戦った経験がある。それに勝てない相手に挑むほど、リムル殿は無知ではない」

 

「そういうことだ。まあ任せろ」

 

ライダータイム!仮面ライダーゲイツ!!

 

俺はジクウドライバーを出し、ゲイツに変身した。

さて、手早くアイツを倒すか。

 

『告。ウィザードウォッチにいるウィザードラゴンを使えば、スカイドラゴンの動きを封じることは出来ます』

 

(そう言えば、リードもいろいろなヤツを召喚してたな)

 

アーマータイム!プリーズ!ウィザード!

 

ウィザードアーマーを装備し、何時もより巨大な魔方陣を出すと、そこからスカイドラゴンに負けないドラゴン、ウィザードラゴンが現れた。

 

「スッゲーッ!ドラゴンだ!」

 

「先生、こんなことも出来るの!?」

 

「ちょっと!いろいろズルくない!」

 

「ウォズ、シズさんの仮面を頼む」

 

「お任せを」

 

子供達が興奮していろいろ言ってくるが、俺はウォズにシズさんの仮面を預け、ウィザードラゴンと共にスカイドラゴンのもとへ行った。

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

スカイドラゴンの最初の攻撃で王都の壁にいた多くの兵がその命を奪われ、生き残った兵も弓等の遠距離武器で応戦するが、スカイドラゴンに当たらず、第二撃の攻撃を溜めると、兵達は自分達の死を悟り、覚悟を決めようとしたその時、銀色のドラゴンがスカイドラゴンの首に噛みつき地面に叩き落とした。

 

「何だあのドラゴンは!?」

 

「見たことないぞ!!」

 

「まさか!?我々を助けたのか?!」

 

兵達は目の前の光景に戸惑うばかりだった。

スカイドラゴンを見たことないドラゴン、ウィザードラゴンが自分たちを助け、さらには互角以上に戦っているその光景は、この世界で生きている者には理解出来ないことであった。

スカイドラゴンが複数の雷を放つが、ウィザードラゴンは巨大な魔方陣で攻撃を上空に流した。

そして、お返しとして、四つの巨大な魔方陣を出し、火、水、風、地の魔法を発動させる。

火の魔法で皮膚を焼き、風の魔法で翼を裂き、地の魔法で足を押し潰し、水の魔法で痛みをさらに悪化させていった。

 

「なんて強さだ…」

 

兵達はウィザードラゴンが自分たちを救うために神が遣わしたものではないかと思う者も中にはいたが、誰も気づいていなかった。

上空にいる、人型の存在を

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

「カリュブティスと同ランクっていうけど大したことないな」

 

俺は上空でウィザードラゴンの活躍を見物していた。

あまりの圧倒的な強さを前にもはや一方的な戦いになり、俺が出来るのは『暴食者(グラトニー)』で喰うだけだろう。

しかし、あのウィザードラゴンの強さは明らかに異常だ。

 

(やっぱり、リードが魔王種に進化したのが原因か?)

 

『解。ゲイツウォッチ以外はそのような考えでよろしいと思います。』

 

大賢者からの答えに俺は僅かに不安を感じた。

リードは、俺より二十歳若く死んでこの世界に転生した。もしリードが力に溺れるようになってしまったら、俺はこの手で殺さいないといけないのか?

そんなことが頭に過ったが、俺はすぐにスカイドラゴンに意識を集中させた。

今はそんなことを考えたって意味がない。

それに、リードがアイツの親戚なら精神面での稽古をさせていないはずがない。

まずは目の前の問題を片付けないと

 

『告。スカイドラゴンの生命力が著しく低下しました。』

 

思ってたよりずっと早いな。

まあ、その分リードが強くなっている証拠か。

これは俺も負けられないな。

俺は、地上に降りると、スカイドラゴンが虫の息になり、ウィザードラゴンは興味がなくなったのか空を自由に飛び回っていた。

俺はスカイドラゴンに近づき『暴食者(グラトニー)』で捕食し、兵達が来る前にウィザードラゴンと共に子供達のもとへ帰った。

 

『告。スカイドラゴンの腹部が激しく損傷しているのを確認しました。』

 

『大賢者』が捕食したスカイドラゴンの情報を報告を聞いて、何故それを言うのか分からなかった。だってそれはウィザードラゴンが、

 

『否。この損傷はウィザードラゴンの攻撃より前に出来たものと推測されます。』

 

何だって!?大賢者が報告する程の傷をアイツは負っていたのか!?そんな風には見えなかったが…

俺が驚いているなか大賢者の報告は続く

 

『解。損傷の原因となる30cmの足跡から推定するに、

身長2m以上で筋肉質の男性と推測されます。』

 

………まさか、アイツか?

いやいや!いくらアイツでもそこまで………出来るな!うん!!

もし、会ったら絶対文句言ってやる!

俺は、前世の弟分の一人のことを思い出しながら子供達のところに到着した。

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

ウォズがユウキに呼ばれ、俺は自室にいるシズさんに今日のことを話していた。

 

「それじゃあ、災厄級(カラミティ)の魔物に傷を負わせたのは、リムルさんの弟分の可能性があるの?」

 

「ああ、アイツは車を持ち上げる程の怪力の持ち主の上に、それが全開の五分の一も制御出来てない状態でやったことなんだ」

 

「………えっ?」

 

シズさんが、一瞬キョトンとしていたが、俺は嘘は言っていない。

もしそんなことをすれば、ソイツの兄で俺の唯一の独身友人に殺される。

 

(アイツなら弟のためとか言って自力でコッチの世界に来ても可笑しくないし…)

「あと、もしかしたらリードの前世の親戚かもしれないんだ」

 

「そうなの?」

 

「ああ、ソイツの性がリードと同じ『時魔(ときま)』だから可能性は高い」

 

「スゴイ人と知り合いなんだねリムルさんにリード君は…」

 

まあ、リードが前世のことを極力話そうとしない理由の一つなんだけど…

そんなことを考えていると、ノックの音が聞こえてきた。

 

「リムル殿、少しよろしいですか?」

 

「良いぞ」

 

俺が許可すると、ウォズは部屋に入ってきた。

 

「実はリムル殿を食事に誘いたいという方がいるようです」

 

「俺に?」

 

「はい、ガドル・ミョルマイルというブルムンドの大商人で、魔国連邦(テンペスト)上位回復薬(ハイポーション)を購入していただいたそうです」

 

「本当か?」

 

ウォズからの報告を纏めると、スカイドラゴン襲撃の現場に運悪く居合わせてしまい、死を覚悟をしていたのを俺に助けてもらったそうだ。

 

「よく俺だって気づいたな」

 

「………どうやら、我が主が私と共に教師をしていると教えたらしく…」

 

オーーイ!

何やってんのリード君!?って、いやいや!リードのことだ。きっと信用出来ると判断して伝えたんだろう。

 

グランドマスター(ユウキ)もこのミョルマイルの身元調査を終えた上で信用出来るとおっしゃったので、ここは行くべきかと思います」

 

「…分かった。シズさんちょっと行ってくるね」

 

「気をつけて」

 

俺はウォズと共に、ミョルマイルに招待された住所に向かった。

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

ミョルマイルに招待された住所は、高級酒処でウォズ曰く料金が吹く程高いらしい。実際料金表を見た時吹いたが仮面のお陰でバレなかったと思いたい。

そして、俺とウォズの前に大量のワイン等が並べられている。全部ミョルマイルの奢りらしいから、存分に楽しんでいる。

 

「リムル様、ウォズ殿お楽しみ頂けておりますかな?」

 

「おお、お陰様でな」

 

「とても満喫しています」

 

「それは良かった」

 

ミョルマイルは気を利かせて人払いをし、俺達三人だけにしてくれた。

 

「ところでミョルマイル殿、あなたが購入した我が国の回復薬なのですが、割れたり怪我人に使った分はどのくらいですか?こちらで補填するよう手配します。構いませんねリムル殿」

 

「ああ、良いぜ」

 

「なるほど、売り上げよりも宣伝効果が優先ですか。料金は規定通りお支払しますよ。あの薬を怪我人に使うと判断したのはワシですからな」

 

ミョルマイルは律儀にも、料金は支払うと言ってくる。なんでだ?

 

「俺が助けたからって、気にしなくていいんだぞ?」

 

「はっはっは、それはもちろん感謝しておりますが、ワシは遠慮をしているわけではないのですよ。ただ貴方達に投資したいのです」

 

「今後、交易路の中心になるであろう魔国連邦(テンペスト)のもう一人の盟主であるリムル様とお近づきになれた。これが理由ではおかしいですか?」

 

成る程、この男は商人として信用出来るな。

 

「…いや、納得だ」

 

俺は仮面を半分外し、笑って答えた。

ミョルマイルも、笑顔で返した。

その後は、さっさと席を外した。気の利く男である。

俺はこの店の綺麗なお姉さんを目で楽しみ、ウォズは無料(タダ)という理由で大量の酒(しかもどれも高いヤツ)を味わっていた。

すると、ファイズフォンXが鳴り出した。

 

「もしもし?」

 

『リムル!今ホウテンから連絡があったんだけど、精霊の棲家を場所が変わってなくて、ラミリスが引き受けてくれたって!』

 

「本当か!?」

 

リードの興奮した状態が電話越しでもよく分かる。

俺も、それを聞いて嬉しいかな。

 

「場所は?」

 

『魔導王朝サリオンよりも南にある国ウルグレイシア共和国ウルグ自然公園、コウホウとコハク、リュウエイと一緒に向かうからそこで合流しよう!』

 

「ああ!」

 

俺はファイズフォンXを仕舞い、ウォズの注文した酒を全部『胃袋』に放り込んだ。

 

「リムル殿?」

 

「ウォズ、帰って準備するぞ。精霊の棲家が見つかった」

 

「!?分かりました!」

 

ウォズも一瞬で状況を理解したらしく、店員に挨拶をした直後、マフラーを使って一瞬で自室に運んでくれた。

 




こうして、遂に我々は精霊の棲家の場所を突き止めた。
しかし、そこで何が待ち受けているのか、私達はまだ知らない。
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