転生したら天魔人だった件   作:通りすがりの気分屋

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我が魔王の友リムル殿は、シズさんの気がかりであった子供達を救うために、我が魔王達と共に迷宮へと足を踏み込んだ。
そこで、十大魔王の一人迷宮妖精(ラビリンス)のラミリス様の試練に打ち勝ち、遂に私たちは、迷宮の最奥部にある精霊の棲家へと行く事が出来た。
そして、そこで何が待っているのかは………っ!!
…なんだ今の頭痛は?


救われる魂 前編

 

「着いたわよ。ここが迷宮の最奥、精霊の棲家よ」

 

それは、幅一メートル程度の光の通路が二十メートル程延びていて、その先端部に、直径五メートルの円形の足場で支えられている。

まさしく神秘的な場所であるが、子供達を救う重要な場所だと考えると眺める気にはなれなくなる。

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

「先生、リードさん、自分に何かあったらアイツらを頼みます」

 

コハクとリュウエイ、ランガは、子供達を守るために残ってもらい、俺、リムル、ウォズ、コウホウ、ホウテン、で、上の対応をすることになった。

最初にやるのは最年長のゲイル、緊張の最初であるせいか、表情がかたいな。

…この手はあまりやりたくないけど…

 

「悪いけど、俺は無理」

 

「………えっ?」

 

「あの子達を取り残す気持ちが少しでもあるような子からの頼みなんて、聞く気はない」

 

「………っ!」

 

酷なやり方であるが、あの子達がこの世界で生き抜くためには、精神を少しでも強くしないと

…例えそれで俺が悪党になったとしても…

するとリムルが、ゲイルの頭に手を置いた。

 

「大丈夫だ。何があっても俺が助けるし、リードはああ言ってるけど、お前のためを思って言ってる事だから安心しろ」

 

「先生…ハイ!」

 

リムルが、ゲイルを安心させ俺の弁護までしてくれた。

やっぱりこういうのは、リムルが向いてるのかな。

後輩(マサユキ)に剣の稽古をつけてやった時、泣せてしまった経験のある俺には、やっぱりこういうのは向かないかもな…

ゲイルは、落ち着いて祈り始めた。

 

「ねぇラミリス、過去にここで上位精霊の呼び出しに成功した人間はいるの?」

 

俺が、何気ない疑問を口にするとラミリスの表情が精霊女王としてアウトな表情に変わった。

 

「ホウテン!」

 

「ここから、オレがラミリス様に変わって答えます」

 

そんなに話したくないのか、ホウテンに代わった。

 

「成功した者はいます。それもリード様とリムル様がしっている名前です」

 

「俺達が?」

 

「はい、その者の名はレオン・クロムウェル」

 

「「!?」」

 

そう言えば、以前ホウテンがレオンの事を人間の魔王って言ってたな。

しかしまさか、ここでレオンの名前が出てくるなんて…

 

「その時のレオン様の目的は、特定の人間を異世界から召喚する方法を知るという事で、知識に通じる光の上位精霊を呼ぶために訪れたそうです」

 

「…で召喚に成功したと」

 

「良かったって言うべきなのか?」

 

「それが、そうとも言えないのです。ねぇラミリス様…」

 

ホウテンも、自分の説明では伝わりきれないと遠回しに言うようにラミリスに交代した。

 

「その精霊って勇者の資格を持った相手にしか応じないのよ。召喚に成功したっていうことはアイツが勇者だって」

 

「えっ!?」

 

「じゃあ、お前はレオンに精霊の加護を授けたのか?」

 

「そう!それがアタシの役目だからね。なのにアイツ…「待った」」

 

ラミリスの話しの途中でリムルが待ったをかけると、ゲイルの頭上に複数の茶色の光りが現れた。

 

「上位精霊には見えないな」

 

「確かにイフリートに比べると、気配も微弱だし…」

 

まさか…失敗したのか!?

 

「んーと、あれは…土属性の子が何体か来てるけど…みんな自我のない下位精霊だよ」

 

そんな!?

せっかくここまで来て、無駄足だったのか…

 

「そうか」

 

俺が、無情な現実に怒りすら感じる中、リムルがゲイル君に近づいていった。

 

「ゲイル、そのまま祈ってろ」

 

「は、はい」

 

すると、リムルが『暴食者(グラトニー)』で捕食した。

突然の行動に驚いていたが、俺はすぐに気づいた。

 

『告。ユニークスキル『変質者』により、下位の精霊の「統合」が完了致しました。イフリートの自我情報を素に疑似人格を作成し付与します。…疑似上位精霊「地」が完成しました。ゲイル・ギブスンと「統合」しますか?』

 

それはリムルの『暴食者(グラトニー)』で、下位の精霊を取り込んだ後、『大賢者』とシズさんのスキル『変質者』を利用して上位精霊を造り出すことであった。

流石の俺も、そんな考えは浮かばなかった。

 

「頼むぞ、大賢者」

 

リムルが『大賢者』に指示すると、上位精霊はゲイルと統合し、暴走していた魔素が安定していたのが『聖眼』で確認が出来た。

 

「目を開けて良いぞゲイル。よく頑張ったな、体内の魔素は安定したぞ。もう大丈夫だ」

 

「せ…先生」

 

「喜ぶなら、全員成功してからだよ」

 

「…はいっ」

 

ゲイルは死の危機から逃れる事が出来た安心で、目から涙が浮かんだが、俺はまだ目的を果たし終えてない事を伝えると、ゲイルは泣くのを我慢した。

そして、ウォズにコウホウ、ホウテンを残して子供達のところに戻った。

後で『繋がる者』で聞いたのだが、どうやら疑似上位精霊を造り出せるかは賭けだったらしい。

文句を言いたくなったが、成功したから言わないことにした。

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

次は、最年少のアリス。

リムルに横抱き、お姫様抱っこされてのぼっていた。

アリスのあの表情、あれはリムルに惚れたな…

…あれ?リムルって確か、俺より二十歳上で転生したから………なんだろう、急に犯罪臭がしてきた。

上に着くと、アリスは祈り始めた。

 

「ラミリス、さっきのレオンの話なんだけど、レオンは最初は勇者だったのに魔王になったの?」

 

「ああそれね!聞いてよ!!レオンちゃんったら、めぼしい情報が得られなかったって言って八つ当たり気味で炎の上位精霊まで奪っていったのよ!!」

 

リムルがラミリスからレオンの情報を聞くなか、俺は魔王になる条件が何なのか気になってきた。

勝手に魔王を名乗ることはダメだというのは、ミリムから聞いている。

じゃあレオンはどうやって魔王になったんだ?

 

「………ホウテン、魔王を名乗る条件って一体なに?」

 

「…魔王を名乗る条件は、今いる魔王を倒しその席を奪うか、魔王達の宴(ワルプルギス)で、最低でも三名の魔王に認められなければ、魔王を名乗れません」

 

魔王達の宴(ワルプルギス)?それって「来たぞ」…!」

 

ホウテンから更に詳しく聞こうとした時、リムルの言葉でこの話はお預けになった。

そして、アリスの頭上に複数の紫色の光りが現れ、リムルが『暴食者(グラトニー)』で補食する。

 

『告。疑似上位精霊「空」を作成。…成功しました。アリス・ロンドと「統合」しますか?』

 

ゲイル君と同じやり方で、上位精霊をアリスに統合させた。

 

『告。エクストラスキル『量子操作』を獲得…成功しました。』

 

どうやら、俺も新しいスキルを獲得したようだ。

この『量子操作』は、使えるかもな…

そうしていると、アリスがリムルに抱きつき、頬にキスをした。

 

「…特別だからね」

 

アリスが、顔を赤くして下に降りていった。

 

「おマセな子だなって、なんで距離とってんだリード?」

 

「いや…なんか近付いちゃいけない気がして…」

 

「お前は俺をなんだと思ってるんだよ…」

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

次は、ケンヤ。

緊張しているのか、少し不機嫌そうに見える。

そして、祈り始めようとしたその時、

 

「いよー元気かい?初めましてオイラは光の精霊さ!」

 

自然(シゼン)義兄(にい)さんや釈迦人(シャカト)義兄(にい)さん程ではないが、陽気で自我がイフリート以上にある上位精霊が現れた。

しかも今、光の精霊って名乗ったよな、つまるケンヤは…

 

「ちょっとアンタ!!何しに人の家にやってきてんのよ!?」

 

「だって勇者の素質を感じたから来ちゃった♡」

 

ラミリスの抗議を、光の上位精霊は全く気にしていなかった。寧ろ、この状況をどこか楽しんでいるようにも見えた。

…なんだろう、このノリの軽さは義兄(にい)さん達を見てる気分だ。

すると、光の上位精霊と目があった。

 

「…へー」

 

「………何?」

 

「君って結構面白い存在だね」

 

「……………」

 

「上位属性の三つを持ち、しかも他の五属性の力も扱えることが出来るみたい」

 

…何でレオンが光の上位精霊を頼ったのか、よくわかった。

軽そうに見えて、しっかりと様々な事を深く見て瞬間に理解する。

ふざけているような表情の中に、真実を見抜く目を持っている。

本当に義兄(にい)さん達を相手にしてる気分だ。

 

「でも、どうやら君の力の大半は眠っているみたい。これは上位精霊(オイラ)達じゃ覚醒(起こ)させることは出来ないけど、きっとすぐに目覚めるよ」

 

「………それはどうも。ところでケンヤの事だけど…」

 

「ああもちろん助けるよ。もしかしたらケンちゃんも勇者になるかもしれないからね!成長するまでオイラが保護するよ。じゃね」

 

好きなだけ言って、最後には勝手に宿った。

なんだろう、あのタイプの性格は本当に読めないな。

 

「先生、リードさん…?」

 

「お、おぅっ、大丈夫計画通りだ!」

 

「本当かよぉ…なんかヘンなカンジ」

 

「大丈夫、魔素はすっかり安定してるから」

 

にしても、ケンヤが勇者か…

俺にとっての心の勇者はあの人(姉さん)だけど、ケンヤも姉さんみたいにいろいろな人の心の勇者になってほしいな。

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

次は、リョウタ。

ゲイルやアリスのようにすぐには現れないな。

これは、少し待つか、

 

「ところでホウテン、さっきの魔王達の宴(ワルプルギス)って何?」

 

「ああ、そう言えばまだ途中でしたね」

 

アリスの時に途切れていた話題を再びホウテンから聞いた。

曰く、ワルプルギスとは、最初は最古の魔王の三人のお茶会のようなものでだったらしい。そして後から魔王になった者達も参加するようになり、揉め事が起きれば多数決で決まるようになったそうだ。

そして今から千年前に、人間達がワルプルギスと言うようになったそうだ。

ちなみに、十大魔王も人間達が勝手に呼んだ呼び名で、魔王に人数制限がないらしい。

 

「三名で発議、可決される理由は?」

 

「五百年程前までは魔王は七名いて、その時の名残で三名で決定するようになったそうだ」

 

そうして話していくうちに、リョウタ君の頭上に青と緑の複数の光りが現れ、リムルが『暴食者(グラトニー)』で補食した。

 

『疑似上位精霊「水風」を作成…成功しました。』

 

そして、リョウタも上位精霊と統合され、魔素も安定した。

 

「え?…もう終わり?」

 

「おう、もう大丈夫だぞ」

 

「お疲れ様」

 

リョウタの表情は、一気に明るくなった。

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

最後は、一番大人しいクロエ。

そのクロエの要望で、ウォズがお姫様抱っこしてのぼっていた。

 

「ウォズ先生、あのね…あのね」

 

「なんだい?」

 

「だーーーい好き!」

 

「………そうかい、ありがとう」

 

「えへ」

 

いや~ウォズ、幼い女の子の恋心は侮れないぞ。十年も経って諦めない時はウォズも覚悟してた方が良いかもね。

その時は、酒の肴にするけど、

 

「だからリムル、そんな嫉妬の炎を出すのはやめたほうがいいよ」

 

「うるせぇ」

 

まあ、俺も人の事は言えないけど、俺なんかがシュナに相応しいのかな…

そしてクロエが祈り始めた瞬間、明らかに精霊とは違う存在が現れた。

それは長い黒髪の女性のような存在だった。

 

(なんだアイツ!?それより今は撃退しないと!!)

 

俺は素早くジオウに変身し、ドライブウォッチを転移魔法で出現させ、起動させた。

 

アーマータイム!ドライブ!ドライブ!

 

俺、コウホウ、ホウテンはすぐに戦闘態勢に入った。

リムルは状況把握で後ろに控えている。

あれ?そう言えば、何時もアレがない…そう何時もウォズの祝福が…

俺は、ウォズに視線を向けるとなんとウォズは無防備にあの精霊とは違う存在に見惚れていた。

 

(何やってるんだウォズ!仕方ない、俺達三人で何とかするか)

 

そしてすぐに行動に出た。

コウホウが『瞬動法』で一瞬に間合いに入り、方天戟を振るうが、掠りもせず全て躱されクロエに接近する。

 

「ホウテン!」

 

「分かってる!」

 

死の矢雨(デス・レインアロー)

 

次にホウテンが無数の矢雨を降り注がせるが、素早い動きで全て避ける。

 

「リード様!」

 

「ああ!」

 

俺は、すぐにドライバーを回転させた。

こんなヤツに力の出し惜しみをする余裕はない。

 

フィニッシュタイム!ヒッサツ!タイムブレイク!

 

トライドロンが現れ、俺はライダーキックを放ち、回避されるがトライドロンを足場に連続で放つ。

しかしそれも全て躱され、上空に逃げ、ウォズに向かっていった。

 

「ウォズ!」

 

「………!!」

 

ウォズが正気に戻った時、ウォズと何かの唇が重なった。

そして二人の唇が離れると、再びクロエを目指し始めた。

 

「待て!!させないよ、アンタの好きにはさせない!!何もせず今すぐ帰りな!!」

 

ラミリスが魔法弾を放つが、それも軽く躱されクロエに宿ってしまった。

しかし、さっきまでのあの圧倒的存在感がウソのように消えていた。

それどころか、魔素も安定していく。

 

「クロ「クロエ君!」」

 

「大丈夫かい?!どこか痛いところとか苦しいところはないかい?!」

 

「う、うん平気」

 

「そうか、良かった」

 

ウォズが今までに見たことがない程取り乱し、クロエの無事を確認すると、胸を撫で下ろした。

 

「ラミリス、今のってクロエに宿る事で何らかの目的を果たしたってこと?」

 

「多分ね。あーーーっきっとこの時代での干渉が切っ掛けで未来が大変なことに!」

 

「でも、悪い事ばかりじゃないみただぞ」

 

「え?ホントだ…魔素が安定してる。これなら崩壊の危険はないよ」

 

「まあ結果オーライってことだね」

 

(後はシズさんのからだだけどどうすれば………うん?)

 

俺は最後にシズさんのからだをどうするか考えていると、『魔眼』であることに気づいた。

 

(一難去ってまた一難か)

 

「ウォズ、悪いけどクロエを下まで下ろしてくれる?」

 

「分かりました。行こうクロエ君」

 

「うん!」

 

ウォズがクロエをお姫様抱っこして下に降りるのを確認すると、俺は再び戦闘態勢に移った。

 

「リード?どうした?」

 

「………上を見て」

 

「うん?えっ?」

 

リムルが俺の言葉で上を見るとそこには()()()()()()()()()()()

リムルも『魔力感知』であのひびから流れている魔素を危険と即断し、ゲイツに変身した。

 

「ちょ、ちょっとアンタ達!精霊の棲家(ここ)壊さないでね!」

 

それは、保証出来ないな。

そして、ひびが広がり窓ガラスが砕けるように空間に人一人が通れる穴が出来た。

そこから、ゆっくりと降りてくる者を見たとき俺は絶句した。

一言で言うなら、精霊の集合体のようなものだった。

大地の下半身、風と水の両腕、透明な胴体、燃え盛る頭部、そして瞳は時計文字盤と針が見えた。

これだけでも異常な強さが肌で伝わるのに、その者の背中にあったのは、

 

(光と闇の翼!?)

 

それはまさに、この世界に存在する全ての属性を持った存在であり、まるでもう一人の自分を見ている気分だった。




こうして、いくつか想定外の事があったが子供達を全員救うことが出来た。
しかし、突如現れたあの存在は正体は………
そして、我が国の運命の日は確実に近づいていた。
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