転生したら天魔人だった件   作:通りすがりの気分屋

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我が魔王とその友リムル殿は、精霊の棲家でシズさんの気がかりだった子供達を全員救うことが出来た。
その直後、謎の存在が現れ我が魔王に宿ると、我が魔王の体に変化が起きた。
そして、遂にシズさんの体の再構築に取りかかるのだった。


救われる魂 後編

 

「リムル、準備はいい?」

 

「ああ」

 

俺はジオウディケイドアーマーゴーストフォームに、リムルはゲイツウィザードアーマーに変身して、ウォズ達に頼んで書いてもらった魔方陣の上に立っていた。

ウォズ達はシズさんの体の再構築の邪魔になるから、光の通路で待機してもらっている。

魔方陣の中心にアイコンになったシズさんとイフリートを立たせ、俺とリムルは魔方陣の端にいた。

今俺は魂の回廊を使って、俺の魔素(エネルギー)量をリムルに分け与えている。

この魔方陣での俺の役目は体を作り出すこと、リムルの役目はシズさんの魂を欠けることなく完全な状態で移し、イフリートを宿すことだ。

だからリムルの負担が大きく、魔素(エネルギー)量が足りないため、俺の膨大な魔素(エネルギー)量が必要になったわけだ。

 

「それじゃあ、いくよ!」

 

リムルに必要分な魔素(エネルギー)量を渡し、シズさんの体の再構築を開始する。

俺のドライバーから十五体のパーカーゴーストが現れ、魔方陣の上に新しい魔法陣が描かれた。

 

(さて、そろそろか…)

 

すると予想通り、俺の魔素(エネルギー)量をゴッソリ魔方陣に持っていかれる。

やっぱりシズさん程の実力者の体になると、消費する魔素(エネルギー)量は半端な量じゃない。

けど、『大賢者』が必要分な魔素(エネルギー)量を調整し、リムルがシズの体を補食した際に得た情報をもとに、体を再構築していく。

そして、遂にシズさんの体が完成した。

しかし、本番はここからだ。

 

「リムル!」

 

「ああ!」

 

地面の魔方陣を発動させた。

実はこの魔方陣、俺が『大賢者』に頼んで作ったものだ。

魂を肉体に移す魔法と魂が欠けないための結界を同時に行う魔方陣をこの一つの魔方陣にまとめ、それをリムルが行使している。

リムルはアイコンからシズさんの魂を結界で覆い、さらにイフリートと一緒にもう一枚結界で覆う。

 

「イフリート!シズさんに何かあったらただじゃおかないからな!」

 

「わかっています!」

 

イフリートは、シズさんの魂と共にシズさんの肉体に宿るとアイコンは消滅した。

 

「「シズさん!」」

 

俺とリムルはシズさんに駆け寄り、ウォズ達も駆けつけてくれた。

そして、ゆっくりとシズさんの目が開き、黒い瞳が見えた。

 

「シズさん!」

 

「大丈夫ですか?」

 

「………大丈夫だよ。リムルさん、リード君」

 

「よかった…」

 

「………シズさん、少し失礼します」

 

俺は、シズさんの記憶に欠落しているところがないかの確認をするため、『侵入(インベイジョン)』を発動させた。

………その中で、一瞬姉さんの顔があった。

 

『告。個体名井沢静江(シズエ・イザワ)に記憶の欠落はありませんでした』

 

「………よかった~」

 

俺は安心し、全身の力が抜けて倒そうになるとウォズとコウホウが支えてくれた。

 

「「お疲れ様です。我が主/リード様」」

 

「ああ」

 

「あの~、リムルさん、リード君私の体に何かした?なんだか全盛期以上の力を感じるんだけど?」

 

「言われてみれば確かに、シズ自身の魔素(エネルギー)量が以前よりも膨れ上がっているな」

 

「え?」

 

「ああ、それ俺がやった」

 

『『『………えっ?』』』

 

いや~、あの魔方陣に全盛期以上の力を持たせるための魔方陣を組み込んでいたんだ。

姉さんを保護してくれた恩人にこれくらいのお礼はしないと、義兄(にい)さん達に怒られる。

魔方陣のことを話すと、リムルがため息をついた。

 

「お前…さらっとスゴイことをやってたな…」

 

「リムルだけには言われたくない!」

 

リムルだって、いろいろとやりたい放題してるじゃん。

温泉とか食べ物とか、まあラーメンや餃子といった姉さんが好きな食べ物の再現は俺はやってるけど…

リムルよりはマシであるのは自信ある。

 

「それより、リムルとシズさんは少しここに残ってて」

 

「え、どうして?」

 

「子供達にサプライズするから!」

 

「おっ!良いねソレ!」

 

「じゃあ、行ってくる!」

 

「ああ!」

 

俺は、ウォズ達と共に下へと降りていった。

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

「なあ!さっきのアレは何だったんだよ!?」

 

「スッゴイ爆発が二回もあったよ!」

 

「ちょっと、説明しなさいよ!!」

 

「……ちょっと怖かった…」

 

「説明を要求します!」

 

下へ降りると子供達がスゴイ勢いで俺に、質問責めをしてきた。

やっぱり、リュウエイの説明だけじゃ納得しなかったか…

 

「ねえ!リードさん!」

 

「黙ってないで教えなさいよ!」

 

「僕は年長者として知る義務があります!」

 

うん、黙ってるとサプライズどころじゃないな…

 

「みんな!その質問の答えを教えない代わりに頑張ったご褒美があるんだけど…」

 

俺のこの言葉に、ゲイル以外の子供達が静かになった。

 

「リードさん!そんなことよりも「じゃあゲイルはご褒美は良いんだね?」…うっ!」

 

本当に言葉ってのは怖いね~、ちょっと魅力的なことを言うと、すぐこうなる。

言葉選びには注意しろって、よく煉武(レンム)義兄(にい)さんに言われてるから、よく理解しているつもりだけど…

 

「それじゃあ、頑張ったみんなのご褒美は………リムルお願い!」

 

「おう!」

 

子供達が上を見上げると、みんなの言葉がつまった。

その光景は、リムルに手を引かれて歩いているシズさんの姿を見たことなのは間違いない。

一歩一歩ゆっくりと歩き、遂に俺達のいる下に到着した。

 

「…シズ……先生?」

 

「…ただいま………みんな」

 

『『『『『シズ先生ーーーー!!!』』』』』

 

あのデリカシーのないリムルが空気を読んでシズさんから離れると、子供達は涙を浮かべて、シズさんに駆け寄った。

…やっぱり、会いたい人に会えるって幸せなことなんだな。

俺が嫉妬してしまう程、子供達はシズさんの再会を喜んでいた。

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

「あっ、そうだリード。アンタに渡す物があったんだ!」

 

「俺に?」

 

あの後、シズさんの体の再構築で魔素(エネルギー)量を大量に消費してしまい、子供達がシズさんと感動の再会を果たした後、俺の意識が朦朧してしまっていた。

その間、ホウテンがリムルに頼んでラミリスを守護するものを作ってほしいと頼んだそうだ。

なんでもラミリスは、大人になるまでは大した強さを持たないそうで、俺とリムルが壊した精霊の守護巨像(エレメンタルコロッサス)がラミリスを守護していたそうだが、今のラミリスの戦力はないも同然だそうだ。

そこでリムルは、魔鉱塊を俺が新たに獲得したスキル『創造(クリエイション)』を使って、ある入れ物を作ったそうだ。

そこに、リムルがさっきの検索で身に付けた新しい魔法、召喚魔法で悪魔族(デーモン)の上位の存在、上位悪魔(グレーターデーモン)を召喚し、久々に名付けを行い『ベレッタ』と名付け、ソイツを作った入れ物に宿ると魔将人形(アークドール)という独自の進化を遂げ、ラミリスを守ることになった。

一方俺はどういう訳か、下位や中位の精霊達が現れて俺に魔素を与えてくれていた。

そして、ついさっき意識がしっかり覚醒すると、ラミリスが俺に手紙と水晶を渡した。

 

「………?」

 

「まあまず、その手紙を読んでみて」

 

ラミリスに促せれ、手紙の封を開けて中の手紙を読むと…

 

「………えっ?」

 

「どうしたリード?」

 

「何て書いてるの?」

 

クロエとアリスを膝に寝かせたシズさんと、ケンヤとリョウタ、ゲイルにコハク、そしてリュウエイに毛布をかけていたリムルが覗き込み手紙の内容を読む

 

魔国連邦(テンペスト)の盟主の片割れリード・テンペスト様。

先日行われた魔王達の宴(ワルプルギス)にて、『暗黒皇帝(ロード・オブ・ダークネス)』、『破壊の暴君(デストロイ)』、『迷宮妖精(ラビリンス)』、『大地の怒り(アースクエイク)』、『眠る支配者(スリーピング・ルーラー)』、『鮮血の覇王(ブラッディロード)』、『獅子王(ビーストマスター)』の七名の賛同によって、貴殿に魔王の称号と『時空聖魔王(タイムカオスキング)』の二つ名をここに記す。

なお、この決定は貴殿の意見を無視しているので、貴殿の好きな時期に名乗って良い。

この決定は魔王間でも他言無用と決定しているので安心せよ』

 

いつの間にか覗き込んでいたウォズとコウホウ、ホウテンにランガもこの内容に絶句し、俺が防音用の結界を張ると、

 

『『『はーーーーーーー!!!』』』

 

俺達男全員の驚愕の声が結界内に響き渡った。

というか、なんでミリムやカリオンはともかくなんで他の魔王も賛同してるの?!

 

「ラミリス!!どういうこと?!俺はミリムとカリオンとクレイマンはともかく、お前以外は全員会ったこともないけど!?」

 

「えっと~、それは~………」

 

「ラミリス様、素直に言ってください。これはオレでもフォロー出来ませんよ」

 

「じ、実は、その時のワルプルギスの開催前にギィがやって来てね…」

 

「ギィ・クリムゾン様が!?」

 

「ホウテン、ギィって誰?」

 

「この世界で最も古い最強の魔王です!」

 

「えっ?もしかしてミリムより強い?」

 

「互角なのは間違いないありません」

 

マジか…あのミリムと互角ってどんなバケモノなんだ?

ってイカン、話が逸れた。

 

「それで?」

 

「その時、アンタがカリュブティスを斬ったところを撮った水晶を見せて、ワルプルギスでアンタを魔王に推薦するから賛同してほしいって頼まれたの」

 

「…まさか…」

 

メガロドン殲滅の時に感じた視線は、ずっとカリオンだと思っていたけど、ギィだったのか?

これはとんでもないヤツに目をつけられたな…

 

「で、アンタが少し前に魔王種に進化したから、アンタに魔王の称号と二つ名をその時決めったってわけ!!」

 

「一回でですか?!」

 

「そっ!一回でスゴイでしょう!」

 

「ええ!」

 

何がそんなにスゴイんだ?

 

「前回のワルプルギスは魔王が十人になったことで、威厳的問題もあり名称を決めるために何度も開かれたんです」

 

「何度も?」

 

「ええ、オレが代理で行く羽目になったこともありましたよ…」

 

ホウテンが遠い目で語ると、その時の苦労がよく伝わる。

ていうか、ワルプルギスってそんな簡単に開けるものなの?

 

「(…我が主、これは利用すべきでは?)」

 

ウォズが『思念伝達』でそう言うが、

 

「(()()ダメ、確かに利用出来るが、まだ使うべきじゃない)」

 

「(………了解しました)」

 

ウォズは少し不満気味だったが、従ってくれた。

正直、これは利用すべきなのだろうが、まだ時期が早い。

 

「ラミリス、俺が魔王を名乗って良いのは、本当に何時でも良いの?」

 

「もちろん!アンタの意思だから今名乗っても問題ないよ!」

 

「………わかった」

 

そして、子供達が起きるまでの間ラミリスから貰った水晶の使い方を教えてもらい、子供達が起きると俺達は精霊の棲家を出た。

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

俺とリムルはひとまず別行動をとることにした。

リムルとウォズ、シズさんは子供達と一緒にイングラシアに戻り、

俺はコハクとリュウエイ、ホウテンを魔国連邦(テンペスト)に送ってから、コウホウと共にブルムンドのフューズのもとへ転移魔法で訪れた。

コハクはイングラシアにも行ってみたそうだったが、国交を結んでいない国に行くのは危険と伝え、リュウエイ、ホウテンと共に帰ることに納得してくれた。

そして、ブルムンドでフューズから俺とコウホウの冒険者カードを貰いすぐにイングラシアに赤兎に乗って向かった。

イングラシアで合流した後、俺とリムル、シズさんはシズさんの教え子でグランドマスターのユウキの執務室に待っていた。

どうやら、子供達とシズさんの件の報告する約束をしていたそうだ。

ちなみに、リムルからどうやってユウキの信頼を得たのか聞いておいて、最初に思ったことは

 

「リムル、それは信頼を得たんじゃなくて、買収とスキルの無駄遣いじゃ…」

 

「リード君、柔軟に対応するのが立派な大人というものだよ」

 

自然(シゼン)義兄(にい)さんや釈迦人(シャカト)義兄(にい)さんがよく言ってた言葉を聞いて俺は少し呆れたもしたが、感心もしている。

 

「お待たせしま……えっ?ヒナタ?」

 

「!?………人違いでは?」

 

「えっ?ああ、スイマセン!もしかしてあなたがリードさん?」

 

「呼び捨てで良いですよ。俺はあなたより八つほど年下です」

 

「えっ?そうなの!?じゃあリード君って呼ばせてもらうよ。あっ!僕のことはユウキって呼んで!」

 

危ない危ない。

このユウキって人は確か姉さんの同期だったな。すっかり忘れてた。

まあ、前世と違う顔だから誤魔化すことは簡単だけど。

そうして、子供達の魔素が安定したこととシズさんの体を全盛期以上までに再構築したことを伝えると、ユウキからとても感謝された。

………この時、シズさんが俺の方に視線を集中していたことに俺は気づいてなかった。

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

リード達がユウキに報告していた頃、ウォズの自室で、ウォズとコウホウは将棋を指していた。

 

「いよいよ残りひと月ほどにまでなったね」

 

「…そうだな」

 

二人は静かに、駒を動かす。

 

「覚悟は出来たのかい?」

 

「無論だ」

 

「百騎近くの騎士を相手にするんだよ?」

 

「それをいうなら貴様も、自分の何倍も強い相手と戦うのだぞ?」

 

普段喧嘩しかしない二人は、お互いに笑みを浮かべる。

 

「………死ぬなよ」

 

「………君もね」

 

二人は静かに将棋を指していった。

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

ユウキの報告を終え、俺はリムルの部屋でリムルが淹れてくれたお茶を飲んでいた。

 

「はぁ、落ち着く」

 

「なあリード、聞きたいことがあるんだけど良いか?」

 

「何?」

 

俺が茶請けにと和菓子を出し、爪楊枝で食べていると、リムルが向かいに置いてある椅子にコーヒーを持って座った。

 

「お前の親戚で煉武(レンム)ってヤツいる?」

 

「………えっ?」

 

俺はあまりの衝撃で和菓子を食べる手が止まった。

 

「何でリムルが煉武(レンム)義兄(にい)さんの名前知ってるの?」

 

「えっ?にいさん?」

 

「俺、義理の弟」

 

「………ええぇぇーーーーーーー!?!?

 

今度は、リムルが驚きで声をあげる。

俺は防音用の結界を張り、耳を塞いだ。

そこまでしたのに、うるさい!

 

「お前、アイツの弟だったの!?」

 

「うん。というか、何でリムルが煉武(レンム)義兄(にい)さんの名前知ってるの?」

 

「俺、アイツとは小学生の頃からの友達」

 

「………えっ?ええぇぇーーーーーーー!?!?

 

「知らなかったのか?」

 

「初耳なんだけど!?」

 

「それじゃあ、生夢(しょうむ)釈迦人(シャカト)縁護(エンゴ)自然(シゼン)からも聞いてない?」

 

「聞いてない!一言もそんなこと聞いてない!!」

 

「マジかぁ…」

 

マジかぁ…は俺のセリフだよ!!

何で義兄(にい)さん達教えてくれなかったんだって、そういえば一時期煉武(レンム)義兄(にい)さんが元気なかった時期があったな。

その時教えてくれてもよかったのに…

 

「何でいろいろと嘘ついたんだ?」

 

「えっ?何時?」

 

「封印の洞窟の時や牙狼族の時、オークロード戦前の時に嘘ついてたろ」

 

『俺も英語ダメだったんだよな』

 

『俺も実戦経験は皆無だ』

 

『前の俺ならすぐに逃げたと思う』

 

………確かに言った、うん。

いや、でも、だって~

 

「だって、そうでもしないと引かれるでしょう…」

 

「まあ確かに時魔家の稽古を聞いたら普通に引くよな…」

 

どうやら、リムルは時魔家のことは知ってたらしい。

時魔家―――平安時代からある家で、日本でもトップの経済力等を持つ家で、俺の時代まで続く程珍しい、世襲制が続いた家だ。

まあ、それは表向きの話で、裏では『人材の宝物庫』と呼ばれるほど、異常なまでの才能を持った子が産まれやすいことで有名なのだが、リムルはその事にもにわか程度だが知っているようだ。

俺の母さんがその当時の当主とは従姉妹で、母さんがパートの時に再開し、俺が十歳の時に再婚したのだ。

そして、最低でも十歳以上年上の義理の兄が五人も出来た。

 

「お前………結構濃密な人生送ってたんだな…」

 

「うん、まあ…」

 

「因みお前、あの兄弟の中じゃあどれくらい強いんだ?」

 

「えっ?煉武(レンム)義兄(にい)さんと互角だったけど」

 

「………は?」

 

俺が素直に答えると、リムルが一瞬で部屋の隅まで距離を置いた。

 

「お前………あの煉武(レンム)と互角だったの!?」

 

「…うん」

 

やっぱり引かれた。

 

「それよりリムル、義兄(にい)さん達の話聞かせてくれない?」

 

「え?」

 

「だって、リムルの知ってる義兄(にい)さん達って気になるじゃん!!」

 

「………良いぞ!」

 

「本当に!?」

 

「ああ!まずは煉武(レンム)からな」

 

「うん!」

 

俺はそこで、義兄(にい)さん達の知らない一面を知ることが出来た。

七年も一緒に暮らしていたが、三十年も付き合いのあるリムルの方がいろいろなことを知っていた。

そして時間が経ち、俺はあることを思い出した。

 

「あっ!そろそろシズさんが来てほしいって言った時間だ。ごめんリムル俺行くね」

 

「ああ」

 

俺は湯飲みをリムルに渡し、ドアノブを掴んでリムルの方を振り向いた。

 

「そうだリムル」

 

「ん?」

 

「俺ってクレイマンと敵対してるだろ?」

 

「そういえばそうだな」

 

「ホウテンの話じゃ、クレイマンは多くの人間の奴隷を抱えているみたい」

 

「マジか!」

 

そう、俺達は人間を襲わないということをルールとしている。

あのクレイマンのことだ、それを利用してくる可能性は高い。

 

「だから、四つ目のルールを考えたんだ」

 

「四つ目のルール?」

 

「ああ」

 

俺はリムルに四つ目のルールを伝えると、リムルは少しだけ考え込んだが、すぐに結論が出たようだ。

 

「わかった。リグルド達に伝えといてくれ」

 

「ああ、それじゃあ行ってくる」

 

俺はリムルの自室を後にし、シズさんの部屋に向かった。

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

シズさんの部屋の前に着くと、俺はちゃんとノックをして、返事が来るのを待った。

 

「リード君?」

 

「はい、遅れてスイマセン」

 

「いいよ、大丈夫」

 

シズさんが扉を開けると、イフリートがすれ違いで部屋を出た。

俺は少し疑問に感じたが、そのまま扉を閉めた。

 

「シズさん、俺に何か用?」

 

「うん。私ねアイコンだった時、記憶が幾つか抜けてね。体が戻ってその記憶が戻ったの」

 

「そうだったんですね…」

 

「リード君、君の前世って私の教え子、ヒナタに関係してるの?そのペンダントはヒナタが持ってたものと全く同じで」

 

「……………」

 

シズさんが俺のペンダントに指を指して聞いてきた。

ここで隠しても良いけど、それじゃあ恩人に失礼だ。

俺はそう思ってすぐに行動にでた。

胡座を組み、拳を床にあわせ、頭を下げた。座礼の体勢である。

 

「………えっ?」

 

「シズさん!十二年前、俺の姉、日向(ヒナタ)姉さんを保護してくれてありがとうございます!!」

 

「姉?と言うとまさか…!?」

 

「俺の前世の名前は時魔(トキマ)聖司(セイジ)、しかしそれは、母が再婚した時の名前です!再婚前の俺の名前は坂口(サカグチ)聖司(セイジ)です!」

 

「………リード君がヒナタの言ってた弟君!!」

 

「えっ?」

 

シズさんが明るい表情で俺に詰め寄る。

シズさん、姉さんから俺のこと聞いてたの?

 

「ヒナタから、何度も聞いたわ!確か、最初に覚えた言葉が『ねーね』だったとか」

 

「ぐほぉ!!」

 

ちょっと姉さん!?何てこと話してるの!

俺はこの後、シズさんが姉さんに聞いた内容で、俺の顔は羞恥にあまり真っ赤になるのだった。




こうして、我が魔王とその友リムル殿はシズさんの体を再構築させ、後は子供達に精霊が馴染むのをリムル殿とシズさんが確認するだけであった。
しかし、そんな我らをよく思わない国が既に動き出していた。

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

冥界にあるとある空間、そこに三角形の机に、青年の姿をした妖精族(ピクシー)と、長髪の金髪で紫のメッシュをした熾天使(セラフィム)、そして悪魔族(デーモン)が座り、中央に置かれてある水晶の映像を見ていた。

「ねえ、あのラミリスの配下になったデーモンって…」

「間違いなく(ノワール)の配下だ」

「これで、あの声が言っていた『一度目の召喚に応じるな』という事がわかったね」

「ええ、でも『次の召喚には、悪魔族(デーモン)だけ応じなさい』ってどういう意味かしら?」

「それは分からぬ、だがその時は俺がお前達を召喚しておいてやる」

「助かるよ、グレイド」

三人は、時が来るのをただ静かに待っていた。

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

ジュラの森で野宿をしているヨウム集団。
そこに大量の魔物の肉を食べる筋骨隆々の大男がいた。

「なあ、ヨウム。魔国連邦(テンペスト)ってところまではあとどれくらいだ?」

「明日には着くよ」

「そうか!」

「というか、もう少しゆっくり食えよシゼン!!」

「そう言うなら、俺よりもっと魔物を多く倒してくれないか」

「なんだと!?」

「シゼン様、ヨウムさん!ここで喧嘩は…」

「そうよ、魔物をここに呼び寄せてしまうわよ」

「………悪いミュウラン」

「すまねぇ、フラメア」

一色触発の空気をエメラルド色の髪をした魔導師(ウィザード)の女性と兎人族(ラビットマン)の女性によって消えていった。

「どんな国なのかね~魔国連邦(テンペスト)ってのは!」

黒と紫が交わっている筋肉質で二メートルの男はまだ見ぬ国に胸が高ぶっていた。
その時、近くにあった丸太を片手で握り潰した。
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