転生したら天魔人だった件   作:通りすがりの気分屋

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我が魔王の友リムル殿は、相棒として我が魔王を励まし慰めることで、二人の絆はさらに強いものとなった。
そして、元クレイマンの配下である、ミュウランをこちら側につけることに成功し、残すところは進行してくるファルムス軍のみとなった。


魔物であれ人間であれ

 

会議室には、町にいた幹部達、人魔混合隊(トライブ)が勢揃いし、俺達を見つめてきた。

 

「皆心配をかけてゴメン」

 

「これより、シオンやゴブゾウ達を復活させる為の会議を行う。その前に俺から皆に伝えたいことがある。俺は魔王になる。以上だ。それじゃあ始めよう」

 

「まず、皆がファルムス王国や人間に対しての意見を聞かせて」

 

みんなの意見は主に、人間にこれからもこれまで通りの対応は出来ないという者が多かった。

確かにその通りだ。今回の件はそれ程みんなを傷つけたことんだから。

しかし、人魔混合隊(トライブ)のみんなや他の者の意見は違った。

ウォズやヨウムに自然(シゼン)義兄(にい)さんやエレン達のような人間もいれば、ファルムス王国のような卑劣な手段を使ってくる人間もいる。

 

「それに俺達魔物も同じではないのか?」

 

「それはどういう意味ですか?」

 

「ゲルミュッドとかが良い前例だろ、ヤツは卑劣な手段で我らの里を滅ぼすように仕向け、危うくリザードマン達も危機に陥らせた。まさしく今のファルムスにそっくりだ」

 

コウホウの言い分に、ゲルミュッドを知る者数名は納得した。しかし、それで片付くはずがない。

結果的に『人間をひとくくりにするのは駄目だ』という意見と『当面は人間との交流を中止すべき』という意見になりつつあった。

みんなが落ち着いたのを見計らうと俺は、リムルにアイコンタクトを送った。

 

「皆、実は聞いてほしい事があるんだ」

 

俺がそう言うと、皆の視線が俺達に集中した。

 

「俺とリードは元人間の転生者だ」

 

大半の者が驚きいていたが、誰も口を挟まなかった。

そこから、俺達は交互に話していった。

リムルが先に向こうの世界で死んで、この世界でスライムとして転生し、それから少しして、俺がこの世界で半天半魔(エンジェデーモン)として転生して、リムル出会い親しくなっていった。

さらに、友と呼べる存在に出会えたが、訳あってそいつはすぐに俺達の目の前から消えたこと。

そしてその後は皆と出会い、今に至ったということだ。

 

「それと、俺から皆に伝えたい事が三つあるんだ」

 

皆の視線が俺だけに集中した。

 

「一つ目。俺は、未来で最低最悪の魔王になっているかもしれない」

 

俺のこの言葉人魔混合隊(トライブ)以外の皆が驚いた顔をしていた。

俺はジオウの力の全てを話した。

そして、俺が最低最悪の魔王になった時に殺す為の部隊として人魔混合隊(トライブ)を作ったことも打ち明けた。

 

「二つ目。俺は今回のファルムス王国の侵攻を知っていた」

 

皆の表情が驚きや戸惑い等の表情になっていったのが分かる。リムルがいれば今回の襲撃は防ぐ事が出来たかもしれない。それなのにファルムス王国の侵攻を教えなかったのだ。不満がないはずがない。その理由はすぐに話した。

 

「理由はいくつかある。一つ目はイングラシアの子供達の気持ちが俺には痛い程よくわかったからだ。だから俺はあの子達の気持ちを優先させた。二つ目はリムル抜きでも、被害を最小限にまで抑える策は考えてた。でもそれは、俺にとっても最も大切な(存在)を失うことになるからだ」

 

この理由に皆は、戸惑いを隠せてはいなかったが、納得していた者も何名かいた。

 

「もちろん、こんな理由で許されないことは分かってる。この件が片付ければどんな罰だって受ける覚悟は出来て「その必要はありませんぬ」…ハクロウ」

 

ハクロウが俺の言葉を遮ると席を立ち、俺に近づいてくると頭を撫でてきた。

 

「リード様、あなたのような方が簡単にシオン達を犠牲にさせるわけがない。さぞお辛かったことでしょう」

 

「だけど、俺は…」

 

「それに、リムル様とリード様がご自分の気持ちを優先させたからといって何の問題はございませんぞ。今回の件はワシ等の弱さが原因なのです。あのような不埒者共に好き放題させてしまったのは、ワシ等の怠慢であろう!違うか皆の衆!!」

 

ハクロウの言葉に皆が頷く、こんな反応が来るなんて思ってもなかった。

追放されても、俺はそれを甘んじて受ける覚悟は出来ていたのに、皆は責める気配すら感じなかった。

本当に、俺はこの世界に来てから出会いに恵まれてるな。

 

「うっうううぅ…」

 

そんな事を考えて現実逃避したかったけど、すぐに現実に引き戻された。

だって良い歳した大人が号泣してるって、それも自分の義兄だとなると現実逃避したくなる。

 

「良かったな~聖司~、こんなに慕われてて。俺は…俺は…」

 

「…あの~リード様さっき程から気になっていたのですが、シゼン殿とはどういう関係で?」

 

リグルが皆を代表として質問してくる。

うん、まあ三つ目の伝えたい事だから問題ないか。

 

「俺が前世は人間だったって言ったよね?」

 

「ええ」

 

「その時の義理の兄の一人」

 

自然義兄さんを指して答えると、リムルとシズさん以外の皆が固まった。

 

「………え?」

 

『『『エェエエエーーーーー!!!』』』

 

皆の声が会議室を揺らす。

この事は人魔混合隊(トライブ)の皆にも黙っていたことだから、こうなるのが普通か。

その後、自然義兄さんが泣き止むまで、皆からの質問攻めが続いた。

フラメアには、自然義兄さんの好きな食べ物や性癖ついて俺の知っていることを事細かく詳しく教えた。

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

「それじゃあ、皆に改めて紹介するね。

前世の俺の義理の兄の一人時魔自然(シゼン・トキマ)義兄(にい)さん」

 

義弟(おとうと)の事、今までありがとうな。俺も魔国連邦(ここ)でお前ら力になってやるよ。それと、みかじゃなくてリムルさんは俺の兄貴分でもあるから何か相談があったら言ってくれ」

 

「!!」

 

自然義兄さんの紹介にエレンが何か反応していたが、俺達はそれに気づいていなかった。

 

「それで旦那達、今後の人間への対応はどうするんだ?」

 

カイジンの問いにリムルが答えた。

 

「皆が言ってくれたように、人間の全てを悪と断ずることは出来ない。それはウォズやシズさん、ヨウムにエレンそして自然達がその証明だ。知ってもらえれば良き隣人になれるのだと、俺はその可能性を信じたい」

 

「だけど、他の皆が言ったように欲深い人間もいる。今の段階で人間と手を結ぶのは時期尚早でもある。侵攻中の連合軍を潰しても、今のままじゃ、また同じことが起きるのは必然。だけど、俺とリムルの両方が人類にとって無視できない存在になれば話は別になる」

 

「成る程、それで『魔王』の箔を利用するのですね。そうすれば、武力を用いた交渉は不可能だと悟らせることができます」

 

「同時に他の魔王の牽制を行っていけば、人類にとっての盾にもなり得る」

 

「そっ、賢い奴らは敵対より共存を選ぶ。そうすれば人類の被害は出ない。敵対するようなら徹底的にブッ潰していく。時間はかかるかもしれないが、その間に友好な関係を築いていく。これが二人の人間への対応だ。そうだろ?聖司、みかじゃなくてリムルさん」

 

「自然義兄さんの言う通り」

 

「あと自然俺の事は別に三上さんって呼んでも構わないぞ」

 

「あ、そうすか?それは助かります。何しろ感覚が抜けきれなくて」

 

自然義兄さんの説明を聞いたカイジンは考える素振りをする。

 

「成る程、それはまた甘い理想論だな___だが嫌いじゃないぜ。旦那達らしくてな。しかし西方聖教会の当たりは強くなるな新しい魔王の誕生となっちゃ、やつら黙っちゃいないだろ」

 

「………だよね」

 

「まあ、向こうが攻めて来るなら俺一人で相手しても問題ないぜ。なんせ俺は日向と互角に戦って、生き延びたからな!!」

 

ちょっと自然義兄さん!なんでそんな情報まで言うのかな!?

カイジン達がちょっと引いてるんだけど!?

 

「し、シゼンの旦那、冗談は…」

 

「コイツの実力は俺とリードが保証する。なんせ時魔家(コイツら)は一対多の戦闘経験も豊富だからな」

 

リムルが言ってる事って、

 

「それって、義兄さん達が通ってた高校の地域とその周りの地域の族や半グレを全部潰したって話?」

 

「そうそう、それ」

 

「確か、一番多くて自然義兄さんの時で百人くらいはいたんだっけ?」

 

「ちょい三上さん、何義弟に余計な事言ってるんすか!?」

 

「事実だろ!何回それで俺に怒られたと思ってるんだよ!」

 

「えっと~、五回くらい?」

 

「全員一人軽く二十回は越えてるわ!」

 

これが、義兄さん達と接してたリムルの姿か、なんか新鮮だな。

 

「差し当たって対処すべき人間は侵攻中の連合軍ですね」

 

「ああ、それは俺とリムルで対処するよ」

 

「え?」

 

「理由を聞いても?」

 

「殺された者達を蘇生させるには、俺とリムルが魔王になることが絶対条件で、侵略者を俺達二人で殲滅する。これは魔王化に必要な儀式(プロセス)なんだ」

 

本当は、リムル一人に人殺しの汚名を着させたくないんだけど、それを言うほど俺は子供じゃない。

 

「しかし、だとしてもお二人で出陣するのは危険すぎでは…」

 

「大丈夫。油断はしないし、徹底的に全力で潰すから」

 

この時、リードの気配がどこか暗く重く、恐ろしい気配を感じたが、それは一瞬だった。

 

「皆には、弱体化の結界の破壊とシオン達の魂の拡散を防ぐ為の新たな結界の用意をお願い」

 

「人選は…」

 

「……………」

 

シゼンはどこか心配そうにリードを見て気づいていた。

シュナの目が何か覚悟は決めた目であったことに

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

出陣前、シゼンは全身のストレッチをしていた。

今のシゼンには必要ない事だが、精神面を落ち着かせるまじない的なものになっている。

 

「シゼン様」

 

「ん?」

 

そこに、リグルやウォズ、コウホウ達人魔混合隊(トライブ)の全員が現れた。

 

「何か用か?」

 

「本当に、征くのですか?我々はあなた様の手を汚させるのは「そう事なら安心しろ」…え?」

 

「人を殺すのは、()()()()()()()()()()()。わかったらすぐに持ち場に行け」

 

「………失礼しました」

 

リグルがそう言うと全員持ち場へ移動した。

 

「シゼン()()

 

「ん?」

 

すると今度はシュナがシゼンのもとに現れた。

 

「なんだシュナ?」

 

「リードさんは今どこに?」

 

「聖司?それなら中央広場の方にいるけど」

 

「ありがとうございます」

 

シュナが礼を言って立ち去ろうとした時、シュナの着物の袖から、かつて感じた感覚を思い出した。

 

(なんだ?!この気配は、まるでギィと会った時のような…いやそれ以上の圧倒的な気配は一体?)

 

しかし、それの気配は一瞬で消えていった。

 

(………まあ今はファルムス軍だな)

 

シゼンは切り替えて、ストレッチの最後を始めた。

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

俺ははシオンの遺体を見ていた。

角は折れ、致命傷があったと思われる箇所は、綺麗に塞がっていた。おそらくシュナが回復薬で治したんだろう。

起きたら、俺を責めるのかな?それともハクロウみたいな事を言うのかな?もし後者なら俺はどんどん我が儘になってしまいそうだ。

姉さんの無事を確認出来ただけでも上等なのに、これ以上何か望んで良いのか?

 

「リードさん」

 

「……シュナ」

 

シュナが何か箱を出し、そこから黒と白の水晶を取り出した。

 

「これは?」

 

「代々オーガの巫女が受け継ぐ物で母からわたくしに受け継がれました。母はわたくしの代で、役目が訪れるそうなのですが、それを見極めるの今代の巫女であるわたくしなのです」

 

「その役目が今と?」

 

「はい」

 

シュナは俺に水晶を渡し、俺はその水晶を『大賢者』で調べてみた。その結果は、

 

『告。解析不能。何十の認識阻害が施されております』

 

ヤバい物という事はすぐにわかった。けど、どう使うのかそれが知れれば問題ない。

 

「シュナ、これの使い方は?」

 

「その水晶は、体内で特定の条件を満たすとその効果を発動させる仕組みになっているようです」

 

「つまり、飲み込めと?」

 

「はい」

 

なんだそんなことか、シュナに渡されたものを断る理由はないし、いつか何かの役にたつなら問題ないか。

俺はそのまま水晶を飲み込んだ。

 

「…どうですか?」

 

「まだ何とも、それじゃあ俺は行くね」

 

「はい。どうかご無事で」

 

俺は翼と羽を広げて、ファルムス軍本軍へ向かった。

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

四方封魔結界(プリズンフィールド)展開基点東

コウホウとベニマルは正面から攻撃するために移動していた。

 

「………ベニマル、怒っているか?」

 

「何をだ?今回の件か?それともリード様の力の事か?」

 

「両方だ」

 

「それなら、答えは否。リード様は力のない国民にまで不安を与えたくなかったから黙っていた、そうだろ?」

 

「………ああ」

 

「だったら怒れないな。それに似たような事ならお前で経験済みだ」

 

「………ベニマル」

 

「行くぞ親友!」

 

「………おう!」

 

ベニマルとコウホウは武器を抜き、戦闘態勢に移った。

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

四方封魔結界(プリズンフィールド)展開基点北

 

「ソウエイさん!ソーカさん!皆さんよろしくお願いします!」

 

コハクとリュウエイ、ゲリオンとその配下であるキッカー達はソウエイ達と合流していた。

するとソーカがコハクを抱き締めた。

 

「そ、ソーカさん?」

 

「辛かったね!よく頑張ったね!これからは私たちも力になるから」

 

「!……はい」

 

この中で一番精神的に幼いコハクにとってこの重圧はどれ程のものだったことか。

ソーカはそんなコハクの気持ちを理解して抱き締め続けた。

 

「リュウエイ、ゲリオン」

 

「うん?」

 

「なんでしょうか?」

 

ソウエイは、リュウエイとゲリオンに煙玉をいくつか渡す。

 

「最終手段としてとっておけ、後でコハクにも渡しておくように」

 

「!はい!」

 

リュウエイはこれはソウエイからの励ましであることをすぐに理解し力強く答えた。

 

「それでは行くぞ」

 

「「「「「は!」」」」」

 

「「「了解です/わかりました/うむ!」」」

 

ソウエイ達は敵に気づかれないように接近していった。

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

四方封魔結界(プリズンフィールド)展開基点南

ホウテンはガビルの部下達から日頃の戦い方を聞き、ベルンはガビルの横に座っていた。

 

「ベルン殿、実践は初めてですか?」

 

「………まあ」

 

「なら我輩が敵を倒すので、ベルン殿は足場を崩した後に退避を「その必要はないよ」………」

 

人魔混合隊(トライブ)に入ったときからもう覚悟は出来てるから」

 

「…そうですか、失礼な事を言って申し訳ない」

 

「いえ」

 

「ガビル、ベルン!そろそろ行くぞ!」

 

「はい!」

 

「うむ!」

 

ガビルはベルンの手を引き、ホウテン達のもとへ向かった。

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

四方封魔結界(プリズンフィールド)展開基点西

一人の人間の兵士が道を見張っていた。

 

「敵影確認!その数……え!?その数七名!?しかもあれは英雄ウォズに爆炎の支配者シズエ・イザワ!?」

 

「リグル、ウォズ、ゴミ掃除は頼むぜ」

 

「「は!」」

 

「ゲルドさん、ゴブタさん、ハクロウお願いします」

 

「「「お任せを!/任せるっす!」」」

 

今この時、魔国連邦(テンペスト)の反撃の時が始まった。




こうして、私たちはファルムスへの反転攻勢に出た。
果たして、シオン君は蘇ることが出来るのか?
それは、お二人次第だ

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

荒れ果てたジュラの大森林にオーマジオウはリードとシュナの先程のやり取りを何度も見直していた。
そして、リードの飲み込んだ水晶を拡大させる。

「………バカな!なんだあれは?私の『知識之王(ラファエル)』でも解析出来なかった!」

オーマジオウは、すぐに『知識之王(ラファエル)』を『世界の本棚』へ接続させ、先程の水晶の事を調べ始めた。
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