そしてなんとその中に我が魔王の五人の義兄の一人にしてリムル殿の弟分である
会議場に戻り、意識が戻ったフューズから抗議の声が上がったが聞き流し、会議が開始された。
まず、俺とリムルが
リムルの帰還の際に姉さんに襲撃され、俺と自然義兄さんが助けにきた事。そして襲撃の際に死亡したシオン達を蘇生させるためにファルムス軍を皆殺しにした事をかいつまんで話した。
ガゼル:「まさか、あの
自然:「言っとくけど、縁護兄貴の方が
自然義兄さんの言葉に皆の視線が縁護義兄さんに集まった。
縁護:「………言っておくが聖司が人間のままこの世界に来ていたら、一年以内で
縁護義兄さんが強引に話題を逸らし、まずは姉さんの情報の整理から始まった。
リード:「リムル、さっきの
リムル:「勘違い?」
(あれ?今ヒナタ『さん』って言った?)
リード:「そう、まずリムルの話を全く聞かなかったのはちゃんと理由がある。レミン頼む」
レミン:「はい」
俺の呼び掛けでレミンが席を立ち、彼女の知っている情報を話し始めた。
レミン:「ルミナス教の教義に"魔物との取引の禁止"という項目があり、おそらくリムル様の話を聞かなかったのもこの教義のせいかと思います」
フューズ:「それと、彼女は自分を頼った者には必ず手を差し伸べているんですよ。その手を握った者は助ける。まあ、助言を聞かなかった者は、二度と相手にしないそうですがね。彼女はかなり理性的なんですよ」
ガゼル:「ふん。流石は情報操作に長けた、ブルムンド王国の
レミンの説明に、フューズとガゼルが賛同するように言い放った。
俺は、姉さんが自分の知る優しいままでいてくれたことに正直嬉しかった。リムルに姉さんを誤解してほしくないからそれが少しでも解消してほしい気持ちもあったがフューズ達の話を聞くととても誇らしく感じる。
リムル:「だけど、各国が行っているという召喚儀式を阻止しないのは一体何故だ。これはどう考えても、国家規模の悪事だろうに…」
ウォズ:「リムル殿、その事については私から良いでしょうか?」
リムル:「なんだウォズ」
ウォズ:「ヒナタ殿は阻止しないのではなく、阻止出来ないのです」
リムル:「どういうことだ?」
ウォズ:「確かに異世界人の召喚は
レミン:「それと、ヒナタ様は何度もファルムス王国等に異世界人召喚をやめるよう言ってたのですが、証拠がなく、内政干渉であると言って聞かなかったのです」
リムル:「成る程な」
よし!これでリムルの姉さんの印象が少しでも変わったのは間違いない。
後はこの流れを利用すれば…
リムル:「まあ、ヒナタが厄介なのは間違いない。せめて会話が成立するなら、敵対しなくて済むように話し合いの機会を設けるんだが…」
ディアブロ:「クフフフフ。では私が出向き、始末して参りましょうか?」
………は?今何て言ったあの
始末?誰を?姉さんを?
もし本気なら、コイツは………殺す
自然:「ちょっと良いかいディアブロ君、日向の実力は戦った俺がよく知ってる。簡単に出来るわけねぇだろ」
シオン:「そうですよ、ディアブロ。貴様如きが出向くくらいなら、私が行って終わらせてきます。ですからリムル様、私に御命令してください!!」
リムルの秘書は話を聞かない点が問題だな、一回軽く捻るか。
自然:「おいお前らいい加減に…!」
リード:「!」
席を立ち、シオンとディアブロに灸を添えるようとしたとき、自然義兄さんと同時に飛び退くと、ディアブロの首筋に神聖魔法を付与した剣を、シオンの腹部に核撃魔法の魔方陣を向けた縁護義兄さんがシオンとディアブロの間に割って入った。
一同:『『『『『!!??』』』』』
縁護:「二人共、三上さんの事を慕ってくれているのはありがたいが、話をしっかり聞いてから判断しろ、いいな?」
シオン、ディアブロ:「「は…はい…」」
二人が頷くと縁護義兄さんが剣を収め、魔方陣を消すと倒れた椅子を立て座った。
グレイド:(ほう、どうやらリード様の
黄奉:(今の動き、少なくとも剣の技術はハクロウと同レベル…是非とも手合わせをしたいものだ)
グレイドは称賛し、コウホウは衝動にかられたがなんとか押し沈める。
リムル:「助かったよ縁護、もう実力は
縁護:「いえ、私など兄上に比べればまだまだです」
リムル:「そっか。取り敢えず、ヒナタ及び西方聖教会については以上だ。相手の出方次第では争う事になるが、慎重に対応して様子を見る事とする」
リード:「リムル、もし西方聖教会と戦うことになったら俺に任せてくれないか?」
リムル:「え、なんで?」
リード:「理由は簡単、俺達の方が小回りが利くし、武術関係はリムルより俺の方が上ということ。あと、ファルムス襲撃の際、
リムル:「成る程な…」
朱菜:(リードさん…)
リードの言葉にシュナは強く拳を握る。リードにとって姉であるヒナタと戦う事はまさに地獄の苦しみとも言ってもいい。それでも、
リムル:「…わかった。じゃあリードに任せる」
リード:「ありがとうリムル」
この決定に縁護の目は何かを決した目をしていた。
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次は、ファルムス王国の問題だ。これは今後の事を考えると最悪人間の国と交流が出来なくなってしまうのは間違いない。
リード:「だから、公に発表する筋書きを変える事にした」
ウォズ:「我が主、それはどういう風な筋書きに変えるつもりですか?」
ウォズが代表で問いかける、西側諸国の事を最も詳しく知るウォズだからこそ、的確な問いかけだな。
俺とリムルは、先程の打ち合わせで決めた内容を皆に話した。
ファルムス軍と俺達の戦争は拮抗し、互いに大量の死者が出た。
そのせいで、この地に流れた大量の血が眠れる邪竜つまりヴェルドラが復活し、ファルムス軍はその復活の生け贄となり消滅。
それを英雄ヨウムと魔王である俺と魔王を目指していたリムルによってヴェルドラの怒りを沈めた事にする。
この筋書きなら、リムルの魔王化に意味を持ち、ファルムス王国に全ての罪を着せ、俺達が正義だと主張することが出来る。
ウォズ:「成る程、確かにお二人が二万の軍を皆殺しにした事をそのまま伝えれば、私達と手を取り合う事は確かに出来ませんね。しかし、ヴェルドラ殿によって全軍"行方不明"になったら、人々は我が主達と敵対する事は避け、手を取り合うが出来ますね」
レミン:「ええ、ヴェルドラ様は正に"天災"。納得しか出来ません…」
ヴェルドラ:「フ……
笑ってるようだけど、このゴタゴタが一区切りついたら、レミンの故郷吹き飛ばした件できっちりお灸を添えるから覚悟してろよ。
ちなみにお仕置きメニューは
エラルド:「私もこの筋書きを支持します。娘のせいで新たな魔王が誕生して恨まれるより、魔王が誕生したお陰で暴風竜と交渉が可能となった。そう広まる方が都合がいい」
エレン:「パパ…それってなんか姑息ぅ」
エラルド:「!!」
シズ:「エレン!エラルドさんはあなたの事を思って言ってるんだよ!」
縁護:「その通り、だから思ってもそれは言ってはいけないことだ!」
エレンの言葉で傷つくエラルド、そんなエラルドをシズさんと縁護義兄さんがフォローする(縁護義兄さんのはフォローになってないと思うけど…)。
リード:「ヴェルドラは良いか?お前に俺達のやったことを擦り付けるが…」
ヴェルドラ:「リードよ、リムルからお前の事は既に聞いている。それに比べればなんという事もない。我はお前達の
リード:「…ありがとうなヴェルドラ」
シズ:「ところでリムルさん、リード君。捕虜の三人はどうするの?その人達が本当の事を話さないとは限らないよ?」
リムル:「…ああ、ファルムス王国には一度滅んでもらう」
リムルのこの言葉に皆に緊張が張りつめる。
エラルド:「ほう、それはまた直接的ですね。戦争を仕掛けるおつもりか」
リード:「ある意味そうだが、軍は用いない」
リムル:「まずは現王を解放し、我が国に賠償を行わせる」
グレイド:「………成る程、そういうことですか」
どうやらグレイドは一番最初に気づいたようだ。
グレイド:「リード様、リムル様、当ててもよろしいでしょうか?」
リード:「かまわない」
リムル:「いいぞ」
グレイド:「ありがとうございます。ファルムスが賠償に応じるとはとても思えません。しかしその賠償問題はあくまで切っ掛けに過ぎず、本当の目的は国内に内乱を起こさせること。そうですね?」
リムル:「正解」
リード:「流石グレイド」
グレイド:「恐れ入ります。………もしや英雄ヨウム殿を利用するつもりですか?」
リムル・リード:「「……………」」
流石は、最初に誕生した原初の悪魔。その場によって適切な考え方が出来てるな。………しっかり手綱は握っておかないとな…
リムル:「その通り、幸い彼は国民からの人気が篤い」
ガゼル:「良かろう。俺としては、その計画自体に異論はない。だがリムル、リードよ、その男、ヨウムが王となる事に関しては別だ」
ガゼルが『英雄覇気』でヨウムを睥睨する。あれは並のヤツじゃ耐えられないだろうけど、ヨウムは歯を食いしばりガゼルを見返した。
ガゼル:「フン…根性だけは大したものよ。だが覚悟はあるのか?」
ヨウム:「…俺を信じて託されたこの役目。やるからには全力でやるさ。惚れた女の前でカッコつけたいのは男として当然だろ?」
ミュウラン:「バカ…」
ヨウムの答えにガゼルは目を丸くし、ミュウランは顔を赤くして小声で愚痴るが満更でもなさそうだ。
自然:「ブハハハ!言うねヨウム!ガゼル王、コイツは馬鹿だが、薄情じゃねぇ。それは魔王リード・テンペストの
ガゼル:「…で、あるか。ならば良い。何かあれば俺を頼るがいい」
ヨウム:「…心強い」
リムル:「さて…この件について他に何かあれば意見を言ってもらいたい」
フューズ:「いいですか?」
リード:「なんだフューズ」
フューズ:「その件、ブルムンドとしても協力出来るかもしれません」
リード:「なんだって」
フューズ:「ファルムス王国のミュラー侯爵というブルムンド王の遠縁に当たる方がいらっしゃいます。彼ならば交渉は可能と思いますので、上手くいけば便宜を図ってもらえるかと」
リムル:「本当か!」
リード:「それは助かる!」
エラルド:「プハハハハ!面白いこれは愉快だ!国を跨いで本音で語り合うなどと!これでは警戒している私の方が滑稽です」
突然エラルドが笑いだし立ち上がると、縁護義兄さんがいつでも剣を抜く体勢に移っていた。
エラルド:「フューズとやら一つ問おう。貴国は何故
フューズ:「それはどういう…」
エラルド:「今の君はブルムンドの公人としてここにいるわけだろう?私はブルムンド王は思惑が知りたいのだよ?」
縁護:「エラルド、何が言いたい?」
エラルドの言葉に縁護義兄さんの機嫌が少し悪くなっていた。兄弟一温厚な性格をした縁護義兄さんを怒らせるのは、少しヤバいぞ。
エラルド:「落ち着いてくれエンゴ、何も君の
縁護:「…そうか」
エラルド:「さて続けよう。失礼だが貴国は大国と言い難い、有益な取引だけ行いつつ、西方聖教会の出方を見ていても良かったのでは?少なくとも国交を結ぶ必要はなかったと思うのだがね」
エラルドの言葉で、フューズの表情は険しくなり髪を掻き毟りって答えた。
フューズ:「ええ、そうですよエラルド公、俺も同じ意見でしたよ。上司にもそう説得しました。俺の知り合いの貴族と一緒にね。ですがね、却下されたんですよ。まあ主な理由がリード殿なのですがね」
リード:「俺?」
いきなり矛先が俺に向かれた。すると
え?なんで?
フューズ:「リード殿がカリュブティスを斬った事はリムル殿から既に聞いていたのですよ!」
成る程、そういうことか。
ウォズの話じゃ、ブルムンドはルミナス教の影響が弱いって聞いた事があるな。多分それも要因だろう。
すると両肩を掴まれた感触を感じると後ろに凄まじいオーラを出した自然義兄さんと縁護義兄さんがいた。
自然:「おい聖司、俺そんな事聞いて無いんだけど」
縁護:「聖司、話せ」
リード:「あ…ああ…」
俺は、カリュブティスの件を正直に話した。
縁護:「まさか聖司、
リードはエンゴのこの言葉で目線を反らすと、シゼンは激しくリードを揺すった。
自然:「この馬鹿!!
リード:「俺かどうか確かめる為に
縁護:「自然!」
自然:「あん時は仕方ねぇだろ!?て言うかさっき縁護兄貴も
縁護:「あれは防衛行動だ!」
リード:「ハリボテの魔方陣を叩き斬っといて何言ってるんだよ…」
リムル:「兄弟喧嘩は後にしろ!」
フューズ:「…とまぁ、リード殿の逆鱗に触れて国が滅ぶより国交を結んで友好関係を築く事が得策というのが上層部の判断でした」
ウォズの報告じゃブルムンドの上層部はかなりの曲者だって聞いてたけど、どうやら間違いないみたいだな。
フューズ:「結果としてこの選択は正解でした。ブルムンドはルミナス教への信心が薄い、命運を賭けるなら西方聖教会ではなく魔物の主達を信じよう…と、ま、それが理由です」
エラルド:「…成る程、つまり生存戦略として西方聖教会ではなく
縁護:「エラルド、いくら魔物の国との国交に対しての決断が難しいと言えど、私の
エラルド:「すまなかったなエンゴ、だけど大国の公爵としては、それだけでは決断の材料は足りないのだよ」
縁護:「…それで、決断は?」
エラルド:「それを答える前にリムル殿とリード殿にひとつ伺いたい」
エレン:「ちょっとパパ!勿体ぶらずにさっさと答えてよ!」
縁護:「エレン、少し静かにしような。エラルドはお前の前で少しカッコつけたいんだ」
シズ:「それフォローじゃないよね?」
エレンの言葉によって緊迫した雰囲気は木っ端微塵に粉砕され、縁護義兄さんのフォローにみせたトドメの言葉にシズさんがツッコム。
…少し雰囲気を出してやるか
リムルとアイコンタクトをとって頷き合い、俺は前世でよく使っていた雰囲気を出した。
リムルは『魔王覇気』を出して雰囲気を出した。
リムル:「…それでなんだって?」
リード:「聞こうか、エラルド」
エラルド:(魔王覇気…!成る程これは凄まじい…リード殿は縁護の義弟である分、縁護以上の威圧感はあるな)
エラルドはリムルの魔王覇気に驚き、リードの威圧感に舌を巻いていた。
エラルド:「…では問おう魔王リムル、魔王リードよ。貴殿は魔王としてその力をどう扱うおつもりなのか?」
リムル:「…なんだそんなことか」
リード:「そんなの決まってる」
リムル:「俺は俺が望むままに、暮らしやすい世界を創りたい。出来るだけ皆が笑って暮らせる、豊かな国を」
リード:「俺は人間も魔物も関係のない世界にしたい。種族としての差別を減らし、どんな種族も関係のない、幸せな国を」
リードのこの言葉がどこか寂しく聞こえたのは、自然と縁護、シズにシュナの四人だけだった。
リムル:「ま、そんな簡単にいかないだろうけど」
エラルド:「そ、そんな夢物語のようなことを、本気で実現出来るとでも!?」
リード:「その為の力だ。力なき理想は戯言で、理想なき力はただただ虚しい。俺は
そう、いくら強くなっても、自身が最も欲しいものを得られなければ、心の飢えを無くすことは決してない。
ましてや、それが二度と戻らなければ、その渇きは満たされる事はない。それなら別のもので満たすしかない。
これくらいの理想を掲げないと、
エラルド:「は、ははは、ははははは!これは愉快ですな魔王リムル、魔王リードよ!
エラルドがそう言い頭を下げると従者の者達も頭を下げた。
エラルド:「失礼しました。魔王リムル、魔王リードよ、私は魔導王朝サリオンよりの使者として貴国………ジュラ・テンペスト連邦国との国交樹立を希望いたします」
リムル:「その話、是非ともお受けしたい」
リード:「こちらからも、良き関係を築きたいと思っていた」
今ここに、ドワルゴン、ブルムンドに続き魔導王朝サリオンとの国交が樹立された。
こうして、ファルムス王国滅亡の段取りが決まり、あの魔導王朝サリオンと国交樹立が成立された。
現状、残った問題は魔王クレイマンとなった。
⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫
ティアノ:「ねぇグレイド、魔導王朝サリオンって?」
グレイド:「シルビアの娘が作った国だ」
ティアノ:「えっ!?シルビアちゃん子供出来てたの!?」
グレイド:「ああ、あの
ダイロス:「本当に数千年の時の変化は凄まじいね………っ!」
グレイド:「どうしたダイロス?」
ダイロス:「………あの人がこっちに来てる…」
ティアノ:「えっ!?ラミリス様が!?」
ダイロス:「ああーー!!会いたくない!」
グレイド:「諦めろダイロス」
ダイロスはラミリスの気配を感じた方角を憂鬱そうに見ていた。