転生したら天魔人だった件   作:通りすがりの気分屋

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ラミリス様の知らせにより魔王クレイマンが魔王達の宴(ワルプルギス)の発動と軍事行動の知らせを聞き、我が魔王がクレイマンを叩き潰すための行動に移った。


魔王達の宴(ワルプルギス)に向けて

ガゼル王達を旅館に案内し、俺たちは会議室でソウエイからの報告を聞いていた。

 

リード:「三万の軍勢が現在忘れられた竜の都に滞在中か」

 

龍影:「……ッ!」

 

虎白:「リュウエイ…」

 

ソウエイからの報告をきいたリュウエイの表情が怒りに満ちていた。

無理もない。忘れられた竜の都はリュウエイの故郷だ。そこに今回の元凶であるクレイマンの軍勢がその地にいると考えるだけで、怒らない方がおかしい。

 

黄奉:「落ち着けリュウエイ、クレイマンがお前の故郷に何をするとは思えん」

 

龍影:「…!申し訳ありません」

 

コウホウの注意にリュウエイの表情が和らぐとコハクの頭を撫で始めた。

 

龍影:「大丈夫だコハク、心配してくれてありがとう」

 

虎白:「うん!クレイマン軍を倒したらリュウエイ故郷案内して!」

 

龍影:「…ああ」

 

二人のいつものやり取り(イチャイチャ)が始まるが、それを良く思っていない者が一人。

 

スフィア:「ぐぬぬぬ…」

 

フォビオ:「スフィア抑えろ」

 

アルビス:「そうよ、コハクちゃんに嫌われてもいいの?」

 

ドルン:「姉なら妹の幸せを祈るべきだろ」

 

二人の仲を認めていないらしいスフィアが、凄まじい歯ぎしりをしながらリュウエイを睨み、目線だけで離れろと言っているのがよくわかる。

…もし姉さんに彼氏が出来たら冷静にいられるか?………ダメだ相手を半殺しにしたい衝動がきてしまうな…

 

リムル:「ソウエイ、軍を率いているのはクレイマン本人か?」

 

蒼影:「いえ、軍を率いているのはクレイマンでありません」

 

リード:「じゃあ、五本指の誰かか」

 

蒼影:「おそらく、クレイマン軍の中でとりわけ魔素(エネルギー)量が大きいものが二人。おそらくこの二人のどちらかが指揮官です」

 

ソウエイの『思念伝達』により、指揮官と思われる者が移りだされたそれは氷のようね剣を背負った男とベージュ色の髪をした褐色のエルフの男だった。

 

ミュウラン:「剣を背負っているのが現五本指筆頭、中指のヤムザで、エルフの方は元五本指筆頭だった親指(しんし)のノベクさんです」

 

リード:「どういうヤツらなんだ?」

 

ミュウラン:「ヤムザはクレイマンに自ら忠誠を誓い、氷結の力を宿した魔剣を与えられた悪徳を極めた下種です。ノベクさんはクレイマン配下の中では一番の古株で黒妖耳長族(ダークエルフ)風精人(ハイエルフ)のハーフです。私とヤムザはお互い折り合いが合いませんでしたが、ノベクさんに対しては尊敬していました」

 

自然(シゼン):「…ミュウラン、さっき『元』五本指筆頭って言ってたけど、それはヤムザの方が強くなったってことか?」

 

ミュウラン:「そんなわけないでしょう!ヤムザだって、何でノベクさんが五本指筆頭の地位を捨てたのか知りたい程なのよ!」

 

フラメア:「そんなに強いのですか?」

 

ミュウラン:「ええ、だけど数十年前に、突然五本指筆頭の地位を返上して今では専属鍛冶師になっているわ」

 

リード:「………」

 

どうやらノベクという奴は相当鋭い勘の持ち主みたいだな。

 

リード:「ミュウラン、残りの五本指の情報も教えてくれないか?」

 

ミュウラン:「はい、残りの五本指の名前は示指のアダルマンと母指の九頭獣(ナインヘッド)です」

 

ギドラ:「!?」

 

突然ギドラが俺の影から飛び出し、ミュウランに迫った。

 

ギドラ:「ミュウラン…今…九頭獣(ナインヘッド)って…言ったのか?」

 

ミュウラン:「え…ええ…」

 

ギドラ:「そうか!」

 

リード:「!ゲリオン、ドライガン、スコード取り押さえろ!」

 

ゲリオン・ドライガン・スコード:『ハッ!』

 

血走った目で問いかけるギドラに、気圧されながらミュウランが答えると、ギドラがクレイマンの支配領域に向かおうとする。

しかし、俺がいち早くゲリオン達に指示を送り、ギドラを取り押さえる。

 

ギドラ:「離せゲリオン!やっとだ、やっと居場所を突き止めたんだ!行かせてくれ!」

 

リード:「ギドラ」

 

ギドラ:「リード様…」

 

リード:「どういう事か説明しろ」

 

ギドラ:「………実は」

 

ギドラの話によると、ギドラが二十年間探し続けた妹分が、母指の九頭獣(ナインヘッド)だそうだ。

九頭獣(ナインヘッド)は、まだ幼い子供でクレイマンに無理矢理配下にされている可能性が高いということがわかった。

 

リード:(まぁ、気持ちはわかるが今の精神状態のギドラを行かせるワケにはいかないな)

「ギドラ、ごめんな」

 

ギドラ:「?何を…」

 

大停電(ブラックアウト)

 

時空之王(ジオウ)』で、ギドラの意識を奪うとヴェルドラのお仕置き用に作っておいた魔素の流れを止める鎖で縛った。

今のギドラにクレイマンの精神支配が通じるとは思えないが、ここまで冷静さを失っていると危険すぎる。

 

縁護(エンゴ):「………ところで聖司(セイジ)、本気なのか?魔王達の宴(ワルプルギス)に乗り込むというのは?」

 

縁護義兄(にい)さんが心配そうに聞いてくる。自然義兄(にい)さんも心配そうにこちらを見ている。

 

リード:「大丈夫だ。ラミリスがリムルの参加出来るように掛け合ってくれたし、付き添いも大丈夫だから、何も俺一人で行く訳じゃないだろ?」

 

そう、リムルが魔王達の宴(ワルプルギス)に参加出来るようラミリスに頼み、無事に参加が認めらた。

その上、二人までなら付き添いを連れて来ていいようだ。

 

縁護:「それはそうだが…」

 

自然:「…人選は決まってるのか?」

 

リード:「もちろん」

 

リムル:「誰なんだ?」

 

リード:「自然義兄さんとホウテン」

 

自然:「ヨッシャッ!」

 

鳳天:「エッ!?」

 

縁護:「…ッ!」

 

自然義兄さんは喜び、縁護義兄さんはショックを受け、ホウテンは驚いていた。

 

鳳天:「ちょっと待ってください!リード様なぜオレなんですか?!」

 

リムル:「確かに縁護がいいだろう?」

 

リード:「………人魔混合隊(トライブ)の中で、ホウテンより魔王の知識が豊富だっていう自信があるヤツ手をあげろ」

 

俺の質問に、グレイド以外誰も手が上がらなかった。

 

鳳天:「…っ!」

 

どうやらホウテンはすぐに理解したみたいだな、リムルも『智恵之王(ラファエル)』で答えを聞いてるだろうな。

グレイドはファルムス攻略のため魔王達の宴(ワルプルギス)の参加は不可能。

とすれば、グレイドの次に魔王の知識があるホウテンは必要不可欠だ。

さらに自然義兄さんの究極能力(アルティメットスキル)破壊之神(シヴァ)』に『絶対破壊』の権限がある。

これは対象そのものを破壊、つまり消滅させる事が出来る。これがあればクレイマンの精神支配の魔法を破壊する事が出来るから。

クレイマンの()()()()から推測すると、おそらく自然義兄さんを人間だからと軽視して先に精神支配をしようとする。そして、それが失敗すればクレイマンにとっては屈辱だ。成功するために何度も精神支配をしようとしてくるはずだ。

 

リード:「以上の理由が二人を選んだ理由だ」

 

リムル:「確かに、それならその組み合わせだな」

 

縁護:「…そういう理由なら私も今回は引こう」

 

鳳天:(引かないでくださいエンゴ様!このままじゃオレの今までの努力が…!)

 

リードの説明に反論出来る箇所が見当たらず、縁護が納得してしまった事で、ホウテンの魔王達の宴(ワルプルギス)の参加は確定してしまった事で、ホウテンは項垂れた。

 

リード:「リムルは誰を連れて行くんだ?」

 

リムル:「俺は、ランガとシズさんだ?」

 

リード・自然・縁護:『………は?』

 

リムルの付き添いにシズの名前が出てきた事で、場の空気が凍ったのをリムル以外全員感じていた。

 

リード:「リムル、気は確かか?」

 

自然:「シズさんに最低な事をしたあのクソレオンが来るかもしれないんすよ?」

 

縁護:「私たちは反対です」

 

リムル:「お、落ち着け!これはシズさんが決めた事なんだ!!」

 

リード:「なんだと?」

 

俺達はリムルからシズさんに視線を変えると、シズさんは頷いた。

 

シズ:「私からリムルさんに頼んだの。だから大丈夫」

 

リード:「だけどもしシズさんに何かあったら…」

 

シズ:「その心配はないわ。祝福(ギフト)でこれを獲得したの」

 

シズさんが目を閉じて魔素を腰と手に集中させると、目を疑う物が出現した。

 

リード:「ジクウドライバー!?」

 

自然:「おい…これって…」

 

縁護:「ツクヨミウォッチ…」

 

リード:「………」

 

シズ:「…ダメかな?」

 

………これは仕方ないな。

それに俺もこの世界でいろいろやらかしてるし、それに比べれば、全然小さな事だな。

 

リード:「わかりました。俺ももう反対する理由がありません」

 

シズ:「ありがとうリード君」

 

自然:「まっ、聖司がそう言うなら…」

 

縁護:「私たちも反対する理由がありません」

 

リード:「けどリムル、よくシオンが許したな」

 

リムル:「ウォズがシオンを説得してくれたんだよ」

 

なるほど、だからウォズだけ凄まじく疲れているように見えたのか……疲労回復のツボ押しておくか。

 

黄奉:「………ソウエイ」

 

蒼影:「ん?」

 

黄奉:「クレイマン軍は三万だったな?」

 

蒼影:「そうだが」

 

紅丸:「何か気になる事でもあるのか?」

 

黄奉:「まあな」

(クレイマンがいかに傲慢な男でも、三万は少なすぎる。我ら魔国連邦(テンペスト)とユーラザニアの連合軍なら余裕で勝てる)

 

コウホウはソウエイからの報告に僅かな違和感を感じていた。地形、進行速度、戦力、()()()()()()()で戦うなら、まず自分たちが負けることはあり得ない確信をしていた。しかしそれはクレイマンだってそう考えるはずだ。

コウホウのこのホウテンの情報から得たクレイマン像は、的確なものだった。

 

黄奉:(ちょっと待て、そういえばユーラザニアは確か………っ!?)

 

コウホウがクレイマンの狙いに気づくと床を大きくへこませるほど殴った。

 

黄奉:「クソっ!だとしたらこの戦力で十分ではないか!!」

 

リード:「コウホウ、どうした?」

 

黄奉:「リード様!今すぐ飛将隊の出撃許可をください!」

 

紅丸:「何かわかったのか?」

 

黄奉:「クレイマンの狙いは魔国連邦(テンペスト)ではない!獣王国ユーラザニアだ!」

 

全員:『『『!!』』』

 

そうか!

ユーラザニアには労働力として人間の集落が多い上に、ユーラザニアの主力戦力は今この魔国連邦(テンペスト)に避難してるからユーラザニアの兵士の強さはそこまでない。質で勝てても数で潰される。

ユーラザニアの命を全て刈り取って『真なる魔王』に覚醒する事だって可能だ。

 

紅丸:「だが、いかに飛将隊の起動力でも、今からクレイマン軍を止めるのは…」

 

黄奉:「コハクの故郷がどうなってもいいと言うのか!?」

 

紅丸:「そこまでは言ってない!」

 

クソ!完全に後手に回った!

 

ティアノ:「あのう~」

 

リムル:「どうしたティアノ?」

 

ティアノ:「私と私の配下一万なら、数時間足らずででこの魔国連邦(テンペスト)にある全戦力をユーラザニアに送る事は可能ですよ」

 

リード:「………なに?」

 

グレイド:「本当ですよ。ティアノの配下は一人で十人まで安全で確実に転移魔法で送ることが可能です。ちなみティアノ一人でも千人の軍勢を送る事は出来ますよ」

 

ダイロス:「僕の配下である妖人族(ピクシーノイド)千人なら一人五人までなら、因み僕は五百人までです」

 

グレイド:「俺も配下の上位悪魔(グレーターデーモン)千人います。一人二十人までなら可能です。因み俺は二千人までです」

 

………つまり合計で最大十二万七千五百の軍を送る事が出来るのか!?

 

グレイド:「まっ、神器と本来の力が戻ればその倍近くの数は可能ですけど…」

 

…今グレイドが何かすごい事を言っていたが、聞き流すか。

 

リムル:「だけどこれでクレイマン軍の心配はなくなったな」

 

リード:「ああ!コウホウ、ベニマルは魔国連邦(テンペスト)の全戦力の把握を頼む。俺は義兄さん達の()()()()を完成させる」

 

自然:「頼むぜ聖司」

 

縁護:「無理はするなよ」

 

リード:「今は無茶をしないといけないだろ」

 

俺は急いで自室に戻り、例のモノを完成させる作業に取りかかった。

その時、オーズウォッチが縁護義兄さんのもとに飛んで行っていた事に俺は気づいていなかった。

 

自然:「………あの、三上さん…」

 

リムル:「ん?」

 

自然:「…聖司と会ってからの二年間、教えてくれませんか?」

 

縁護:「私達は今のあの子について詳しく知りたいんです」

 

リムル:「…わかった」

 

リムルは、縁護と自然に今までの二年間で盛り上がり、明け方までそれが続いた。




こうして、刻一刻とクレイマンとの決戦の時が近づいていた。
しかし、我々が既にクレイマンより先の手をうっていたのは確実であった。

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

ティアノ:「あれ?グレイド出掛けるの?」

グレイド:「ああ、少しもう一人の弟分と妹分に会いに行ってくる」

ダイロス:「あっ!ついでに神器と彼らの事聞いてきて」

グレイド:「そのつもりだ」

軍服に着替えたグレイドは、北の方角へ飛んでいった。
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