我が魔王達のクレイマンに対する準備が着々と進んでいるなか、グレイドが氷土の大陸に向かっていた。
上空を移動する四体の
グレイド:「良いか、目的は戦闘ではない。決してこちらから仕掛けるなよ」
ストリウス:「もちろんです」
ズオス:「だけど向こうから仕掛けれきたら良いですよね?」
レジエル:「正当防衛ということで」
グレイド:「…アイツらが仕掛けてきたらな」
グレイド:(ギィなら俺達の神器の所在を知っている可能性があるだろうし、アイツら十人を封印するにはヴェルザード様の力が必要不可欠。なんとか返してもらわないとな)
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ズオス:「相変わらず、雑草一本もない氷の世界だな」
レジエル:「無駄口をたたくな。我々は一日しかここにいられないのだぞ!」
グレイド:「一日もいるつもりはないが…」
ストリウス:「そうですね……見えてきましたよ」
小さな命が存在しない極寒の地、生き残れるのは力ある強き種族のみ、しかし彼らにとってここで活動するのは、人間でいうところの四季の変化程度の些細な事であった。
巨大な氷の城につくと大量の
グレイド達が歩きだすと、モーゼのように道が開けていく。
ズオス:「変わらねぇなここも」
レジエル:「確かに数千年前と見た目は変わっていないな」
城の廊下を我が家のように歩き続けるなか、四人は昔を思い出しながら玉座に続く巨大な門の前に到着する。
すると、門が開きそこからメイド服をきた緑色の髪と青色の髪を二人の女性がグレイドに抱きついてきた。
グレイド:「…久し振りだなミザリー、レイン」
ミザリー:「グレイド兄さま…」
レイン:「グレイド兄…」
グレイドは優しい笑みで抱きついてきた妹分である
その光景をギィはどこか羨ましそうに見ていた。
数分経つと、ミザリーとレインがグレイドから離れギィの後ろに控えた。
ギィ:「久し振りだな。グレイドの兄貴」
グレイド:「ギィ、突然来てすまないな」
ギィ:「いや、あんたの訪問はいきなりでも大歓迎だ…ここじゃなんだ入ってくれ」
ギィに案内されグレイド達は部屋に入ると、門は大きな音を立てて閉ざされた。
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レオン:(まさか、あのギィが戦いを避ける程の悪魔、
レオンは突然現れたギィに案内されて入ってきた
上位の悪魔を使役出来る『人間』、これがレオンの最初の印象だった。
そんなグレイドはレオンの支配領域の事情を知っていたようで、自己紹介を済ませると頭を下げてきた。
グレイド:「魔王レオン・クロムウェル殿、いつも
レオン:「あ…いや…」
グレイド:「なにぶんアイツはエネルギーが有り余っている上に、
レオン:「そ…そうなのか…?」
グレイド:「こちらもなんとかするのでもう少しだけ待っていただきたい」
レオン:「あ…ああ、ではギィ、
(これ程常識のある悪魔がいるとは…すごく話しやすいな…)
ギィ:「ああ」
レオンは、ギィ達に心情を悟られないよう『空間移動』で自身の支配領域に戻っていった。
そしてレオンが座っていた椅子に座り、ストリウス、レジエル、ズオスが後ろに控えた。
グレイド:「さてギィ、俺がここに来た理由、言わずともわかっているな?」
ギィ:「もちろんだ。ミザリー、レイン今すぐ兄貴の神器を持ってこい」
ミザリー・レイン:「「はい」」
グレイド:「それとまだあるんだが、いいか?」
ギィ:「なんだグレイドの兄貴」
グレイド:「
ミザリーとレインがグレイドの神器を取りに部屋を出ると、グレイドはギィに別の事を頼み、尋ねた。
ギィ:「………ダイロスの神器の所在は知らん。ティアノの神器は天星宮のアイツらが管理しているかもな」
グレイド:「ということは
ギィ:「それと、聖剣鬼衆の解放は無理だ」
グレイド:「………何故だ?」
ギィ:「
グレイド:「…そうか」
ミザリー・レイン:「「グレイド兄/兄さま、お持ちしました」」
グレイド:「おお!すまないなミザリー、レイン」
グレイドは持ってきた
グレイド:「おお…懐かしき我が神器よ…」
ギィ:「…兄貴、俺から聞きたい事がある」
グレイド:「………なんだ?」
ギィ:「アイツはどれくらい
グレイド:「………質ならもうあの時と同等だが、
ギィ:「そうか」
グレイド:「それじゃあ、俺達はもう帰るぞ」
ギィ:「…ああ」
グレイド:「…あっ!忘れてた」
用事を済ませ、帰ろうとしたグレイドが振り返るとギィの前に立った。
ギィ:「兄貴?」
グレイド:「お前だけ仲間外れにするわけにはいかないだろ?」
グレイドは優しくギィの頭に手を置くと、撫で始めた。
ギィ:「おい兄貴!」
グレイド:「すまなかったな。辛い時に一緒にいてやれなくて…」
ギィ:「!………」
最初は抵抗していたギィもグレイドの言葉で大人しくなり、そのまま数分間頭を撫でられた。
そして、ゆっくりとグレイドの手はギィの頭から離れていった。
グレイド:「それじゃあ今度こそ帰るぞ。今度は
グレイドはストリウス達を連れてディアブロ達と合流するために、ギィの城から飛び去っていく。
それを見送ったギィ、ミザリー、レインは少し寂しそうな様子だったのを、陰でコッソリ見ていたヴェルザードが見ていた。
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俺は、
リード:「ああ、これが二人のサポートアイテム」
俺は完成した
リード:「そっ、名付けて『
自然:「どういう効果があるんだ?」
リード:「自分の魔素を少し消費するけど無詠唱で神聖魔法や核撃魔法とかが使える」
縁護:「………自然、聖司が今さらっとスゴイこと言ったように聞こえたのだが、幻聴か?」
自然:「俺もそう願いたいけど、どうやら本当らしいぜ」
自然が腕輪を着けると、肉体に同化するようの消えていき手首に混沌のような細いアザが出てきた。
そして仮面ライダークウガマイティフォームに変身し中段突きの体勢に、自身の魔素を腕輪に込めると右手に輝く粒子が集中していくのが見てわかった。
そして、そのエネルギーを遠くの岩に目掛けて放った。
凄まじい速度で輝く粒子が岩を跡形もなく吹き飛ばす。
そのあまりの威力に、後ろの樹木も上半分が消滅していた。
その破壊力に縁護はもちろん、放った自然自身も絶句していた。
自然:「………っ!」
縁護:「………聖司」
リード:「………はい」
縁護:「他にどんな機能があるのか言いなさい!」
リード:「はい!」
俺は、この
まず、基本として『詠唱破棄』。
次に『威力増大』、一の消費量でその十倍の威力にまで跳ね上がる。
さらに『聖霊武装』を少し俺なりに改造した『聖魔武装』(聖霊武装は何故か作り方が頭に浮かんだのだが、これは秘密にしておこう…)、これはどういうわけか、義兄さん達の強化フォームに変身するためのエネルギーに変換された。
そして『空間収納』。上限は、大会議室程の量を収納することが出来る。
最後に『魔素回復』。時間はかかるが戦闘中でも魔素が回復する。二十分で一割程回復するペースだ。
それを言うと自然義兄さんと縁護義兄さんが強く肩を握ってきた。
縁護・自然:「「((絶対/ぜってー))に量産するんじゃ((ない/ねー))ぞ!!」」
リード:「わかってるよ!ていうか多分義兄さん達くらいの実力じゃないと扱えないから!!」
そうこの
この三つの条件が重なった人間だけが、実戦で使いこなせるようになる
もし、この三つも条件が満たしていないと使用後の反動で凄まじい負荷が襲ってくる。一つでも満たしていないと即死する可能性があるので、量産するためのメリットが少なすぎる。
だから、量産しても意味がないんだ。
けど義兄さん達レベルなら問題無く使うことが出来るから問題ない。
リード:「それじゃあ俺は私用があるからこれで」
自然:「私用?」
縁護:「何かあるのか」
リード:「義兄さん達には関係無いから、あと覗いてたりついて来たらアレでしばくからな」
縁護・自然:「「わかった!」」
義兄さん達に釘を刺した俺はシュナのもとへ向かった。
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リード:「シュナ、少しいいか?」
朱菜:「リードさん?大丈夫ですよ」
シュナの部屋に入ると、シュナは既に準備を完全に終えていた。
リード:「やっぱり行くんだな…」
朱菜:「もちろんです!皆さんが戦うのにわたくしだけ待つつもりはありません!」
ベニマルが
最初はハクロウとソウエイが行くことになっていたのだが、シュナが同行すると言い出した。
もちろん反対はしようとした、だけど…
シュナ:『リードさんの隣に立つ女として、これくらいさせてください!』
あんな目で見られたら、断れるワケがない。
条件付きで出撃の許可を出した。
それは、レミン、ギドラ、ティアノ、ウォズそして縁護義兄さんを同行させることだ。
姉さんを目の前で失って、今度はシュナまで失ったらって思うとあの時の恐怖や絶望がよみがえる。
本当は俺一人で行けば良いのだろうがそうもいかない。それにクレイマンの拠点を落とすとベニマルが言った時、縁護義兄さんを行かせることは既に決めていたから問題ない。
縁護義兄さんならどんな状況でも
だけど、心配がないと言えば嘘だ。
リード:「シュナ」
朱菜:「なんですか?」
リード:「これを受け取って欲しい」
リードは小さな箱を開けると、白と黒の宝石と魔鉱塊を混ぜ合わせた魔宝石の指輪があった。
朱菜:「リードさん……これって…」
リード:「本当はあの時渡したかったけど、余計な邪魔が入っただろ」
朱菜:「………っ!」
リード:「…受け取ってくれるか?」
朱菜:「…はい!」
シュナが泣きながら、答えると俺はシュナの左手の薬指に指輪を嵌めた。
リード:「何かあったらこの指輪を俺と思って欲しい。そして、必ず生きて帰って来てくれ」
俺はシュナの肩に頭を乗せ、言いたい事を全て言った。
僅かに体が震えているのが分かる。本当に肝心な時の情けないな。
そんな俺を、シュナは抱きしめた。
朱菜:「もちろんです。必ず生きて帰ってきます。だからリードさんも帰ってきてください」
リード:「………ごめんなシュナ。こんな自分勝手な我が儘を言って…」
シュナ:「そんなことありません。いつも誰かの為の我が儘を言うリードさんが、自身の為の我が儘が聞けてわたくしは嬉しいです」
そんなに俺は自己犠牲が酷いか?
そう思うと、心当たりがありすぎて納得してしまう。
本当にシュナは、リグル以上に俺の事を見ていていてくれてるんだな。
リード:「シュナ、もう少しだけこのままにさせて」
朱菜:「はい」
そのまましばらくの間、俺とシュナはお互いを抱き合った。
明日はいよいよ
いよいよ、
私の役目は何があってもシュナ様を守る事。
その為なら、どんな手段だって使おう。
我が魔王の心が絶望に染まらない為に…