コウホウやベニマル達ははクレイマン軍を叩き潰すために、かつてのゲルドの故郷オービックの跡地へ。
私達はクレイマンの拠点を落とす事とシュナ様を守るために縁護様と共に傀儡国ジスターヴへ。
そして我が魔王は、迎えの者が来るまで待機していた。
リムル:「たった一年であの
リムルは、自然から前世のリードの話を聞いており、たった一年で当時兄弟最強の煉武と互角の強さにまであったことに驚いていた。
リムル:「あれ?じゃあなんで交通事故なんかにあったんだ?煉武並の実力があったのに」
自然:「…本当にアイツは何も話してなかったんですね」
リムル:「?」
自然:「三上さんは俺達の親父が時魔家第四十九代目当主だったのは知ってますよね?」
リムル:「ああ、けど四年前に亡くなっただろ?あの時は葬式に行けなくてごめ…まさか…」
自然の言葉からリムルの頭にある予感が浮かんだ。
それを見た自然は頷いた。
自然:「お察しの通り。
リムル:「まじか…」
(そういえば、アイツ書類整理の速度が異常なまでに早かったな)
自然:「政府上層部はそれが気に入らず、聖司に無茶な仕事を与え続けました。もちろん俺達はやめるように言いましたけど…」
リムル:「聞き入れなかったと」
自然:「はい。それが二年も続き、疲労が溜まり過ぎて本来の動きが出来なかったんだと、
リムル:「………そうか」
自分達がもっとしっかりしてればリードはあの時死ぬ事はなかった。
そんな思いを二年間も感じてたんだな。
自然:「だから今の聖司があんなに生き生きしていたのは兄として嬉しいことです」
リムル:「…よかったな」
自然:「はい…」
リード:「リムル、自然義兄さんただいま」
そんな話をしているとリードが戻ってきた。………返り血を浴びて…
自然:「おかえり」
リムル:「………ヴェルドラは?」
リード:「知らん」
実はリードはヴェルドラに
ラミリスとホウテンそしてヴェルドラから他の魔王の事を聞いて、その魔王の中にかつてヴェルドラが
ヴェルドラ:『名はなんと言ったかな……。確か、ル、ルルス?いやミルスだったかな?』
リード:『
ヴェルドラ:『おお!そうだルミナスだ!』
ヴェルドラがそう答えるとリードが渾身の回し蹴りがヴェルドラの頭部に直撃し吹き飛ばされた。
ヴェルドラ:『な、何をするリード!!』
リムル:『おいリードどうした!?』
シズ:『リード君!?』
光の矢が、俺、自然、シズさん、ラミリス、ランガ、ダイロス、トレイニーさん、トライアさん、ベレッタの順で理由が伝わった。
レミンがそのルミナスの姪でヴェルドラのせいで、家族と離れ離れになってしまったそうだ。
それはリードがキレるワケだ。
リード:『というわけで、邪魔するなよ』
リードが『万能空間』からヴェルドラのお仕置用に作った三節棍を取り出した。
そして、目が笑っていない笑みでヴェルドラを捉えると、ヴェルドラが一目散に逃げ、リードがそれを追いかけた。
リード:『待てこの暴れトカゲ!』
ヴェルドラ:『ぎぃやあああああーーー!!』
逃げるヴェルドラを三節棍を振り回してリードが追いかけていった。これが、十分程前の話だ。
自然曰く、あの時のリードの怒りはレベル6らしい。
怒りの表情がレベル1、無表情がレベル2、目が笑っていない笑みがレベル3、それに武器が加わればレベルは今の三つにレベルプラス3されるようだ。
自然曰く、レベル4から逆らわない方がいいらしい。以前
レベル4以上の怒りのリードの邪魔をするなら、安心して明日の朝日が拝めるかわからないため、レベル4以上の時はリードに絶対に逆らわないのが時魔兄弟の中で暗黙の了解になったそうだ。
リードが戻って数分経つとボロボロの姿になったヴェルドラが帰ってきた。
ヴェルドラ:「し、死ぬかと思った…」
リード:「殺す気でやったからな」
優雅にコーヒーを飲むリードを見ていると、本当にあの煉武と互角なんだったんだなと納得してしまう。
自然:「何でシメたんだ?」
リード:「
自然:「おい!」
リード:「大丈夫、魔素はそんなに減ってないから」
リムル:「当たり前だ。今のお前の
リード:「………え?」
自然:「マジすか?」
リムル:「気づいてなかったのかよ!!」
忙しかったとは言え、調べるくらいは出来ただろう。
………いやよく考えたらリードが休んでた日はウォズの報告じゃ、二週間に一度程度だったな…
クレイマンの件が片付いたら、最低でも一ヶ月は休ませるか。
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リムルに指摘されて、自身の
俺はてっきりリムルと同じくらいと思っていたが、この魔素量は明らかに異常だ。
ダイロス:「リード様はどうやら
リムル:「両方の特性?」
ダイロス:「
リード:(そう言えば、リュウエイもティアノの事が異常な存在のように言ってたな)
アレはそういう意味か…
道理で初めてティアノの配下に会った時、なんだが寂しい雰囲気だったわけだ。
ダイロス:「魔素量だけで見るならこの場で一番凄まじいのはリード様とヴェルドラ様ですが…」
シズ:「
自然:「同感です」
リムル:「お前が言うとちょっと説得力がないな」
自然:「どういう意味ですか!?」
そんな雑談をしているとランガが唸りだした。
トレイニー:「迎えが来たようですね」
…僅かに感じる敵意、殺気じゃない分少しなめられてるな。
リムル:「ランガ大丈夫だ」
ランガ:「しかし、我が主」
自然:「魔王からの招待なんだ。これくらいまだ優しい方だぜ」
目の前に、まさに選ばれた者しか通れない豪勢な扉が現れた。
空間を繋げる扉でこんなに凝ってるなんて、流石は最古の魔王。
扉が開くと、緑色の髪をしメイド服を来た
ミザリー:「お迎えに参りました。ラミリス様、リード様」
ダイロス:「ミザリー久し振り!レイン達は元気にしてるかい?」
ミザリー:「久し振りねダイロス、変わりないわ。そちらがリムル様ですね?我が主、ギィ様よりお連れするうよう仰せつかりました」
ギィ…あの時以来か…今は敵対しない事を祈るしかないな。
シズ:「リムルさん…」
リムル:「よし行くか」
リムル達が先に行くと最後に俺達が中に入る。
俺はその直前で、軽くミザリーに殺気を一瞬放った。
ミザリー:「…っ!」
不意だったのか一瞬表情が変わったがすぐに表情が消えた。
ダイロス:「行ってらっしゃいませ」
トライアさんが不安そうに見送り、ダイロスが深く頭を下げると、門は音を立てて閉まった。
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部屋の構造は丸い机に椅子が並んでいるというシンプルなものだ。
ホウテンが言うには魔王は皆対等と言っていたからおそらくそれが理由なのだろう。
そして、最初に椅子に座っていたのはギィ・クリムゾン。
魔素をわざと洩らして、相手の力量(この場合リムルか)を計っているな。
釈迦人義兄さんとやり方が少し似てるな。
最初会った時は読めない相手だったが、前世の調子が完全に戻ったおかげで、今はそれほど感じない。というか煉武義兄さんの実践稽古に似た緊張感を今は感じる。
ギィ:「座ったらどうだ?扉の前に突っ立ていたら邪魔だろう?踏み潰されても知らんぞ」
ギィがそういうと後ろの門が再び開くと、門より大きな大男が潜ってきた。
おそらくコイツが
ダグリュール:「どいてもらえるか?小さいの」
リムル:「あ、ああ…失礼」
リムルが横に移動するとダグリュールが俺の隣で止まった。
ダグリュール:「お主がリード=テンペストか?」
リード:「ああ、そうだ」
ダグリュール:「ワシは
ダグリュールが手を出すと、俺は少し警戒して『聖魔眼』を使って手を調べたが何もなかった。ただ単純に握手がしたいだけか。
リード:「こちらこそ、よろしく」
俺も手を出し握手をするとダグリュールの目がまるで友と感動の再会に喜んでいるような目をしていた。
お互いに手を放すと次に来たのは目立つ犬歯があり、黒いマントを着た男だ。おそらく現代の
あのメイド、レミンに似てるというかそっくりだ。
………まさかあのメイドが先代の魔王ルミナス!?
ヴェルドラの関係がばれませんように…
そう祈っているとヴァレンタインが俺の所に来た。
ヴァレンタイン:「貴様がリード=テンペストか?」
リード:「その通り、初めまして魔王ヴァレンタイン」
ヴァレンタイン:「…知っているのか?それなら助かる。今後もよろしくな」
ヴァレンタインが右手を出す。どうやら彼もダグリュールと同じようだ。
リード:「ああ、こちらも」
俺も手を出し握手をする。
するとこの場に似つかわしくない声が聞こえてきた。
???:「ふああ」
聞こえてきた方に視線を向けると、高校生くらいの見た目をした男が来た。
コイツが
コイツは来てそうそうラミリスと口喧嘩を始めたが、どんなヤツかはすぐにわかった。
ディーノ:「アンタがリード=テンペスト?」
リード:「ああ、初めまして魔王ディーノ」
ディーノ:「あっ!俺の事を知ってるの!なら自己紹介はいいな。これからよろしくな!」
軽い性格だが、なんだが釈迦人義兄さんみたいなヤツだな。
まあ友好的に接してくれるならありがたいが、握手までしてくるなんて…
と言うか、さっきから俺だけ挨拶はしてリムルにはナシなのか?
リード:『(何で俺には友好的なんだ?)』
リムル:『(全員お前に魔王の称号を与える事に賛成した奴らだぞ)』
リード:『(そう言えば…)』
次に来たのは、際どい服を来た翼のある女だった。
おそらく
ん?なんか、雰囲気がホウテンに似てるな…
ホウテンと言えば今日はいつもと違うデザインの仮面を着けて、フード深く被ってたけど……まさかな。
ところでさっきから気になっていたんだが…あのライオン頭、間違いなく絶対カリオンだよな?もう少しマシな変装はなかったのかよ!!
次に来たのは、長髪で金髪の美男。
…コイツがレオンか。
レオンはシズさんを見ると驚いた表情になった。すると、リムルが席に立ち相手をした。これは、俺が口出ししていい問題じゃないな。
そして最後に来たのは、ミリムとクレイマン。
クレイマンが抱いているのが、ギドラ妹分の
クレイマン:「さっさと歩けこのウスノロ!」
クレイマンがミリムを殴った。
………よし、計画は決まった。
リード:「(ホウテン、自然義兄さん、
自然:「(っ!!??)」
ホウテン:「(え?リード様一人称が…)」
自然:「(俺達はどうするんだ?)」
ホウテン:「(シゼン様?)」
リード:「(
自然:「(わかった!任せた!!)」
ホウテン:「(シゼン様どうしたのですか?)」
自然:「(ホウテン君!取りあえず今は聖司の言う事を聞いてくれ!頼む!)」
ホウテン:「(え?は、はい…)」
自然が教えたリードの怒りのレベルは、あくまで
それは、話し合う余地が無く、一切の情けや容赦などがないまさに冷酷非道と言っていいまでの相手を叩き潰す怒り。
そのレベルは最初に教えた三つにプラス6され、一人称が変わった時が合図であった。
自然:(前世で呼ばれてた、『
自然は、これからリードの怒りが降りかかるクレイマンに同情してしまっていた。
何故なら、前世のリードは
リードの大切なものに危害を加えれば、そのものに注いだ気持ちの分、つまり慈愛が大きい程その時の災いは凄まじいという事からついた二つ名が『慈愛の聖司』である。
おそらくその時以上の怒りだからおそらくレベル8あたりなのだと予想が出来ていた。
自然:(あーー!こんなことになるなら
クレイマン:「さて、本日は私の呼びかけに応えて頂き、誠にありがとうございます。それでは始めましょう」
リード:(クレイマン…)
クレイマン:「ここに
リード:(私を怒らせた事を魂の奥底から後悔させてやるよ)
自然:(早く終わってくれ!出ないと俺の寿命が(主に聖司の怒りへの恐怖で)縮む!!)
リードとリムルがクレイマンに対して凄まじい怒りを向ける中、自然は既に帰りたい気持ちで一杯だった。
遂に
⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫
ギィの居城の地下に、氷漬けにされた十人の剣士がいた。
十人ともヴェルザードによって凍らされているが、その命は消えてはいなかった。
そして、炎のような赤い剣と漆黒の剣を持った漆黒の剣士の指が僅かに動いた。