テンペストの首都リムルから少し離れた小さな家から、白い煙が上がっていた。
中では、シュナが台所で
すると台所の扉が開き、目がまだ半開きの青年が現れた。
少し前に開催された
朱菜:「おはようございます、リードさん」
リード:「う~ん…」
まだ眠気が残っているのか、シュナの挨拶に生返事で返すと、リードはシュナの後ろに移動し、両腕を絡ませて後ろからシュナを抱き締め、頭を肩の乗せた。
朱菜:「リードさん起きてください」
リード:「う~ん…」
朱菜:「朝食の準備が出来ませんよ」
リード:「う~ん…」
朱菜:「まったく……顔を洗って朝食を済ませてからにしてください」
リード:「は~い…」
シュナに指示されると、リードはシュナから離れて洗面所に向かった。
二人が今いるのは、リードの
リードのもう一人の
しかも、ゲルドはリード様の幸せの為ならという理由で代金を受け取らず、動かせる
リードとシュナが知った時には完成した後で、その時のリードの反応は、
リード:
『気がはえぇよ!
と、顔を赤くしながら叫んだが後の祭り。せっかくのみんなの善意を無駄にさせたくなく、二人はこの家に引っ越したのだ。
最初は、初々しすぎる二人だが、数日もすると朝のハグからの流れが日常になりつつあった。
縁護:「まさか三上さんみたいな失敗をしてしまうなんて…」
リムル:「お前俺のことなんて思ってたんだ…?」
縁護:「デリカシー感知能力ゼロ」
リムル:「二人ともちょっとお話があるからウチに来なさい」
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朱菜:「リードさんがあんなに甘えん坊だったのは、本当に驚きました」
リード:「もう勘弁してくれ…」
朝食を食べながら、シュナが嬉しそうに話すのは、嬉しいが、内容が内容なだけに、かなり恥ずかしい。
朱菜:「何故ですか?リムル様やシズ様にも見せたことのない一面ですよね?わたくしはそれが見れてたまらずに嬉しいです!」
リード:「……………」
朱菜:「わたくしは仕事に行きますが、リードさんはどうしますか?」
リード:「俺は、行きたいところがあるけど、お昼には帰ってくる」
朱菜:「わかりました。それではお先に」
リード:「ああ」
シュナが仕事に行く準備を始め、俺はゆっくりシュナの手料理を堪能した。
朝食を終えたら、着替えていつもの目隠しをし、酒瓶を持って出掛けた。
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竹林の中にある一本道を歩いていく、ボロボロの刀が置かれた所に着いた。
ここはシュナとベニマルの父親が眠っている墓だった。遺体はなかったが刀が残っていたので遺骨代わりにはなるだろう。
俺が、ここに来た理由はシュナとの交際の挨拶として、そして俺個人のケジメをつけるために来た。
三つのお猪口を置き、リムル達が再現した酒を注ぐ。
リード:「初めまして、お
酒を注ぎ終え、俺は
リード:「俺は、テンペストの盟主の片割れにして
ハクロウやコウホウの話だけでも、二人がシュナとベニマルの事をどれ程大切にしていたのか良く伝わっている。だからこそ、俺が言わないと意味がない。
リード:「俺は異世界からの転生者で仮面ライダージオウの力を獲ました。そのジオウの力にシュナを巻き込む事を許してください。そして約束します………必ず未来を変え、シュナを守り、幸せにしてみせます!」
俺は伝えたい事を簡潔に、ハッキリと伝えお辞儀をすると、風が吹いた。
『あの子を…お願いします』
『俺の娘は…そんなに弱くないですよ………リード様』
リード:「!?」
後ろから二人の男女の声が聞こえ、振り向くが誰もいなかった。
けど、今の声は多分………
俺は刀に視線を向けると、自然と頬が緩んだ。
リード:「やっぱり、家族っていうのは種族や世界が違っていても同じなんだな」
そう呟いて、帰路に着いた。
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竹林を抜けると、ゲリオンが現れた。
今までは、ギドラが俺の影にいたのだが、助けた
リード:「ゲリオンどうした?」
ゲリオン:「はっ、先ほど、ゲルド達が襲撃されているのと報告が」
リード:「なんだって!?」
ゲリオン:「数は三名。しかし、どうにもゲルド殿の戦意が薄いようです」
リード:「分かったすぐに向かう!」
酒瓶を『万能空間』で保管し、ライドストライカーで向かった。
しかし、ゲルドの戦意が薄いか…あの真面目なゲルドが襲撃者に遠慮なんて………まさか…
頼むから、今思った事が外れてほしい!
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ゲルドは既に死を受け入れていた。
なぜなら、自分が戦っているのは、かつて滅ぼした
自身に向けられてる憎悪の眼差し、そして炎が纏われた太刀を振るってくる彼の攻撃に対して、ゲルドはついに武器を捨て、殺される事を覚悟したのだ。
ソーカも足止めしようとするが、彼の勢いは止まらず、炎の太刀がゲルドに振り上げられ、ゲルドが目を閉じたその時、二人の間に
鋭い金属音が響き、ゲルドの目が開くと、
オーガの生き残り:「!?」
ゲルド:「!?」
???:「事情は知らないけど、オークのコイツは戦意喪失してるんだよ。殺す必要がある?」
男は太刀をさばき、足元に狙いを定めた。
???:「
ゲルド:「!?」
男の凄まじい刺突がオーガの足元を深く貫き、動きを封じた。
???:「あのさ~、どっちでもいいから教えてくんない?テンペストはどっち?実は
ゲルド:(俺達?)
???:「
森からゲルドを守った男とそっくりの顔をし、黒みを帯びた紫色の髪をした男が現れた。
釈迦人:「そう言うならよ
生夢:「やり方を少しは考えろ」
釈迦人:「あ゛あ゛あ゛!?じゃあお前ならどうするんだ?」
生夢:「僕なら、両方に毒を打ち込んで動きを止めるよ」
釈迦人:「お前も人の事言えないだろ」
生夢:「ほう?」
ゲルド:「あの…」
生夢・釈迦人:「「うん?」」
いつの間にか、喧嘩になろうとしていた二人にゲルドが割って入ると、ベニマルが現場に到着した。
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釈迦人:「どういう状況?」
生夢:「僕に聞かないでくれ」
ベニマル達が、襲撃者達と話している間、生夢と釈迦人は離れて見ていた。
釈迦人:「まあ、後で場所を聞くとして…」
縁護:「生夢?釈迦人?」
遅れて現場に駆けつけた縁護が驚いた表情で二人に声をかけると、二人も縁護と同じ表情をしていた。
生夢・釈迦人:「「縁護兄(さん)…」」
縁護:「お前達、無事だったんだな!?」
生夢:「縁護兄さんも!?」
釈迦人:「まさか自然だけじゃなく、縁護兄もいるなんて…」
リード:「生夢義兄さん!?釈迦人義兄さん!?」
更に遅れて来たリードは二人の義兄の姿に驚き大きな声で呼ぶと、二人はリードに飛びかかった。
リード:「うぉお!?」
突然の事で、バランスが崩れて倒れそうになるが、二人が寸のところで支えた。
生夢:「ゴメン
釈迦人:「嬉しくてつい…」
リード:「ありがとう。それよりどうして二人は
リードは再開した二人の義兄と少し話をした。
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釈迦人:「カーカッカッカッカッカッカ!!」
生夢:「しゃ、釈迦人笑いすぎだって…ぶふぅ!」
リムル:「お前らさぁ、せめて本人の目の前で笑いを堪えるってこと出来ないの?」
ベニマルとシュナの話によるとゲルドを襲撃したのは、傭兵として出稼ぎに行っていたベニマル達の兄貴分で、今の名前は『ヒイロ』というらしい。
ヒイロの話によると、オーガの里の危機を知り、軍を脱走。しかし、先日仲間になったノベクによって全滅させられたそうだ。
ヒイロだけは何とか一命を取り留めたが時は既にオーガの里が滅びた後で、今までテンペストの西側にある国ラージャ小亜国にいたそうだ。
そして、生夢義兄さんと釈迦人義兄さんはある者の情報で、自然義兄さんが俺の義兄と名乗った事で、俺が前世の記憶を持ったまま転生したのがリード=テンペストだと考え、その俺と自然義兄さんがテンペストにいるのではないかと推測してやって来たようだ。
その推測は見事的中し、縁護義兄さんやリムルとも再開出来たようだ。
しかし、リムルの姿を見た二人は現在、ヒイロさん達と共に案内された大部屋で笑っていた。
釈迦人:「だ、だって…スライムって…カーカッカッカッカ!!」
生夢:「予想外過ぎて堪えられませんよ…ぶふぅ!」
リード:「リムル…義兄さん達がゴメン…」
リムル:「いや、リードが謝る事はないよ」
ヒイロ:「あの、リード様…」
リード:「うん?」
ヒイロ:「先ほど、シオンが言ったっていたのですが、姫様いやシュナ様と
生夢・釈迦人:「「………えっ」」
ヒイロさんの言葉に、俺の顔の温度が上昇したのを感じる。
その証拠に先ほどまで笑っていた生夢義兄さんと釈迦人義兄さんの視線が俺に集中していた。
リード:「な、何言ってるんですか!?お、俺とシュナはま、まだ交際の段階で…」
リムル:「指輪を渡しておいて?」
リード:「リムルは少し黙れ!!生夢義兄さんと釈迦人義兄さんにも一応言っておくけど………二人とも?」
視線を二人移動させると、生夢義兄さんも釈迦人義兄さんも白目をむいて気絶していた。
俺は慌てて、二人を起こそうと往復ビンタを炸裂させた。
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リード:「それじゃあシュナ、紹介する。
俺の義理の兄で双子の
生夢:「初めまして、僕は三男の生夢。少し前に『
釈迦人:「四男の釈迦人。同日に『
リード:「それで、こちらが俺の…こ、恋人の…シュナ…です…」
俺が、シュナの紹介をすると、二人はまるで見定めるようにシュナを見て、一回りすると、
生夢・釈迦人:「「
朱菜:「は、はい」
なんだろう…凄く恥ずかしい!
俺達がそんな事をしていると、リムル達はヒイロさん達がやって来た理由を聞いていた。
なんでも、ラージャ小亜国は昔、金の採掘で栄えていたが金脈を堀尽くし、今は衰退の一途を辿っているようだ。
しかも採掘ででた鉱山の毒の広がりを防ぐために、ヒイロさんの命の恩人でラージャの女王トワさんがティアラの魔力で毒を中和してきたが、代償として呪いがかけられ衰弱していっているようだ。
それらの問題を解決する為、ヒイロさんは森の開拓や狩りなどを行うと提案したようだ。しかし国の重鎮達は、暴風竜ヴェルドラの怒りを買う事を恐れていたらしい。だが、俺とリムルが唯一そのヴェルドラと交渉可能の存在だと知り、俺達に頼る為に訪れたようだ。
そこにゲルド達を目撃してしまい、攻撃してしまったようだ。
ちなみに、生夢義兄さん達は戦闘の音が聞こえてきて、何かあったと思いその場に駆けつけたそうだ。
朱菜:「リードさん…」
リード:「わかってる、シュナの兄貴分の頼みなら断る理由がない。リムルとヴェルドラは?」
ヒイロ:「もう既に許可はいただき、リムル様は明日ラージャ小亜国に来てくれるそうです」
リード:「なら俺も行こう。ちょうど最高の名医がいるしな」
ヒイロ:「え?」
リード:「生夢義兄さん、来てくれるよな?」
生夢:「もちろん、僕の
やっぱり
なんとなく予想をし、釈迦人義兄さんに視線を変えると…
釈迦人:「俺も
予想が見事に的中したが、今はラージャ小亜国をなんとかするために色々と考えておかないとな。
リード:「それじゃあ決まりだな、俺達も同行しても構わないか?」
ヒイロ:「もちろんです!」
朱菜:「ありがとうございますリードさん」
リード:「それじゃあ、シュナはヒイロさんを部屋に案内してきてくれ、俺は生夢義兄さんと釈迦人義兄さんに用事があるから」
朱菜:「わかりました」
シュナがヒイロさんを部屋に案内し、姿が見えなくなると、『万能空間』からエグゼイドウォッチを取り出すと、生夢義兄さんと釈迦人義兄さんに反応するように輝いていた。
リード:「生夢義兄さん、釈迦人義兄さん
エグゼイドウォッチを投げ渡し、生夢義兄さん、釈迦人義兄さんの順で起動させると、世界の言葉が聞こえてきた。
世界の言葉:『確認しました。個体名
生夢・釈迦人:「「………えっ?えーーー!?」」
リード:「それじゃあ、後は二人で話し合ってな」
俺は、用事を済ませラージャ小亜国に行く準備の為に家に帰った。
こうして我が魔王達に新たな仕事と仲間が入った。
一体ラージャ小亜国で何が起こるのか、それはまだわからない。
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帰路に着いたリードは、四つのウォッチを取り出していた。
リード:(この前ノベクはアギトの力を手に入れた。恐らく、電王、ディケイド、フォーゼ、鎧武の力を手に入れる事が出来るヤツが現れるはずだ……一体誰なんだ?)
リードのこの疑問が解決するのは、まだまだ先になるだろう。